３．乱暴

「何？」
　沙希が、掃除を終えて、視聴覚室を出ようとしたら、扉の前に同じクラスの男子生徒研二が立って、邪魔をした。
「お前、援交してるだろ」
　いきなりそう言われて、沙希は、驚いて研二の顔を見つめた。
「何・・・何・・・言ってるの？」
「見たんだよ。お前が、ホテルからどっかのおやじと出てくるのを・・・・」
「見た？」
「ああ・・・」
（見られた？・・・・でも、だからって援交かどうか・・・）
「人違いでしょ・・・わたし、知らないわ」
　沙希は、研二の脇をすり抜けようとしたが、さっと前に立たれて、そのまま、中に押し戻された。研二は、ドアを閉めた。

「２、３回見たよ」
「何が言いたいの・・・なんで援交だって決め付けるのよ」
「ほう・・・ホテルに行ったことは認めるんだな」
（えっ・・・何？・・・うそだったの？かまをかけたの？）
「違うわよ」
　沙希は、強引に否定した。
「そのおやじに、毎日痴漢させてるだろ」
「えっ・・・・・」
　沙希は、驚きのあまり、何も言えなかった。
「毎日、触らせて・・・いくらなんだ？」
　ひどい言い方だった。沙希は、唇をかんだ。
「俺にも触らせてくれないかな・・・」
　研二は、沙希の両肩に手を掛け沙希の体をくるっと回転させ、沙希の後ろに立つと、脇から手を回し、乳房をぎゅっと揉んだ。
「やだ・・・やめてよ」
　沙希は、腰を引き、身体をねじって逃がれ、ドアに駆け寄り、走って逃げた。研二は、追いかけては来なかった。

　次の日、電車に乗ると、沙希がいつも立つ場所に研二がいた。沙希は、立ち止まったが、後ろから強く押され、ドアを背にして立っている研二の前に押し付けられた。
「おはよう。痴漢女さん」
　研二は、沙希の耳元で囁いた。
「いや」
　ひどいことになる・・・・そう思って、沙希は、体をよじって逃れようとしたが、満員電車の中では思うように動けない。いつものように、沙希の背中に立った男が、沙希のお尻に手を当てる。
（だめ・・・今日は、やめて・・・）
　沙希は、背中をそらし、男の手を避けようとしたが、前に研二の手があった。
（うそ・・・）
　研二の手は、前から沙希の股間に当てられた。慌てて沙希が腰を引くと、後ろの男の手と固くなったものがお尻に当たった。
　沙希は、どうしていいかわからず、長身の研二の胸に顔をう埋めるような格好で、ただ、じっと耐えた。
　その日、また、視聴覚室に研二は、現れた。
「どいてよ」
　沙希は、ドアに立つ研二にそう言って、両腕を伸ばして研二を押したが、びくともしない。逆に、押し戻された。その研二の後ろに・・・何人か男達がいた。
「何・・・・」
　思わず、沙希は、後ずさった。研二は、沙希の腕をつかむと、後ろから抱きかかえ、奥の小部屋に連れ込んだ。他の男達も入ってくる。

「ほら、足を広げるんだよ」
「やだ・・・やめてよ」
　沙希は、後ろから羽交い絞めにされて、足を片方ずつ男達に持ち上げられた。制服のスカートはめくれ、薄いピンクのパンティーが露出した。
「なにが、やめてだ。好きなくせに・・・・こいつ、毎日痴漢されてるのに、いつも同じ場所に乗るんだぜ」
　研二が他の男子生徒に言うと
「触られたいっていうことだな・・・・」
　武夫が、尻馬に乗った。
「そうだろ・・・だから、今日は、俺たちが満足行くまで触ってやろうって・・・」
　研二の手が、大きく広げられた、沙希の股間に伸びた。
「いやぁーっ」
　沙希は、大声を上げたが、すぐに男に口を塞がれた。
「うるせぇーよ」
「おい、脱がせろ」
　沙希の足を抱えていた武夫と正志が、お尻をいったん机の上に乗せ、ひとりが沙希の腰を持ってお尻を浮かせた。沙希は、必死に足をばたつかせて抵抗したが、いっきにショーツが足から引き抜かれ、下半身をむき出しにされた。

「おい、逆さにしちまえ」
　腰を抱えていた正志が、沙希の頭を下にして、抱え上げた。
「やめてーっ」
　降りようと暴れる沙希の足を男達が、片足ずつ持って、大きく開脚させた。逆さにされて、おへそまでが露になった。
「うふぉっ・・・こりゃいいや。丸出しだ」
　沙希の腰を抱えて、正志は、目の前に沙希の股間を見ながら言った。
「くっせーっ」
「毎日、どこかのおやじに電車でいじってもらってるおま○こだからなぁ・・・」
　そういいながら、研二が、沙希の中に指を入れ、その指を嗅ぐ。
「ほんとだ・・・くっせーっ」
　逆さにされた沙希は、頭に血が下がり、顔が痛かったうえに、体格のよくない正志に頭から床に落とされる不安で、腕を床につき、少し顔を上にそらした。
「こいつ、自分で逆立ちしてるぞ・・・よっぽど見せたいんだ」
　確かに、毎朝のように痴漢にあっていたが、よろこんで触らせていたわけじゃない。
　沙希は悔しくて、涙がこぼれた。

４．相手が誰でも・・・

「おい・・・やっちゃおうぜ」
　足を押さえていた武夫が研二に言う。
（いや・・いや・・・・・だめ・・・だめ・・・やめてぇー）
　沙希の足が震えた。
「ばーか。こんなきったねぇおま○こにやれるかよ」
　研二は、しばらく考えて
「そうだなぁ・・・口にするか・・・おい、こいつの口に出せ」
　沙希は、必死に口を閉じたが、頬に手を掛けて無理やり口を開かされた。
　男達は、次々に彼女の口の中に放出した。
「今度は、おま○こ、ちゃんと洗っとけよ。そしたら、かわいがってやるから・・・みんなでな・・・」
　男達は、口々にそう言って、出て行った。

　沙希は、そこまで話してしばらく黙り込んだ。
「ひどいわね。・・・で、それっきり？・・・じゃ、ないよね」
「うん・・・その後も、何回か・・・」
「やられたの？」
「ううん・・・脱がされて、触られて･･･見られて・・・口か顔」
「ふーん、でも、ひどいことに変わりはないわね。・・・で、今日の男が研二なの？」
　沙希は、黙って首を縦に振った。
「向こうもあなたに気づいた？」
「ううん。気づかなかったと思う」

　ひたすら食べるだけで、飲まなかった拓也に車で送ってもらって、沙希は、真希のマンションに行った。
「さっき・・・お店でした話・・・」
　沙希が、また話し始めた。
「さっきは、言わなかったんだけど・・・」
「何？」
「わたし・・・研二が、好きだったの。だから、援交を知られたとき、ショックで・・・」
「だと・・・思ったわ。なんか、なげやりな感じがしたもの・・・どうにでもなれ・・・みたいな」
「そうですか？・・・・そう思ってました。ひどいことされて悔しいっていうより、お金で誰とでも寝る女だって思われてのが、悲しくて・・・だから、もう、どうでもよかったんです」
「わかるような気もするわ。わたしもこんなでしょ・・・先輩に好きな男の人がいて、でも、わたし、その頃は、男だったし、打ち明けられないし・・・・」
「そう・・・・ですか」
「ある日ね・・・女性の格好して街を歩いてたの。そしたら、偶然、その彼を見かけたの」
　沙希は、興味津々という顔で、真希を見た。
「自分で見ても、全くの別人っていう自信があったから・・・思い切って、声をかけてみたの」
「なんて？」
「さぁ、よく覚えてないけど・・・たぶん、この辺にお茶できるとこありませんか？みたいな感じだったと思うけど・・・」
「で、どうでした？」
「彼ね・・・不思議そうな顔で私を見たわ。まぁ、初対面の女から誘われて、普通、驚くんでしょうけど・・・わたしは、どきどき。心臓が破裂するかと思った」
「なんか・・・ドラマみたい」
「でしょ、自分でもそう思ってたもの。彼ね、近くのコーヒーショップに連れていってくれて、いっしょに座ったの」
「うわぁ・・・彼は、真希さんを見ず知らずの女性だと思ってるんでしょ・・・」
　真希は、ゆっくり首を横に振った。
「えっ？」
「話をしたの。初めて会った振りをして、いろいろ。彼も応じてくれてたの。だから、わたし、ばれてないって思ってた。店を出て、彼が、ドライブしようって・・・。２時間くらい、話しをしながら、ドライブして、気がついたら・・・わたしのアパートの前」
「いつから、ばれてたんですか？」
「彼に訊いたわ。いつから、気づいてたの？って・・・。そしたらね・・・・」
「そしたら・・・？」
「最初からって。・・・・わたしが、話しかけたときに、すぐ気づいて、しばらく、わたしを見ていたのは・・・どうしようか迷ってたんだって」
「うそ？ショック」
「そう。大ショック・・・バカみたいでしょ。ひとりで、はしゃいでて・・・」
「なんか・・・つらいですね・・・」
「わたし、何も言えなくて、うつむいてたの。そしたら、彼の手が伸びてきて・・・・キスしてくれたの」
「キス？」
「彼がね・・・最初に、私を見て、お前、マサキだろって言ってしまったら、それっきり、２度とこの女性には会えなくなるだろ。俺は、付き合いたいから、黙ってたんだって・・・うれしかったわ」
「やった」
　沙希は、自分のことのように喜んだ。
　しばらく、黙り込んでいた沙希が、おもむろに口を開いた。
「１度だけ、されたんです。大勢のときは、顔か口だったんですけど・・・彼の部屋で２人っきりのときがあって、裸で、犬にされて、また、口にされるって思ってたら、後ろから、中に入ってきて・・・まぁ、結局、口に出されたんですけど・・・・」
「沙希・・・・」
「はい？」
「何か確かめたいことがあるんじゃないの？」
「えっ・・・確かめたいこと・・・・ですかぁ？」
　沙希は、真希の言ってることが理解できないで、困った表情を浮かべた。
「あなたのビデオを撮る予定なの」
「はぁ？」
　突然の話題に沙希は、さらに戸惑った。
「女子高生が、いじめられる話らしいわ」
「そうなんですか？」
「相手が誰でも・・・できるわよね」
　真希は、沙希の顔をじっと見て、念を押すように言った。