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〜序章〜

　この物語の主人公であるといった方が良いか？
　女性の名は　小倉　加奈・２３歳、去年大学を出て一流の商社に入社し、持ち前の能力の高さを発揮して、入社一年ちょっとながらそこそこのプロジェクトを任せられるほどの信頼を得ていた。

　加奈は１５歳の誕生日までは極普通の中学生だった。いくらかの恋も経験していたし、彼氏もいた・・・。セックスはまだ未経験だけれどペッティングの浅いとこまでは既に経験していた。

　その１５歳という節目の誕生日に両親から自分の出生に関する秘密を話してもらった。
　
　母の良子は、父の正一と結婚して約一年後に子供を授かり、受診をした総合病院で初めて自分が白血病である事を医師から告げられた。
　もちろん医者からは「子供はあきらめたほうが良い」と宣告された。
　病名は慢性骨髄性白血病、いつ急性転化するかわからないので子供はあきらめるよう医師から進められた・・。
　しかし良子は頑として受け入れず、夫の正一からの説得にも首を縦には振らず・・。
「せっかく授かった命ですもの！生き残れるかもわからない私の命より大切です！！
もしこの先私が生き残れなかったら、今芽生えたこのこの命は無駄死にになってしまう。」
　死をも覚悟した良子の決心に医師も夫も良子の両親さえも異論は挟めなかった。

　時間との戦いの中、妊娠１６週目にまだ今ほど鮮明でないエコーに映し出された映像に良子も医師も愕然とした・・。
「少なくとも双子ではあるようです・・・。もしかすると三つ子の可能性もあります。」
　医師も良子の身体の状態を認識しているので、決して喜ばしくない状態を嘆いた。
　良子もさすがに愕然とした。（今の私の体力で三つ子を育てられるものなのだろうか？それ以上にもし私が死んだら夫に対して重い負担を残すのではないだろうか？）

　思い悩んでる良子に医師は究極の選択を求めた。
《今のあなたの体力で三人を産むのは不可能です！私があなたのために一番良いと思うのは、この際子供は諦めて一日でも早く白血病の治療をする事を薦めます。》
　何も言い返せない良子に医師は・・・。
《もしそれでもまだ子供を産みたいと思うのなら・・・、三人の内の・・・一人。・・厳しいと思いますが・・・それが最善です・・・。》

　悩みぬいた挙句良子は決心をした。このままじゃ私を含め四人の命が無駄になる。
　せめて一人だけでも助かればその一人が他の三人分有意義に生きればよい・・・。
　良子は三人の内の二人を堕胎し加奈を産んだ・・。

　その後良子は治療に専念し、幸運にもわが身を捨ててでもと産んだ加奈の骨髄が適合し移植を得て今も健在である。

　正一は加奈に堕胎した二人の姉妹の位牌を見せた。そのお位牌には・・・
　麗奈・優奈の文字が書かれていた。

　加奈は自分に姉妹がいたこと、母がそんなにも決心して自分を産んでくれた事に感謝した。
　加奈はその時、自分の身体に不自然な何かを感じた・・。

　加奈はある日不思議な現象を経験した。それは学校でのテスト中のこと・・・
　問題を見ただけでもわからない事が明らかである歴史の問題を解いているとき・・・。
　なんとも説明しがたい・・・頭の中の奥のほうから・・・、答えが聞こえてくるような・・。
　自分の身体が自分の感覚と離れていくような・・・、不思議な感覚に陥った。
　自分ではボーっとしているうちに答案が回収され、先生が採点をし、用紙が戻ってきた。
　答案用紙を見てまず加奈が一番驚いた。なんとそれは満点の文字がついていた。
　答えを書いた自分でもわからない答えが書いてある・・・。

　何がなんだかわからないまま加奈は帰路に着いた。
　道すがら頭の中で聞きなれた声が響いた。突然意識が朦朧となった・・・。

　たまたま通りがかった人が通報をしてくれて、気がついたときには病院のベッドの上だった。
　母の良子がベッドの脇で心配そうな顔で寝ている加奈を見守っていた・・・。
　良子には担当の医師から既に説明がされていた。
《考えられる範囲では全て検査しましたが・・・これといって何も異常は見つかりませんでした・・・。多分疲れやストレスから来るショック症状だと思われます。
　脳波が以上に活性しているのでもうしばらくは安静にして・・・2〜3日入院されれば大丈夫だと思います。》
　医師の言葉に胸をなでおろした良子であった。

　周りの喧騒をよそに加奈の頭の中では大変な事が起こっていた。
　加奈は死んだはずの姉妹と頭の中で語り合っていた・・・。
　麗奈と優奈、その名前を加奈が理解したとき、加奈の頭の中にはっきりとした人格で麗奈と優奈が生まれた・・・。
　いや、元々存在していた人格が名前をきっかけに分裂したといったところだろう。
　１５歳の誕生日に新たに生まれた麗奈と優奈が加奈に生まれて初めて挨拶をした・・。

　三人は喜び合った！夢かもしれないと加奈が思うほど・・・。
　時間を忘れて三人で語り合った・・・、もちろん加奈の頭の中でだが・・・。

　そのうち三人の性格がだんだん見えてきた。

《麗奈》・・・真面目で内気だが芯は強い。勉強が出来るが恋愛には奥手みたいだ。
【麗奈が言う】・・『加奈が勉強で今まで普通より上にいられたのは私のおかげなの！加奈が気付かなくても頭の奥底から教えてあげてたもの。』

《優奈》・・・頭より先に行動に出るタイプ。運動神経がよく物怖じしない。恋愛に関してはすごく積極的で、加奈の行動には少し物足りなさを感じているようだ・・・。
【優奈が言う】・・『加奈が今まで何度もそのトロくささで危ない目にあったとき、私が代わって身体を動かし救ったんだから！！』

《加奈》・・・いわゆる母体。気が優しく性格は温厚。容姿はずば抜けていて男子生徒の憧れの的である。
【加奈が言う】・・『へ〜そうだったんだ〜！確かに思えば今まで不思議だった事がなぜか解った様な気がする・・・』

　誰が先に出てきたか・・・今になっては推測でしかないのだが・・・。
　多分麗奈が長女、優奈が次女、加奈が三女といったところだろうか・・・。

　三人は今までの事、これからのこと・・・色々話し合い、これからは三人で一人として生きて行こうと誓った。

　こうして一人の完成された美女が出来上がった。

〜〜〜
　先んじてテスト中にに人格として出てきた麗奈に代わって、退院したその日に初めて人格として世に出た優奈は、早々とその時の加奈の彼とセックスしてしまった。
　加奈は頭の中でもんくを言ったが、優奈が言うには『もってたって何にもならないんだから！バージンなんか早くくれちゃった方が良いのよ！！』
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　麗奈の頭脳と、優奈の行動力、加奈という母体の容姿や加奈の優しさがあいまって、これから起きていくストーリーにご期待ください！！