３．声優・・・美帆

「美帆さん・・・美帆さんは、今、超売れっ子の声優さんですが・・・どういうキッカケで、声優になられたんですか？」
　雑誌社の取材を受けながら、美帆は当時を思い出していた。

　25歳の美帆は小さな劇団で女優をしていた。
　抽象的な体制批判をテーマとした芝居を多く上演し、固定的なファンを得ていたが、美帆には何かが心の中でシコリとなって悶々とした日々を過ごしていた。
　それが、どうしてもハッキリせず、苛立つ自分が嫌になっていた。

　あの日も、六本木の小さなスタジオで上演した後、打ち上げの誘いを断り帰宅した。
　新大久保の４畳半一間のアパートが美帆の住まいだった。
「あぁ〜ぁ、疲れた・・・芝居も限界かなぁ〜彼氏もいないし・・・こんなにいい女なのに」
　アパートのドアを開けた瞬間だった。
「わっ！・・・・・・な、何？何も見えないわ〜あぁぁああああ〜〜〜〜」
　突然の閃光で目の前が真っ白になり、何が何だか分からなくなった。
　気づいた時、美帆はさらに仰天してしまった。
「どうしたのかしら？わたし・・・高校生？」
　タイムとラベルでもなければ、タイムマシンでも無かった。
　美帆自身が15歳の高校１年の入学時に戻ってしまったのだ。
「あり得ないわ・・・こんなこと、15歳からやり直せとでも言いたい訳〜？あぁ〜〜あ、頭が、痛い・・・」
　この時、美帆は25歳の女から15歳の少女になっていた。

　セーラー服を着て美帆は、はしゃぎまくっていた。
　憧れの高校の制服だったので、入学式の前から何回も着ては喜んでいた。
　15歳の美帆は同級生の中でも発育が良く、私服ならば大人と間違うほどだった。
　自分でも美人でスタイルもいいと自信があった。
「高校に入ったら演劇部に入ってスターになるの！その先は、プロの女優よ！」
　親しい友達にも明言するほど、美帆は有頂天になっていた。
「このセーラー服、胸当てが無いから、乳房の谷間が見えるわ〜男の子が騒ぎそう・・・」
　入学後のことを想像してはニヤニヤして入学式を待っていた。
　式の前日も美帆はセーラー服に身を包み、街に出て気分に浸っていた。
「皆が見る目が今までと違うわ〜やっぱり、この制服は最高ね〜」
　スカートもミニにして自慢の長い脚を太股まで露わにして歩いていた。
　そんな美帆に目をつけ、後をつけている男がいた。
「堪んないなぁ・・・高校生か？とても信じられないくらい発達してんな〜
　きっと、もう、ヤリまくってるんだろうな・・・あの身体じゃ〜長い太股が誘うなぁ・・・」
　男は、近所に住む浪人生で、今年も志望校に落ちてイライラしていた。
　ミニのスカートが歩くたびにヒラヒラと捲れ、白い下着が見え隠れしていた。
「あぁぁ・・・オチ××ンが立っちまって、痛いよ〜あの女に責任取らせよう〜〜」
　浪人生の男は、股間を抑えた格好で、美帆の後を気づかれないように追った。
「尻が盛り上がってるから、ミニスカートが浮いちゃってるよ〜色っぽいねぇ〜〜そう言えば、乳も谷間を作ってたなぁ・・・アハハハ・・・楽しみだぞ〜〜フッハハハハ〜」
　イヤらしい笑みを浮かべて後を追う男に美帆はまったく気づかなかった。
　それどころか、すれ違う男たちの目線がイヤらしくても嬉しくて仕方がなかったのだ。
　商店街を通り抜け公園を過ぎれば自宅は目の前だった。
　鼻歌混じりに軽やかに公園を抜ける頃には、もう、すっかり暗くなっていた。
「やばぁ〜ぃ・・・早く帰らないと、お父さんに怒られるわ」
　少し小走りにジャングルジムを抜けた時だった。
　大きな木陰から男が飛び出してきて、アッと言う間に美帆は樹木の間に引き擦り込まれ、ガムテープで口を塞がれ、ロープで枝に吊るされてしまった。
「諦めな・・・この公園は、夜になると誰も寄り付かないんだ・・・チャラチャラしてるから、オマエは気づかなかったろうが・・・アハハハハ〜〜」
　美帆は涙目になって男に懇願するが、男の目を見た時、美帆は鳥肌が立つほど怖くなった。
（白いところに真っ赤な血管が走って、ギラギラしてる・・・こんな目、見たことが無い・・・）
　男はスカートを脱がせて下半身を露出させた。
「うるさい脚だな！切っちまうぞ〜」
　ナイフを出して頬にピタピタとあて、そのナイフでロープを切り、両脚を広げて固定した。
「どうせ、ヤリ○ンなんだろ〜おとなしくヤラせろ〜そうすれば、命までは取らないよ〜」
　小さなパンティをナイフで切り裂き、隠すものが無くなってしまった。
「おぉっ！毛が生えてるんだなぁ〜邪魔だから剃ってやる！」
　そう言うと、唾を薄い毛に塗りナイフでジョリジョリと剃り始めた。
「おぉ〜〜きれいになった・・・ワレメちゃんがクッキリみえてま〜すっ！
どれどれ、どんな味がするのかな？・・・・・・ちょっと塩っぱいな〜オシッコか・・・」
　美帆は恥ずかしさと恐怖で、正気でいられないほど理性を失っていた。
　続けて男はワレメの中に指を入れ、中を掻きまわした。
「うっ、ぅぅぅうううう〜〜〜」
「感じてるのか？スケベな高校生だな〜どこが、気持ちいいんだ？」
　男は面白がってワレメを弄くりまわした。
「尻はどうかな？きれいに拭いているだろうな？・・・ペロペロ・・・」
　舐めながら美帆の自慢の尻を撫でられ、美帆は身震いをして腰を振った。
「諦めの悪いヤツだな〜オマエは・・・いいのか？しっかり感じないと、スパッといくぜ〜」
　その言葉に合わせてセーラー服は切り刻まれ、ブラ１枚の裸同然となった。
「本当に高校生か？乳がきれいに膨らんで、いい形してるなぁ〜隠さないで見せろ！」
「うぅ、ぅっ・・・・・・」
　ブラの真ん中がナイフで切られ、乳房が露わになってプルッと揺れた。
「うわぁっ・・・堪んないなぁ・・・ゴクッ・・・あぁ〜〜」
　男はナイフを口に咥え、両手で乳房を揉み始めた。
「いい感触だなぁ〜色も形も高校生にしては、イヤらしいくらいだ」
　男は訳の分からないことを言いながら、今度は吸い付くようにしゃぶり始めた。
「うぅうううっ・・・ぅっ・・・・・・」
「乳首が立ってきた・・・あぁ〜上手い・・・若い乳房は格別だねぇ〜あれっ？コレは何だ？」
　足元に落ちたカードを拾い上げて見た。
「岡本 美帆、15歳、かに座、携帯番号・・・・・・」
　自分で作った写真付きの名刺だった。
「15歳・・・ホントかよ〜〜へぇ〜ぇ、今度、高校生か・・・イヤらしいなぁ、オマエ・・・。いいものが手に入った・・・これからは、毎日、自宅に行って犯してやるぞ〜そうだ・・・写真、写真を撮ってやる！いいか！このことをしゃべればバラ撒くぞ〜」
　男はデジカメで何枚も角度を変えて写していた。
（もう、お終いだわ・・・死んだほうがマシだわ〜）
　その後まで考えれば、美帆がそう思うのも無理は無かった。
　男はグロテスクな肉棒を自慢げに擦りながら美帆に見せつけ、ワレメに下から挿入した。
　鮮烈な痛みが全身を貫き、美帆は気を失ってしまった。

　気がつくと、そこは４畳半のアパートの自分の部屋だった。
　美帆は慌てて下着の中に手を入れた。
「あぁっ・・・濡れてる？・・・でも、ここは・・・わたしの部屋・・・どうなってんの？そうか・・・わたしが忘れていた過去を、思い出させてくれたの・・・？誰が？どうやって？」
　美帆は、辺りを見渡すが、何の変化も無い部屋だった。
「最近、心の中でシコリになっていたものが分かったわ・・・わたし、記憶を閉じ込めて・・・」
　何かが吹っ切れたような気がしたが、あの後、男に入れられた後、どうなったのか・・・どうしても思い出せなかった。
　ただ、下着の中で触れたワレメが痛みで疼いているのは、確かな事実だった。
　自分が体験したことに半信半疑ながら、その先も思い出そうと美帆は思った。
「記憶から逃げていても、どうにもならないわ・・・事実は事実だし・・・」
　15歳の事件以来、美帆の恥毛は生えなくなっていた。

　翌日、演劇仲間に会った時、そのうちのひとりから男を紹介された。
「漫画家の須藤 遊です。今度、僕の漫画がテレビアニメになるので、その吹き替えを、 あなたにやってほしいのですが・・・？」
「どうして、わたしに・・・？わたし、声優なんてやったことないし〜」
「あなたの声が、主人公の少年にピッタリのイメージなんだって〜」
「それじゃあ、後はふたりでお話ししてください。わたしたちは帰るので・・・」
　そう言って、仲間はいなくなり、喫茶店には須藤と美帆のふたりになった。
「読んだこと・・・ありますか？僕の漫画・・・」
「えぇ・・・単行本で・・・」
「ありがとう。美帆さん、すっかり、大人になって・・・相変わらず、きれいだけど・・・」
「えっ？・・・以前、どこかで、お会いしましたか？」
「思い出しませんか？僕のこと・・・いや、思い出したくないよね・・・これは〜？」
　須藤がテーブルの上に置いたのは、小さなカードだった。
「プロの女優さん・・・まさか、断りませんよね〜プロですものね〜」
　少し色あせたカードを手にとって、美帆は愕然とした・・・。
「ま、まさか・・・そんな・・・それじゃあ、あなたは・・・あの時の・・・い、いやぁ〜〜〜！」

　美帆の中ですべての記憶がひとつに繋がった・・・。