３．公衆便所

「どこ行くの？」
　研二に手を引かれ、コンビニを出た沙希は、研二に訊いた。
「俺んち」
「やだ・・・」
　沙希は、立ち止まったが、研二に腕を強く引っ張られ、しょうがなくついて歩いた。

「お前、あの助平オヤジに携帯の番号教えたんだって？」
（・・・・研二にばれている。・・・・・どうしよう・・・）
「あのおじさんに電話したの？」
「ああ、お前から電話もらって・・すぐ」
「なんで？」
「どうでもいいだろ・・・それより・・・まったく、本当に誰とでも寝る奴なんだな・・・」
　研二は、沙希から視線を外して、独り言のように言った。
「そうよ・・・だから何」
　沙希は、開き直った。もともと、そのつもりだった。
（あんたなんかに・・・・）
　沙希は、唇をかんだ。
「ここだ」
　コンビニをぐるっと回って、裏に回ると、そこが研二のマンションの入り口だった。
「いやよ・・・放して・・・」
「ほら、これ」
　研二は、沙希の前に、小さく畳まれたお札を出した。
「何よ」
「金払えば、誰とでも寝るんだろ」
　研二は、お金を沙希のポケットにねじ込んだ。
　予想外のことに沙希は、なんていったらいいのか分からない。
　無理やり、エレベーターに引き入れられた。

　ドアの前でも、沙希は抵抗したが、研二に強引に押し込まれ、玄関で、抱きかかえられ、靴をはいたまま、研二のベッドまで連れて行かれた。
「いやーっ」
　仰向けにされた沙希のお腹の上に研二が馬乗りになる。
　ビシッ
　研二が沙希の頬を殴った。
「金は払ったろ・・・文句いってんじゃねぇよ」
　悔しかった。悔しくて・・・・また、涙がこぼれた。
「どいてよ・・・脱ぐから・・・」
　沙希は、抵抗するのを止めた。研二は、露骨に不機嫌な表情を浮かべ、沙希の上からのいた。
　沙希は、ゆっくり起き上がると、靴を脱ぎ、服を脱いだ。
「お前・・・いつからやってんだ？」
　沙希は、答えない。さっきの中年おやじに対したのと同じだ。

　沙希が、ブラをとり、ショーツに手をかけたところで、研二に腰をつかまれ、後ろにひっぱられた。
「あっ」
　沙希は、研二の足元でしりもちをついた。
「脱がしてやるよ」
　研二は、沙希のショーツを脱がし、両足の足首を持って、大きく広げた。沙希の股間が丸見えだったが、沙希は、手で隠そうとはしなかった。
　無抵抗な沙希に興ざめしたのか、研二は、沙希を頭を下にしたまま抱きかかえ、そのままバスルームまでつれていった。
「助平オヤジの後だからな・・・きれいに洗っとかないとな」
　バスルームで沙希をおろすと、座り込んでいる沙希の頭からシャワーをかけた。
「しゃぶりな」
　研二は、沙希の顔を両手で押さえ、自分のものを沙希の口にこじ入れる。
　沙希は、抵抗しなかった。研二は、喉の奥まで、深く押し入れ、沙希はそれを呑み込んだ。
　ぐふぉっ
　何度もむせた
　苦しかったが、苦しいほうがよかった。
　研二は、沙希の濡れた髪をつかみ、ぐいっと、根元まで差し入れると、そこで放出した。
　ぐうぇ
　沙希は、胃の中の物まですべて吐き出したかった。
　研二は、沙希の顔を持ち、もう一度上を向かせ、また、沙希の口に差し込む。
「お前は、誰のものでも咥える公衆便所だ」
　沙希の顔を押さえ、ぐいっと前に押した。倒れそうになって沙希は、両手を後ろについた。見上げると、研二の目が異様だった。
　ぐふわぁ
　沙希は必死に逃れようとしたが、研二に頭を抱えるようにされて、動かない。
　沙希の口の中に、じわっと液体が放出される。それはすぐに勢いを増した。沙希は、口を大きく開けて、全部口の外に出そうとした。
　研二は途中で沙希の口からはずし、沙希の顔にかけた。

　その後、ベッドで研二に犯された。
　犯されたのは、その一回だけ・・・そして、その日以来、研二に呼び出されることも、学校で辱められることもなかった。

（あの日と同じ・・・思い出さないのね・・・記憶にないっていうことか）
「はい・・・カット」
　監督の声がした。
「今日は、これで終了です。お疲れ様でした」
　カメラマンであり、ＡＤでもある拓也が、終了を伝えた。
「お疲れさま」
　研二は、座っている沙希の手を取って立ち上がらせた。

４.わからない

「お疲れさん」
「真希さん」
「じゃぁ、俺は失礼します」
　研二は、真希と入れ替わるように出て行った。
「彼が研二君？」
「そう」
「どう？気づいた？」
「さぁ・・・・」
　沙希は、ことばと同様にあいまいに笑って見せた。
「服着て、ホテルとってあるから・・・」
　真希は、沙希に服を着せ、車に乗せた。

「真希さん・・・ホテルって・・・」
　真希が入ったのは、ラブホテルだった。
「あら・・・ここもホテルよ」
「そりゃ、そうだけど・・・」
「ここね、ジャグジーがあるの。サウナもお風呂も広いし・・・」
「って、ここ、予約したんですか？」
「そうよ。ここ、人気で、すぐいっぱいになるんだもの」
　当たり前といった口調で真希は話した。

　沙希はお風呂に入った。シャワーで汗を流し、４、５人は入れそうな湯船につかると、後ろで音がした。振り向くと、サウナのドアが開き、真希が出てきた。全裸の彼女は、乳房もお尻のラインも成熟した女性のものだったが、確かに・・・男でもあった。
「沙紀」
「何ですか？」
「彼のこと、ちゃんと確かめられた？」
「さぁ・・・よくわかんないです」
「そう」
　シャワーで汗を流した真希は、湯船につかり、沙希の横に並んで座った。
「わからないままってのも・・・・そのほうがよかったかもね」
「ええ」
　沙希は、にっこり微笑んだ。
「拓也がね、彼を探してくれたの」
　真希は、沙希の体を浮かせ、自分の前に座らせ、後ろから沙希を抱きかかえた。
「ちゃんとサラリーマンらしいわ。ショーに出るのはアルバイトだって・・・」
「そうですか」
「彼の出てるビデオも見たわ・・・出てるっていっても、やるだけだけど・・・」
「それって、売られてるんですか？」
「公には売ってないわ。サイトがあって、そこでダイレクトに販売してるらしいの・・・中学生か高校生かを監禁してっていうやつだったけど・・・もしかしたら、本当の中高生なんじゃないかな？」
「ひどい・・・ですね」
　沙希の言葉が途切れた。
「あら、ごめんなさい・・・思いださせちゃった？」
「いえ、平気です。今日は、さんざん思い出させられましたから・・・もう大丈夫です」
「辛かったわね」
「ううん・・・大丈夫ですよ」
　沙希は、明るい表情で振り返った。
「でも、真希さん・・・わざわざ調べてくれたんですね・・・こっちこそ、お手数かけました」
「ううん。違うのよ。まぁ、調べるには調べたんだけど・・・他に調べる必要もあったの。だから、気にしないで・・・・それより・・・もう、出る？」
「ええ」

「何か飲む？」
　真希が冷蔵庫を開けて、沙希に訊いた。
「ああ・・・何かお茶・・ありますか？」
「烏龍茶かな」
「それでいいです」
　真希が、烏龍茶を持って、ソファに座った沙希の横に並んだ。
「ねぇ、真希さん」
「何？」
「彼のビデオ、見せてもらえますか？」
「ビデオ？・・・いいわよ」
「それと、さっき言ってたサイトって教えてもらえませんか？」
　真希は、じっと沙希の顔を見つめた。
「いいけど・・・何考えてるの？」
「いえ・・・まだ、何も」
「まだ？・・・考え付いたら教えてね」
「はい」
　真希は、立つと、沙希の手を取って、沙希を立たせた。
「大丈夫？」
「真希さんなら」
「そう」
　真希は、沙希を抱き上げ、ベッドに寝かせた。