【４】

「明彦くん、ほんとに初めて？」
「は、はい」
「キスは？」
「いいえ、まだ……ぼく、女の人の体に、触ったことも……」
「それじゃ、美樹とも……」
　艶冶に満ちた柔らかな面差しで、彩乃は豊かな曲線を描いた腰をしとやかに振りながら、立たずむ明彦の方へゆっくりと歩み寄る。
「あっ……」
　憧れの彩乃に誘われ、気恥ずかしさに思わずうつむいてしまう明彦。目の前には、カラフルな花模様のカバーを掛けられたダブルベッドがある。
　彩乃は緊張している少年のウエストに手をあてがう。
「震えてるのね。怖がらないで、いいのよ……、おばさんが教えてあげるから」
　耳もとでやさしくささめくなり、自らの腰を密着させた。
　穏やかながら大胆にして、蜜のごとく甘く危険な大人の世界へといざなっていく。
（フフ、もうこんなに……）
　熱をはらんでジーンズの生地を猛然と押し上げている明彦の硬質物が、彩乃の下腹部を圧迫した。
　目を閉じ、少年の口を塞ぐように唇をごく自然に押しつけていく彩乃。
「あっ、お、むん……」
　美しい彩乃に蠱惑的で柔らかな唇を重ねられただけで、明彦の体は金縛りにでもあったようにたちまち硬直させる。
　そのウブな、どうしようもない敏感さが、彼女にはたまらなく新鮮だった。
　いかにも童貞らしい無垢な反応を楽しむように、彩乃は明彦の唇を軽く吸いあげると、腰のあるマッシヴな舌でこじ開け、少年の口の中に挿し入れていく。
「むぐっ……」
　目をしばたたかせて狼狽する明彦をよそに、彩乃はときおり薄目を開けて、ことさらにしなやかな舌使いで、舌の表面だけでなく、口内の側面や裏側までまったりと舐めまわした。匂い立つ牝のフェロモンとともに、ドロドロとした大量の唾液を口内に注ぎ込む。
　ゾクゾクッとする快感と、濁流のように注ぎ込んでくる唾液に圧倒され、彼女の唇から逃れようとする明彦をグッと引き寄せた。
　少年と交わす甘美にして官能的な口づけに、熟れた女体は蕩け、瞼がしっとり潤んでくる。
（美樹に……）
　フッと娘の顔がよぎる。
　しかし、一瞬の後ろめたさも、相手がいじらしいまでに一途な明彦なら許してあげても……、という思いが彩乃の中から美樹の存在を掻き消した。
「どうぉ、初めてのキスは……？」
　甘いトーンで、彩乃は尋ねた。
　濃厚なディープキスに酔いしれて、明彦にはもう返す言葉がない。
「ベッドに座って……」
　明彦をベッドに腰かけさせると、彩乃も密着するように座る。
　玲瓏として輝く宝石のような瞳を明彦の股間に向け、おもむろに少年の胸に当てた手を這うようにしてゆっくり下ろしていく彩乃。
「あっ……」
「じっと、してて」
　そっと囁くと、器用に明彦のジーンズのホックをはずし、ジッパーを下へ滑らせた。そして、ブリーフと一緒に膝まで引き降ろす。
　黒い繊毛の中心からアメリカン・ウインナーのような太い肉棒が突き出てきた。
「あ……」
　思わず明彦は、感嘆とも悲鳴ともつかない声を上げてしまった。
　やはり彩乃の前に下半身を晒した羞恥が、火のように込み上げてきたのだ。
　肉棒が、ついさっき放出したにもかかわらずパンパンに勃起してきている。
「まあっ、こんなに大きくなって……」
　彩乃も、その肉棒の威勢に目を見張った。
　まだあどけなさが残る明彦のことだから肉棒も同様と思っていた彩乃は、その予想を超える隆々とそそり立った牡のシンボルに、驚きを禁じ得なかったのだ。
　明彦の可愛らしい容姿とは結びつかないほど立派な肉棒。それだけに、剥き出しにする前と後では、微妙に彩乃の態度が違ってきたのが自分でも分かった。
「明彦くん、いいのよ……恥ずかしがらなくて」
　と囁くように言ったものの、それは明彦の緊張や羞恥を和らげるためというより、彩乃自身への言い聞かせに近い。
　やがて彩乃はこわごわと手を近づけ、肉棒の根本のあたりに、どこかためらいがちにたおやかな指を絡ませた。
　あくまでもやさしい笑顔を絶やさなかったが、明彦の凄みさえ感じる手応えに、彩乃はすべやかな頬のあたりをほんのり朱に染める。
（な、なんて凄いのぉ……、こんな硬くなったオチンチン触れるの、久しぶり……）
　明彦にその動揺を気づかれないようにうつむいた。しかし、彩乃の細かな変化に気づくほどの余裕は、明彦にはなかったようだ。
「うっ……」
　指が触れた途端、ビリッと肉棒に電流が走ったように、明彦は思わず呻き声をあげた。自分の指とまったく違う感触だったのだろう。
（気持ちいいんだわ……）
　熱くたぎるような肉棒に絡むひんやりとした指が、えも言われぬ心地よさを与えたのか、明彦は自然と恍惚とした表情を浮かべた。
「す、すごいわ、明彦くんの……。大きくて、すっごく熱い」
　どこまでも熱い明彦のペニス。包皮はさも少年のモノらしくやわやわとしているのに、中身はぎっしり詰まっているようにカチンカチンに硬い。その１６歳らしからぬイチモツが自分に向けているものと想えば、彩乃は少なからず戦慄を覚えた。
　年下のボーイフレンドとの経験はあったにしても、親子ほど齡の離れた少年の、しかも初々しい童貞の発情物を握るのはこれが初めてだった。おそらく美樹にもまだ触れさせていない初物、いやが上にも不道徳心にさいなまれずにはいかない。
「明彦くんのって、逞しくて、とっても硬いわ。もう、立派な大人よ……」
　張りつめた硬質感に導かれるように目線を下に向けると、彩乃はそう口走る。明彦の強張りは隆々とし、鈴口にはすでに真珠のように輝く透明な愉悦の雫が満々とたくわえられていた。
　その鮮烈なまでの脈動と、亀頭全体が爆裂するのではないかというほどのエラの張り具合から、彩乃にも自分を欲しがっているのが手に取るようにわかった。
（あぁ、これが女を知らないオチンチン、童貞なのね……。なんてきれいな色してるのかしら……）
　フレッシュという表現がぴったりなパールピンクの、一度も淫水を浴びていない禁断の果実らしい男根は、彩乃をうっとりさせた。
　とはいえ、手の中でどうにもならないほど長大な海綿体をグングンとみなぎらせ、激しい脈動も誰のモノにも見劣りしない。
「じゃあ……いくわよ」
　コチンコチンの感触を、肉塊にいっぱい詰まったエネルギーを味わうかのように、彩乃は握りしめた手をそろりそろりと上下に動かしはじめた。
「あ……うう……」
　明彦は呻き声を洩らしながら、恍惚とした顔で彩乃にすべてをまかせきった。頭の中はボーッとして何も考えられなくなっているのだが、そのくせ、快感を感じる神経だけは鋭く研ぎ澄まされている。
　最初はゆるやかに擦ったり揉みこんだりしていた彩乃の指が、時折力を込めてキュッと肉棒を締めつけてくる。そのたびに鋭い快美感が全身をつらぬいた。
「どう、気持ちいい……？」
　かすれた声を絞りだすように、彩乃が聞いてきた。
「は、はい……、おばさん……気持ちいい、気持ちいいです〜……」
　明彦は首を縦に振って答えた。
　毎晩しているオナニーと較べものにならない言いようのない快感が、明彦の下腹部から全身に広がるのだろう。額に汗が滲み、鼻息も快楽に向かって一気に色めき立つ。
　彩乃は肉棒をしごきながらもたれ掛かってきた。美貌とともに、朱色のしっとりした唇が近づいてくる。その唇が、いままで感じたことのないほど濡れ濡れとして艶めかしい。
　しかも、密着した彩乃の体からは何とも甘い体臭が漂っていた。彩乃自身の肌の匂いに化粧品の匂いがほんのりと入り混じり、明彦の鼻孔を心地よくくすぐってくるのだ。
　柔らかい手のひらで強弱をつけて揉みしだいたり、滑らかに幹を少し往復するだけで、実際に女性の性器に挿入したかのような、何とも言えぬ甘美なまでの快感が少年の体を弓なりに反り返させ、若い果実は悍馬のごとく手の囲いから飛び出しそうになる。
「ああ〜、気持ちいい、ぼく、もう……出る……で、出ちゃう……」
　官能的な性感を我慢する心得などまったく知らない童貞の、せっぱ詰まった声が何を意味するのか、女の彩乃は熟知していた。
「出そうなの、明彦くん……？いいわよ、思い切り出して……」
　ティッシュケースから素早く何枚か取った。美樹の美母は指に力を込め、上下に擦り上げる速度を速める。
　美麗な彩乃にしごかれれば、あとは爆発するしかない。
「いいのよ……だ、出しても……」
　彩乃はうながすようにもう一度言いながら、明彦にさらに顔を近づけた。そのくせ明彦と目を合わせるのが恥ずかしく、合いそうになるとフッと目線を落としてしまう。
　呼吸は荒く、額にうっすらと汗を滲ませつつ、甘ったるい吐息を肉棒に吹きかける。
　本当は自身の行為に背徳的な脅えと羞恥を覚えているのに、明彦のために懸命に手を動かしる彩乃。そんな彼女の気持ちを知るよしもなく、明彦は限界に達してしまった。
「はあっ、お、おばさ〜んっ……」
　耐えきれなくなったような明彦の叫びとともに、少年の腰があどけなく軋んだ途端、硬直しきった童貞の果実は炸裂し、白い樹液が宙に弾けた。
　なんという気持ちのよさだろう。肉棒の付け根から先端までが痺れきってしまい、その衝撃が全身に津波のように広がっていく。あたかも快感という炎に、一瞬にして身を焼きつくされたかのようだった。しかも、これは夢ではないのだ。
（ああ……こんな快感があったなんて……）
　明彦は恍惚とした表情で、自ら下腹部に力を入れた。
　慌てて重ねられたティッシュの中にピュッ、ピュッ、ピューッと何度も、音が聞こえんばかりに激しく撃ちつづける。
（イッた、顔も可愛いわ……いっぱい、出してちょうだい……）
　快美な絶頂感に打ちひしがれる童貞少年の表情を穏やかに見つめながら、彩乃はティッシュを突き破るかの鋭い射精に少しも臆することなく、ピクピクと脈打つペニスを手のひらに感じつつしごき続け、断末魔のような痙攣が鎮まるまで、明彦にありったけの生温かいエキスを迸らせた。
　欲望のすべてを噴出しつくすと、明彦が虚ろな眼差しを彩乃にチラッと向けてきた。
「フフッ、明彦くんって、女の子みたいね……、激しくあえいじゃって」
「す、すみません……」
「そんなに、気持ちよかったの？」
「……」
　何とも言いようのない羞恥がウブな心を灼き尽くすかのように、少年は顔を朱にしてはにかんだ。広げられたティッシュには大量の樹液がヌラヌラと光っている。
「こんなたくさん、出たのね……」
「で、でも……、ぼくだけが……」
「ううん、いいのよ……。明彦くんが、気持ちよくなってくれれば……」
　申し訳なさそうにする明彦に対して、どこまでも柔和な慰め顔で、恥ずかしげに軽くかぶりを振った。
「ああっ、おばさん……」
　握られたまま、明彦は照れ臭そうに頭をかく。
　その気づかいが、彩乃にはうれしかった。
「ねえ……」
　少年が放出した快液をティッシュで拭き終えたところで、彩乃はにっこり微笑んだ。そして、脚を明け透けに組み、太股を大胆に露出させる。
　明彦のペニスは先ほどの精気が嘘のようにすっかり萎えていた。
　この様子では、少しぐらいなら少年の心を惑わすストッキングに包まれた太股を見せつけても、すぐにはいきり立ってこないように思えた。
「お、オナニーって……毎晩してるの？」
　ポッと顔を赤らめて、少年に尋ねた。
「あっ、はぁ、はい」
「へぇ、明彦くんも、男の子ね」
「ほとんど毎日です。出しておかないと、落ち着いて勉強できませんから」
「そういうものなのぉ……、じゃ、どのぐらいするの？」
　かねてから知りたかった問いを、さりげなく明彦にぶつけてみた。
「一日、５、６回はしてるんじゃないかなぁ」
「まぁ、そんなに……」
　予想外の答えに、彩乃は声を上げる。
「やっぱり、エ、エッチなビデオとか、雑誌なんか見たりして」
「いや、最近は……、お、おばさんのことを考えながら……」
「や、やだわ、明彦くんったら、もう……」
　明彦の行為を明からさまに想像させる言葉に年甲斐もなくつい赤面してしまったが、自分に対してここまで思いを寄せてくれていた彼の気持ちが、とても嬉しかった。
　タイトスカートの裾がいつの間にかずり上がり、アーモンドブラウンに飾られた太股の全容があらわになっていた。
　すでに少年の視野にはしっかり収められていたのだろう。
　すっと明彦の股間に視線を向けてみると、二度目の悦楽をねだるように、萎えていたはずの肉塊が敏感にピクッピクッと脈を打ちだしはじめている。
「いいわね、若いって」
　一瞥して、彩乃は妖しい笑みを見せる。
　そして、さらにウブな心を手玉に取るように、明彦の手を自分の膝の上にのせた。
「はぁ」
　明彦の声が小さく弾け、目玉を丸くする。
「いいのよ……」
　それとなく腰を上げ、シワを伸ばすような振りして、ずり上がったスカートの裾を両手で下に引っぱりながら、彩乃は明彦の顔をやさしく見やった。
　膝頭とはいえ、ストッキング独特のナイロンの柔らかい感触に助長されたのか、少年の気色ばむペニスは肉感とともにますます角度を上げてくる。
「す、すみません、おばさん」
「謝ることなんかないわ……とっても、うれしいの。興奮してくれて……」
「そりゃあ……。は、初めて……その、セ、セックスが、おばさんと……」
　明彦の声が微妙にうわずっていた。とうとう憧れの彩乃とセックスができるとなれば、それだけで気持ちが昂ぶってくるのも無理はない。
「明彦くん」
「は、はい」
「明彦くんの希望、すぐ叶えてあげたいんだけど……、クリスマスの時にしましょ……」
「えっ？」
　期待を削ぐ彩乃の言葉が、明るかった明彦の表情を一変させる。
「じらしているわけじゃないの。ただ……明彦くんの記念日になるから、こんなところより、素敵なホテルで初体験してもらいたくて……」
「あっ、は、はい」
　微笑みを投げかけながら静かに話すと、明彦は力なく返事し、肩を落とした。
（一生忘れられない、素敵なプレゼントにしてあげるわ……）
　あまりの落胆ぶりに見かねて、彩乃は彼の股間を見据えたまま勃起している肉棒に指を絡みつけた。そのまま少年の前にタイトスカートをややたくし上げて腰を落とす。