龍 晃一 作
| 第６章 天知る地知る 小佐野教祖は野望実現させる為に、自衛隊を退官した者を信者として獲得に力を注いでいた。 国防軍を組織するに必要な人数、５００名を獲得していた。信者獲得に貢献した二人に美女を妻として与えた。その二人に太平洋に浮かぶ無人島を買い取り、凛々教の聖地にしょうと考えていた。 飛騨にある山奥の神殿と孤島の神殿を完成させることで、日本国の支配を受けない帝国づくりを視野に入れていた。秘密裏の内に地下宮殿と神殿を３年を目標に完成させようと急がせている。勢力が大きくなればなるほど美しい女達の調達も容易になってくる。地下宮殿には、空軍と海軍基地も併設しようとしている。日本が不況の嵐の中で大学を卒業した若者も大量に採用した。 権力とは、金の力と集団の力だと小佐野は理解している。この両者を手に入れる方法として宗教を選んだ。現在はその選んだ道が正しかったと豪語していた。 瑠璃子は、副代理教祖が１２名になったとき、教祖お側付きを命じられた。信者の男と交わることも役得だと思っていた。この世界で生きるには、与えられた任務を楽しく過ごし、自己も相手も楽しませることが務めだと思っていた。娼婦のようだと毛嫌いした副代理教祖もいたが、結局、役職を解かれ、１位を獲得した男の妻として嫁がされた。 教祖は、皆の前で妊娠させた男にその女を与えると豪語しているが、全員が子宮にリングをいれているのでほぼ妊娠する確率は、ゼロに等しいが妊娠させても良いと言われると男達はハッスルするものなのである。妻として払い下げられた女達は、リングの摘出を受けた。 瑠璃子にもリングを摘出するように言われた。 「瑠璃子は、俺の子供を産め」 反論する気もないが妊娠すれば、教祖夫人となれる。第１夫人、第２夫人といる。妊娠すれば、瑠璃子は第３夫人となれる。 妊娠すれば二人の娘にも完全に会えなくなってしまうが運命として捉えるしかなかった。リングを外されて、ほぼ連日教祖の愛を受け入れていた。このままでは妊娠すると覚悟した。８０を越えている老人の精を毎日、２回、３回と注がれた。 ２ケ月後、生理が止まった。瑠璃子としては３人目の子を宿した。女として生まれた以上、愛された男の精を受け入れると妊娠する。子供を産むことが女の使命なのだと祝福された。教団内においても瑠璃子が第３夫人として認知されてきた。 妊娠してしまうと瑠璃子は京都の宇治に戻された。京都の宇治が瑠璃子達の屋敷として与えられた。 教祖は、第一夫人を東京に、第２夫人を札幌に置いている。万が一警察権力に弾圧されても子供達は大学まで行けるように財産を与えられ、教団とは隔離された。 瑠璃子が教祖の子供を出産した。女の子であった。村口茜と命名された。父親の欄には、小佐野が認知してくれていた。屋敷の名義、貯金通帳も村口瑠璃子と村口茜口座が開設され、毎月の仕送りがなされた。瑠璃子が出産した3ケ後に沙織も出産した。沙織が第４夫人として和歌山の白浜に居を構えた。沙織は男の子を生んだ。 瑠璃子達は、教団が恐ろしいことを企てていることを知らなかった。小笠原諸島にある無人島の基地が完成した。教祖も幹部も、側近の女達も島に移り住んだ。 ３艦の潜水艦を建造して、試運転しているときにＫ国の潜水艦に衝突をしてしまった。Ｋ国が激怒した。凛々教の潜水艦と戦闘になってしまった。戦闘になれば力量不足はいがめなかった。３艦とも撃沈されてしまった。そのうちの一艦が傷ついたまま基地に戻ろうとした。 その航跡を追尾されていた。無人島の基地は、魚雷攻撃と爆撃を受けてあっけなく壊滅してしまった。 島に移り住んだ全員が爆発で跡形もなく海底に沈んでしまった。 海底に沈んだことで凛々教が企てようとしていたことが露と消えてしまった。教祖も爆発の中で絶命したと思われた。瑠璃子達には、証拠となる書類が爆発で皆無になってしまったことが幸いした。教団と関連していると思われていたが、結びつけるものがなくなった。 瑠璃子達は、万が一に備えて四国の街に移り住んだ。凛々教との関連を指摘されると財産まで没収される恐れがあった。預金も極秘のうちに移し替えられていた。小佐野が望んでいたことは、小佐野が死んでも、血の繋がりのある子供達が親の夢を適えてくれるようにと４人の聡明な女に胤を託したのだった。この世の中に小佐野のような人間は２度と現れないと思われているが----。 沙織も白浜から広島に移り住んだ。禁止されていたことであったが、仲良しの二人は内密でメールの交換をしていた。それぞれの土地に移ってからは携帯も新しいものにした。中のメモリーを消去して港から海底に捨てた。 日本の景色も一転した。長い不景気から脱却しつつある２０２○年。過去にそんな宗教団体があったことも人々の記憶からは消え去っていた。瑠璃子が入学したＫ大に娘が合格した。偶然にも沙織の息子もＫ大に入学していた。 沙織も瑠璃子も愛する主人に離婚を迫られた環境が酷使していた。お互いの刺激があったからこそ、今まで生きてこれたと思っている。瑠璃子も二人の娘とも再会できた。お互いに深い溝があったがこの溝は時間が解決してくれると思えた。 子供達の入学を機に瑠璃子も沙織も住まいを東京に移した。 ----完---- ありがとうございました。登場した人物も名称も架空の者です。 |
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| 2013.6.29掲載 |
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