一夫と裕子は暗い教会をゆっくりと祐子の這う速度で進んだ。 一夫が聞いてみる。 「Ｍ．祐子。君はこの教会のＮｏ．２のＭになった。何か感想はあるか。」 祐子は首を傾げているのみで、内容に加え、その理由さえ、一夫への奉仕に夢中でわからなかったようだ。 「・・・当教会の「最大」のＭが君と同じ事を望んでいる。いつか君が言った通り。暗い仕事をしなければならない。君と私で行う。・・・君は果たして、未来の自分を見る事ができるか。」 「・・・大丈夫です。先代様は喜んで結婚式に「出席」されます。」 （なるほど、そういう「表現」もできるか。頭脳は明晰で、「Ｍ」として極めて完成度は高い。私なんかよりＮｏ．２にはよっぽど相応しい。） 一夫は気持ちが明るく成った。 神父室をノックする。 中から友子がドアを開いた。リードが外され、首輪のみとなっている。 一夫を見て、微笑んだ。 それは美子の生死を決定できる人物になったことのお祝いであろう。 先代の望む内容と同じ事を考える「Ｍ」がこの部屋には2人もいる。 神父室内には美子、三咲も居た。友子と神父がソファに掛け、その横に2人は正座している。 更にその横に祐子が加わった。それぞれ裸で幅広の黒い首輪。 一夫は神父の前に座った。 「まぁ、第一段階は無事終わりましたね。」 「はぁ、そうですね。少し拍子抜けです。」 神父と一夫、息子と父親の会話としては少し異質だが、立場的には当然だろう。 「元老とも言える人達です。もう気骨などと言うものは残っていない。教会の若い女目的のポンコツ。ただし、彼らは必要悪です。まぁ、1年2年で一人ずつ消えてゆくのを待てば良い。」 友子を含め、牝奴隷達は二人の会話に驚かざる得ない。1度や2度、会話をしただけの関係ではない。 「それでは今後とも私の補佐をお願いし、例の件については。」 「いや、先ほどようやく決心がつきました。M．祐子のおかげで。良い奴隷を頂いた。」 「左様ですか。それでは、この件も無事片付く。友子も「女達」の血を引き継ぐ手はずはお忘れなく。」 「はい、了解です。」 男達の重要な会話は側に居る女達はまったく無視され終わった。 「今日、無事、友子は美子の引き継ぎを全て終えました。」 神父は笑みを湛えながら一夫に報告した。 「そうですか。それは良かった。M.友子、おめでとう。そして、美子、ご苦労様。」 友子が顔を赤くする。神父の言った事は友子が神父の完全な肉便器にされた事を意味する。 「お父さん、すっかり教会の方ですね。」 「そうだな。教会のため一肌も二肌も脱ぐつもりだ。」 教会において、二人はほぼ同格になった。つい先日までの友子には信じられなかった事である。 「さて、お父さん。私もこう呼べる方ができてありがたいです。我々もひと時、リラックスしますか。」 神父はここの孤児院の出身である。格上は当然であるが、たぶん、本音でもあるだろう。 「いや、神父様の若干の補佐役。何なりと言いつけて下さい。・・・もう一度、祐子は本当に良い「プレゼント」でした。」 祐子は当然の評価に顔色一つ変えない。 「そこの3人。今日からお前達の主人格に当たる友子を楽しませてやれ。」 神父が命じた。 友子は立ち上がり、ドレスを脱ぐ。下着などは何も付けていないため、すぐ白身の裸体が出来上がった。 友子専用の牝奴隷、しかもＭを剥奪された美子はじっとしていたが、三咲と祐子は足の指先にキスをした後、舌を上へと進めて行く。友子は神父に向けて足を開く形で寝転ぶ。 2つの口が女の敏感な場所を狙い、さ迷い続ける。 祐子は女への奉仕は初めてだが、類稀なマゾヒストは的確に主人の喜ぶ部位に刺激を与えた。 友子は有能なＭ2人の唇、舌、指によって、絶えず喘ぎ声を上げ続ける。 美子は自分の地位を自覚しているため、未だに動かない。神父も無視し、追加の命令は出なかった。 （友子、後で神父様と友子の混ぜ合わせたウンコを美子にくださいね。） 美子は今は十分満足である。 男2人はまたヒソヒソと話を始めていた。 結婚式（詳しくは教会での披露宴）の日となる。 3日前、一夫から肉塊が届いたがそれの一部も披露宴での料理となっていた。 華やかな披露宴である。奥の中央に位置する部分に新夫妻が座り、神父が教会での最も高い地位を示す地味な聖職着、一方、友子はウェディングドレスと頭にはプリンセスの王冠。 そのアンバランスが一層、新婦を引き立てた。 2人は手を取り合い、教会内全てに散らばる今日を祝う信者のもとを回る。 友子のウェディングドレスの裾を2人の少女が持ち、彼女らは誇らしげだった。 花びら、紙吹雪が行く場所で未来を背負った2人に降り注ぎ、やがて元のメイン披露宴会場の聖壇のある場所に戻ってきた。 友子はブーケを持っている。それを果たして投げるのか、或いは地位から言って祭壇に置くのかがわからない。 若い娘はもし、投げた場合はそれを受け取る事は最大の幸福の切符と考え、祭壇付近を埋め尽くしている。 ブーケは投げられなかった。 ただし、数百のブーケが用意されており、結婚前の娘、全てに友子から手渡されていく。 その時間は軽く1時間を要した。 最後にある料理の上に披露宴の最中、友子が持っていったブーケが置かれた。 それは先代の妻の2本の太ももの部分を使った煮込み料理である。 彼女が天国、・・・きっと天国で先代の新婦・奴隷にまたなれるように・・・。 一部の者しか知らない事だが、ブーケが事務員によって片付けられた料理はブーケを受け取った若い娘中心に少しずつ皿に盛られ配られる。 「美味しいお肉ね。柔らかいし。」 「特別なお肉だそうですよ。まだブーケを持った方で頂いていない方はいらっしゃいますか。」 事務員の声が大きくその場で響いている。 「どういう方法で・・・。」 神父が隣の一夫に聞いたことだ。 「別に何も。祐子が腹を十字に割きました。私が口に大便をしている間に・・・。内臓を取り出している最中も舌が動いてましたよ。やがて、血を吐いて・・・。ご自分が望んだ最後ですから、実に静かに。内臓と腐りかけの手首・足首・頭部の「一部」を除いた部分等は焼き捨てましたが、その他は今日の料理に全て使われています。」 一夫は事も無げに言った。 「特殊な部分は後の理事局主催晩餐で出るはずです。」 「血というのは面倒なものですね。血抜きを本を片手に行ったのですが、ただの肉になってしまっては腐敗の原因。赤が未だに目に焼きついています。きっと、あの赤は人間の執念の色。血は人間そのものです。」 「なるほど、血そのものが人ですか。確かに次の世代を形造るものですからねぇ。」 神父は若い娘が「肉」を口にし談笑している様を見ながら答えた。 披露宴が終わり、事務員達が総出で教会の片付けをしている時、運営局の晩餐会が始まった。 先日の会合とまったく顔は一致している。 もう、かなりの量のアルコールを飲んでいる局員は何度も下に居るＭに小便を飲ませ彼女らの尿を入れるビニール袋も使用されたものが1つ、2つは横にあった。 「Ｍ．友子。今日、最後の儀式です。これを召し上がって下さい。」 一夫が差し出したものは、赤いヨーグルト状のものである。 「これは何ですか。」 「私が答えよう。」 友子の質問に神父が言った。 「しっかり認識し、食べた方が良いだろう。それは先代の妻の脳とヨーグルト、それに凝固を防いだ血だ。つまり、君がＭとして、この教会のトップレディー、孤児院のトップを引き継ぐ者であることの示す儀式・証明。それを食し、先代の意思は君は受け継ぐ。」 「頂きます。」 一口、一口、友子は大事そうに食べて行く。 ここで昔の女の考え方、人間性、そしてＭの素養が友子に伝わったかはわからない。ただ、一人の女の執念はバトンを確実に渡し、消えて行った。 しかし、美子の口になされる、その消化物の方が効き目はあるに違いない。 「終」 |
| 2012.11.10掲載 |
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