たけろう 作
| 再会 後篇 部屋ドアを開けると暖房が十分にきき、暑いほどだった。 「暑いね・・」 幸子がつぶやいた。 酔いに暑さは気持ちが悪くなるだけと思い空調をオフにしてコートを脱がした。 幸子もおれのジャケットを脱がし、ハンガーにかけて振り向くとすっと前に来ておれに抱きついてきた。それは自然な感じでおれも素直に受け止め、抱きしめた。 幸子の腕は背中に回り、撫でるように動いている。 柔らかい髪を指で梳く。 白いうなじが見え隠れして細い鎖骨がはかなげに思えた。 胸に顔をうずめていた幸子がゆっくりと顔を挙げオレを見つめる。 「どうして・・・？」 野暮な質問が口をついた。幸子は答えず顔を寄せてきた。 自然に唇を合わせる。 触れてすぐに舌を絡ませる。、熱く濃密な熱が伝わってくる。 幸子は控えめでもなく、性急でもなくオレに合わせて舌を絡ませてくる。 細身の身体の中にこんな熱さが隠されていたのかと背筋に甘い痺れが登ってきた。 気がつかなかった意外に豊かな乳房がやわらかく胸を刺激する。 身体は幸子に向かって熱くなってきていたが、このまま抱くのが躊躇われた。 幸子を汚してしまう様な気がした。 「シャワーを浴びるよ」 そういってオレはバスルームに入った。 シャワーを頭から浴びはじめたとき、ドアが開いて幸子が入ってきた。 下着もつけてない。胸は申し訳程度に腕で隠していた。 「私も・・ご一緒していいですか？」 「あ、ああ」 幸子がバスタブに入り、俺の前に立った。 想像したより華奢ではなく、うなじから足まで柔らかい曲線が続いた。 やはり豊かな形のいい白い乳房につんと尖った乳首が乗っていた。 幸子は濡れたオレにすっと抱きつき、背中から尻までゆっくりと手を這わした。 シャワーが幸子の髪を濡らし、首筋に張り付く。 髪が濡れることを躊躇しないまっすぐオレに気持ちを向けてくる幸子に行きずりという意識は消えていた。 柔らかい体が密着した時には既に、ペニスはまみの腹に挟まれ上を向いていた。 幸子の手は前に来て、胸や首筋を這う。 ふと石鹸は使わないのかと思った時、手がナニを包み込んでゆるゆると扱いた。 竿と袋を両手で揉みながら、唇が胸に当てられた。 チロチロと舌が蠢き、不意に舐め上げた。 オレはシャワーを止めた。 幸子の舌は胸から腹、腰骨となぞり、跪くと軽く手を添えゆっくりと先端を舐めた。 柔らかい舌だ。あくまでゆっくりとした動きのまま舌は止まることなく竿を隅々まで嘗め回す。 時折目が会う。まみの目は商売女のそれではなく、情を通わせた女の目だった。 遠い記憶の中に見たような不思議な感覚だった。 思えば石鹸を使っていないそれを躊躇無く、舐めている。 柔らかい舌が竿の下の袋まで這い、舐め玉を口に含んだ。 濡れて光っている口の周りが下品でなく、むしろ艶かしいのは幸子の緩やかな動きのせいだった。 射精を促すのではなく、愛撫としての行為だ。このままこの時間が永遠に続いてもいいと思った。 オレはまだ幸子に触れていない。 いや、正確に言えば愛撫をしていない。 両肩に置いていた手で幸子の頬を撫でた。 竿を含んでいた幸子は口を離し立ち上がった。 頭一つ小さい幸子は顔を上げる。 オレがしたいことが分かるのかと思ったが、そのまま唇を重ねた。 ゆるゆると絡み合う舌がこんなに感じるものなのか・・ 手は背にまわり、舌の動きに合わせるようにもどかしく這った。 バスタオルで互いの水滴を大雑把にふき取るとベッドに移った。 再びキスを求めた。彼女もそうしたかったのか飽きずにキスを続ける。 段々と息が荒くなる。はあぁっと切ない吐息を漏らしたのをきっかけにオレは耳から首筋、鎖骨と唇と舌を滑らしていく。 左の胸の尖った乳首の脇に小さいほくろが二つ並んでいた。 その瞬間、オレの頭の中でフラッシュが光った。 ベールのかかった既視感が通り過ぎる。 (いつか見たような・・・) 興奮で熱くなった頭の中で既視感の記憶を手繰る自分がいた。 幸子・・・幸子・・ ・・・・幸子・・！？ 幸子！！ いきなりあやふやなもやが晴れた。 オレは顔を上げ見つめると 「幸子・・さん？」 そう問いかけた。彼女は嬉しそうに微笑みコクンと頷いた。 高校時代、オレは実家を出てこの町の祖父母の家からこの町の高校に通っていた。 向かいに新聞屋があり何人かの新聞奨学生が住み込みで高校に通っていた。 朝刊の配達をしてから学校に通うのが彼らの日課だった。 ３年生の夏休み前に彼女と出会った。 今までは部活のため早めに家を出ていたが、引退し遅めに出るようになったからだった。 自転車で家を出るとその店から同じ時刻に彼女が登校する。 そこで唯一の女生徒が幸子だった。 笑顔が眩しく、挨拶を交わすようになった。 オレの男子高と彼女の女子高が近く、同じ方向だったせいで一緒に通うようになった。 新聞奨学生の彼女が豊かではないのは、制服の生地が使いこんでくたびれていたから分かっていた。が、いつも清潔できちんとアイロンがかかっていたし、彼女は明るく真面目で健気だった。 少しふくよかで、黒く短めの髪も浅黒く日焼けした肌に似合っていた。 毎朝の投稿時の会話は弾み、学校までの時間はあっという間に過ぎた。 そして夕食後も近所を歩きながら話すようになるまで時間はかからなかった。 あっという間に惹かれあい、すぐに恋に変わった。 夏休み、彼女は日課の朝の配達をし、夕刊も配達していた。 夕食後から彼女の門限の九時までが二人のデート時間になった。 惹かれあうようになってからは人目を避け、近くの小学校の体育館の隅であっという間の時を過ごした。 オレは彼女の始めての彼氏だった。 初めてのキス。 真面目な彼女は震えていた。が、すぐにその時間が長くなり門限ぎりぎりまで身体を離す事なく、ぴったりとくっついて過ごした。 服の上からの愛撫は肌に直接となり、乳房から下着の中へ。 最初恥ずかしがって閉じていた彼女の腿は、逢瀬を重ねるごとに開き、下着は段々湿るようになった。 キスから二ヶ月も経った頃、彼女は始めてオレの指で絶頂を覚えた。 その辺りから彼女もおれが求めると、ペニスを触ってくれるようになり、フェラをしてくれるようになった。彼女はそれをすべて口で受け止め飲み込んだ。 厭じゃないかと聞いた時、私に出してくれることがうれしいと答えたことが堪らなく愛おしく感じたことを思い出した。 だが挿入は決して許してはくれなかった。 季節はすぐに秋から冬へと進み、オレの受験のためと彼女は週に一度しか会うのを承諾しなかった。 言葉にはしなかったが、受験が成功したら・・という暗黙の約束があった。 彼女はオレの事をいつも第一に考えていた。 その控えめな態度が不満でもありうれしくもあった。 彼女は就職が決まり、オレも地元の大学に入ることが決まった。 卒業式が終わり、彼女はアパートに住む事になり互いに忙しく春を迎えた。 初めて彼女のアパートを訪ねた夜、二人は結ばれた。 何も家財がない殺風景な部屋に粗末な寝具が一組み。 電気を消しても薄い生地のカーテンから外の明かりが部屋をぼんやり照らし、彼女の顔も身体もはっきりと浮かび上がっていた。 パジャマを脱がせ、下着を脱がすとはじめて彼女の全裸をみた。 すぐに触ることがもったいないようで、しばらく見ていたのだった。 寝てもある程度膨らみが盛り上がっている張りのある乳房に乳首が影を作り、その横には二つ並んだほくろがあった・・・ 彼女の仕事の都合で頻繁には会えなかったが、仕事を始めた彼女を思い我慢した。 夏が来る前に突然の別れがきた。 ある夜、アパートを訪ねると彼女はドアを開けてくれずドア越しに別れを告げた。 理由は言わず、ただ別れましょうと言うばかりだった。 納得出来ずにオレは深夜までドアの前に座っていたが、諦めて帰った。 それが最後だった。 幸子・・幸子・・ 「幸子・・君は・・あの・・」 「思い出してくれた・・・？」 「幸子・・・」 「店に来た瞬間にあなただって分かったの、少し太ったけど変わってないから・・ママに昔の写真見せたことがあって、ママも店に来た時私と目が合って分かったみたい」 「ごめん・・オレ・・・」 「謝らないで・・・私ずいぶん痩せちゃったし・・」 「きれいになったね・・・」 「ホント？うれしい、ありがとう」 当時の幸子はどんぐりのような短い髪で日に焼け浅黒く、ぽっちゃりまではいかないが痩せてはいなかった。 目の前にいる幸子は髪を肩の下まで伸ばし、白い肌の大人の女に変わっている。 丸かった顔もあごのラインがすっとして、体つきもほっそりとしていた。 が、片方にだけ出来るえくぼと白い歯、そして乳房の並んだほくろが変わっていなかった。間違いなく幸子だった。 「うれしい・・・会いたかった・・・」 幸子はつぶやき、再び長い、長いキスをした。 あの頃と違うのはキスしながら乳房を揉みしだき、乳首を摘むとキスを続ける事が出来なくなるほど喘ぐようになっていた事と、キスの間も愛撫の間もペニスを握り、しごいている事だった。 股間に手を伸ばすとそこはぐっしょりと溢れ滴っていて、溢れだしていた。 硬くしこった豆を優しく擦る。 「ああぁぁ、ダメ、もうイク・・イってもいい？」 遠い昔に聞いた懐かしい彼女の口癖だ。 彼女はその時、いつも許可を求めた。 「だめだよ」 「たけしさん、もう、もうダメなの・・お願い・・」 幸子はオレを必ず「さん」付けで呼んだ・・ 「ダメ」 「・・・ああぁ・・どうして・・意地悪言うの・・あ、ああぁ・・」 「オレを振った罰だよ」 「・・そんな・・だって・・ああぁん・・あの時は・・・」 オレは優しくなぶり続ける。クリはさっきより大きく硬く膨らんでいた。 「・・お願い・・もう・・ダメ・・ダメ・・あ、ああ、ああぁぁぁ・・・・」 声にならない喘ぎとともに幸子は達した。 胸が大きく上下し、身をよじって余韻が続いていた。 「・・・ごめんなさい・・」 「どうして・・？あの時・・」 「実家の母が倒れたの・・家は貧乏で私が帰らなきゃいけなくなって・・」 「そうだったのか、何で言ってくれなかったの？」 「あなたは大学生だったし邪魔になりたく無かった・・」 まだ荒い呼吸のままつぶやくように言った。 「今は・？」 「一人よ・・家のために働かなきゃなかったし・・」 「・・・」 「もう両親とも亡くなったから・・でも結婚しなかったのは・・」 オレはそこで再び幸子にキスをした。 切ない気持ちがこみ上げてきた。 キスは昔と同じく甘く焦れったかった。 不意にオレは幸子に中指を挿入した。 「あああぁぁ・・ダメぇ・・まだ・・ダメなの・・待って・・まだ・・」 柔らかく指に絡みつく襞を感じながら根元まで入れ抜きまた根元まで・・ 幸子は片手でシーツを掴み片手でナニを握り、泣くような喘ぎ声をあげる。 今は徹底的に攻めたかった。 指を入れたまま身体を入れ替え、横になったまま膨らんだ豆に舌を這わした。 「だめぇぇそんなの・・」 それは言葉だけで幸子は大きく腿を広げる。 彼女は目の前にあるナニを喘ぎながら舐め出した。 舌は先端から竿、袋まで丁寧に行き来し、含み舐め唇で扱いた。 時折、感じてしまい口を離したが、オレがしている間幸子もしてくれていた。 「いやぁぁまた、またイッっちゃう・・」 「いい？イッてもいい？」 オレはその言葉が終わらぬうちに身体をまた入れ替えると彼女の膝を大きく開くとパンパンに張り詰めたペニスを挿入した。 「あ、あ、ああぁぁぁ・・イ、イィィ・・くぅぅ・・・」 幸子の中がオレの棹を柔らかく締め付けながらうねっている。 オレはそのまま動き出した。ゆっくりと奥まで、ぎりぎりまで引き抜きまたゆっくりと奥に・・・ 彼女の手が腕を掴み身体は仰け反っては戻り、オレの動きにあわせて腰を突き出しながら声にならない呻きを上げている。 初めての時、入れたオレはこんなもんかと期待とは違う感触だったが今入れたそこはぬめり、うねり、締め付けてくる。 奥に当たる度、びくっと締め付ける部分がある。 膝を抱え上げ、下から突き上げると柔らかいザラザラとした襞が先端を刺激し、奥に当たって擦れるたび彼女がひゃっと声をあげる。 続けているうちに奥のほうからビュっと潮が噴出してきた。 「いやぁぁぁ・・ダメぇぇ・・」 幸子はがくがくと身体を震わせ荒い呼吸で胸を大きく上下させている。 オレの根元はびっしょりと濡れ、滴りシーツには大きな染みが出来た。 「ごめんなさい、ごめんなさい・・」 自分でもびっくりしたのか、うわ言のように謝りの言葉を続ける。 「ダメだよ・・お仕置きだ」 オレはナニを抜くと指を二本入れGスポットを擦った。 「いや、いや、いやぁぁ・・」 そこから指の動きに合わせ、びゅっびゅっとおびただしい量の潮が噴出した。 彼女は腰を挙げ、大きく腿を広げたまま言葉にならない喘ぎをもらし、指を抜くと一筋のアーチを描いて最後の失禁をした。 「いやぁぁ・・ごめんなさい・・ごめんなさい・・・・」 オレは答えず再び挿入する。ぐったりとした幸子を起こし上に乗せた。 彼女は身体に力が入らず、オレに倒れこみ身体を震わせたまま抱きついてきた。 オレは下から構わず突き上げた。 幸子はすぐに喘ぎ始める。腕に力を込め顔は切なそうに快感に歪んでいた。 足を開き反射的にオレの動きをスムーズにするよう腰を合わせる。 耳元ですすり泣くような幸子の声を聞きながら何度も奥に突き上げた。 「ああ・・また・・いく、いく・・イッちゃう・・イってもいい？」 「ああ」 「いい、いいの、イクよ・・・いく・・ぅぅ・・・」 きゅっとナニを締め付けビクビクと中を震わせている。 背中が冷たい。 幸子の震えが収まってきてオレを見つめる。 その目はすがる様な切ないような目だ。 彼女は見つめたまま唇を合わせてきた。 見詰め合ったまま舌が入ってくる。 彼女の目が潤んでいる。 ポタリとオレの顔にこぼれてくる。 舌は何かを探し求めているかのように絡みつきオレは両手で幸子の髪をかき上げる。 堪らなくいとおしい。 ゆっくり身体をひねりながらオレは幸子の上になった。 ナニは入ったまま、キスもしたままだ。 見つめあい長いキスのあと動きを再開した。 彼女の舌の動きが止まり、嗚咽が咽喉の奥から漏れ出した。 オレの両手は幸子の顔を挟み、髪をかき上げ幸子の両手はオレの背に回され、指先に力が込められる。 混みあがってくる感覚に合わせて腰の動きが早く強くなり奥へ奥へと打ちつける。 幸子・・幸子・・ オレは何度も名前を呼んだ。 彼女の両手が強く強くオレを引き寄せ腕を回しきつく抱きしめた。 空白の時間が二人の中ではじけた。 幸子の手はオレの背中を優しく撫でている。 「忘れられないの・・・・・」 言いかけた幸子の唇をキスでさえぎる。 今度こそ離さないというオレの返事だ。 そのまま終わる事の無いキスが続いた。 |
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| 2013.8.2掲載 |
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