７．パントマイム・・・有希

　全身真っ白にペイントした女性のパントマイムが評判をよんでいた。
　ペイントの下は全裸のようだが、それを意識させない彼女のパントマイムは人を魅了した。
　この街では、最近、大道芸の人気が沸騰して、全国から数多くの人間が集まってきていた。

　有希も演劇からパントマイムに魅せられて、我流で修行をしていたが、先日、偶然、ショーウィンドーの中のマネキンを演じていた人間に感動し、師事しようと思い立って、この街に来たのだ。
　駅前から中央のビル街を歩いていた有希は、歩道の一角に目が止まった。
「何だろ？あの人混みは・・・ひょっとしたら・・・」
　思ったとおり白く顔を塗った男性が、パントマイムを演じていた。
　子供が通ると急に動き出してビックリさせていた。
「あの静から動・・・そして、また静へ・・・すごいわぁ〜〜」
　少し離れた場所で見ていた有希は、そのまま夕方までその場から動けなかった。
　暗くなるとパントマイムをやめ、その男性は帰り支度を始めた。
「後を追いかけて、無理でも弟子にしてもらおう」
　時代錯誤と言われそうな発想で、有希はその男の後を追った。

　男はしばらく歩いて、中心街から少し離れたビルに入った。
「あそこが事務所なのかしら？」
　有希も後について入っていった。
　ビル自体、取り壊されそうな痛みの激しい建物で、倉庫のような感じもした。
「こんなところで・・・」
　灯りがついているのは一部屋だけで、他の部屋は空き室だった。
　有希は入り口のドアの横にある窓から中を窺ってみた。
　どうやら、練習をしているようだった。
　男が有希の視界から消えた時だった。
　いきなりドアが開いて男が外に出てきた。
「何をしてるんだ！？そこで・・・」
「あのぉ〜わたし・・・パントマイムを勉強したいんです。教えてくれませんか？」
「何を言ってるんだ・・・？そんなところで覗き見するようなヤツが、何を言うんだ！」
「すみません・・・でも、わたし真面目なんです。以前、デパートのショーウィンドーでのパフォーマンスを見てから、この人に教わりたいって・・・そう、決めたんです」
「それで・・・パントマイムを演じて、どうしようって言うのかな？」
「普通は存在感を感じさせず、必要な時だけ存在させ、見ている人を感動させたい・・・」
「それ・・・真面目に言ってるの？今まで、誰かに教わっていたの？」
「勿論、真剣です。ずぅ〜と、芝居を演っていたんですが、どうしてもパントマイムを、それで、先生を探していたんです」
「ふぅ〜〜ん・・・まぁ、中に入りな〜」
　男は、奥に入ってから、しばらくすると、化粧を落として出てきた。
（へぇ〜結構、思ったより若いみたい・・・？）
「名前は？年は？」
「北島 有希、21歳。日頃は食べる為にフリーターしてます」
「そうか・・・21、若いなぁ〜〜僕は、広瀬 佑二、32歳、ここが、オフィス兼自宅」
「えっ？ここで暮らしているんですか？」
「そうだよ、驚いた？このビル、もうじき壊されるんだ。だから、今はタダ同然なんだ」
「雑誌にも紹介されてるような方が、こんなところで・・・？」
「別に・・・有名になったから、環境を変えなきゃならない理由は無いだろ？」
「そうですが・・・」
「じゃぁ、ちょっと、今、演ってみろ！見てやるから・・・」
　有希は喜んで支度をした。

　スリムにＴシャツ姿の有希は、窓際に立って広瀬の方を向き、一度、脱力してから、上体を起こし、顔を斜め上に向けて走り出しそうな格好をしたまま静止した。
　しばらくすると、下を向き手足の前後を入れ替え、進んだようにして静止した。
「ふぅ〜ん・・・」
　広瀬は有希に近づいて、傍でジッと見つめた。
「よく見ると、可愛いなぁ〜細身だけど・・・女だし〜」
　そう言うと、有希のスリムのジーンズを撫でるようにした。
　有希は少しぐらついたが、なんとか静止状態を保った。
「Ｔシャツの下は裸だったりして・・・細いけど、乳はあるのか？チェックしてやろう〜」
　Ｔシャツの上から乳房の辺りを弄って、指で突付き始めた。
「ヤメテ！どうして、そんな悪戯をするんですか？わたしが真面目に演ってるのに・・・」
「バカもん！真面目にやれ〜このくらいで動揺して、マイムを止めてどうするんだ！」
　有希はハッとした。
（大勢の中で演じていれば、触られたり笑われたり突付かれたりもするのに・・・）
「もう一度、演ります！」
　広瀬は、有希の身体を弄ぶように撫でまわし、有希の集中を中断させていた。
「何度やっても、同じだ〜！今の君では、どうしても動揺して乱すに決まってる。マネキンが服に触られて動いたら・・・マネキンじゃなくなるぞ〜！」
　それでも有希は演技し始めた。
　30秒ごとに動きを変え、道を歩く人間を脅かそうとしているようだ。
　ド〜〜ン！！
　有希の傍で床が抜けるような大きな音が響いた。
「何ですか？！」
　またもや、広瀬に引っ掛かってしまった。
　すぐさま、有希は元の静止に戻った。
　広瀬は有希のジーンズの留め金を外し、ジッパーを下ろして、尻の方から下へ脱がせた。
　スリムなので、膝の辺りで止まって下まで脱がせられない。
　その下に穿いていた小さな布切れに手をかけ、膝まで一気に引き下ろした。
「おっ！脱がすと結構、肉があるんだね〜細いから骨が出てくるかと思ったけど・・・」
「あっ、うっ・・・」
　有希は身を捩って抵抗したが、それ以上どうにも出来ず、我慢するしかなかった。
　広瀬は次にＴシャツを上に捲り上げ、簡単に脱がせ、ブラも外してしまった。
「乳も結構、あるじゃないか〜着痩せするタイプなんだね・・・」
　そう言うと、乳房を揉み始め、乳首を舐めたり擦ったりし、有希の集中を乱した。
「あぁ〜〜〜あ！もう、ダメ〜〜！やめて下さい！！」
　有希はその場で泣き崩れてしまった。

「女性は、それだけでハンデを背負ってる・・・パントマイムのプロになるなら、オンナを自分から切り離して冷静に判断できるようじゃないと、とても無理だよ・・・」
　広瀬は先ほどとは打って変わって、優しい口調で有希に接した。
「演劇の世界で言う異化と同化・・・この世界では、究極的に求められるよね」
「どうすれば・・・越えられるのですか？」
「どうだね・・・僕の言うとおりにしてみるかい？」
　広瀬のイヤらしさを感じる所業に疑問を感じたが、今更、後戻りは出来ないと思った。
「えぇ、お願いします」
　有希は若い肉体を晒したまま、広瀬の言葉を待った。
「先ず、今から身体中の体毛を剃って、全身を真っ白にペイントする。客観的に見て全裸だとは思わない・・・だけど、そのまま街でマイムを演じるんだ。通行人の中には全裸だと気づいて悪戯してくるかもしれない・・・。それでも、君は続け切ってオンナのハンデを克服するんだ」
　髪の毛もショートにして性別不明にし、浴室で体毛の処理を始めた。
　腕や脚は自分で剃って処理が出来たが、ワレメや背中からお尻にかけては無理だった。
「あのぉ〜スミマセンが・・・手伝ってもらえますか？」
　有希は広瀬に声をかけた。
　広瀬は自分も裸になって浴室に入っていった。
「コレが勃起してるのは気にしないでくれよな・・・正常な男の反応だから・・・」
　有希は目の前に勃起して昂った肉棒を突きつけられて少々戸惑っていた。
「不感症になれと言ってる訳じゃない・・・女は女の良さを実感していたほうがいい。日常の女性としての自分を把握しながら、マイムの時にはそれを生かして冷静に演る」
　有希は広瀬の言葉の意味を解しかねていた。
　広瀬は鋏で恥毛を短く切り、剃りやすいように準備した。
　シェービングクリームを塗られ、丁寧に傷つけないように剃られていった。
　有希が手を伸ばすと、そこはもうツルツルになってしまっていた。
「うわぁ〜〜子供のアソコって感じ・・・」
　ワレメの周囲以外は早く処理できたが、さすがにワレメの傍は柔らかいので大変だった。
「動かないで・・・ワレメちゃんが傷ついちゃうよ〜」
　１本１本広瀬は優しくきれいにしていった。
「どれっ？」
　広瀬はお湯をかけて洗い流した。
「ふぅ〜ん・・・どんな感じかな？」
　ワレメの周囲をきれいにした広瀬は、自分の舌で舐め始めた。
「あぁ〜〜何を・・・あぅ・・・はぁ〜〜ぁ・・・やめて・・・」
「感じやすいんだな・・・抵抗無く舐められたから、大丈夫だな・・・後は、背中か〜」
　有希の身体を反転させ、背中から尻にかけて剃刀を這わせてアッサリきれいにした。
「最後は・・・ここか〜いいか、尻を剃るから動かないで・・・」
　有希の尻の肉を左右に広げて菊蕾の周囲を丁寧に処理した。
「よし！これで大丈夫だろ〜」
　また、広瀬は蕾に舌を這わせて周囲を舐めた。
「はぁっ・・・あぁ、あぁ〜ぁああああっ・・・はぁ〜〜ぁ・・・」
「湯船に浸かってきれいにしておいで・・・」
　そう言うと、広瀬は浴室を出て行った。
（えっ？絶対に犯されると覚悟していたのに・・・大きいまま出ていっちゃった・・・）
　有希は、内心、肩透かしを食らった気持ちだった。

　浴室から出てきた有希の身体を、広瀬は待ってましたとばかりに白く塗り始めた。
　乳首と、淫壷、淫蕾には、テープを貼って、その上からペイントした。
「どうだ・・・？鏡で見てごらん！」
「わぁ〜っ・・・・・・自分じゃないみたい〜イヤらしくも感じないし・・・よぉ〜し・・・」
　有希は早速、演技し始めた。
「アソコが濡れると、テープが剥がれて見えちゃうぞ〜いいか、感じるなよ〜」
　最初のうちは触られると身悶えていた有希も、次第に集中力を増し動じなくなった。
　数日後、すっかり動じなくなった有希を広瀬はデパートに連れて行った。
「それじゃあ、実践に入るぞ〜」
　婦人服売り場でマネキンと同じように売り物の衣装を着けて立っていた。
　お客が上着を取って自分に合わせ戻そうとすると、手の位置が動いて着せられない。
　不思議そうな顔をしてると、有希はお客の顔を見てニコッと笑った。
「うわぁ〜〜生きてるの〜ねぇ〜みんな、すごいわよ〜〜」
　アッと言う間にマスコミで評判になり、有希の評価は確実に上がっていった。
「良かったな・・・有希、これで、君もプロだ！頑張れよ〜」
　広瀬は、そう言うと、有希の前から去って行った・・・。

　有希は自分が認められても心残りなのは、あの日、大きくなったままの広瀬の肉棒だった。
「わざと悪者になって・・・わたしを指導してくれたのに・・・何の恩返しも出来ず・・・
あぁ〜〜広瀬さんに感じさせてもらいたい・・・」
　マイムにプロとして専念すればするほど、女としての自分を大事にしたいと思った・・・。