３

　ヒトミが初めて男性を「手」で射精させたのは、ほんの２ヶ月前のことだった。６月のある土曜日の放課後、練習が終わり、誰もいなくなった体育館の倉庫で、男子バスケ部の先輩と２人きりでいちゃついたときのことだ。
　先輩の直樹は、ヒトミが密かに想いを寄せている相手だった。直樹は、人気のなくなった体育館の中の用具置き場にヒトミを誘い出すやいなや、突然、ヒトミの身体を壁に押し付けて、迫ってきた。
「ヒトミ、好きだ！」
「先輩……」
「もう……、我慢できないんだ！」
　直樹は、ヒトミのツルツルしたナイロンサテンの鮮やかな光沢のオレンジ色のユニフォームのシャツやぴっちりフィットした股下の短いバスケットパンツ越しに胸や股間を弄り始めた。
　ヒトミは、嬉しさと恥ずかしさでじっとうつむいていると、直樹のバスケットパンツの前がもっこりテントを張っているのが目に入った。
（興奮してるのね。トランクスの前がパンパンで張り裂けそう……）
　直樹のぴっちりした鉄紺色のちょっと厚手のナイロンサテンのショート丈のバスケットパンツ越しに大きくて硬いモノがちょうどヒトミのお腹のあたりに押し付けられている。直樹のバスケットパンツは女子に大人気の通称ギラパンと呼ばれているトランクスだ。直樹のペニスはそのバスケットパンツを突き破らんかの勢いで、その形までくっきりと浮かびあがっていた。
　直樹はハア、ハアと息を荒げながら身体を密着させている。
（「男は一度欲望に火がついたら、もう途中で消すことができないの。だから、溜まった欲望をおスペで吐き出させるしかないのよ。それが女の子のエチケットね……」）
　ヒトミは奈美恵の言葉を思い出した。
（先輩、とっても苦しそう……。こうなったら、溜まったスペルマを放出させてすっきりさせてあげるしかないんだわ……）
　ヒトミは意を決して、直樹の腰に廻していた両手のうち、右手を直樹のバスケットパンツの前に移動させた。
「あっ？……」
　直樹はヒトミの突然の攻撃にたじろいだ。なぜなら、股間をいきなりバスケットパンツ越しに握られたからだ。
「こんなにガチンガチンになって、苦しくないですか？……。私も、先輩を気持ちよくしてあげる……」　
　そう呟くと、ヒトミは大きく喉を鳴らしながら、、バスケットパンツの上から直樹のペニスに、部活をやっている割には白く細い指を絡ませ、強弱をつけて巧みに握り締めた。
　そして、上下に擦り始る……。ツルツルしたバスケットパンツの手触りが、またヒトミを一層興奮させた。
（熱い、なんでこんなに熱いの……。バスパン越しに握っているのに火傷しそう。とにかくこうして、ペニスを握り締めて、すごく早く動かすと……、やがて……先っぽから白い液が勢いよく飛び出すんだわ……）
　そう思いながら握り締めたペニスを、力を込めて扱き始めた。股下の短いぴっちりフィットしたトランクスタイプのバスケットパンツを履くときは、男女とも下着を着けずに直に履くのが常識となっている。だから、バスケットパンツ越しとはいえ、ペニスを初めて握り締めた快感に、指先の感触を通じてヒトミは身体の奥から何やら熱いものが溢れ出るのを感じていた。
　一方、直樹の方は、ヒトミ以上に初めて味合う快感に打ち震えていた。マスターベーションの経験はあったが、罪悪感から最後の射精にまで至ったことはなかったのだ。それが今や、バスケットパンツ越しとはいえ、女性にペニスを握り締められたのは生まれて初めてだったし、それもヒトミのような純真な美少女にであるから、なおさらだった。我慢できずに思わず呻き声を洩らしたのも無理はない。
（夢じゃないんだ。今、自分のペニスに絡み付いて扱いている白魚のような指はヒトミの指なんだ……）
　急速に射精感がこみ上げてきた。
「おお……、うう……、く……、はう……」
（これは、やばいぞ……）
　直樹は悟らざるを得なかった。もはやヒトミの手で射精させられるのは時間の問題だということを……。今、出来得ることは、せめて、少しでも射精のタイミングを遅らせて、このまま快感をできるだけ長く味合うことだけだった。
（生まれて初めて射精するんだ、それも憧れのヒトミの手で！……）
　そんな直樹の思惑とは関係なく、ヒトミは攻撃の手を緩めなかった。
　ヒトミは、指先にやや力を込めると茎の弾力を確かめるようにし、その反発を楽しんだ。くちゅ、くちゅ、くちゅ、とバスケットパンツの擦れる音がよけいイヤラシサを増す。今度は、手首に少しスナップを利かせながら、ゆっくりと、しかし強めに上下に動かした。握った手が下に降りるたびに、直樹が悶える。
「う、うん、そう、気持ちいいよ」
　そうやってさらに１０往復程度右手を上下させると、今まで奈美恵から教わった訓練の成果を試す時が来た。左手で茎の付け根を押さえ、右手の指でそっと亀頭部を撫でた。
「ううう……」
　直樹が敏感に反応した。
（感じてくれてるんだ。嬉しい……）
　ペニスを握る右手に自然と力が入り、やや速度を速めながら上下動を繰り返す。次第にバスケットパンツ越しにかすかに湿った感触が指に伝わってきた。
　さらにヒトミは、まるでイチゴか何かを摘むように人差し指と親指で、雁の部分をつまんでみた。強弱をつけてそうしていると、指先にここちよい弾力が感じられる。茎を掴んでいた左手は無意識のうちに玉袋を持ち上げていた。
「ああ、うううっ……」
　直樹は歓喜の声をあげている。その声にヒトミはますます興奮した。
　今度は、ヒトミは玉袋の重さを計るように手のひらで鷲掴みにして、親指で睾丸の感触を楽しんだ。もう玉袋はパンパンに張っている。今度は手の上下動をゆっくりしたリズムに変えてみる。
　直樹は、驚きの表情をしながらも間違いなく快楽を味わっている表情だった。
「先輩、気持ち良いですか？」
「ああ……いい……、最高に気持ちいいよ……。まるで、直に扱いてもらってるみたいだよ！」
　次第にヒトミの手によるピストンが速く、激しくなっていく。　
「おわっ、ちょ、ちょっと待って……、おぉー！」
　完全に攻守が逆転した。今度は先輩の直樹が追い込まれる番になった。バスケットパンツのちょうどペニスの先端があたっている部分に染みが拡がり始めた。
（これが我慢汁ってやつかしら……。ということは、絶頂が近づいてきてるんだわ……）
「このまま……、出してあげる……」
　魅惑的な薄笑いを浮かべながらヒトミはそう言うと、５本の指の握りに強弱をつけながら急速に直樹を追い詰めていった。
「んん！　はうっ！」
「我慢しないで、いっぱい出してくださいね、先輩！」
　ヒトミは天使のような甘い声で直樹の耳元に囁いた。
「うう……、む……う……、むぅ……」
　直樹は必死に抵抗していた。もはや、じっと目を閉じながら堪えるのが精一杯だった。
　バスケットパンツ越しに握られているというのに、まるで直に握られているかのような感触なのだ。薄目を開けると、ヒトミが妖しい眼差しで自分を見つめている。　
　直樹は急に焦り出した。手の愛撫だけで、しかもバスケットパンツの中に射精してしまったら、先輩としての面子にかかわると思っているからだ。
「私の手と指で早く天国まで登りつめてください、先輩……！」
「はうっ……、うう……んんっ、う……はあ……ああ！」
「いっぱい出してくださいね、バスパンの中に……。それとも私の手の中がいいですか？」
　直樹の耳元で囁やかれる声はとても優しかった。しかし、その声とは裏腹にペニスへの攻撃は容赦なかった。ピストン運動は激しさを増し、先走った透明な液が鈴口から止めど無く溢れ出し、ギラギラした鮮やかな光沢のバスケットパンツの前の大きく盛り上がった部分が透けるほどになっていた。
「エッチなお汁がいっぱい出てる。気持ち良いんですよね。おちんちんからクチュクチュって聞こえるでしょう？先輩の出したお汁がバスパンから染み出してきて、私の手、もう、ぬるぬる……。私も感じてきちゃった。私と一緒に絶頂に達して下さいね、先輩！……」
　このまま扱き続ければ、間違いなく後少しで直樹はバスケットパンツの中に、溜まりに溜まった欲望の全てを吐き出してしまうはずだ。直樹は、帰宅してから、内側にスペルマがべっとり染みついたバスケットパンツを母親にどうやって言い訳するのだろう。そんな滑稽な光景を思い浮かべて、ヒトミは薄ら笑いを直樹に投げかけながら、なおもバスケットパンツ越しに高速ピストンで扱き続けた。
　でも、直樹が精液を勢いよく出す瞬間を直接目の前で見たい気もした。
（このままバスパンの中に射精させてしまうか、それとも外に取り出して直に扱いてあげようか……）
　ヒトミは、どちらにするか少し迷ったが、
「もうじき……」という直樹の呻き声に反応して、本能的にヒトミの手の動きが一層スピードアップしていった。このまま直樹をフィニッシュに導くために……。
　間もなく、直樹が「うっ！……」と声を上げた。
「出して！……」
　ヒトミは叫びながら、手によるピストンを最高潮のスピードに上げた。
　その瞬間、手の中でペニスがびくんびくんと痙攣したかと思うと、ドクドクとスペルマが噴出してくるのがバスケットパンツ越しに感じられた。
「先輩、ドピュッ、ドピュッ、ドピュッ、って弾けてるよ！……」
　ヒトミは初めての体験に声を震わせていた。見る見る間にスペルマが止め処となくバスケットパンツの前に染みを広げていった。
（今、直樹先輩がスペルマを弾けさせてる……！すごーい量がだわ！バスパンに染み出して、私の手まで濡れちゃってるわ。きっと相当溜まってたのね……）
　ヒトミは、バスケットパンツの上から握り締めた手の動きをややスローダウンしながら、最後の一滴まで搾り出すまで上下に扱き続けた。
　しばらくして、「もういいよ」という直樹の声を聞いて、やっとバスケットパンツの前から手を放した。そして直樹のバスケットパンツを手前に引いて、中のペニスを真上から覗き込んだ。直樹の赤黒いペニスはイヤらしい音と共にテカっていた。先走りの汁と混じった欲望の愛液で、もう先端部分はヌルヌルだ。その先端部分から洩れた大量の白濁液がパンツの中にこびり付いているではないか！紺色のパンツの内側が真っ白になっているほどだった。つーんと栗の花の匂いが鼻をついた。
　直樹は一瞬バツの悪そうな表情から、気を取り直して呟いた。
「ごめん、ごめん。あんまり気持ち良すぎて、つい……。我慢できなかったんだ。」
　直樹にとっても、女性の手で射精させてもらったのは初めてだったから無理からぬことだった。
「私の方こそごめんなさい。気がつかなくて……、バスパンを汚してしまって……。すぐ洗いますから！」
　ヒトミはすぐ冷静に戻って、直樹の前に跪くと、両手で直樹のバスケットパンツを下ろそうと手にかけた。
「いや、いいんだ。大丈夫さ……」
　直樹は、ヒトミを抱きしめながら懇願した。
「それよりも、もう一度手で、して……くれないか？……」