７

　ヒトミは、以前、奈美恵の家に泊まった時、彼女の部屋で一緒に見ようと言われて、渋々見たアダルトビデオのシーンを頭の中で再現していた。
　その時は、初めて目の当たりにしたフェラチオに心底から嫌悪感を抱き、「私、彼に、こんなことしろって言われたら、絶対別れるわ、気持ち悪い〜……」と言っていたヒトミではあったのが……。

「奈美恵さんて、こんなエッチなビデオを観ているんですか？」
　それは、女性がフェラチオしているシーンなのだが、仁王立ちした男性が、跪いて喉の奥深くペニスを咥えている女性の髪の毛を掴んで、無理やり腰をピストンしているのだ。女性は上目遣いで、顔をしかめながらも懸命に奉仕している。いや奉仕させられているのだ、召使のように。女性の方も負けじと、男性を一刻も早く射精させようと、ペニスの根元を手で激しく扱きながら唇で挟みつけ、ペニスを高速で出し入れさせている。
　やがて、男の腰つきが急に止まったかと思うと、２度、３度痙攣しながらぐっと前に突き出した。すると、女性の口元から溢れ出たスペルマがすーと垂れて、長い糸を引いた。
「あら、この程度の内容のビデオなら、大人の女性は皆観てるわよ。もっとも、これは、イマラチオって言って、ふつうのフェラチオよりもちょっと強烈だけどね。でも、これ位、大人になったら常識よ……」
　もちろん、奈美恵にとっては、アルバイトの仕事柄、必要不可欠のものなのだが……。

　実は、ヒトミにも、自宅でママとパパの秘め事を目撃してしまったことがあった。
　ある日の深夜、トイレに起きたヒトミが、リビングにまだ薄明かりがついているのを不思議に思って、たまたま開いていたドアの隙間からこっそり覗きこんだのだ。すると……。ヒトミは思わず息を呑んだ。
　ママとパパがソファーに２人並んで座りながら、抱き合っているではないか。ママはタンクトップにピチピチの鮮やかな光沢の真っ赤なマイクロミニのナイロンサテンのジョギングパンツ。パパはママのふくよかな胸を弄り、一方、パパの脇に横座りしたママはパパの股間に手を伸ばし、ぴっちりしたライトブルーのシルクサテンのトランクスの上からペニスの部分を握り締め、上下に擦っているではないか。
　それは、ちょうど奈美恵の話に出てきた、ピンクサロンでピンサロ嬢がお客にサービスしているときの態勢と同じだった。
　特にヒトミの目を引いたのが、ママの手の動きだった。それは一度吸い付いたら最後、男の精を搾り取るまで離さない、怪しいイソギンチャクのように見えた。
　その派手な赤いマニキュアを塗った指の動きがとっても艶かしく、いやらしい。トランクス越しのペニスに絡みついた５本の指の動きがとってもリズミカルで、次第に速くなり、いつの間にか目にも止まらぬほどの高速ピストンになった。
　このままママが手の動きを緩めなかったら、パパ、トランクスの中に出しちゃう、と思う程激しく……。
　案の定、パパは腰を突き出して、限界ぎりぎりという様子。やや厚手の生地のトランクス越しだからこそ、かろうじて耐えているのだろう。もし直に扱かれていれば、とっくに弾けてしまっていたと思えるほど、ママのおスペは強烈だった。
　すると、ママの顔がパパのトランクスの巨大な膨らみに近づいていった……。
（あっ！）、ヒトミは声をあげそうになった。（フェラチオするんだわ！）
　なんと、ママの真っ赤な口紅を引いた唇がパパのペニスをトランクス越しに捉え、その先端にキスをしたのだ。そして、いとおしそうに舐めまわし、舌を這わせている。やがて、ママは顔をやや横に向けながら、トランクスの巨大な盛り上がりを一気に口に咥えた。
　口の中では舌を使ってペニスを締め付けているのだろう、頬をすぼめながら、唇に挟みながら上下に扱き始めた。ママの唾液とパパのペニスの先から滲み出たガマン汁でシルクサテンのトランクスが透けて、パパのペニスがくっきりと形を現している。
　時々、パパがママの頭の動きを制止する。
（パパ、もう出そうなんだ……）
　それでも、ママの執拗な攻撃が続く。パパの表情には快楽と苦痛が入り混じり、もう我慢も限界といった様子……。
（ママ、これ以上パパを苦しめないで、早く楽にしてあげて。お願いだから直にお口に含んであげて。さもないと、パパ、トランクスの中で暴発しちゃう……）
　すると、ママがやっとパパの巨大なペニスをトランクスの脇から引っ張り出し、直にシコシコと擦りあげ始めたではないか。パパの呻き声がだんだん大きくなっていく……。
（ママ……、見事なフィンガーテクだわ……。このまま、おスペでイカせちゃうつもりかしら……。パパ、もうじき出そうだわ……）、
　ママの表情はとても幸せそうだった。もちろんパパも目を閉じて恍惚の表情で、ママの髪を撫で回している。
　ママの猛攻に、パパったら息も絶え絶え、もうダウン寸前て感じ……。急に立ち上がると仁王立ちになって、ママを跪かせた。
　ママは、もう限界ギリギリのパパのペニスを、やっと口の中に入れたかと思うと、一気に呑みこんだ。それも深々と根元まで……。
　ヒトミが初めて現実に目の当りにする、生のフェラチオだった。
（よかった。これで、いつでもパパ、ママのお口の中でスペルマを思い切り出せるわ……）
　ママの頬が大きく膨れ上がり、唇がめくれあがるほど激しく口で扱き立てている。そして片手でペニスの根元を押さえ、もう片方の手でその下の玉袋を優しく包んで揉んでいる。時折、雁の先端の溝を蛇の舌のように、ちろちろとくすぐりながら、次第に根元を扱く手のスピードが速くなり、頭が激しく前後し始めた。
（ママが、いよいよラストスパートに入ったんだわ、パパをフィニッシュさせるために……）
　ママがパパのペニスを奥まで咥えて、すごい勢いでピストン運動を始めて、５、６往復したかしないかのうちに、急にパパが「うっ」と呻き声をあげ、腰をぐっと前に突き出したかと思うと、二人の動きが一瞬ぴたっと止まったように見えた。そしてママの頭の動きが止み、ピストン運動がスローダウンしていった。
　ヒトミは気づいた。
（パパ、とうとう、出ちゃったんだ。今、ママの口の中にはスペルマがたくさん……）
　ヒトミは頭が真白になりそうだった。初めは、なんであんなことを……と思っていたのに、いつの間にか、背筋を電流が駆け抜けたような快感を覚えていた。
　しばらくして、ママが口をすぼめるようにして、顔を離した。真っ赤な口紅を塗った唇から糸が引き、口から溢れ出たスペルマの雫が垂れる。同時にテカテカと光ったペニスが姿を現す。
　ヒトミは何がなんだか解らないうちに、自分も昂ぶってきた。
　ママは、口を開けて大量のスペルマをパパに見せながら、舌なめずりしている。それからママは再び口を閉じると、ごっくんと喉が動いた。口の中に出されたスペルマを全て飲み込んだことがわかった。
（ごっくんって、ママ、とってもおいしそうに飲んでる……）