都会の雑踏を離れ、静寂の暗闇の中、二人はソファに腰を下ろしていた。
　男はサイドボードの棚の中から赤ワインを取り出し、グラスに注いだ。

「じゃ〜、二人の一周年を祝して・・・乾杯！」
「かんぱい・・・」
「よく、一年間、よく辛抱してついてきたね・・」
「いえ・・・それより、我侭な私を引っ張ってくれて・・・ありがとう」
「冴子・・・好きだよ・・・」
「私だって・・・好きよ」
　短い会話の中に互いの気持ちが込められていた。

「抱きたい・・・」
　男は呟いた。

「・・・・・・・・・・！」（欲しい・・・）
　冴子はその言葉を飲み込んだ。

　男の手が冴子の顔を横に引き、唇を重ねた。
　男の背中に回した冴子の手に力がこもる。

「愛してるんだ・・・冴子」
「私だって・・・誰よりも愛してるわ・・」
「嬉しいよ・・・」
　再び、互いの舌を貪るように重ね合った。
　まるで、堤防の堰が決壊したように・・・

「ああ・・・いつまでも、強く愛していて欲しいの・・・」
　抱き締められた冴子は男の耳元で囁いた。

「うん・・・判った・・・俺に付いて来て欲しい」
「ええ・・・嬉しいわ・・・」
　冴子は思わず、男の強さの中にも優しさのこもった言葉に涙した。
　男は暗闇の中に光る冴子の頬に伝わる冷たいものを指で拭き取った。

「可愛いよ・・・冴子・・いつまでも傍にいて欲しい・・」
「はい・・・私をいつも見ていて欲しい・・・私だけを・・」
「うん・・・そうするよ」
　冴子は男の力強い言葉に感動していた。

　そして、頬を伝う涙を拭こうともせず、じっと男の顔を見つめた。
　男はその流れる涙に真実の愛を感じ、胸を熱くしていた。
　互いに、じっと抱き合ったまま、時が流れていった。

　いつしか、暗闇の中、二つの一糸まとわぬ裸体が微かに差し込む光の中、シルエットとなって浮かんでいる。
　外気の冷たささえ感じられないほど、熱気の帯びた二つの裸体が互いに寄り添うように一つの塊になった。
　それは、まるで影絵のように・・・神秘的な雰囲気を漂わせていた。
　冴子の手が男の首に巻きつけられ、男はその腰を引き寄せ、優しく柔らかな尻肉を包み込んでいる。

「あ〜・・・静かな夜ね・・・このまま、時間が止まってくれるといいのに・・・」
「・・・そうだな・・・今は二人だけの時間だよ・・・・・」
　男のてらいのない、ぶっきらぼうな言葉は冴子の心を和ませた。

　冴子はピタリと寄せた体の間に蠢く突起物が気になっていた。
　冴子はそっと硬く屹立したペニスに手を伸ばした。
　そこは、冴子の手に包まれるのを待っていたかのように膨張した。

「冴子・・・！」
「ええ・・・判ってるわ・・・」
　冴子は男が今、何を望んでいるかを悟った。
　男の前に跪き、両手で包み込むような仕草で支えた男根にそっと唇を近づけ、含んだ。その巧みな舌使いは男の欲情に火をつけた。

「うっ！・・・いいよ・・・冴子」
「感じてくれる？」
「ああ・・感じるよ・・上手だから・・・」
　冴子は舌先でペニスの先割れを刺激した。
　そこは、粘着のある液体が迸り出ていた。
　男は跪いて奉仕している冴子の頭を引き寄せ、腰を前後に揺らした。

「あうぅぅぅ！ンンン・・・」
　冴子は低く呻いた。
　男の膨張したペニスが喉の奥に押し込まれる。

「冴子・・・！！いいっ！」
　男は堪らず言葉を発した。

「欲しいわ・・・」
　冴子は男のペニスから口を離し、告げた。

「ああ・・いいよ・・・椅子に座って足を上げて・・・」
　冴子はその指示に従い、椅子に腰を降ろし、リクライニングの背にもたれかかり、脚を広げた。
　冴子のそこは、暗闇の中でも認められるほど光っていた。

　椅子の前に跪き、男の手によって大きく広げられた冴子の両脚の中心へと男の舌先が伸ばされていく。
　窓から漏れる薄明かりの下、椅子の上で卑猥なスタイルを強いられ、目の前で男の頭が股間に埋もれる姿は冴子の脳髄を痺れさせた。

「ひぃっ・・・・・・・・・ああ・・・・・・・痺れる・・・どうしよう・・・・・」
　しとどに濡れた冴子の秘裂が男の舌先に絡みつき、まるで生き物のように蹂躙している。
　男の愛撫が女の最も敏感な突起に触れた途端、冴子の体が椅子の背を押すように仰け反った。

「あうっ！！！・・・・・・・ああああああああっ！・・・・・入れて欲しいの・・・・・・突いて・・・」
「我慢が出来なくなったらしいな・・・・・」
「もう・・・・・・だめ〜・・・・・あなたが欲しい」
　海老のように持ち上げられた脚の間に、男の固くなったペニスが冴子の秘裂にゆっくりと侵入していく。

　ズズズズズン・・・

「ウウウウうーん・・・あああ・・・入ってくるわ・・・大きい・・・！」
　冴子はあられもない言葉を発し、乱れた。
　浸入したペニスが、秘奥に突き当たる度に冴子の悲鳴にも似た声が、漆黒の世界に響き渡る。

「ひぃぃぃぃぃ！！イイワ・・・あああああ・・・」
　組み敷かれた冴子の肉体が嗚咽とともに、リクライニングの椅子が揺れる。

　その揺れを利用して男のペニスが深く突き刺さる。
　折り曲げられた姿勢が、目の前で抽挿する男の太棹を見つめているうちに、今まさに上り詰めようとしていた。

「アッ！・・・イク、イク・・・いっちゃう・・・私・・・」
　冴子が官能に潤んだ眼で男を見つめた時、男の腰が激しく秘裂を撃ちつけた。

「いいよ・・・いっても・・・俺も耐えられなくなってきた・・・アウッ！！」
　男の射精感が一気に高まり、男の精が膣奥へと放出された。

「うううぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ・・・・・・・・・・・イイっ！イクイク・・・・・・・・イってるわ・・・・・・・あああああああああっ！！」
　冴子が激しく体を痙攣して果ててしまった。

　社長室の床に敷かれた熱いジュータンの上、暗闇の中で一つになった塊が静かな時間に包まれていた。