その１　密室の生贄

　色白の身体に汗が光り、背中からヒップにかけての見事なラインがゆっくりと上下する。
　曜子はセックスの後の、心地よい脱力感に浸っていた。

　彼とは、近くの喫茶店でよく顔を合わせる間柄だった。
「よく合いますね。この近くにお住まいですか？」
　密かに、身なりが良く背の高い彼に憧れていた曜子は、彼が初めて声をかけてくれた時、内心は小躍りしたいほど嬉しかった。
どんな仕事をしているのか？どこに住んでいるのか？
　曜子は彼の事をほとんど何も知らなかったが、上品な言葉づかいや女性に対する優しい接し方から、彼のことを裕福な家庭で育ったエリートだと勝手に思いこんでいた。
「この近くに、夜景の綺麗なところがあるんです。今度、一緒に見に行きませんか？」
　彼と話をするようになってから、まだ何日も経っていなかったが、はやく彼と親しくなりたいと思っていた曜子は、彼が初めてのホテルに誘ってくれた時、迷うことなくこれに同意した。

（「彼って、優しくて、すごく上手。あぁ、幸せ。」）
　後でもう一度してほしい、曜子は今、心からそう思っていた。

と、そこへホテルのドアを叩く音がする。
（「何も頼んでいないのに、一身体、誰だろう？」）と、曜子が不思議に思っていると、素早く対応に出た彼が、１０人ほどの中年の男を連れて部屋に入ってくる。
「な、何？、どうしたの？」
　曜子が、なにが起きたのか解らず、シーツを引き寄せ、膝を抱えて怯えていると、彼はそんな曜子を無視して、男たちから分厚い封筒を受け取る。
　それから、彼女のバックと服を持って、そそくさと部屋を出ていってしまった。

　男たちが服を脱ぎだした時、曜子はようやく事の実態を知った。
（「えっ！？・・そんな・・まさか・・私・・騙されて・・」）
　そう、曜子は金で売られたのだ。
　顔は人並みの曜子だったが、スタイルはグラビアアイドルができるほどで、商品としては申し分なかった。
　優しさを装った彼は、曜子の身体を準備万端の状態にして、中年の男たちに引き渡した。
　男たちは皆、曜子の美しい裸を眺めては、下卑た笑いを浮かべている。
　一人の男がスポーツバックを床に置き、中から太いバイブや、見たことのない機具を沢山取りだしはじめる。
　曜子は部屋から逃げ出そうと思ったが、自分の服も金も無い事に、その時気がついた。

「いゃーーっ！、お願い、来ないで！」
　上がれるだけの数の男が、ペニスをしごきながらベッドに載ってきた時、曜子は恐怖から悲鳴をあげた。
　だが、このホテルでは声が外に漏れることはない。
　男たちがスローモーションの様に、ゆっくりと曜子に迫る。
「いや・・止めて・・お願い・・」
　何本もの手が、曜子の長く美しい脚を押し拡げ、涎を垂らした舌が、彼女の陰唇の割れ目やアヌス、内ももなどをところかまわず舐め回す。
　すぐに、先を争って上と下から伸ばされた舌が、いっぱいに開かれた曜子のピンク色の身体の内部で暴れ回りはじめる。
　同時に、ローションを滴らされた曜子の全身を、女の身体を知りつくした男たちの手が這いまわる。
　男たちの手は曜子の広く張り出した腰骨をゆっくりと撫で回し、細く括れたウェストを何度か掴んだ後、白く豊かな胸を下から揉み上げていた。
　すでに曜子の口には、入りきらないほどの太さのペニスが喉の奥まで差し込まれていて、ゆっくりと動かされている。
　ベッドの横では、あぶれた男が、曜子の手にむりやりペニスを握らせてしごいていた。
　男たちは、執拗な愛撫を繰り返しながら、眼を輝かせ、自分たちの目の前で身悶えしながら跳ねる、この美しい生贄の身体を眺めていた。
　部屋には、口を塞がれた曜子の「むぐうぅ・・うぅ、うむっーーっ！、んーーーっ！！」というこもった声と、男たちの舌を動かすびちゃびちゃという湿った音だけが聞こえている。

　一人の男がビデオカメラを持ちだして、この様子を撮影し始めた。
　カメラは複数の男の頭が犇めき合う曜子の股間と、時々、ビクッビクッと跳ね上がっている彼女の腰を撮影した後、太いペニスを咥える曜子の口にズームインする。
　何本もの太い血管のスジを浮かべた黒いペニスが、曜子の赤い唇からゆっくりと出たり入ったりしている。
　にやけた微笑みを浮かべたこのペニスの持ち主は、曜子の舌と唇の柔らかさを十分に楽しみながら、時々、そのペニスを曜子の喉深くまで差し込み、曜子の喉奥のでこぼことした部分にペニスの亀頭部を擦りつけて、その感触を味わっていた。
　曜子の下半身では、歓喜の表情を浮かべた男たちが、先程から痙攣しながら達し続けている曜子に、２本目のバイブを挿入しようとしていた。
「ん゛ん゛っーーっ！！、ふっぐっんんーーーっ！！」
　太いバイブを挿入された途端、曜子の身体はブリッジをするように大きくのけ反る。
　そして、そのままゆっくりと腰を上下させながら、股間からビューッ、ビューッと、大量の潮を噴き上げた。
「おおぉーーっ！」
　男たちは口々に歓声をあげながら、気絶寸前の曜子の身体を押えつけ、さらに執拗な愛撫を与えてゆく。
　これから男たちは、中年特有のしつこさで、たっぷりと時間をかけて曜子の身体を楽しむつもりなのだ。

　それから数時間後、曜子は気絶したように薄目を開け、身体を痙攣させながら、それでもまだ、男たちに犯され続けていた。
　一人の男が曜子の上に覆い被さり、もう２０分間も一心不乱に腰を振り続けている。
　曜子の口からは「やめて・・お願い・・もう・・やめて」と、譫言のような呟きが漏れ続けていた。
　男たちは其々、食事を摂ったりテレビを見たりしながら時間を過ごし、股間が大きくなり射精をしたくなると、かわるがわるベッドに上がり、曜子の身体にペニスを挿入した。
　ふだん、見飽きた妻の身体にはぴくりとも反応しない男たちのペニスは、今まで目にしたことのないほど完璧な曜子の身体に、何度も勃起を繰り返し、溜まっていたすべての精液を吐き出そうとしていた。
　男たちは、曜子の身体が自分たちの精液で汚れると、曜子を風呂に入れ、汚れを落とした後ベッドに戻して、その身体を使い続ける。
　すでに曜子の身体には、何十回も男たちの精液が注ぎ込まれていた。

　先程の男が、持っていたビデオカメラをテレビに接続して映像の確認を始めた。
　映し出された映像は、数時間前のこの部屋のもので、曜子に沢山の男が群がっているところだ。
　とたんに、これをみていた男たちの目つきが変わり、食い入るように画面をみつめながら自分の股間を扱きはじめる。
　そして、また次々にベッドに上がっていった。

　部屋に曜子の「いやぁーーーッ！」という泣き声のような悲鳴が響いた。