５

「ねえ、ＶＩＰルームに行ってみない？」
　絵里子の提案で、３人はＶＩＰルームで休憩することにした。ＶＩＰルームは、パウダールームやマッサージコーナー、ドリンクコーナーなどが完備している会員制のレストルームである。絵里子の父親は地元の名士で、いろいろなところに顔が利くので、ここのＶＩＰルームも利用できるのだった。
　３人が入室すると、他には誰もいなかった。そこへ、見知らぬ大学生が２人、待ち構えていたかのように現れた。２人共、一見好青年風の若者だが、不敵な薄笑いを浮かべながら、何やら怪しげな雰囲気を漂わせている。
「やあ、君が噂のヒトミちゃんかい？」
　そのうちの１人が不意に切り出した。
「おスペがとっても上手なんだってね」もう１人が続けた。
「えっ？」
（いきなり、何を言い出すかと思ったら！……。でも、どうして、私のおスペのことを知ってるの？）
「手コキだけじゃなく、尺八も得意だそうだね！……」
「えっ？、尺八？……」
　大学生のあまりに唐突な物言いに、思わずヒトミが言葉を失いかけると、絵里子が口を挟んだ。
「知らないわけないよね、フェラチオの達人さんが！……！」
「そんなっ？……」ヒトミは、絵里子の急な態度の豹変に驚きを隠せなかった。
「学校で皆があんたのこと何て呼んでいるか、知ってる？おフェラのヒトミって呼んでるんだよ！」
「まさか、冗談でしょ？」
「最近じゃあ、うちの学校だけでなくよその学校の男子にまで手を出してるんだってね！」
「手だけじゃないよ、口もよ！」寛子が薄笑いを浮かべながら追い討ちをかける。
「そんな……、根も葉もない噂よ、あんまりだわ！……」
　確かに、ヒトミが手で男子をイカせたことは、もう数知れない。でも口を使ったことはなかった。
「大体、あんた、ちょっと生意気なんだよ！」
　ヒトミは、確かにすらっとスタイルもよく、ルックスも芸能界のアイドル並で、男子たちの間で一番の人気者だった。おまけに勉強もトップクラスで運動神経も抜群ときている。それだけに、女子たちの中には妬みを抱く者も少なくないのだった。

　大学生は、２人共ピッチリとしたやや厚手のナイロン製で水色と濃紺、いずれも両サイドに白線入りの股下が短いボックスタイプのスクール水着風のスイミングトランクスを履いている。ナイロン１００％で、ツルツルした肌触りとぎらぎらした鮮やかな光沢で女子に１番人気のタイプだ。
　そして、そのスイミングトランクスの前を大きくモッコリとさせている。ヒトミは、思わず息を呑みながら、彼らのトランクスの前のはち切れんばかりの膨らみに手が出てしまいそうになるのを、必死に堪えるので精一杯だったほどだ。
「紹介するわ、こちら私の家庭教師の俊之さんとそのお友達の哲也さんよ」
「あんたの噂を聞きつけて、この人達もヒトミにおしゃぶりして欲しいんだって！」
「えっ！……」ヒトミは、さすがに絶句した。
「嫌とは言わせないわよ！」
「そんな、見ず知らずの男性にいきなりフェラチオしろだなんて、無茶苦茶なこと言わないでよ！」
「実は、こんな写真があるんだけど、学校中にばら撒かれたいの？」
　その写真には、女子バスケ部の部室や学校のプールの更衣室でのヒトミの着替え風景が写っていた。さらに、もっと驚かされた写真には、体育館で男子の前に跪き、バスケットパンツの上から扱いているところや、トランクスの裾からペニスを取り出して、華麗な指捌きで直にピストン運動をしている光景が顕わに写し出されているではないか！
　一体、いつの間に、誰が撮ったのだろうか？……、あまりの突然な出来事に、ヒトミはあっけにとられ、唖然とするしかなかった。
「ひどーい、あんまりだわ！ねえ、どうして、こんなことするの？絵里子、寛子、友達なのに？」
「友達、ですって？……、あははは、そう思っているのはあんたの方だけさ！」
「そんなあ、ひどいわ！」
「あら、他人の彼氏にちょっかい出すのがひどくないって言うのかい？今まで自分がしてきたことを振り返ってみなよ！」
　どうやら、絵里子は、自分の彼氏までがヒトミのおスペの虜になってしまったのを恨んでいるらしかった。
「どうしても、いやというなら、いいんだよ。あんたのスケベエな本性が学校中に知れ渡って、惨めで恥ずかしい思いをするだけだから！」
「……」
「もう、学校にも来れなくなるよ！」
「……」
　さらに、ヒトミの気持ちを逆撫でするように、寛子がその後を続けた。
「つべこべ文句言わないで、この際、お兄さん方の希望を叶えてあげたら……、ヒトミ？ホントは、あんたの方こそ、海パンのもっこりに口付けしたくてうずうずしてるんじゃないの？！」
「簡単なことでしょ、ふだんやっているようにしてあげればいいんだからさ、お得意の口と手を使ってさ……」
「この人達ったら、ヒトミのお口で出してもらいたくて、一週間以上も禁欲して溜めに溜めてきているんだって。だから、見てのとおり、もうパンパン。ヒトミなら、すぐに出してあげられるよね！」
「もちろん、出されたスペルマはお口で受けて、全部飲んであげるんだよ、一滴残さずにね！」
「誰かが見に来る心配はしなくていいからね。今日はここを貸切にしておいたから、いくら泣き叫ぼうが、誰も助けには来ないわよ！」
　ヒトミは泣き出しそうになった。
（これって、悪い夢なんだわ……、きっと。）
　しかし、夢ではなかった。この日のことは、絵里子たちの初めからの計画だったのだ。
「寛子だって、初めてのおフェラで男子をイカセたんだから、チョーベテランのヒトミなら朝飯前でしょ！」
　その一言がヒトミの負けん気に火をつけた。
「わかったわ。口を使って射精させれば、いいのね！……。」
　ヒトミは、きっと睨みつけるような眼差しを返した。
「やっと、やる気になってくれたようね。ただし、時間制限があるのよ！制限時間内に射精させられなければ、罰ゲームが待ってるからね！……」
「えっ？」
「その代わり、制限時間は、ヒトミ、あんたが決めていいことにしてあげるわ。せめてものお情けよ！」
　全員の注目を受けながら、ヒトミは答えた。「じゃあ、３分……」
　その言葉を聞いて、絵里子は内心あざ笑っていた。いくらおスペが得意だといっても、所詮中学生の少女がフェラチオで、たった３分で大人を射精させられるわけがないとタカを括っているのだ。
「いいわ、３分ね……」
　絵里子の勝ち誇ったような口ぶりを聞いて、ヒトミは、しまったと思った。おスペにかけてはベテランのヒトミも、フェラチオは未体験なのだ。どうせなら５分とか１０分とか長めに答えておけばよかったのにと、後悔したが、後の祭りだった。奈美恵の「私の場合、大抵２、３分で出してあげられるわね」という言葉を思い出して、つい釣られてしまったのだった。
「それじゃあ、まず、俊之さんにフェラチオするのよ。３分以内に俊之さんを射精させることができたら、そこで勘弁してあげるわ。もし、３分経っても射精させられなかったら、次は哲也さんにも口で奉仕してさしあげるのよ。いいわね、わかった！」
「さあ、それじゃ、ヒトミ、ゲームを始めましょうか！」
　絵里子の説明に続けて、寛子がゲームの開始を決定した。

　このときはまだ、この後、全く予想もできない結末が待ち受けていようとは、もちろん皆、誰も知る由もなかった……。