１０

　哲也は、目を閉じながら、じっとヒトミの愛撫に酔いしれていた。直にではなくスイミングトランクスの生地を通して得られる、ヒトミの舌と唇による、あたかも真綿で雁首を締め付けるかのような、こそばゆい刺激が絶妙に心地よく、今まで味わったことのない快感に溺れ、それはゆっくりだが、一歩一歩着実に哲也をゴールに導きつつあった。
　だが、絵里子たちは、上辺だけは平然を装い懸命に耐え忍んでいる哲也の様子からは、そんな事態に気付くことはできなかった。
「はい２分経過。哲也さん、全然満足してないみたいだけど、ヒトミ、やる気あるの？」
　寛子が相変わらず明るい声でヒトミの窮地を嘲笑った。
「お色気がたりないんじゃなあい？もっとエッチっぽくしなくちゃ、大人ｓグトランクス越しにいきり立ったそれを、再びヒトミの唇の前に押し付けて、前後・上下に激しく動かした。
　たまらずヒトミは顔をそむけて一休みする。ずっと咥え続けてきた反動のせいか、もよおしてきた吐き気を鎮めようとするだけで精一杯だった。少しの間、フェラチオを再開できないでいると、すかさず寛子が提案したのは、２人同時フェラだった。
「はい、３分経過！もう、時間もないことだし、いっそのこと２人いっぺんにフェラしてあげたら？」
　とうとう、ヒトミは、２人の男に囲まれて屈辱的な奉仕に励まなければならなくなった。もはや、男たちへの奉仕に集中するしかないとは言え、２人の肉棒に同時に奉仕するなんて……。ヒトミの頭の中は真っ白になり、思考回路は停止寸前に陥った。
「さ、時間がなくなるよ、早く２人にお願いしないと！」
「２人のおペニスを、私のいやらしい口にください……、てね！」
　絵里子と寛子はそう言うと、大笑いした。しかし、全身を恥辱に満たされながらも、その通りに言わなければならないヒトミだった。
「お願い、もう許して……」
　誰に言うでもなく呟きながら、ヒトミはうつむくばかりだった。そんなヒトミの懇願を無視するかのように、一時の危機を脱し、息を整えた哲也が、自分の肉棒でパンパンになったスイミングトランクスの膨らみをヒトミの唇に近づけていった。俊之の膨らみを咥えているヒトミは、いやいやというように体をひねって抵抗するだけで、眼の前に迫ってくる膨らみをどうすることもできない。
　ついに、ヒトミの唇には、スイミングトランクス越しに２本の巨大な膨らみが同時に侵入することになった。もちろん、一度に唇に収まりきるはずもなく、かろうじて、互い違いに両者の先端部分の膨らみに刺激を与えることができる程度なのだが。
　スクール水着姿で正座させられ、自ら２人の男の肉棒に唇と舌だけで奉仕をすることを強制されるヒトミ。それはヒトミにとって究極の恥辱であり、完膚無きまでに屈服させられた瞬間であった。絵里子と寛子の２人がヒトミの屈辱の全てを眼に焼き付けようとしているのがよくわかった。
　その可愛い唇を無理矢理犯されるヒトミの図に、絵里子と寛子の２人はうっとりと見入っていた。
　ヒトミの髪が激しく揺れるのが艶かしい。あまりにも無惨な光景であり、かつ、嗜虐心をそそる眺めであった。

「はい３分３０秒経過！まだ１人もイってないわよ、ヒトミ！まだまだ色気が足りないんじゃあない？もっと胸出すとか、お尻出すとかしたら、どう！」
　ヒトミを貶めることに、あくまで余念のない絵里子と寛子であった。
「そうねー、ヒトミはフェラに忙しくて返事できないみたいだから、私たちがやってあげるわぁー」
　絵里子が意地悪な笑みと共に言った。
「ヒトミって、ほんとはすっごいスケベみたいだから、俊之さんと哲也さんもきっと喜ぶわよ〜。ついでに足も広げてね……」
　寛子もすかさず同意する。２人の元親友の根深いコンプレックスの裏返しは、ヒトミにとってあまりにも酷い形で現れていた。
　ヒトミの清純ながらも淫靡な姿を妬ましげに見つめていた寛子は、ヒトミのスクール水着を後ろからまくり上げて尻を露出させ、Ｔバック状態にした。一方、絵里子はヒトミの水着の胸の部分をまくり上げて双乳を丸出しにし、両手で揉み始めた。大学生達はヒトミの執拗なまでの愛撫攻撃を受けながらも、絵里子と寛子にアングル等の注文を出しながら、さらなるヒトミの痴態を要求する。
（い、いやあ、こんな格好……、勘弁して……）
　ヒトミは、心の中で必死に許しを請うが、口が塞がれているから声の出しようがない。途端に清楚だったスクール水着は、この上なくスケベなコスチュームに変わった。ところどころ恥ずかしいところを露出し、性感帯を刺激されながら口唇を犯されるヒトミは、どんなＡＶ嬢よりも男の欲望を刺激する存在になった。
「プリプリのお尻がたまんないんなー！」
　大学生たちの容赦のない笑い声が、ヒトミの羞恥心を逆撫でする。
「い、いや、見ないで……」
　あまりにも屈辱的な格好に、フェラに励むしかないヒトミの顔が再び歪んだ。
「やだあ、ヒトミ。恥ずかしくないのぉ。まるで犬みたいじゃなーい。」
「ほーんと、よく平気でフェラしてられるわよねー」
　絵里子と寛子は、逆らえないヒトミの状況を百も承知の上で、言葉弄りを楽しむのであった。
（ここまで堕ちたら、さすがのヒトミも形無しよね。ほんと、いい気味だわ！）
　２人は、悪魔的な喜びにひたっていた。

「ん、ううっ、うぐぅっ！」
　ヒトミのくぐもった悲鳴がルーム中に響き続けていた。 ２本の肉棒を同時に咥えさせられ、口の愛撫だけで２人を陥落させようと懸命になっているその行為は、恐ろしく淫乱な印象を与える光景だった。
「やあねえ、ヒトミ。そんなに男の人のモノが好きなの？スッケベねえ。大丈夫よ、ゲームが終わったら、本物をアソコに入れてくれるって言ってるじゃない……」
　絵里子が呆れたような声を出した。
「うわー、ヒトミ、すっごいー！もう完全にＡＶじゃん！」
「海パン越しに２本同時フェラするその顔、めっちゃ色っぽいわよー！」
「後で、思いっきりご褒美をあげるからさー……」
　大学生たちには、性の欲望の対象としての存在だけがそこにあった。ヒトミはあまりの羞恥にもはや頭が朦朧としていた。抵抗する気力も薄れ、ひたすら膨らみをしゃぶり続けるのだった……。
（は、早く出して終わってちょうだい……。夢なら醒めて、お願い……）
　残酷な嘲笑の言葉を浴びながらも、ヒトミはスイミングトランクス越しの２本同時フェラに没頭していた。