第１章

　理保は無我夢中で何者かから逃げようとしていた。が、まるでプールに浸かっているかのように身体が思うように動いてくれない。
「誰かぁ！助けてください！」
　すでに何十回も同じ台詞を叫び続けている。必死な叫びも次第に涙声と変わり果て、理保はこの理不尽な状況に藻掻き苦しんでいた。
「ここはどこなの？なんでこんなっ！」
　無限に広がるコンクリートの空間。どんなに進んでも出口が見えない。四方がコンクリートの壁で閉ざされていることは認識できているのに、距離感がまったく掴めないのだ。
「あっ！だめっ！」
　ねっとりとした触手のようなものが理保の左腕に絡まり、理保の身体はそこを支点にしてくるりと反転する。ついに捕まってしまったという絶望の中で対面した目の前の怪物を見て驚く。
「えっ？」
　それは彼女が日頃から大切にしているぬいぐるみをやや巨大化させたものだった。
「ムンちゃん？」
　ムンという呼び名のぬいぐるみから何本ものグロテスクな触手が伸びており、理保を威嚇するように大きく広がったかと思うと、目にも止まらぬ早さで彼女の右腕と両脚にも絡みついた。そうして完全に捕獲してから、別の触手が彼女のスカートを捲り上げて、下着の上から股間を擦り始めた。彼女が穿いているスカートは彼女が彼氏に内緒で働いているデリヘル店の常連客からプレゼントされたもので、ブラックを基調としたチェック柄のプリーツスカートだった。
「ムンちゃん、やめてっ！どうしてこんなことするの？」
　あまりに現実離れした事態に理保は激しく動揺しながら泣き叫んだ。
「やっ、そんなことしないでっ」
　手足を拘束されている彼女は為す術もなく藻掻くのみで、触手は容赦なく理保の股間に刺激を加えてゆく。
「いやっ！お願いっ！お願いっ！」
　とめどなく流れる涙。そして抗うことのできない快感に気が狂いそうになる。
（こんなのイヤぁ）
　理性とは裏腹に身体が刺激を求めてしまう。身体が火照りだし、急激に敏感になってゆく。触手は彼女の股間が濡れていることをあざ笑うかのように、スカートと下着を無理矢理引き裂いた。ビリィッという音と同時に一本の触手が理保の膣内にずっぽりと潜り込んだ。
「かはっ！」
　意識が一瞬飛んだ。理保の目が大きく見開かれ、触手で雁字搦めにされている手足がビクッビクッと痙攣する。今まで経験した男性の誰よりも比較にならないくらい太くて長い触手がボツボツの突起で彼女の膣膜を擦り上げながら一気に膣奥の子宮に当たったのだ。
「ひぐぅ！！！」
　理保は言葉にならない悲鳴を上げてあっけなく絶頂した。触手が収縮した膣内を擦りつけながら引いてゆき、再びめり込んでくる。
「あぁ･･･あぁ･･･」
　あまりに圧倒的な刺激に理保は気を失いそうになった。いつの間にか別の触手が服を引きちぎり、ブルンとこぼれ落ちた豊満な胸を絞るように揉みしだきながら乳首に吸い付いていた。
「あひっ･･･はひぃ」
　呼吸することすら困難になり、理保の視界が少しずつ狭まってゆく。
「･･･ムンちゃん、お願い･･･こんな、壊れちゃう･･･」
　涙が止めどなく溢れ、足下で溜まっている自身の愛液と混じり合う。朦朧とした視界に、たくましい肉棒を擬した触手が現れた。理保は無意識に口を小さく開けた。肉棒はたちまち理保の口をいっぱいにして、理保を苦しめた。
「んふぅ･･･んっ！」
　鼻で懸命に息をしながら、理保はフェラチオで怒張した肉棒を宥めようとした。不自由な体勢で敏感な乳首や膣内を猛烈に犯されながら、薄まる意識の中で必死に舌を動かす。味も臭いもしない。
（ひっ？）
　理保の全身がビクッと震えた。失神しかけたところに冷や水を浴びせられたような、そんな感触。なんと理保の乳首から母乳らしき白い液体が溢れだしたのだ。
（えっ、なんで？なんで？）
　パニックになる理保を意に介さず、下では膣内へのピストン運動が激しさを増してゆき、急に熱を帯びたかと思うと抵抗する間もなく膣内へ射精されてしまった。
（えっ？ちょっ！）
　今まで膣内へ射精されたことはなかった。友達が避妊を怠ったために大変な目に遭ったのを知ってからは相手には必ずコンドームを着用してもらっていたのだ。
（いやぁ、今、中に出されたぁ！）
　ほぼ同時に起こった初体験による蕩けそうな快感と激しい恐怖が入り混じり、理保は気が狂いそうになった。と同時にビューと勢いよく理保の母乳が噴き出した。
（ひぁぁぁ！！！）
　こうなると何も考えられない。頭は真っ白になり、理保の身体だけが快楽の中で痙攣を続ける。ガクガクと震える身体と崩壊する精神。理保は触手を咥えたまま気を失い、なおも触手に犯され続けた。

　淫夢から目覚めると、理保はベッドに寝かされていた。すぐ脇に理保と同じくらいの年格好の女性が座っていた。
「理保、大丈夫？」
　心配そうに声を掛けてくれるのは、明らかに理保の顔見知りだ。だが、彼女が誰なのかが思い出せない。
「ねえ、理保ってば」
　女が理保の頬を優しく撫でる。顔見知りどころか、随分親しい間柄のようだ。理保は彼女に微笑みながら必死に記憶を探った。
（誰だっけ？私、この子のこと知っているはずなのに、仲の良い友達のはずなのに！）
　心の中で何度も問いただすが、全く思い出す気配がない。すると女の手が少しずつ、理保の頬、首、鎖骨へと動いてゆく。
（あっ、だめっ･･･）
　この時、理保は２つのことに同時に驚いた。声が出ないこと、そして自分が素っ裸であることだった。
（なんで！？）
　パニックになる理保をあざ笑うかのように女の指が理保の豊満な乳房を撫でて、乳首をキュッとつまみ上げる。理保の身体が電気が走ったように跳ね上がる。女が妖しい笑みを浮かべて言った。
「おっぱい出るの？」
　理保は恐怖に顔を引きつらせた。つい先ほどの強烈な夢、ムンちゃんに犯された夢を思い出す。膣内へ射精されたと同時に理保の母乳が勢いよく噴き出したのだ。
（いやぁ･･･いやぁ･･･）
　理保は激しく首を振ったが、まるで力が入らず起き上がることができない。女が優しく理保の胸を愛撫しているうちに、徐々に乳首の先に何かがせり出してくるような感覚が強くなってゆく。
（違うの！これはっ！いやっ！もういやっ！）
　女がギュッと理保の胸を絞る。ビュッと白い液体が噴き上げ、鋭角の放物線を描いて泣き顔の理保の顔にかかった。避けることもできず、理保は茫然自失の体で生温かい自分の母乳を肌で感じた。あまりのショックで歯の根が合わない。
「すっごーい、どんどん出ちゃうね」
　女は笑いながら何度もギュッ、ギュッと理保の胸を絞り上げた。その度に母乳が噴き出して理保の顔を濡らした。
「おいおい、すごい締め付けだなぁ」
　いきなり女以外の声がして理保は心臓が止まりそうなほど驚いた。いつの間にか１人の男が理保の中を肉棒で犯していた。全然そんな感じはなかったのに、そう認識した瞬間に男の腰の動き、膣内の襞が擦れる感触、男の肉棒の熱を感じた。
（いやぁぁぁ！！！）
　男はデリヘル店の店長だった。
「君がおっぱい噴く度にさ、締め付けがすごいんだ」
　店長はいつものように人の良さそうな笑顔を浮かべながら、理保を犯していた。店長と女は親しげに笑い合った。
「そうなんですか？じゃあ、こうしちゃう！」
　女が嬉しそうに理保の胸を絞り上げる。噴き上げた母乳が理保の顔にかかる。
「おいおい、すごいって。･･･あぁ･･･イクぞ！」
（えっ！待って！待って！！！）
　理保が藻掻く。声が出ない。店長の腰の動きが俄然勢いを増す。女が何度も理保の胸を絞る。顔を自分の母乳まみれにされながら、理保が声にならない叫びを上げる。
「おらっ！」
　店長が彼らしくない力強いかけ声とともに理保の膣内へ射精をした瞬間、理保はガバッと跳ね起きた。

　理保は肩で息をしていた。
「はぁっ！はぁっ！･･･はぁ･･･何なの、今の夢･･･」
　とんでもない夢だった。すぐ隣にムンちゃんのぬいぐるみがあって、一瞬だけビクリとしたが、気を取り直して優しく抱きしめた。
「ムンちゃん、酷いよ、もうっ」
　時計を見ると朝の５時だった。ちょっと早いが汗でぐっしょりになっていたので、パジャマを脱ぎ捨てシャワーを浴びることにした。秋の涼しい季節なので風邪を引かないように注意しなくてはならない。シャワーを浴びる前に理保はなんとなく股間に手をやった。思った通り濡れていた。
「･･･ムンちゃんはともかく、店長に犯されるなんてありえないよぉ･･･」

　こうして理保の恥辱まみれの誕生日が始まった。