【３】

「ママ……」
　 拓哉も心なしか恍惚とした表情で、近づく母の視線と絡ませた。
「スッキリしたでしょ、拓哉」
　 息子の前にふたたびしずしずと腰を下ろすと、さっきまで猛々しく勃起していたのが嘘みたいに精力が失っていく息子のイチモツを、麗香はティッシュできれいに拭きだす。鈴口にはエキスの残りがしみ出していた。
「ママ……」
「なあに、拓哉」
「ママ、ボクもひとつ聞いてもいいかなぁ」
　 自分のペニスを丁寧に拭いている美母の姿を見下ろしつつ、拓哉は口ごもるように言う。
「ママ……、ボクのこと、好き？」
「好きよ、誰よりも、大好きよ」
「ほんとう？」
「当たり前じゃなの、拓哉は、ママの大事な、大事な子供だもの」
　 どことなく不安げな息子の問いに、念を押すように答えた。
「だって、ママは……」
　 拓哉は母親から背けるように視線を外した。一瞬、途切れた言葉も弱々しく哀感を帯びている。
「ママには……、男の人がいるんでしょ」
「えっ」
　 息子の予想もしない言葉に、麗香はドキッとした。あわてて男根から手を引っ込め、拓哉と目線を合わせた。
「男の人がいるんでしょ、前から知ってたよ」
「拓哉……」
　 すべて知られていたのだ。今度は、麗香の方が顔を強ばらせる。
　 いくら子供であっても、毎日一緒に居ればわかってしまうのは当然だ。
「金曜日になると、いつも嬉しそうにしてたから」
　 想えば、そうだったかも知れない。彼氏とのデートは金曜の夜と決まっていた。その日がくると、自分でも恥ずかしいぐらいに朝から身体が疼いてしまうのだ。
　 身に着けるものも違っていた。下着にしても、ガードルやボディスーツの下には、普段より派手でセクシーなガーターベルトやガーターストッキング、総レースのスキャンティなどを着けるようになっていた。
「ママの、お友達よ」
　 麗香は自らの気持ちを落ち着かせた。
「……ち、違うよぉ」
「違わないわ、拓哉」
「違う、ボクより大切なんだろぉ」
　 拓哉はだんだん泣きべそをかきはじめる。
「拓哉、ママの話をよく聞いてちょうだい……。確かに、ママは男の人とお付き合いしてるわ。ママにとっては、とても大切な人だし、何でも相談にのってくれるの。……でも、いちばん大切なのは、やっぱり拓哉よ」
　 半べそをかいている息子に向かって、彼女は目をやや潤ませながら、真剣に息子を諭そうとする。
「でも、愛してるんだろ、その人のこと」
「えぇ、愛してるわ、とっても好きよ、寂しいときは、ママを癒してくれるし……。でもね、それ以上に愛してるのは、拓哉、あなたなの……」
　 その言葉に偽りはなかった。
　 しかし、拓哉は母親の訴えを意に介さない。
「いや、違う……。今日だって、ボクを置いて、逢いに行くんだろ……」
「拓哉……」
　 麗香の美しい表情が苦渋の色に染まっていく。
「やっぱり、その人の方が好きなんだ」
「こんなことないわ……」
　 必死に否定する彼女だが、今まで秘密にしていたことが引け目に感じてか、どことなく弱々しく毅然とした態度を取りきれない。
　 拓哉はすかさず麗香の弱みにつけ込むように、次なる要求を突きつけてきた。
「だったら、その証拠を、ボクに見せてよ……、ママ」
「証拠？」
「ボクを誰よりも愛している、証拠を……」
「証拠って、どうすれば……」
「ボクにも見せてよ……ママのアソコ」
「えっ！」
　 息子の思いがけない言葉に絶句する。
「あの人が知ってるママのアソコ、ボクにも見せてぇ……、愛してるんだろ」
「た、拓哉……」
　 それ以上、言葉が出ない。
「見せてよ……。その人と、いつもセックスしてるんだろ、ママ……」
「そんなこと、言わないでちょうだい、拓哉……いい子でしょ」
　 彼女は苦し紛れにそう言ったものの、頬をポッと紅くした。ボーイフレンドに陰部をさらけ出し、肉欲を貪る淫らな自分の姿が、目の前にちらつく。
　 実際、ボーイフレンドに抱かれるたびに、いつもフルコースで愛された。
　 肉体の隅々まで舐め尽くされたあと、最後は２０センチ以上はありそうな野太い男塊で灰になるまで炎えさせ、悲鳴を上げるとともにエビ反りになって、全身がまるで性器にでも化したかのように痙攣止まらぬほどの絶頂感を与えてくれるのだ。
「ママは、あなたの母親よ……。いくら何でも、無理よ、そんなこと……」
　 濃厚で激しいセックスライフから、いつの間にか牡を貪りつく厭らしい肉体となってしまっている自分を想像しただけで、身体がカーッと熱くなる。
「じゃ、ボクより、その人の方が好きだって言うの」
「それと、これとは別よ。拓哉だって、大人になればわかるわ、ママの気持ち……」
「いやだ、いやだ、そんなの嘘だ」
　 困惑しきった様子で必死に諭そうとする麗香だが、拓哉はぜんぜん聞き入れようとしない。挙げ句の果てに本格的に泣き出してしまう始末。
「ママぁ、行かないで、ママ……、ボクをもっと愛して、ママぁ……」
「ママを、困らせないで……」
　 しゃくり上げて泣きつく息子に、麗香は本当に困窮し、眉間に悲しみのシワを寄せる。
　 ボーイフレンドは、あくまでも女の自分を満たしてくれる恋人であって、息子とはまったく違う存在だ。だから、息子とボーイフレンドのどっちを取るかと問われるなら、迷うことなく誰よりも深く愛してきた息子の方である。
　 とはいえ、息子に男を求めることは決してあり得ないと思っていた。世間的にも、明らかに道を外れた近親相姦に及ぶ行為は、母親としてあってはならない。
　 ところが、なぜか、強く拒みきれない自分がいるのだ。
　 今まで息子に十分手をかけてやれなかった負い目なのか、それともボーイフレンドの存在を隠してきた後ろめたさからなのか。麗香の心は微妙に揺れ動く。
　 いや、それだけではない。やるせない気持ちを自分の下着にぶつけてくる拓哉が、たまらないほど愛おしく思いはじめた時から、心のどこかで、拓哉に抱かれてみたいと望むようになっていた。
　 親子で体を交えてはならないという理性で、自分を戒めようとしても、ボーイフレンドに抱かれている時でさえ、頭から拓哉のことが離れなくなっていたのだ。
「ママぁ……」
　 拓哉は泣きながら哀願する。
（わたしが抱かれてあげるわけには……。でも、このままじゃ、本当に……）
　 すがってくる息子を見て、麗香も、この１ヶ月間満たされていない自分をこれ以上抑制することができなくなっていた。
「わかったわ……た、拓哉、……ママの、見せてあげる」
　 思い詰めた挙げ句に口をついて出てきた言葉が、麗香自身をハッとさせた。緊張感が走り、身が凍りつく。
「ママ……」
「あっ、拓哉」
　 後に引けなくなった事態に羞じらいを募らせつつ、拓哉から視線を逸らし、思わず顔を上気させた。
　 すべては自分がまいた種。息子の拓哉を性に芽生えさせたのも、ここに連れてきて性欲の処理に手を貸したのも、元を正せば自分の不注意からだ。その場をごまかすわけにはいかない。
「ママが悪かったわ。でも……、こんなことは、これっきりよ」
　 悲痛な表情を浮かべた麗香は、おもむろに立ち上がり、ゆっくりと歩を後退させていく。時間が間延びしたような、時がスローモーションに流れていくような感覚だった。
　 息子の要求さえ拒みきれない情けなさと、息子の目の前でやむなく白いワンピースの裾をたくし上げていく自分が惨めに思った。
「あ、ママ……」
　 戸惑いがちにワンピースをまくった母の姿を見て、拓哉が喉仏を上下させた。少年にとって刺激が強すぎるほど、大人の色香を発散させた黒い下着姿は妖艶で、信じられないような顔をした。
　 豊かな太ももをぴったりフィットしたサポートタイプの黒いストッキング、豪華なレース刺繍が施されたしっかり体型を補正するための黒いボディスーツ。
　 それ以上に拓哉の目を輝かせたのは、脚の付け根に過激に食いこむボディスーツの股ぐり。股間の形がこんもりと浮き彫りされるぐらいに、甚だしい食いこみ方をしていたからである。
　 ヌイたばかりだというのに、半分うな垂れかけていたペニスが、これまでない熱さを伴って、ただちにムクムクと雁首をもたげ、その威容をさらけ出しはじめる。
　 拓哉の様子をうかがいながら、麗香は股間にやった手でむしり取るようにボディスーツの三連スナップをはずす。すると、クロッチがスルスルッと縮みあがった。
　 黒いサポートタイプのパンストの全貌をあらわす。股間から上にシームラインが伸びて、その中の白いショーツが透けて見える。
　 獲物を狙うかのような目つきで、息子は黒いパンストに閉じ込められた母親の下半身を射抜いた。美母のフェロモンに悩殺されたペニスは、太さも、大きさもさっきより際立ち、逞しい裏筋を露呈させるほどの臨戦態勢になる。
（あん、拓哉の、エッチ……。そんな目で見つめないで）
　 拓哉の興味津々の視線に耳まで顔を赤くしつつ、麗香はやさしげな秋波を送った。嫌悪感からではない。それは、ときめきを伴って彼女の心に新しい感情が生まれつつある証である。
　 麗香は吸い寄せられるように、ボディスーツのスナップを外したまま跪き、ロングヘアを掻き上げながら紅唇を近づけ、官能的な温かい息を吹きかけた。
「うっ」
　 拓哉は眉間にシワを寄せ、吐息を洩らす。
　 長く潤んだ舌を突き出し、亀頭に触れた麗香の舌先がゆっくり動き始めた。
　 先端から亀頭のくびれへ、そしてくびれの周りをゆっくりと動く舌先。
　 童貞の拓哉にとって、その刺激が与える快感はあまりに強烈だった。無垢な牡肉は激しく脈打ち、全身におののきを走らせる。
「あ、あぁ〜っ、ダメだよぉ……」
　 快感に悶える貴幸の声、それが麗香の行為をさらにエスカレートさせた。その可愛さにたまらず麗香は長い舌先で肉茎の裏筋に沿ってチロチロと舐めあげる。ナメクジが這った跡のように濡れて糸を引く。
「ステキよ……とっても……」
　 何かに憑かれたように、彼女の舌は拓哉のイチモツの尖端をねぶりまわして刺激を与えていく。右手で根元を支え、もう片方の手で玉袋をやさしく揉みしだきながら、いまにも精液をほとばしらせんとする拓哉の新鮮な果実を賞翫した。
「あ〜っ、ママっ……」
　 拓哉の胸は高鳴り、嗚咽が洩れる。
　 色めきだつ拓哉を尻目に上目づかいで見つめたまま、舌で亀頭の小さな窪みをうがった。やや傾け、ためらいがちに開けた艶っぽい唇をピンクに光った尖端に押しつける。
　 ザラリとした舌の感触、柔らかくなめらかな唇の感覚が息子を責める。麗香は唇で亀頭全体を包み込み、その中で舌先で亀頭を責め立てる。
　 射精したばかりだというのに、早くも拓哉のペニスは射精感に襲われそうになるが、そんなこともお構いなしに、自らの口内へゆっくりとウブなペニスを埋没させていく。
「あっ、うぅ〜っ……マ、ママ……」
　 嬉々とした奇声をあげる息子。
　 何か熱い、溶けるほど熱くぬめった沼に呑まれていくような衝撃が脳天まで突き抜け、貧弱な背中をわななかせた。
「ううぅ……」
　 麗香にとっても、拓哉の生々しく脈動する熱い強ばりは特別に美味な果実であった。ギンギンに張りつめた少年のペニスを根元まで頬張っていくにつれ、母親としての自覚が奪われていく感覚にさいなまれていった。
　 真っ赤なルージュの唇が少年の欲望を奥深くまで呑み込むと、静かに頭を動かしはじめる。息苦しいほど深々と沈めてはキャンディーを舐めまわすように牡肉をいたぶり絡ませ、抜きあげる時には唇できつく挟み込み、両頬をへこませてありったけの力で吸引する。
「う、ママ……、気持ちいいよ」
　 ボーイフレンドとのセックスライフで熟達した巧まざる人妻の愛咬は、拓哉をどこまでも夢心地にさせた。無垢な前立腺が麗香の口の中でメキメキと硬度を増幅させていく。
　 拓哉の高まりが激しくなると、四十路に近い女の情欲が、野焼の火のように内部からメラメラと燃え広がるのを感じた。疑いもなく大人の女を狂わせる官能のほむらで、熱い滴りとなって麗香の熟れざかりの女陰を確実に濡らしていく。
　 口の端からあふれる唾液がペニスを伝い、青筋が浮きでた茎を、秘毛を、シワシワの玉袋をねっとりと濡らす。
　 ジンジンと疼いてくる信じられないような快感に拓哉は全身をひきつらせて、熱烈をきわめた麗香の巧みな愛咬に必死にこらえる。
「うん、あまり激しくしないで。このまま、口の中で出ちゃったら……」
「いいのョ……、イキたくなったら、我慢しないで、イッて……ママが呑んであげる」
　 恍惚に満ちた拓哉が苦し紛れに訴えると、麗香は顔をあげて、そう答えた。
　 天使のような美貌を綻ばせながら、ふたたび彼の若竹を口の中に咥え込んだ。
　 舌と唾液を拓哉にねっとりと絡みつけ、力いっぱい吸引するようにしゃぶる。それだけではない。歯を立てないように柔らかな唇をモグモグしたり、スポスポと上下運動してくる。根元を支えていた手もそれに加勢してきた。
　 ツボを得た絶妙の舌技に、ペニスはたちまち射精の開始を訴え、口内に最後の膨らみをはっきりと感じ取る。
「あっ、あぁぁ〜」
　 せり上がる鋭い性感に耐えきれなくなった拓哉は、女のように身を大きく仰け反らせ、麗香の髪を押えたままフィニッシュに向かって、腰の動きをエスカレートさせる。
「あ〜、ママっ……」
　 稲妻のような激しい快感が拓哉の背中を突き上げ、若竹がまるで生きのいい魚のようにピクッピクッと小気味よく律動した直後、マグマのように熱く溶けた欲望の塊が麗香の喉をめがけて猛然と襲いかかってきたのである。
「あぁぁぁ〜あっ、あぁぁ〜」
　 拓哉の身に激震が走り、天を仰いだ。全身を駆け抜ける絶頂感に脳の髄まで犯され、顔をゆがませ悲鳴を上げる。
　 さすがは１４歳。あれだけたっぷり噴射したばかりだというのに、その勢いは少しも衰えていない。いや、刺激的な官能の愛咬のあまり、噴射力はそれを上回った。
「うぅ……」
　 口内でのたうち回る無垢なペニスからの、濃厚で子宮にぶちまかれるような生々しさ。まるで水鉄砲のような凄まじい噴出を喉の奥に受け止めている感覚だ。
（イッてるのね、拓哉……。熱いのが噴き上がってるわ、いっぱい出して……）
　 激しい律動を伴って、続けざまに噴出する若いエキスに充満した。眉間にシワを寄せながらも、白濁のすべてを吸い尽くすように、さらに２度３度と肉棒を大きく、手で口で根元から搾り上げる。
　 息子とセックスをしているかの快美感に襲われ、花芯が熱くどよめき、愛液が下着を濡らしてくるのを感じた。
（あぁ、アソコに欲しい……）
　 明晰な意識の中で、本当のセックスだったら、と未練を感じながら、必死にしごき続けた。麗香はゴクンゴクンと喉を鳴らして、精液特有の強烈な牡臭とともに拓哉からほとばしり出たコクのある白い快楽ジュースを呑みくだしていく。
「あぁ〜、マ、ママぁ〜、気持ちいい〜……」
　 少年の感激は計り知れなかった。あたかも自分の生命まで麗香に吸い取られてしまうような恍惚した表情を浮かべ、全身をひきつらせた。
　 １０回以上も律動を繰り返したあと、ようやく拓哉のペニスはおとなしくなってきた。
　 麗香は、急速に力を失せていく拓哉の肉茎から口を離す。唾液まみれに鈍い光を放つ拓哉の尖端からは、ピクピクッと痙攣の余震を残しながらエキスが流れ出ていた。
　 息子の熱い視線を上から浴びながら、最後の一滴まで十全に呑みつくそうとして、出続けているエキスを指ですくい、なおも求めるかのように何度も鈴口を啜りあげる。
　 拓哉を悦ばせようとしていた行為が、欲望の塊を口に受け止めるうちに、しだいに自分の欲求を満たすための行為に変わっていた。
「たくさん出たわネ、とっても濃くて、美味しかったわ、拓哉の……」
　 心から堪能した。できることなら、いつまでも拓哉をしゃぶり続け、若い精に飢えていた喉を潤していたい心境だった。
　 口のまわりが彼の精液でベトベトになり、きわめて厭らしい光景だ。
（なんて、こんなに、愛しいのかしら……）
　 下の口での噴射は果たせなかった物足りなさは、確かに残った。しかし、曲がりなりにも最愛の拓哉とメイクラブを味わえたことに満足し、彼に対する愛情がよりいっそう深く強いものになった。
「うれしいわ……とっても」
「あっ、ママ……」
　 麗香の色っぽいボイスに、拓哉も胸を打たれたのか、美母の肩にもたれかかってきた。