２．ブレンド創作・・・純

「どうですか？今回の風味は・・・？」
　ドリップで淹れたばかりのコーヒーを口に含んで吟味している純に問い掛けた。
　苛立つ純にホールの吉田は小声で様子を窺った。
「ふぅ〜〜ぅ、まぁまぁね・・・」
「じゃぁ、今回はＯＫなんですね？良かったぁ〜」
「馬鹿ねぇ、良くないわよ〜あと２日でもう１種類完成させないと・・・」
「でも、どうして、そんなに拘るんですか？ここのブレンドは、もう充分有名ですよ」
「約束したの・・・４種類の最高のブレンドを創作するって・・・」
「だけど、何故、４種類なんですか？普通は１種類でしょ、店の味は・・・」
「そう、普通はね・・・でも、わたしは、そうは思わないの、お客様は多種多様よ。ストレートコーヒーが何種類あっても、それはあくまでもひとつの豆の味。この４種類のブレンドがあれば・・・そして、究極の１種類が・・・それが、プロとしてのわたしの使命だと思ってるの・・・」

　Coffee Junnは、早くからコーヒーの味で評判をとっていたが、２年前に父親が他界し、純が経営を引き継いでからは味が安定せず不評を買っていた。
　純は時間を惜しんで研究し、半年後には元の評判を取り戻すまでになったが、純は納得できなかった。
「お父さんの味を復活させただけで、本当の意味で確立できた訳じゃないわ」
　プロとしてお客様に味わってもらえる風味をどうしても創作したいと思っていた。
　そんな時にjuunに来ていたコーヒー豆のメーカーの風間 創一と出逢ったのだ。
「分かるよ、君の言いたいことは・・・確かに日本人の嗜好はモカをベースに固定化し、ブレンドはどこでも似た風味になってるよね・・・でも、これからは違うと思うよ〜」
「わぁ〜嬉しい・・・わたしと同じような考え方の人がいたなんて・・・ねぇ、わたしねぇ、４種類のブレンドを創作して、ほとんどのお客様の舌を満足させられれば・・・って、そう思ってるの！」
「何故、４種類なのかな？」
「それは・・・内緒！ヒ・ミ・ツ・・・フフッ」
「それじゃぁ、先ず、可能性を出して・・・ベースを考えるだけでも大変だし、
何種の配合にすればいいか・・・その組み合わせと味は無限大・・・あぁ〜ぁ、大変だ〜」
　その日から、ふたりのブレンド創作が始まった。

　ほとんど毎日、基本とする豆の種類と特性の組み合わせ研究が始まった。
　風間はパソコンで組み合わせ管理を行なうと同時に豆を準備し、純は単純に風味を記録するだけではなく、淹れる時の付帯条件を試し記録した。
「あぁ〜〜ぁ、これだけやっても、納得のいく結果はひとつも無いなんて・・・」
「何を焦ってんだ・・・まだ、１,０００種類ぐらいしか試してないんだよ・・・今から音を上げていたんじゃ・・・先が思い遣れるなぁ〜」
「何よ！あなたは所詮他人事でしょ！」
「本気で言ってんのか！？本当にそう思っているのか？・・・勝手にすればいい！」
「・・・・・・待って！ゴメン・・・八つ当たりして・・・あなたと一緒だから・・・頑張れるの・・・」
「分かった・・・もう、いいよ〜これからは、店が終わってからも頑張ろう〜」
「そうね！やりましょう〜」
　無駄と思える試みが続いた。
　半年が過ぎても、ふたりは４種類のうち１種類しか確立していなかった。
「風間さん・・・ゴメンね〜いつも付き合せて・・・仕事は別にあるのに・・・」
「バカ言ってんじゃないよ、それより、この組み合わせは・・・自信があるんだけど・・・」
　豆を挽いて丁寧にドリップで淹れてみる。
「ふぅ〜〜ん・・・いい香り・・・コクの中に苦味と酸味が少しずつ調和して・・・いいわ〜」
「本当かい？はぁ〜〜良かった・・・」
　風間も口に含んで確かめてみる。
「うん！いいなぁ〜これは、いける！」
「それじゃぁ、しっかり記録しておかないと・・・頑張れば必ず成果が得られるものね〜」
「頑張り通すのがプロさ！中途半端は・・・最悪だよ〜」
「えぇ、そうね・・・あぁ〜〜ぁ、でも、嬉しいわ〜〜風間さん！」
「純・・・」
　お互いの瞳の中に感じあうものを見ていた。

　毎夜、ふたりだけの時間の全てを研究に使い、それ以外には何も無かった。
「風間さん、わたしって、魅力ないわね〜？」
「えっ？どうして〜？」
「だって・・・若い男女が毎晩ふたりで過ごして・・・何も感じないなんて・・・」
「そんなことないよ！僕は・・・我慢してるんだ、自分の気持ちを抑えて・・・」
「どうして？」
「研究の途中だと、そういう感情は邪魔になるだけだと・・・」
「そう・・・でも、わたしたち、プロでしょ！それで研究がダメになるとしたら失格よね」
「そうだね・・・」
「プロなら、全てを前向きな力に出来るものじゃないの？」
「純・・・君の言うとおりだね〜気分転換も大切だし・・・」
「でも・・・わたしって、やっぱり色気無いし〜コーヒー臭いだけのつまらない女だし・・・」
　風間は純を引き寄せ口唇を重ねた。
「好きだよ・・・ずぅ〜と前から・・・君が高校生の頃から、好きだった・・・」
「えっ？ウソぉ〜〜そんなに前から・・・？」
「あぁ、元気で溌剌とした君が・・・お店を手伝うようになった君は、さらにきれいになって」
「いやぁねぇ〜気づかなかったわ・・・だって、誘ってもくれなかったじゃない」
「なかなか声をかけられなくて・・・いつも君のことを思って自分を慰めて・・・」
「・・・・・・じゃぁ、わたしが・・・してあげる〜」
　純は風間の前に腰を落とし、ズボンのジッパーを下げ、中から既に堅くなっていた肉棒を取り出し口の中に咥えた。
「純・・・気を遣わなくても、いいよ〜あぁ・・・っ・・・あぁあああ・・・」
「ううん、わたし・・・ずっと前から、こうしたいと思ってたの」
　肉棒を咥えたまま、純は風間のベルトを外しズボンとトランクスを脱がせた。
「あぁ〜〜我慢してたから、もう、イッちゃいそうだよ〜あぅ、っ・・・はぅ・・・っ・・・」
「いいわ！出してぇ〜〜わたし、飲みたいわ〜あなたの・・・・・」
　風間は純の頭を両手で股間に押し付け、口唇で扱く純の口の中に力強く射精した。
「ゴクッ・・・はぁ〜〜ぁ、いっぱい出たわ〜コクがあって美味しかったわ・・・」
「はぁ〜はぁ〜はぁ・・・ぁ、純・・・ありがとう〜良かった〜あぁ・・・ぁ、今度は僕が・・・」
　純のタイトスカートの上からプリッとした尻を擦り太股を撫で回した。
「純・・・テーブルの上に寝かせても、いいかい？」
「あなたの好きなようにして・・・」
　純のブラウスもブラも剥ぎ取るようにして脱がせ、全裸の純をテーブルに寝かせた。
「きれいだ・・・純〜」
「ホント？」
「あぁ・・・ハチキレそうに艶々した身体だよ〜胸は谷間が深く大きくて、太股はムチムチして吸い付きそうに張ってるし・・・お尻は丸くプリプリして・・・」
「女として、魅力ある？」
「当たり前だよ〜もう、離したくないくらい・・・この先、ずぅ〜〜と・・・」
「わぁ〜〜嬉しい・・・絶対に離さないでぇ〜いっぱい、愛してぇ〜〜〜」
　両手に余る純の乳房を舐め両手で揉み解し、吸い付くような純の肌を舐め回した。
「あぁ〜あぁ〜あぁぁああああ〜〜〜〜っはぁ〜〜っ・・・あっ、ふぅ〜〜あぁ〜〜」
　純は何か縛られていたものから解き放たれたように大胆に乱れた。
　大きな声をあげて喘ぎ、身体を大きく開いて自ら淫欲を求めていた。
「純・・・すごく、イヤらしくて素敵だよ〜〜もっと、淫らにして気持ちよくしてやるよ〜」
「あぁ〜してぇ〜〜いてぇ〜〜純、いっぱい淫らになりたいの〜〜〜」
　コーヒーを研究している時とのギャップが大きく、それが尚更、風間の情欲を煽った。
　テーブルの縁に純の股間が広がり、両脚を大きく開いて風間を誘っていた。
「純のオマ×コ、涎を垂らしてるよ〜すごく、イヤらしい〜〜僕は大好きだけど」
「いやぁ〜そんなに見ないでぇ〜〜あなたに見られていると・・・あぁ、感じちゃう〜」
　テーブルの上の豊かな尻を浮かせて悶え喘いでいる純のワレメを指で擦って眺めた。
「うわぁ〜〜益々、涎が溢れて・・・あ〜ぁ、テーブルが濡れちゃった〜」
「うぅっもう〜意地悪しないで・・・お願い〜〜」
　風間は大きく開いて見えるワレメを舐めながら、両手を伸ばして乳房を揉みし抱いた。
「あぅ、っ、ぁ〜ぁああああぁぁ〜っ・・・ぅ、っ、ぁはぅぅうううっ・・・あぁぁ〜〜〜」
「いぃ〜匂いだ・・・純の匂いは、コーヒーの香り以上・・・あぁ〜〜ぁ、いぃ〜〜」
「イヤッ・・・あっ、うっ・・・ねぇ、はぁ〜はぁ〜あなたの・・・大きいの・・・イ・レ・テ〜」
　純は風間のすでに回復して勃起していた肉棒をねだった。
　風間はテーブルから落ちるぐらい純を引き寄せ、そのまま奥まで貫いた。
　純の高く上げた両脚を併せて閉ざし、窮屈になった淫壷を肉棒で幾度となく擦った。
「あぁっ、あぁぁあああぅ、っ、あぅ、あぅん・・・いっ・・・ぃいいっ、イッくぅううう〜」
「あぁ〜〜純〜僕も・・・あっ、はぁっ・・・っぁああ〜〜っ、イッ、くぅうううぅ〜〜っ・・・」
「はぁ、はぁ、はぁ・・・っ、あぁ〜ぁ・・・・・・明日は、その胸に挟んで、イカせてほしいな」
「いぃ〜わぁ・・・あなたの好きにしてあげるぅ〜〜じゃぁ、わたしは、バックでしてぇ〜」

　翌日から、ふたりの意気込みが変わってきた。
　懸命にブレンド配合に打ち込めば打ち込むほど、後の楽しみは激しく快感が高まった。
　やがて３種類めを確立した。
「あと、１種類・・・これが、わたしの目指す最高のブレンドになるはず！
季節や気温、湿度などの環境に左右されない究極の風味を目指したいの・・・」
「分かるけど・・・不可能に限りなく近いよ〜」
「そう・・・だけど、これが完成すれば、わたし、本物のプロになれる気がするの〜そして・・あなたと一緒になって、出来たブレンドをjunnブランドで全国に紹介したい」
「よぉ〜〜し！頑張るかぁ〜今日も、精・・・一杯、君の中に注ぎ込んでやるぞぉ〜〜」
「うわぁ〜〜楽しみだわぁ〜じゃあ、頑張らなくっちゃ！フフッ・・・」
　毎日が苦悩の連続であり、また、快楽の連続でもあった。
「純！マンデリンを全体の２割配合するんだ！後は・・・アッ！ウッワァアアア〜〜〜〜〜」
　運転をしながら携帯で連絡してきた時だった。
　対向車と正面衝突・・・即死だった。
「ウッ、ウソ！嘘って言ってぇ〜〜〜〜〜わあぁあああああああ・・・・・・」
　純は、全身の力が抜け、抜け殻のような日が続いた。

「あの人、４種めの配合のキーを早く知らせたくて・・・運転しながら電話したのよ・・・あれから、もうすぐ１年・・・。２日後の命日までに・・・あの人とわたしの究極の愛を・・・」

　純は身体の芯が燃えるように熱く感じた快感を想い出しながら、コーヒーを淹れた・・・。