***２***

　恐る恐る切り出したのは、ファーストフードで使うお金を小遣いから出して良いのか？と言うことだった・・・

　はぁ〜〜？何のための小遣いなのだ？？

「５００円程度ですか・・・悲しく、辛い話ですな・・」
　嬉しそうに真子が友達と出かけたリビングで、運転手が呟く・・・
「小遣いを貰ったこと事は　無かったのだろうか・・・」
「そうかも知れませんね・・・あの娘の嬉しそうなこと・・・」
　僕達は同時にため息を付き、押し黙った。

「おに・・いちゃん・・・あり・・いゃぁん・・ありが・・とう・・ウッフッンフッ・・んはあぁぁん〜〜溶けちゃう・・」
　湯船の中で、ペニスを背中に当て、後ろの僕に幼い秘所と平らな胸をまさぐられた真子が、甘い声を出す。
「真子・・此処に来て辛いことはないか？・・」
「あぁぁ〜〜ん・・幸せだよ・・そこ・・はっはっはぁ〜」
　湯の中で、指にまとわりつく粘液を溢れさせ、小さな口を金魚のようにパクパクと開き、酸素を取り込み、快楽の波に漂っている。
「あぁ〜〜だめぇ〜〜おにい・・ちゃん！！アァァッアッアッアァァン」
　堅さの残る秘所に米粒ほどしか育っていないクリトリスを弄る僕の手を押さえつけ、湯を波立せる痙攣を繰り返し、真子は、ゆっくりと肋骨の浮かぶ躰を預け、
「おにいちゃん・・・真子、今日も変に成っちゃった・・」
　小さく幼い手がペニスを探り、擦り始めた・・・

「真子。こっちを向いて」
「・・ねぇ・おにいちゃん・・キスして良い？・・」
　向かい合う形で僕の首に腕を廻し、僕の唇を甘咬みしてから、舌で歯を開かせ、舌を口内に入れると、口の中を舐め回し、唾液の交換を何度も繰り返し、舌の根を強く吸う。
「おにいちゃん・・・」
　唾液の糸が僕たちを繋ぎ、その先のピンクの唇が怪しく光る・・
「おにいちゃんが欲しい・・おねがい・・」
　僕を浴槽の縁に腰を掛けさせ、足を開かせ
「おにいちゃんの肛門・・ペロペロ・・美味しい・・おにいちゃんの金玉・・皺を伸ばして・・パクッン・・レロレロおにいちゃんのオチンチン・・・クニチュ・・おおきい・・」
　両手で幹を擦り、舌をクルクルと回転させ、亀頭に絡ませる。
　額に汗が浮かぶ頃には、肛門を指で抜き差しし、先走りの液を指全体に絡め、幹を扱き金玉を口の中で転がしていた・・
「口に入れるね」
　小さな口いっぱい頬張る。が、亀頭部が隠れるのがやっと。
　その口をマ○コに見立て、激しく出し入れする・・
　突き立てる度に<ズボッジプッ>と真子の口の端から、涎が泡立ち漏れてくる。骨格に申し訳程度に被る乳房を摘むと
「ウググググ」
　と苦しそうな、甘い声と共に僕を愛おしむかのように見上げる。

「出る！飲むなよ・・」
　荒い息を吐き、呼吸を整えている真子の手に、精子を吐き出させる。
「凄い勢いで出たよ・・綺麗にさせて・・」
　涎と精子で白く濁るペニスに舌を這わせ舐め清め、手の平の精子を舐め取り、体内に溶け込ませていく・・

　その夜は、赤子の様に僕の乳首に吸い付き、眠った。

「卵焼きはもっと甘くしろよ〜〜」
「も〜ぅ。お砂糖取りすぎ！病気になっちゅゃうよ」
　紺のハイソックスを穿き、制服に身を包んだ真子が、みそ汁のお玉を振り上げ、頬を膨らませ怒っている　
　朝の平和な楽しい時間・・僕達の乾いた声が響くなか運転手が血相を変え飛び込んできた。
「おじさんおはよう御座います。でも、こんなに早いの？」
「社長・・・・・・・・」
「真子。先に出かける・・今日は遅くなる」
「・・・真子は・・・相当ショックを受けるな・・」
「そうですね・・なんと言って良いものか・・・・」
　何をされても抵抗出来ない真子を蹂躙し、流産までさせた叔父が、友人でホモでもある、真子の後継人を刺し、警察に逮捕された。
　僕も、運転手も、何をどうしたらいいのか解らなかった・・・

　病院に着くと、全身に包帯を巻いた友人が泣き笑の顔で迎えた。
　どうやら、真子に会いに来て、渡せ！渡さ無い!!との言い争いになり、持ってきた包丁で斬りつけられたらしい。
「痛いか？」
「１６カ所だぞ。痛いに決まっているよ」
「会社に連絡をしてくれて有り難う」
「お前に預けたとも言えないからな」
　力無く笑うと、痛みからか、顔を顰め、
「せっかくの誕生会には出られそうもないかな？・・プレゼントはうちの者に届けさせる・・女の子は何が良いかな？まぁ、一ヶ月位此処で考えていられるか・・」
「それにしても、良くお前の家が解ったな」
「正式に養女にしたのだ。それでだと思う・・」
　流産事件の後、妻子に逃げられ、真子を探していたらしい・・

　灯り一つ無い家に入ると、人の気配もない・・・？？
「真子〜〜居ないのか？・・・真子〜〜」
「おにいちゃんなの？」
　玄関脇の物入れの中から、微かに声がする。真子を探すと物入れの中の一つ段ボール箱の中から出てきた。
「真子？・・どうした？電気も付けず・・・こんな所に？」
「おにいちゃん・・怖いよぉ。連れ戻されるのいゃぁ!!」
　灯りの下の真子の顔は、血の気が失せ、全身を大きく震わせていた。

　何時もは興味を示すことのない「ニュース」を偶然見て、叔父の凶行を知り、迎えに来ると思い込み、隠れていたのだった。
　強烈な戦慄だったのだろう。キッチンの中は散乱していた。

「お腹がすいただろう？何か食べに行くか？」
「外に出たら見つかる・・」
　警察にいると何度も説明しても、頑なに拒む。それどころか僕がトイレに行く時も付いてくる・・
「ドアが開いているとでないよぉ」
「真子も入る」
　僕の後ろに立ち、しがみついてくる。
　こんな時に不謹慎かと思ったが、ペニスを握らせ、小便の手伝いをさせてみた。雫を振り落とす行為は、少し驚いたようだった。

「僕が居るから、安心して寝て良いからね。おやすみ・・・」
　仕方ないので、その夜は何も食べずに眠ることにした。が小一時間もすると
「止めて、叔父さんやめてぇ」
　腕の中で眠っていた真子が僕を突き放し、譫言を繰り返す。
「真子、真子どうした？怖い夢を見たのか？」
「あっ・・何でもない・・ごめんなさい」
　僕にしがみつき息を整えている。微睡み掛けるとまたしても
「やめてぇ、叔父さん撲たないで、なんでも言うことを聞くから」
　身を丸め大声を出す。その後
「気持ち悪い嫌だぁ」「叔母さんごめなさい」「遠足に行かせて下さい」「叔母さん撲たないで」「叔父さんもういやだぁ」
　その度に、真子を抱きしめ、細い躰をさすり、僕は一睡も出来なかった。
　朝方、お腹を鳴らしながら「叔母さんご飯食べさせて」には哀れなのだが、昨晩食事を抜いたせいだと、思わず苦笑してしまった。

　未だ眠っている真子をベッドに残し、朝食を作っていると、物凄い勢いで真子が下りてきて僕に抱き付き、泣き出す。
「起きたらおにいちゃんが居なくて・・どっかにいっちゃいや」
「真子が寝言で、おにいちゃんご飯下さい。って言ったからさ」
「そんなこと言わないもん」
「泣いたから、ほっぺたに涙の後が・・顔を洗っておいで」
　少し笑顔を戻した頬にキスをし、真子に言うと
「付いてきて・・・」
　歯を洗うときも僕の服を掴み離さない。流石にトイレは、ドアの前に居て。と、恥じらっていたが・・

「学校の送り迎えは、おじさんにして貰うからね」
「学校には行かない。おにいちゃんと一緒にいる」
「大丈夫だから」
　幼稚園児にする様な押し問答を繰り返していると、運転手が来た。
　いつもとは違い、パジャマ姿で僕にしがみついて廻る真子を見て、
「暫く妻を呼びましょうか？」
「あぁ、そうして貰えるかな？」

　程なく、奥さんを連れ戻ってきた。
「真子ちゃん。おばさんが付いているから・・ね・・」
「おにいちゃんは、真子が嫌いなの？」

*

　何とか宥め、会社に向かう車中で、相談役も務める運転手に昨夜と今朝のことを話す。
「困りましたな・・一度病院に行かれたらどうでしょうか？」
「そうだね・・可哀想だが・・僕には何もしてあげられない」
　その夜帰宅すると、真子は玄関で飛びついてきた・・
　一日中、奥さんにまとわり付いていたとのことだった。

　夕食の時も僕の服を離さず、虚ろな眼で食べ、昨晩より激しく魘されていた・・

*

　家から出られない真子のために、同級生の精神科医を呼んだ。
　所謂、不安を取り除くための、治療だ。
　ホモの友人も、病院から駆け付けてきてくれた。

　診察も終わり、薬で真子を寝かせ、僕たち５人は今後の対策について話し合った。
　医者は、運転手夫妻に、真子を一人にさせないことを指示し、彼らは承諾した。ホモの友人は、事件は金銭トラブルから来る過去の遺恨と言うことで、マスコミを抑え、殺意在る殺人未遂と言うことで、刑期は長いだろうと言うことを報告した。
「政財官界の同性愛者ネットワークは、・・凄いな・・」
「あぁ、何とか抑えたが、後は、お前と俺だ・・な」
　別れた妻・・叔母という存在が、真子を逆恨みしていること。
　真子は、僕に余りにも依存しすぎていること。
　この２点をどうするか？・・何時間も話し合った・・

「あの一家は、俺が何とかする・・お前は今まで通り真子に接してくれ。俺も父親としてもっと接する。相談役夫妻には面倒を掛けるが、宜しく頼む・・」
「医師としても、それが良いと思う・・ただ・・」
「お前が言いたいことは解った」

*

「おにいちゃん。いってきま〜す」
「お嬢・・真子、お友達は４人だよね・・」
「おじさん。４人でお願いします。早く学校終わらないかな〜初めてだから、お願いします。じゃ、いってきます」
「なんとか元気に成りましたね」
「一ヶ月も色々済まなかった。今日は宜しく頼むよ・・・」
*

「なんだか、どきどきするな」
「君の娘の誕生日だぞ。何言っている。しっかりしろよ」
　僕は友人の車椅子を押し、玄関のチャイムを鳴らす。
「おにいちゃんお帰り！！凄いよ。ねっ。早く、はやくぅ〜〜」
　玄関で飛び跳ね迎える真子に、友人と僕は目を合わせ苦笑する。
「今日は、真子の為に集まって貰って有り難う・・」
「おじさん。固い挨拶は抜き抜き！早く座って」
　真子の友達が、楽しそうに話を遮り、電気を消す。
「真子ちゃん。ローソクはやくぅ〜」
　顔を硬直させ、蝋燭の灯りを一気に吹き消すと、友人がハッピーバースディ〜〜と歌い出し、拍手の中、明かりが灯る。
　大人達の目にうっすらと涙が浮び、鼻水を啜る中、子供達は、はしゃぎ、３段ケーキの切り分けに夢中だった・・
　子供達のプレゼントの後に、奥さんからのプレゼント。
「開けて良い？・・うわぁ・・可愛いバックのセット有り難う」
「真子ちゃん学校で使ってね」
「おじさんは、これ。部活もガンバってね」
「うわっ。ラケットだよ・・シューズも」
「このシューズブランドだよ。真子ちゃん良かったね」
「おじさんありがとう・・」
「おにいちゃんからは・・」
「パソコンと携帯だよね・・ネットも出来るし。みんなでもう使ったんだよねっ・・有り難う」
「で、俺からは・・此処にある・・・」
「なにこれ？？」
　子供達は、リビングのイスに座る、紙包みにくるまれた品物に興味を示している。
「真子・・開けてみな・・へへへ、驚くぞ」
「なに！これぇ〜〜おじさん面白すぎ！キャッキャッ」
　真子も腹をよじり、泣き笑う品物・・
「おぉぉいぃ〜〜幾らなんでも・・これか？」
　有名キャラクターの着ぐるみ・・・子供達が着てはしゃぐ中
「著作権と言う物が在ってな、高いんだぞこれ!!」
「あなたらしい贈り物で・・」
　運転手の一言で、僕たち大人も爆笑し、宴が始まった。

「真子ちゃん。ウーロン茶とか足りている？」
　奥さんの問いかけも耳に入らないほど、友達との話に熱中している。
　僕たちは顔を見合わせ、互いに微笑み合い宴が続く。
「おぃ！お前達大丈夫か！？」
　突然友人が子供達に声を掛けた・・優に３０人分在ろうかのケーキと、寿司１０人前が消え・・オードブルも残りわずか・・
「うぅぅ・・口から出そう・・当分、ケーキ要らない・・・」
　一人の子が笑いを取り、子供達の世界が再度始まった。

　真子のために集まってくれた友達に、おみやげを持たせタクシーで帰らせた後、キッチンテーブルで飲み続ける僕達の隣で
「このハンカチ可愛いでしょ・・まえね・・」
　友達からのプレゼントの謂われを嬉しそうに話す真子が居る。

　後片付けをするという真子を座らせ流しに立つ奥さんが
「真子ちゃん。今日はたくさんのお友達・・・・良かったね」
「はい!!おばさん・・ありがとう・・おにいちゃんにも言えないし」
「男の人は、気が付くようで・・ね・・」
　そうか・・女の子の日・・僕たち男は照れくさそうに下を向いた。
「その辺りは・・でも、赤飯まで炊いてくれたなんて・・奥さん。みんな有り難う・・」
「今日は、真子ちゃんの生まれ変わった日ですから。紅白饅頭も、持っていって貰いましたよ」
「そこまで・・おまえ・・には、かなわんな・・有り難うな」
「私は、真子ちゃんの母親代わりとして、当然のことをしただけです・・・」
「だからぁ〜俺が真子の父親なの！！」
　少し離れた車椅子から笑い声を掛ける・・それを見ながら
「おにいちゃん・・皆様有り難う・・真子・・」
　目に涙を溜め、僕たちに向かい、立つ真子に
「何も言わなくて良いよ。それよりお腹は大丈夫かぁ？」
「ちょっと、苦しい・・食べ過ぎた・でもこのお寿司も食べよっと」
　おどけた真子の仕草に、みんなで大笑いし、楽しい時間を過ごした

　今日は、真子が初めて経験し楽しんだ　初めての自分の誕生会・・。
　そして、あの日までは・・・・公になることはなかった・・・
　友人と僕しか知らない、真子の叔母事故死の日だった。・・・