【５】

「ママ」
　晴れて退院して、我が家に帰るところだった。
「今度の休みに、どこか、行きたい……」
「うん、いいわよ」
「えっ、本当！」
「ママも、ゆっくりしたいしね」
　目を丸くして喜ぶと、運転している麗香がにこやかに微笑んで輝いた。
　白いブラウスに黒のタイトスカート、スキンカラーのストッキングとさり気ない装いなのに、麗香が着るとなぜか妖艶なのだ。
　果実を思わす形のいいバストと、細くくびれたウエストは、ブラウスからでもわかるし、タイトスカートに包まれたヒップと太ももが、豊満で官能的な曲線を描いていた。
　やや細面で、眼は大きく、物憂げながら玲瓏と輝く瞳、ツーンと高い鼻筋に、ルージュが塗られたマッシヴで可愛らしい唇、すっきりした顎から伸びる細い首。
　怜悧にして端正な顔立ちはプロポーション以上の魅力に満ち、教養の高そうな深窓の令嬢を想わせる気品と成熟した色気をたたえていた。
　それだけに、ただ運転する姿さえも色っぽく見えてしまう母なのだ。少年の心が不意に欲情してもおかしくはない。
「拓哉、ママは、ちょっとお仕事があるから、先に帰ってて……」
「うん」
　拓哉はスカートの上に手を乗せて太ももをさすった。
　裾から伸びた美脚は緻密なデニールのサポートストッキングに包まれ、まるでオイルをまぶしたかの光沢を放っている。
　下に視線を移せれば、膝頭からほどよく膨らみのあるふくらはぎ、キュッと締まった足首までのラインも優美で、タイトスカートに合わせた黒のハイヒールを履いていた。
「拓哉、淋しいの？」
　麗香の問いかけにうなずく。
　その手をしだいにスカートの裾から中へ侵入させていく。途端に、エアコンで冷えた手が温もりに包まれた。
「拓哉……」
　咎められたものの、麗香に拒む感じはなかった。
　微細な編み目にそって這わせてみれば、水を弾く油のようにツルツルとなめらかな手触りが伝わり、煌びやかに光るナイロン繊維が手のひらに吸着する。
「ママ、気持ちいいよ」
　麗香の様子をうかがいつつ、タイトスカートの奥へ忍ばせていく。
　太ももの途中で、ストッキングと異なる感触が指先に当たった。
　堅くザラつきのある生地で、太ももをきつく包み込んでいる。
「あ、ママぁ……」
「うふふ……、拓哉の好きな、ガードルよ」
　横目で秋波を送る麗香。
　拓哉が確かめるように、タイトスカートを少したくし上げれば、肉厚の太ももを締めつけている黒いガードルの裾があらわれた。スキンカラーのパンストの上にロングガードルを着用し、麗しき女体の曲線を完璧に作りあげていたのだ。
「ママぁ……」
　抗ってこないのをいいことに、拓哉は図々しくタイトスカートをさらに捲り上げ、太ももの全容と股間までをあらわにする。
　マチのある股間はきつそうに食いこんでいた。マチのところから、下腹を押さえるためのガードル独特にダイヤ模様につながる縫い目が上に何本か伸びていた。
「これも、かなりきついのよ」
　すでに勃起していたペニスが、美母の言葉に反応して痛いほど硬直する。
　ロングガードルにしっかり締めつけられているのが、手のひらに伝わるポリエステル地の堅い質感や、股間の甚だしい食いこませ方を見ればわかる。
（きついんだぁ）
　まぶしいぐらいの股間の食いこみを半ば陶然と見据えながら、あのランジェリーショップでの出来事を想起した。思わず全身がカーッと熱くなり上気してくる。
「何、考えてるの？」
　そんなところに、麗香に問いかけられた。
「あ……う、うん」
「わかった……。着替えるところを、また見たいのね」
「……」
　図星を指され、どうすることもできなくなった拓哉はさすっていた手を引っ込め、視線を逸らす。
「わかってるわよ。……すごく、興奮したんでしょ」
　その通りだ。ロングガードルを悩ましげに穿いていく姿に完全にヤラれて以来、脳裏から片時も離れることはなく、それをオカズにして、毎晩、オナニーに耽けるようになっていた。
　想像を駆り立てられれば、駆り立てられるほど高揚し、股間は熱く疼く。
「拓哉……」
　運転しながらも、麗香が唐突に、片手を拓哉の股間に伸ばしてきた。
「あぁ、ママ……」
「こんなに、大きくしちゃってぇ……」
　拓哉が驚く間もなく、ジーンズの上から膨らみ部分を撫でまわす。
　盛り上がったところを摘んだり、上下にさすりあげたりと、絶妙な手つきに、発情物はピクピクと敏感に反応し、否応なしに硬質感と肉感を増幅させる。
　その手は、しだいに急所の雁首を捉えていく。
「あぁ、ママ……、で、出ちゃうよ」
　器用に撫でつけられるだけで、早くも緊急事態を訴えはじめる。
「そうみたいね……」
　息子の股間に刺激を与え続けていた麗香は、車を街路樹の下の路肩に停めた。
　交通量が多く、スピードを出して走る車ばかりの真昼の幹線道路。歩道も人通りが少ない時間帯で、通りかかったとしても、街路樹の陰になり覗かれる心配はない。
「拓哉」
　麗香はハザードランプをつけ、拓哉を一瞥した。うろつかせる瞳も、柔和な中に魔性の輝きをたたえていた。
「そのままに、してなさい……」
　そして、ためらわずに顔を股間に近づけ、ジーンズのファスナーを降ろしにかかる。
　倒れ込んできた母親の背中を見れば、ブラウスの裾がずり上がって、タイトスカートとの間から黒いガードルの後ろ身頃が明からさまになり、ジグザグの縫い目や５センチ幅ぐらいのウエストのゴムが目に入った。いかにも補正下着らしくウエストがきつく締めつけられて、贅肉がいくぶんはみ出ている。
　ブラウス越しには黒いブラジャーのラインも透けていた。
「もう、出てるのね」
　ブリーフに先走りのシミが小さく広がっていた。そこから細い指を分け入れられ、引きずり出される。
「大きいわ、立派よ」
「あっ」
　発情物はすぐ麗香の指に絡められ、すべてを委ねられた。
「うふふ、美味しそっ……」
　１、２回、さすられたと思ったら、間髪を入れず婀娜っぽい唇の中に爆発寸前のみなぎった肉茎をすっぽり埋めていく。
「うぅ〜、マ、ママぁ……」
　熱い沼の中へ呑み込まれた瞬間、身体の奥から込み上げる快感にこらえきれず、顎を突き上げた。
　ほとんど余裕を与えることなく頭を上下に振りだし、舌と唾液で絶妙に雁首を刺激する舌技を仕掛けられると、尿道がジンジンと痺れてくる。
「……あぁぁ、マ、ママぁ……、出ちゃう、出ちゃうよ……」
　一気呵成に出し入れを加速してきた麗香の一方的なフェラに翻弄され、あっと言う間に頂点へ駆け昇った。
　そして全身に痙攣が走るなり、悍馬のごとくいきり勃ったペニスから、灼熱した精液が音を立てんばかりの勢いでほとばしった。
「うわぁぁ、ママぁ……、くぅぅぅ〜」
　尿道を電流のようなもの凄いスピードで精液が駆け抜ける。少年らしい細身の身体を悶絶させ、尋常でない絶頂感に脳の髄まで犯された。
「うっ……」
　拓哉の熱い歓喜が伝わってくるのか、麗香は顔を綻ばせながら、４、５回と噴き上がる濃厚なミルクをしっかり呑み下し、痙攣止まらぬペニスに愛しく舌を絡ませつづけた。
「くぅぅ〜、気持ちいいっ……」
　やはり口腔セックスは格別の快感だった。嵐のような射精感に全身を硬直させ、意識が希薄になっていく中で、ありったけの精液を麗香の口内に放出していく。
「はぁ、はぁ、はぁっ」
　しばらくして麗香が離れても、射精感の名残りから、拓哉のみなぎりはピクピクとひきつらせて、なかなか治まらない。
「拓哉……唇が、震えてるわ」
　やさしく視線を合わせると、母親は放出の快楽に打ち震えている拓哉をグッと抱きすくめ、熱い息を塞ぐように唇を重ねた。
「そんなに、気持ちよかったの」
「ママぁ……」
　なんとも言いようのない羞恥心が、拓哉の体を焼き尽くす。