１２

「哲也さんをイカせたからって、安心するのは十年早いわよ！まだ、俊之さんが残っているんだからね！残り時間は後１分２０秒よ。ヒトミ、ぐずぐずしてる場合じゃないんじゃない？」
（こうなったら、とにかく俊之さんに頑張ってもらうっきゃ、ないわ！……）
　その言葉にせかされたかのように、ヒトミは、俊之の前に座り直し、さらに体を前傾に倒して、大きく口を開け、俊之の股間の膨らみに唇を持っていった。
　次の瞬間、ヒトミの動きが止まった。お尻のあたりに違和感を感じたからだ。後ろを振り返ったヒトミ子は、寛子の手にしている物を見て、悲鳴をあげた。ビデオで見たことのある電動バイブだったのだ。
「今さら何騒いでるのよ、１人のとき、自分でやったことあるんでしょ！」
　そう嘘ぶいた寛子は、前に廻って、ヒトミの股を広げ水着を捲ると、バイブを秘所に奥深く挿入していった。そして、スイッチを強に入れる。
「う、うぐぅ、だめぇ……。あ、ああ〜ん」
　ヒトミは、身体の奥底からわき上がってくる快感に抗しきれず、つい恥ずかしい喘ぎ声を発した。もはや俊之のモノをフェラするどころではなくなってしまった。
　もちろん、こうした横槍は、ヒトミのフェラで俊之が制限時間内にイカせられないように邪魔をするために、絵里子たちが予め準備しておいた工作なのだ。
「はーい、５分経過！　ヒトミ、もう諦めて快感に溺れることにしたみたいですね。ひょっとして、哲也さんのイマラチオで、ヒトミの方が逆にイカされてしまったんじゃあない？……」
「あらあら、自分だけ先に気持ちよくなっちゃって……、可哀想な俊之さん、このままじゃ、いつまで経っても満足できないじゃあない！どうする？」
「そりゃもー、下の口を使わせてもらうしかないっしょ！」
　絵里子達の恐ろしい会話を聞いて、ヒトミは青ざめた。すでに射精させられて敗北者であるはずの哲也も軽い口調で囃し立てているが、それは結局、ヒトミを輪姦しようとしている話なのだ。しかもその際には、自分の口からおねだりすることを強制させられるのであろう……。
　せめてヴァージンだけは守りたい。そう決心したヒトミは、覚悟を決めて再び俊之のスイミングトランクスの膨らみを口に含んだ。頭を上下に振って、必死に肉棒をスイミングトランクス越しに刺激する。秘部にはバイブが突き刺さったままであり、間断なく押し寄せてくる快感に声を上げそうになるが、全身をくねらせながらも必死に快感に堪える。
「きゃー、すっごーい、ヒトミ！上と下のお口に同時に咥えるなんてぇ！」
　寛子がはしゃいだ声を出した。確かに一方はバイブとはいえ、上下の穴に同時に挿入されているヒトミの姿は、あまりにも淫猥だった。前の秘部にバイブを突き立てられながらも、唇をすぼめてフェラに没頭するその横顔を見ていると、今までの清純で優等生のイメージが幻のように思えるほどだ。
「ほーんと、ヒトミ、やるわねえ。唇すぼめながら、頬をへこませて扱くなんて、大人顔負けのフェラテクじゃん？！」
「こっちの方が恥ずかしくて、もう見てらんないわよ、呆れたぁ！」
　そう言いながらも絵里子と寛子は、ヒトミの屈辱の姿を一瞬でも見逃すまいと眼を輝かせて見つめていた。ヒトミは、同性のいびりに何度も体を固くしたが、すぐに淫靡な行為を再開しなければならなかった。
（とにかく、あと１分、頑張るしかないのよ。ほかの事は何も気にしなくていいのよ！）　ヒトミは羞恥を忘れるため、さらに卑猥な行為に没頭するしかないという、全く皮肉な運命に置かれていた。
「いいわよー、ヒトミ！　あんたこそ、ＡＶアイドル！」
「男に奉仕するのに必死な表情が、もうたまんないわっ！」
「ホントは、生まれつきおフェラ好きだったのねー、そんなに夢中になっちゃって！」
「根っからのフェラ好きって、感じよね」
　耳を塞ぎたくなるような言葉がヒトミに浴びせられるが、口を塞がれているヒトミには、
「ん、んぐぅ……」と声にならない叫びをあげるだけで、誰にも救いを求めることができなかった。
　その被虐美に満ちた横顔が、見る者の嗜虐心を加速させる。あの、ミス中学のヒトミが、長い黒髪を揺らしながらくフェラチオ、いやイマラチオをさせられているのだ。絵里子と寛子は、その光景に心から満足し、悪魔の微笑を満面に浮かべていた……。　

　ヒトミのフェラが一層激しさを増す中、俊之も必死に耐えていた。先ほど、強烈な生フェラで思い切り気持ちよく精を吸い取られただけに、今度はスイミングトランクス越しの口撃にかろうじて耐えられているに過ぎなかった。
（今度は、このまま海パン越しに最後までイってもいいかな……）
　俊之にとって、制限時間とか、絵里子たちとヒトミの勝負などといったことなど、もはやどうでもよくなりつつあった。
　やがて、ヒトミの頭の動きが急にスロウになった。スイミングトランクス越しに、ちょうどペニスの先端を舌先でくすぐるように刺激を与え続けているのだ。
（さっきも、ここが弱かったのよね、俊之さんは……）
　ヒトミは、気を取り直して、俊之の弱点を集中攻撃した。俊之もこれにはたまらず、急速に再び頂点に押し上げられそうになってしまっていた……。
（先端の割れ目の部分を舌先でくすぐってあげて……、それから、くびれの部分もいっぱい刺激してあげるわ……）
　ぴちょ……、ちゅっ……、ぺろっ……、くにゅ……。
　俊之は、歯を食いしばり、顔を真っ赤にしながら耐えていた。というより、「耐える」ことへの快感に新たに目覚めているといった方がよいかもしれない。その分、絶頂寸前の最高の快感を少しでも長く味合えるのだから。そのため、もう一歩のところまで追い詰められているはずなのに、なかなかフィニッシュする気配がなかった。

「はーい、５分３０秒経過！あと３０秒で本番決定よ！がんばって、俊之さん！」
　絵里子が時計を見ながら、声を張り上げた。
　ヒトミは、最後の力を振り絞って、俊之をフィニッシュに導こうとしていた。そんなとき、無意識のうちに偶然、俊之の腰をしっかり掴んでいた手が滑って、ヒップにまわった。そして、ヒトミの中指がスイミングトランクス越しに俊之のアヌスにはまり込む格好になった。
　その瞬間、全身に電流が走ったような衝撃が俊之を襲った。
「いや、そこは、ダメ！……」俊之が急に弱気な声を上げた。
　ここが最後のチャンスとばかり、ヒトミはおかまいなく、その“ゴールドフィンガー”をスイミングトランクスの割れ目にぐりぐり食い込ませ、容赦なく攻め立てた。そこは「前立腺」という、男の急所だったのだ。
　ヒトミは、片手でアヌスを攻めながら、前では、エラの部分をまんべんなく舌を這わせて細かく舐めあげ、幹の部分を根元から唇で扱き続けた。
　くちゅ、くちゅ……、じゅぼっ……、ぬりゅっぬるっ……。
　スイミングトランクスの前は、ヒトミの唾液と俊之のガマン汁でびしょびしょになっていた。
（もうすぐよ、俊之さん！……。スペルマ、もうすぐ……、いっぱい出させてあげる……）
　さすがの俊之も、前と後ろから同時に攻め立てられてたまらない。慌ててヒトミの頭を掴んでスイミングトランクスから引き離そうとしたが、ヒトミもしぶとく抵抗した。
（今度こそ、逃さないわよ！）
　ヒトミは、スッポンのように、スイミングトランクスごと咥えたまま離さなかった。このとき、奈美恵から聞いたエピソードを思い出していたのだ。

「今度、正式に由美子の代わりにピンクサロンでバイトしなければならなくなったから、チョー忙しくなっちゃったの」
「由美子さん、やめちゃったんですか？」
「それがねえ、亡くなっちゃったの」
「えっ！」
「つい一ヶ月前のことなんだけど、彼氏と深夜ドライブ中に事故に遭って……」
「まあ……」
「彼氏の方は無傷だっだんだけど、由美子は即死だったの……」
「可哀相……」
「もっとも、本当の死因というのがね……、窒息死なんですって！」
「えっ？、どういうことですか？」
「これは、本人の名誉のために、ここだけの秘密ってことにして欲しいんだけど。彼氏が運転中に、由美子ったら、いつものように彼氏にフェラチオしてたんですって。彼氏のペニスをお口一杯に頬張って、夢中で上下動を繰り返していたのね。彼氏、彼女のテクにおそらく絶頂寸前に押し上げられていたんでしょうね。あんまり気持ちよくなり過ぎて、射精する瞬間に、ついハンドル操作を誤ってしまったんだと思うわ。それで、スピード出したままガードレールにぶつかっちゃったんだけど、衝突の瞬間、彼氏があまりにも勢いよく発射したスペルマが由美子の喉奥深く、気管に入ってしまったの。ねっとりした大量のスペルマが気管に詰まっちゃって、窒息しちゃった……、ていうわけなのよ……。それでも、息絶えた後も彼のペニスを咥えたまま離さなかったんですって！……」
「まあ！……。フェラチオしていて死んじゃうなんて、信じられなあーい……」
「女の子の執念って、凄いでしょ。死んでも、愛する男の人のペニスを口から離さないなんて……。まあ、フェラ愛好家の女性、フェラチストの鏡かも知れないわね」
「フェラチオの達人を目指そうと思ったら、見習わなきゃいけないエピソードですね！」

　俊之のペニスは、スイミングトランクスの中で、まさに爆発寸前という感じだ。
　ヒトミの猛攻に、俊之が唇をかみ締めながら、とうとうフィニッシュを迎えた。
「あ……あ……あっ……、だめっ……！」
（いいわ。だめになって！私の口の中で……、思い切り弾けて！）
「あうっ！……」
　最後はあっけなかった。大量のスペルマがスイミングトランクスの中に放出され、あっという間に溢れていった。
　そして、溢れたスペルマがスイミングトランクスの生地の外側まで染み出してきた。
「んんっ……んっ……、んふ……んむっ……」
（いっぱい……出たわね！……）
　ヒトミは、染み出したスペルマを舌で味わうと、すかさずスイミングトランクスを勢いよくずり下げた。中がスペルマまみれになっているのを確認してから、
「２人目、撃沈よ!」と勝利宣言した。
（サヨナラ逆転満塁ホームランだわ！）
　そのとき、ようやく制限時間を知らせるアラームが鳴った。
「どうやら、私の逆転勝ちね！」ヒトミは、ギャラリーを見下した。

　絵里子と寛子の２人は、虚を突かれたようにぽかんと口を開けたまま、唖然としていた。
　ヒトミは、突き出された俊之の腰を両手で押さえつけながら、直にペニスを咥えると、先端からまだ迸続けるスペルマを最後の一滴まで全部吸い取って、飲み下した。生臭くて、粘っこいスペルマが、このときばかりは、なぜかとても愛おしく感じられた。
　ぴくっ……、ぴっ……。
　ペニスの律動がようやく納まり、ゆっくりと顔を上げると、そこには、悪戯を咎められて叱られた少年のようなおどおどした表情の俊之がいた。ヒトミは、俊之を見上げたまま、わざと見せつけるように、唇の端についたスペルマを舌なめずりしながら、ぺろりと舐めた。
　哲也と俊之の２人は、放心状態のまま、へなへなと腰砕けになっていった……。

「どお、私のオスペ・テクは？お望みなら、いつでもしてあげるわよ。そのかわり、今度からは、１人２,０００円貰うわ。お口なら５,０００円よ。１万円くれたら、お口の中に出させてあげて、そのまま飲んであげてもいいわ……」
　ヒトミは、勝ち誇ったようにそう言い残すと、その場を立ち去ろうとした。