第2話　種付け男子

　
　武田 晴人は、谷村の話に驚いた。
　数十年昔からあるハイソサエティ (High Society)限定の極秘倶楽部が存在し、精子バンクならぬ種付け男子制度があることを熱く語って聞かされたからだ。
　そしてハイソサエティでの第２子、第３子は、それで生まれた人物が多いという事実であった。
　実例として名前の挙がった人物名は晴人ですら知っている人物ばかりで唖然した。
　確かに次男や次女で長子の人は１人もおらず、ハイソサエティでの第２子、第３子出生者の経歴と業績は圧倒的であるのは認めざるを得ない。

　人工授精が可能になった今でも、この種付け男子の需要は増え続けていて慢性的な人材不足という話であった。
　近年結婚しない女性が増えているのだが、それでも優秀な子供は産みたいという需要は増え続けているとのことであった。
　そして晴人はその「種付け男子」の候補に選ばれたのだ。
　「種付け男子」には、飛び抜けた業績を上げた成功者、学者、医師などが選ばれるが、金の卵としての晴人のような著名大学の首席クラス学生も候補になるのだ。
　金の卵として認められるには現役合格が必須であり、なおかつ精力的な人物でなければならない。
　ほとんどの人物が数々の条件から候補から脱落するし、選ばれても、そのような役割を引き受ける者は更に少なくなり、全国でも年１人いれば良い方だという話であった。

　晴人は話に乗り気であり、興味津々であった。
　晴人は精液検査、血液検査の結果しか、もはや障害がない状態であった。
　「種付け男子」の待遇は、晴人にとっては夢のような話であった。

・「種付け男子」は事後も女性のプライベート情報は一切知ることが出来ない。
　　もちろん女性側が意図的に明かす場合はこの限りでない。
・女性は「種付け男子」のプライベート情報の全てを知ることが出来る。
・連絡は、双方に支給される携帯電話を用いて行う。
・「種付け男子」は女性の妊娠、そして安定期に入った時点の成功報酬制で、
　　相場決定された現金が一括して「種付け男子」銀行口座に振り込まれる。
・種付け期間は最長３ヶ月であり、性交回数制限は無しで、女性が望む限り行う。
・性交機会設定は女性に主導権があり、「種付け男子」の方からは要求できない。
・３ヶ月過ぎても妊娠しない場合は、倶楽部がパートナー変更を促す。
　女性も不妊検査をしてからの参加であり、
　なにかの問題があった場合は「種付け男子」の合意のうえ、成功報酬の割り増しが行われる。
・「種付け男子」は体力が持つ限り、性交を女性が望む限り行う義務を有する。
・種付けに掛かる必要経費は、「種付け男子」の交通費を除いて全て女性が支払う。
・種付けは基本的に東京都内であり、それ以外の地では「種付け男子」の交通費を全て女性が支払う。
・「種付け男子」は女性の要求を満たせて余裕があれば、複数の女性を受け入れることが許される。
・「種付け男子」は毎月血液検査を中心とした性病検査を受け、倶楽部に報告義務を負う。
　　その検査費用は全て倶楽部側負担。
・「種付け男子」は女性から子供の認知、結婚を求められることは一切無い。
　　独身女性の場合、子供の認知は別に存在する「認知男子」が受け持つことになっている。
・「種付け男子」は女性から一方的に選ばれることでのみ任務に就くことが出来る。
　　その為の倶楽部公式Ｗｅｂサイトカタログに、
　　「種付け男子」は現住所も含めた詳細なプロフィールを記載され、
　　プロモーションビデオを登録しなければならない。
・「種付け男子」の契約期間は初めは強制３年間であり、以後は１年ごと更新になる。
・「種付け男子」の定年は年齢ではなく、まさに自由にセックス出来なくなったときが定年である。
・双方どちらかに違反行為があった場合は、ただちに倶楽部が対応する。

　晴人は成功報酬の金額が気になった。
　成功報酬は晴人自身の社会的地位で毎年変わり、現時点ではプレミヤがついて５０万円／件ということであった。
　これが学年順位２位に落ちるだけで、半額になると脅かされた。
　まさに社会的地位がシビアに反映する晴人自身の価格なのだ。
　谷村の実はという話で、女性が出す金額はこの倍額なのだ明かしてくれた。
　つまり倶楽部は丸々半額儲かるというシステムであったが、検査を始めいろいろの援助を考えると当然といえば当然なのかもしれなかった。
　晴人は契約したい旨、谷村に明確に意志表示をした。

　谷村は３年ぶりの新学生種付け男子獲得に驚喜した。
　倶楽部専属スカウトマネージャーである谷村にとって、新学生種付け男子はまさに金になる木であった。
　晴人の担当マネージャーに自動的になれる谷村は、晴人が稼げば稼ぐほど倶楽部取り分の３０％がなにもしなくても懐に入る仕組みであった。
　もちろん晴人がトラブルなどに巻き込まれたときは守る義務は発生するが、過去そのような事例は数えるほどしかなくて、事実上寝ていてもお金が儲かるのだ。
　新学生種付け男子は若さにモノをいわせて、短期間に次から次へと妊娠成功を果たして高額の成功報酬を貰い続けるケースが多く、谷村は久々の獲物に大満足であった。
　あとは精液検査、血液検査の結果を待つだけであった。

　晴人は仮契約を済ますと、いそいそと倶楽部事務所を後にした。
　もう夕方６時を過ぎて、辺りは薄暗くなっていた。
　そして優子から貰ったメモを大事そうに取り出すと、書いてある電話番号に掛けた。
　優子は帰宅途中ということで、早速待ち合わせて食事でもしようということになったが、残念ながら晴人は現金が全くなかった。
　晴人が正直にその旨優子に伝えると、優子は笑い飛ばしてゴチを約束してくれたのだった。
　先に待ち合わせ場所に着いた晴人は、ソワソワはドキドキで待っていた。
　そこに現れた優子は、意味深な笑いを浮かべながら余裕の表情で登場した。

優子　「うふふ　連絡早！！　なんか嬉しいわ」
晴人　「へへへ　当然でしょ　白衣の天使の誘い　夢のよう」
優子　「白衣の天使って　ほんと男って　制服好きよね」
晴人　「僕は中身が好き」
優子　「まあ　正直なこと」
晴人　「優子さん　なに着ても決まりますね　そのワンピース似合ってます」
優子　「これこれ　とんでもない１９歳ね　いきなり　４つも年上のお姉さんを口説く気？」
晴人　「はい　一目惚れしました　マジです」
優子　「あれれ」
晴人　「いきなりですが　付き合って下さい」
優子　「うぅぅぅ　お姉さんタジタジ」

　２人は優子オススメのラーメン屋で身も心も温まった。
　晴人にとっては優子の話は何もかもが楽しく、そして新鮮であった。
　晴人にとっては憧れの白衣の天使であったが、決して高給とは言えない給料でやり繰りしながら日々を生きている等身大の女性像が目の前にあった。
　そんな白衣の天使が豊かな生活を掴むには、医師と付き合うか、お金持ちの患者の目に止まるかしかないという厳しい現実がある。
　普通に恋愛しても、子供を産み育てるのは至難の業の共稼ぎ家庭が待っているだけであった。
　白衣を脱いだ優子は高級ブランドが似合う美女であり、実際街中でも注目を集める存在である。
　でも現実は高級ブランドの１つも持たない、持てない生活を送っている、ごく普通の女性であった。
　まだ学生に過ぎない晴人にとっては、美女でありながら、とても身近に感じられた。
　初めての女性「美帆」とは正反対な存在が優子であった。
　自然と晴人の中で、優子を幸せにしたいという気持ちが膨らんでいった。

　優子としては待ちに待った男の子に出会えたと思っていた。
　４つも年下であったが、それは最初から想定していたことであった。
　あの研究室には晴人ように１９歳の男の子か、３０歳代後半から６０歳代までの成功者しか訪れない場所であった。
　職場があの場になって以来、３年もの間に優子は日常的に辻井医師の妻になるように迫り続けられた。
　確かに金銭的にはその方が幸せになれるだろう。
　しかし間もなく５０歳になろうかという未だに独身のエロ医師の妻なんかになったりしたら、どんな目に遭うかなど聡明な優子には容易に想像がついていた。
　間違いなく倶楽部の変な会合に連れて行かれて、想像も出来ない乱交に引きずり込まれる。
　既に院内では、優子は院長の息子である辻井医師の愛人だと思われていて、院内では微妙に強い立場になっていたのだ。
　周りの者からすれば、次期院長の妻になるかもしれない優子は腫れ物でしかなかった。
　初めは特権的待遇に勘違いしかけた優子は、何度も無理に関係を持とうとする辻井医師の行為を辛くも逃れることが出来て冷静さを取り戻した。
　以来、自分を窮地から救い出してくれる「白馬の王子様」を心待ちにしていたのだ。

　毎年のように谷村が連れてくる若者は優子の眼鏡に適う者はいなかった。
　不思議と優子が「良いかな」と思わない若者は、倶楽部でも大成しない。
　優子は高校生時代、看護学校時代と華やかに恋愛を謳歌して、人並み以上に男性経験豊富であった。
　可憐な優子には次から次へと男達が言い寄ってきたので、男に不自由したことは一度もいなかった。
　看護師として今の病院に赴任すると、生死の狭間という現実社会が優子の考えを一変させた。
　付き合っていた男性とも別れた優子は、フワフワ浮ついていた生活を規則正しいものに変えていた。
　以来、言い寄る男達をうまくかわして、男を寄せ付けなかった。

　そんな中で、辻井医師に見初められて今の立場になってしまったのだ。
　初めは退職も考えた優子は、目にする滑稽な男達の行動に興味を抱き、次第に深入りしていった。
　その過程で、「倶楽部」という社会に巣くう謎の組織の存在を知ってしまう。
　そして日本の富のほとんどが彼らに関わる人々に握られているという事実を知ってしまう。
　つまり彼らの仲間にならなければ、ハイソサエティ の仲間入りどころか、社会的成功できないのだ。
　２００６年頃に急激に登り詰めたＩＴ系企業の社長がプロ野球球団買収に名乗りを上げたり、テレビ局買収騒動を起こして有名になったが、彼が「倶楽部」への入会を拒絶した結果、たちまち社会的抹殺が行われて、彼は無理矢理獄に入れられてしまったのだ。
　それを知った優子は愕然として、勝ち組になるにはハイソサエティの仲間入りしかないと悟ったのだ。
　とはいえ既にハイソサエティの立場に胡座をかいている者達の軍門に下るのは、優子のプライドが許さなかった。
「自力でハイソサエティの仲間入りしないと意味がない」

　晴人を初めて見た優子は、遂に出会えたと直感していた。
　それまで控えていたオンナモードを解放して、晴人を誘惑した。
　思惑通り晴人は優子の魅力の虜になっていく。
　そして晴人の肉棒を見た途端、あまりの逸物だったので、ご無沙汰していたセックスへの渇望が膨れあがった。
　優子は仕事柄、何百、何千もの肉棒を目にしてきたが、晴人のものは間違いなくベスト３に入る逸物であった。
　長さ、太さだけなら上回るものはいくらでもあるが、理想的形と抜群の硬さ、そして適度な長さながら圧巻のカリの素晴らしさが際立っていた。
　見ただけで、もう何年も肉棒を咥え込んでいない秘部が疼いてしまっていた。
　もう優子は晴人に夢中であった。
「晴人　欲しい　わたしの旦那様は　晴人しかいない」

　晴人の関心事は既に優子であった。
　谷村の濃い話に驚きながらも、どこか冷静であった。
　別れ際に優子が渡してくれた連絡先を書いたメモ書きになって仕方がなかった。
　それは晴人にとって初恋であった。
　「あゆ」が暖かく送り出してくれた意味を理解して、感謝していた。
　出会いは異常なものであったが、不思議と気にならなかった。
　長い倶楽部入会勧誘話から解放された晴人の行動は早かった。

　晴人はまだ内緒だけどと断られて、優子から精液検査、血液検査の結果を聞かされる。
　血液検査は全く問題なし、精液検査の方は研究室始まって以来の濃厚さ、運動量も貪欲なまでに活発で、奇形率も極端に少なく、抜群の精液という評価だったらしい。
　可憐な優子の口から、そのような言葉が発せられだけで恥ずかしくなるが、追い打ちをかけるように話は続いた。

優子　「晴人は　一撃で女性を妊娠させることが出来る人なの」
晴人　「そんなぁ　照れるな」
優子　「先生驚いていたわ　シャレーの上で　普通の人の倍近く時間　元気に跳ね回っていたそうよ」
　　　　「まさに天然の　種付け男子なの　晴人は」
晴人　「種付け男子・・・・・」
　　　　「でも優子さんは　そんなこと嫌でしょ」
優子　「うぅぅぅん　是非やって欲しいの」
晴人　「えっ」
優子　「そして勉強も頑張って　教授を目指して欲しい」
　　　　「その為なら　わたし　晴人をずっと支えたいの」
晴人　「えっ　良いの？」
優子　「うふふ　女の人好きなんでしょ　晴人は」
晴人　「どうして」
優子　「あれ見たら分かるわよ　これでも２３歳の大人の女なのよ」
　　　　「うふふ　あれは　女を食らう魔物よ」
晴人　「照れるな　でも　それなら優子さん　僕と付き合ってくれるの？」
優子　「うふっ　いいわよ」
　　　　「でもそうなら　これから「さん」は止めて　優子って呼んで欲しい」
晴人　「優子　好きです　マジで付き合って下さい」
優子　「はい」
晴人　「やったあぁぁぁ」

　晴人は天にも昇る気持ちであった。
　優子と付き合えると思っただけで気が狂いそうであった。
　お金が無い２人は自然と晴人の下宿するアパートに連れ立って帰ってきた。
　晴人にすれば夢にみた優子を早速抱けるチャンスに驚喜した。
　優子にしても、もとよりその覚悟であったが、唯一下着が普段着というのが気になっていた。
　晴人の逸物への欲望が、優子の戸惑いをいとも簡単に打ち破ってしまった。

　初めて濃厚なキスを交わす２人であったが、優子は早々に晴人の情熱的なテクニックの前に崩れ落ちた。
　年下ということで自分がリードする気満々であった優子は慌てたが、既に手遅れであった。
　シャワーを要求することも出来ず、汚れた身体のまま全裸に剥かれて、気がつけばクンニを受けて身悶えていた。
　何年もご無沙汰であったことも優子を脆くさせた。
　まさに犯されるという感覚のまま、優子は晴人に全てを見られて、舐められてしまった。
　続けざまに今まで感じたことない連続逝きを迎えて、白く美しい肢体を痙攣させた。
　身長161�p　Bアンダー65のＥカップ，W59，H89の芸術的な肢体は、晴人のものになった。

　グッタリとなった優子は晴人に組み敷かれた。
　そして凄まじい圧迫が膣口に襲いかかった。
　数年に及ぶブランクが優子の膣口を小さく塞いでいたということもあるが、晴人の亀頭の太さは桁違いであった。
　バリゴリバリゴリという音と共に、信じられないほど太く熱い棒が優子の中に侵入していった。
　まさに貫かれる感覚であった。

優子　「あひぃうっうぅぅぅ　おっきぃ　あふうぅ　あっあぁぁぁ」
　　　　「あん　あっきぃ　はぁう」
晴人　「はあはあはあ　しまるぅ」

　優子の白い細い両脚が押し広げられて、切なげに宙を泳いだ。
　両腕は無意識に晴人に巻き付いた。
　優子がベスト３に入ると興味津々であった肉棒は圧倒的存在感で、彼女の年上であるという意識・プライドを木っ端微塵に打ち砕き、自分は単なる雌なんだと思い知らされた。
　肉棒の存在が優子の意識の全てを占めるのに、それほど時間を要しなかった。
　打算から晴人に近づいた優子は、身も心も晴人に心酔した。

　晴人の腰が軽快なリズムで前後して、優子を追い詰めていく。
　カリの段差が醸し出す刺激がなにもかも押しつぶしてしまう。
　優子の両手が必死でシーツを掴んで、バリバリと音をたてていた。
　優子は宙を舞う錯覚に襲われ、経験したことがない深いアクメが押し寄せていた。
　真っ白い、なにかが優子に迫ってきて、感じられのは晴人の荒い息づかいと蕩けそうになっている局部に出入りする熱く太い肉棒だけであった。
　優子とて、それなりセックス経験があり、逝きも知っている女だ。
　にもかかわらず、その真っ白いものは霧のように奥深い恐ろしげな光であった。
「駄目っ　わたし壊れちゃう　あれは駄目っ　止めて晴人　死んじゃう」

　晴人は唐突に雄叫びのような声をあげると同時に、濃厚な精液を優子の中に解き放った。
　その瞬間、とても熱いものが優子の体内に広がって、子宮が一気に熱くなった。
　その時に優子の中でパンという破裂音と共に、真っ白いものが優子を包んだ。
　優子は意識を失った。
「もう駄目っ　わたし・・・・・」

　目覚めた優子は晴人の腕の中にいた。
　一瞬、朝日の光に慌てる。
「えっ朝　仕事行かなきゃ　　　　　そっそうか　今日は休みだった」
「あん　あのまま　わたし寝ちゃったのね」
「凄かった　どうしよ　わたし　晴人忘れられない　本気で好きになっちゃった」
「にゃん　ここから出たくない」
「晴人　わたしのこと　ホントに愛してくれるのかな　不安」
「会ったばかり　こんな　軽い女って思われちゃうよね」
　そんな優子の杞憂は晴人の笑顔で打ち消された。
　目覚めた晴人に、再び愛を告白されて情熱的に抱かれてしまった。
　若さ溢れる圧倒的な精力と不似合いなプロ並みのテクニックの前に優子はメロメロになっていた。

　晴人は目覚めると、夢かと思っていた優子の美しい肢体が腕の中にあったのだから驚喜した。
　再び優子をしっかり逃さないように誠心誠意の求愛をして、情熱的に愛した。
　晴人にとっては優子は、生涯に渡って高嶺の花であり、憧れの存在であり続けた。
　そしてパートナーとして優子を得たことが、晴人を更なる成功者の道に歩ませることになるのだった。
　優子は家庭的なことの全てにわたって晴人をサポートし、ともすれば挫折して萎えがちな晴人を叱咤激励していく。
　晴人にとっても、優子にとっても、ハイソサエティの仲間入りするにはお互い欠かせないパートナーの出会いとなったのだった。

つづく