１

　僕の名前は日比野五月。五月という名前のせいで女の子と思われることも多いが、れっきとした男だ。３月に高校を卒業したばかりの１８歳で現在大学生。親元を離れて一人暮らしをしている。
　実は僕には以前から人には言えない願望がある。それは女性の下着を身に着けたいということだ。中学生のとき初めてＨな雑誌を見たときに、どういうわけか女性の裸よりも下着の美しさに目を奪われてしまったのだ。繊細なレースや可愛らしいリボン、さまざまな模様、鮮やかな色、そしてなによりもその形が魅力的で、すっかりとりこになってしまった。だから、チャンスがあったら自分用の女性下着を持ちたかったし、男が着けてもいいじゃないかと思っていた。
　一人暮らしをはじめてしばらくしたある日のこと、僕は“探検”と称して、学校帰りなどに近所をうろついていた。そしていつもは通らない細い路地へ入ったとき、小さなランジェリーショップを見つけた。その店はこじんまりしているが、ディスプレイが華やかで店内も清潔そうな感じだった。僕は思わずそのウインドーに釘付けになってしばらく眺めていたが、ランジェリーショップの前に男が突っ立っていたら変人みたいに思われるかな？と思い、その場を立ち去った。
　それから学校やバイトの帰りにはその店の前を通って帰るようになった。なるべく店員さんやお客さんに気付かれないように、ちらっと店の中を見て通り過ぎるようにした。それだけでもドキドキして興奮したが、ウインドーのディスプレイが好みのデザインだったりすると欲しくてたまらなくなって、思わずお店に入りたくなってしまうこともあった。
　そうして観察（？）することで、いくつか分かったことがあった。１つにお店の店員さんはおばさんであること。おそらくこの家の奥さんなのだろう。歳は５０歳くらいといったところか。２つめに夕方６時頃から７時頃まではお客さんが少ないこと。３つめに男性客も意外と多いことである。
　
　５月も末になったころ、バイトの給料を手にした僕は、ついにあの店に行く決心をした。今度は通り過ぎるだけでも覗くだけでもなく、自分用のランジェリーを買うために。
　店に向かう途中、自転車をこぎながら思った。よく考えたら、店員がおばさんというのはラッキーなことではないか。男性の店員さんはまずいないだろうが、若い女の人だったら恥ずかしくてとても買うことは出来ないだろう。　腕時計に目をやると６時２０分をさしていた。ちょうどいい時間だ。
　店に着いた。“ランジェリーショップ「リコ」”と書いてある。今まで気にしていなかったが、いかにも女性の店という感じの可愛い名前だ。店の中を覗いてみると、女の人がしゃがみこんでダンボール箱をゴソゴソやっているのが見える。あの中にランジェリーが入っているのだろうか。ここまできて後戻りは出来ない。ドキドキしながら店の扉を開いた。

「ごめんください。」
　と、店員のおばさんに声を掛けた。いや、正確にはそのつもりだった。しかし、僕の声に振り向いたのは、おばさんではなく若い女の人だった。僕より２〜３歳年上だろうか。長い髪がよく似合い、きれいというよりは可愛い顔をしている。僕の好みのタイプだ。
「いらっしゃいませ。」
　その若い店員さんは、男の僕が入ってきたことに少し驚いたような感じも見せたが、すぐに微笑んでみせてこちらに向き直った。
　予想外の事態に僕ははっきりいって当惑して、何と言ってよいか分からなくなってしまっていた。まさかこんな若い人がいようとは思いもしなかったからだ。だが、黙り込んでしまって怪しまれるのも困る。
「あの、下着を買いに来たのですが‥‥。」
　声が上ずりそうになるのをおさえながら言った。下着屋さんに来たのだから当たり前なのだが。そんな僕の様子に彼女もちょっと困惑したような感じだったが、
「下着といっても、いろいろありますがブラジャーかショーツでよろしいですか？」
　と並べてある商品に目をやった。僕はそちらの方に歩いていくと、眺めるように見た。手にとって見たかったが、やはり女性の見ている前ではなかなか恥ずかしくてそういうわけにいかない。
「ブラジャーとショーツ両方とも欲しいのですが。」
　なるべく感情を表に出さないように、気持ちを落ち着かせながら言った。実際はこんなことを言うのはすごく恥ずかしかったが、次はいつ買えるかわからないし、もしかしたらもうないとも言い切れない。
「わかりました。では、セットのもののほうがいいですね。えーっと‥‥では、まずサイズを教えてください。」
　僕は考えた。ショーツはＭでいいだろうが、ブラのサイズは分からない。着けた事がないから当然だ。でも、ＡカップとかＢカップとかいう言葉は聞いたことがある。自分は何カップだろう。そう考えていたら何となく恥ずかしくなって自分でも顔が赤くなるのが分かった。
　僕が黙り込んでしまったので彼女も困っているようだった。考えても分からないし、適当に言ってみようか。おかしいようなら何かアドバイスをくれるかもしれない。
「ショーツはＭでいいと思うんですが、ブラはＡかＢくらいじゃないかと。」
　彼女は相変わらず困った様子で、
「ブラジャーのサイズにはカップとアンダーバストとありまして。」
　と説明をはじめた。
「簡単に言うと、カップというのはバスト自体のサイズで、アンダーというのは胸囲のことです。バストの下で測るのでアンダーと言います。ブラを選ぶ際にはカップも重要ですが、アンダーはそれ以上に重要なのです。アンダーが小さすぎると押し付けるような感じになってしまいますからね。」
　なるほどと思った。言われてみればそのとおりだ。アンダーなんて調べていなかった。彼女は続けた。
「もし分からないようでしたら聞いてきていただいた方が良いと思います。サイズが合わないと苦しくて着けていられなくなりますから。」
　僕は愕然とした。もうすでに買えるつもりでいたのにここまできて帰らないといけないのか。それに、もし自分のサイズを測ってきたところで変に思われるにきまっている。どちらかといえば細身だとはいえ、女性よりはかなり胸囲はあるだろう。しかも、カップはないんだから、Ａカップだとしてもアンダーは不自然に大きくなるはずだ。女性が着けるのでないことは明白だ。
「あの、言いにくいんですが実は自分で着けるんです。友人と‥‥ちょっとした余興に使おうと思ってまして‥‥。」
　僕は、自分でも意外な言葉を口にしていた。そんなことをする人が本当にいるだろうか。いや、まずいないだろう。もしかしたら、彼女はもう嘘に気付いて、僕のことを変態だと思っているかもしれない。
　しかし、彼女の口から出たのは意外な言葉だった。
「そうでしたか、分かりました。なんだかちょっと様子がおかしいなと思っていたので安心しました。男性でも下着を買いにいらっしゃる方はいますけど、普通はサイズを聞いてから来るものなんですよ。」
　と、なんだか少し嬉しそうな表情を見せた。
「では、こちらへ来てください。サイズを測ります。」
　彼女は店の奥のほうへ案内すると、そこにはデパートにあるような試着室があり、店の表から見えないようになっていた。そこで上半身だけ脱ぐようにいわれ、メジャーで胸囲を測ってもらった。
「これならありそうです。服を着て表に来てください。合いそうなのを出しておきますので。」
　彼女はメジャーをしまって棚の方へ向かって歩き出したが、急に立ち止まり振り向いて、
「女性の下着は可愛いですから迷いますよ。」
　と悪戯っぽく笑ってみせた。僕は、心の中を見透かされているようでドキッとしたが、そんなはずはないと思い直して彼女の元へ急いだ。
　５種類ほどのランジェリーが並べられた。ブラ、ショーツともそれぞれおそろいの色と柄になっていて、こういうのをセットというようだ。どれも魅力的ですっかり迷ってしまっていたが、その間、彼女はランジェリーの種類や材質による違いなどもいろいろと教えてくれた。僕は、しばらく悩んだ末に、ピンクのレースがふんだんに使ってあるものを選んだ。結構値段は高かったが、バイト代が入ったばかりだったし、初めてのランジェリーということで奮発した。
「これですか。結構人気なんですよ、可愛いですからね。」
　彼女はなんだか満足そうな笑みを浮かべていたように見えた。そして、ブラとショーツをやさしく包むように持ってレジの方に歩いていった。
（いろいろ心配したけど買えたじゃないか。ただ、余興に使うと言った手前当分の間は店に来ることは出来ないだろうけど、なんとか当初の目的は果たせたし。ドキドキしたけどもっと楽しみたかった気もするな。）
　僕は財布を出そうとポケットに手を入れた。が、そのとき彼女の口から衝撃的な言葉が発せられた。
「こちらに来てください。試着してみましょう。」
　この言葉が全ての始まりだったのだ。

「どうしても試着しないといけませんか？」
　僕は試着室の前まで来ていながら、まだ彼女の言葉が信じられなかった。
「はい。さっきも言いましたけど、ブラなんかはサイズが合わないとひどく窮屈なんです。短時間の着用でも気持ち悪くなってしまうこともありますからね。それに、着け方も覚えていっていただかないと、わからないでしょ。」
　と、ブラとショーツを手渡され、試着室の中へと促された。そして上半身だけ脱がされると、ブラの着け方をひととおり教えられた。確かに１人ではやりにくいが、できないことはない。
「では、まずは１人で着けてみてください。自分で着けてみた方が、あとで直すときにどこが悪かったかよく分かりますから。ショーツもちゃんと着けてくださいね。私、向こうにいますからできたら呼んでください。」
　彼女はそれだけ言うと、サーッとカーテンを閉めた。
　試着室に１人になった僕は、少しの不安と大きな期待を抱いていた。まず、彼女に言われたことを忘れないうちにブラジャーから着けてみる。胸がないのでスースーする感じではあるが、それもかえって心地よい。鏡を見ながらあちこち引っ張って形を整えてみる。直し方など分かるはずもないがこうやっているとなんとなく女性の気持ちが分かるような気になってきた。
　次にショーツ。ゆっくりと足を通し、腰まで引っ張り上げてはいてみると、さらさらした感触がとてもいい。これこそ僕の求めていたものだ。ショーツも引っ張って直してみる。まあこんな感じだろう。
　最後に全身を鏡に写してみる。前を写し、後ろを振り向いてみたりして、ランジェリーをまとった自分の姿をじっくりと鑑賞した。嬉しさと心地よさと満足感がこみ上げてきた。これを毎日でも身につけることができるんだ。そう思ったとき、自分の中で何かが外れたような気がした。そして、一瞬周りのことを考えることができなくなっていた。無意識のうちに手を股間に伸ばしていたのだ。２，３回そこにあるモノをなでた。
　それはみるみるうちに起ちあがり、はちきれんばかりになった。鏡に映る自分の姿にうっとりしながら、なおもその行為を続けようとした瞬間、カーテンの向こうで声がした。
「そろそろよろしいですか？」
（やばい。）
　我に返った僕は、今までしていた行為をひどく後悔した。そこはまだ大きくふくらんだままで、一目でそれと分かる。しかも、すぐに小さくできるものではない。
「着けにくかったらお手伝いしますが。」
　彼女の声が僕を追い詰めているように聞こえる。が、どう見てもこの姿は尋常ではない。
（しまった。）
　さらに、言葉を失ってしまった。ショーツに染みができている。先ほどの行為でできたものであることはあきらかだ。なにかいい逃れ方はないものか。いっそのこともう服を着てしまおうか。やっぱり人に見られたくなかったと言えば仕方なく納得してくれるかもしれない。
「もう少し待ってください。」
　僕がショーツを脱ごうと手を掛けたとき、意に反してカーテンがサーッと開いた。慌てて大きくなった股間を両手で隠した。
「ごめんなさい。びっくりさせるつもりはなかったんですが。あ、着け終わったんですね。呼んでくださいと言ったのに、まさかもう脱ぐつもりだったんじゃないですか。」
　と、彼女は優しくにらむように微笑んだ。そして、僕の身体をチェックするように見た。
「あの‥‥、手をどけてもらえますか。全体を見たいですから。」
　僕はもう気が動転してただ慌てた。そんなことはできない。ばれたら何と言って弁解すればいいかわからない。
「いや、あの、恥ずかしいので。」
「恥ずかしがることはありませんよ。」
　彼女の声は相変わらず優しかったが、僕を待ち受けていたのは驚くべき言葉だった。
「もう大きくなってるんでしょ。イってしまわないうちに見せて下さいね。」
　僕はすぐには事態を飲み込めなかった。
「どうしました？もっと嬉しそうな顔をしていいんですよ。せっかく憧れのランジェリーを着けられたんですから。」
　なぜ彼女がそんなことを言うのかどうしても理解できなかった。
「いえ、あの、憧れのとかそういうんじゃ‥‥。」
　とっさに反論しようとしたが、彼女が言葉を制した。
「分かってるんですよ。余興に使うんじゃないってことは。」
　彼女は僕の目的を見抜いているような口ぶりだ。しかし、なぜ？
「不思議そうな顔してますね。でも、あなたの行動を見てると、言ってることが全部嘘だって白状しているようなものですよ。」
　僕は、なんとか反論しようとしたが、彼女の方が先に口を開いた。
「どうして分かったか教えて欲しいですか？」
「はい。」
　まだ屈したつもりはなかったが、彼女の話を聞きたかった。
「まず、第一に値段、ですね。余興で使うだけならばできるだけ安いものを買おうとするのが普通です。何回も使う機会があるか分かりませんから、そんなものに高いお金はだせませんよね。でも、あなたは一番高価なものを選びましたよね。別の言い方をすれば、それは一番気に入ったものを選んだということです。自分が着けてみたいものを。」
　僕は、はっとした。言われてみればその通りだ。彼女は続けた。
「第二に、時間をかけて選んでいましたよね。さっき言ったように安いものを選ぶだけであれば、値札を見るだけでいいんですよ。悩む必要はないんです。もし、一番安いものがどうしても気に入らなければ、二番目に安いものにすればいいんです。できるだけ安いもので妥協すればいいわけですね。でも、あなたは長い間迷っていました。妥協したくなかったから、ですよね。普段自分が着けるものだから。」
　もう反論の余地は無かった。そこまで、ばれていては何も言い逃れようが無い。もしかして、警察を呼ばれたりするのだろうか。こんなことで捕まるようなことになればもう恥ずかしくて外を歩けない。家族にも迷惑がかかる。
「そのとおりです。ごめんなさい。この下着はあきらめますので、今回だけは見逃してください。」
　そういって頭を下げた。もうここから逃げ出したい一心だった。
「そういうわけにはいきませんよ。これは是非買っていっていただかないと。」
　彼女はうつむいている僕の前にひょいと顔を出すといつもの笑顔を見せた。
「え、いいんですか？」
　僕は驚いた。今までの心配が取り越し苦労に思えたからだ。彼女の笑顔はそのくらい僕を安心させた。が、彼女の言葉は僕のそんな気持ちを打ち砕いた。
「当然です。染み付きのパンティーなんて売れませんから。」

「五月君って言うのね。」
　僕は彼女に根掘り葉掘り聞かれた。名前や年齢はもちろん、大学、住んでいるアパートまで。弱みを握られてしまった身としては、聞かれたこと全てに答えるより仕方なかった。
「あの、これはもう脱いでもいいですか。」
　そのあいだもずっとランジェリーのままだった。そして、正座するように命じられていた。
「私がいいと言うまでそのままにしていてね。」
　彼女はいつのまにか、さっきまでの丁寧な言葉遣いでなく、友達と話すような口調になっていた。が、決して怒っているようでも、見下すような感じでもなかった。しかし、脱ぐことは許されなかった。そして、尋問は続いた。最後に携帯の番号を聞くと、僕に立つように言った。
「まだ、私の名前を言ってなかったね。礼香っていうの。よろしくね。」
　ようやく開放された。安堵に胸をなでおろした。
「あ、よ、よろしく、お願いします。」
　僕はまだしびれの取れない脚を少しさするようにしながら立ち上がった。
「今度から私が呼んだらすぐ来てね。」
「あ、はい。礼香さん。」
　今度から？また来ても良いということなのだろうか。
「それから、私を呼ぶときは“お姉さま”と言ってね。」
「え、お姉さま、ですか？」
「そうよ、出来ないの？」
「いえ、そうします。礼香お姉さま。」
「そうそう、それと敬語を使うこと。私の言うことには絶対に従うこと。もし、言うことをきかなければ、五月君が変態だってことみんなにばれちゃうんだからね。」
「はい。わかりました。」
　主導権は確実に彼女、礼香お姉さまにあった。
「じゃ、さっそく。」
　と、お姉さまは言うと、僕に気をつけの姿勢をさせた。
「ショーツを膝まで下げて。脱いでしまわないようにね。」
「え、そんな。」
　そんなことをしたら大事なところが見えてしまうではないか。僕は脚を閉じるようにした。
「カワイイ、そのカッコ。女の子みたい。」
　お姉さまは意地悪く言った。
「でも、カワイコぶっても駄目よ。もう忘れたの？言うこと聞くって言ったでしょ。五月君の正体がばれてもいいのかなぁ？」
　そうだ。言うことを聞かなくては、このことがばれるのは困る。閉じていた脚を開き、ショーツをゆっくりと膝まで下ろした。
「下ろしました。お姉さま。」
　お姉さまは嬉しそうな顔をして、
「そう、いい子ね。初めからそうすれば良いこともあったかもしれないのにね。」
　と言い、僕の股間のモノを指でピンとはじいた。
「隠さないでね。」
　とっさに隠そうとしたのだが、お姉さまの声のほうが一瞬早く、手を下ろした。
　お姉さまは、２回、３回と僕の硬くなったものを指ではじいた。すると、それはさらに大きく硬くなった。
「あら、気持ちいいの？こんなに硬くして。」
　お姉さまは意地悪く僕を見た。
「は、はい。気持ちいいです。」
　それは、本当だった。はじかれるたびに股間が大きくなっていることからも分かる。
「そう。じゃ、もっと続けてあげるね。」
　お姉さまはそういうと、僕のその部分を上から横からいろんな角度ではじき始めた。時には強く、時には優しくなでるように、また時には袋の部分にまで一撃を加えた。そのたびに僕はうめいたり、痛がったり、喘ぎ声を出したりした。お姉さまはそんな僕の姿を楽しんでいるようだった。
「五月君ってマゾよね、きっと。こんな風にされて感じてるんだから。」
　急に何を言うのかと思ったが、この状態では言われても仕方ないかもしれない。
「ね。そう思うでしょ。」
「はい、そうかもしれません。」
　そう言うと、お姉さまは不満そうな顔をして、僕の玉をめがけて強い一撃を加えた。
「そうかも、じゃないでしょ。おち★ぽの先からいやらしい汁まで出てるのに。これがマゾの証拠じゃなくてなんだっていうの。」
　あまりの衝撃に僕は下腹部を抑えながら、初めてお姉さまが怒った顔を見た。怒ると、本来の可愛い顔立ちに、美しさが加わったような感じで、なんともいえない女神のような姿に見えた。もう、この人にすべてを捧げよう、とすら思えるようになった。
「申し訳ございません。五月は紛れも無いマゾです。お姉さまに逆らうようなことを言ってしまい、すみませんでした。」
　その間も指による攻撃は続けられていたが、お姉さまの怒りはいくらかやわらいだようだった。
「分かればいいんだけどね、このまま気持ち良くさせてあげようかと思ったけどやめようかな。」
「そう言わずに、気持ち良くさせて下さい。」
　もうすでに、お姉さまの言ったとおり、ちんぽの先をテカテカに濡らしてしまっている僕は、少し手で触れただけでもイきそうになっていた。
「じゃ、だめね。」
　お姉さまは少し残念そうな顔をした。
「そんなぁ。」
　残念なのは僕のほうだ。
「私の言うことを聞きなさいって言ったでしょ。ご褒美をやめようかなって言ったら、（はい、もっとおしおきを下さい）って言わなきゃ。そんなことじゃいつまでたっても五月君の精液は解放されないよ。」
　そういうことだったのか。お姉さまの言葉にまた逆らってしまったことになるのだ。ということは、倍のおしおきをもらわなくてはいけないことになる。
「さっきのお叱りを受けておきながら、また逆らうようなことを言ってしまい、申し訳ございませんでした。２つ分の罪の罰を受ける覚悟はできてますので、十分なおしおきを下さい。」
　本当にもう逆らう気はなかった。
「そう、よく分かったみたいね。望みどおり、きついおしおきをあげるね。」
　お姉さまはそう言うと、レジの置いてある机の引出しから、３０ｃｍの定規を持ってきた。
「後ろを向いて、お尻を突き出しなさい。」
　言われたとおりの恰好をとった。試着室の中の鏡に、僕の姿が大きく写し出された。ブラジャーを着け、ショーツは膝までおろし、股間は大きくしたままお尻を後ろに突き出している姿は、屈辱以外の何物でもなかった。
「じゃ、はじめるけど、五月君の罪を許してあげるには何発叩いてあげるといいと思う？」
　僕は考えた。多く言うほど苦痛が長く続くことになるからなるべく少なく答えておきたいが、少なすぎてもお姉さまは満足しないだろう。余計に怒らせてしまう可能性だってある。さっきの“指はじき”のおしおきは５０発程度はもらったはずだから、その倍の１００が妥当なところかもしれないが、ちょっと多すぎてきつい気もする。でも、お姉さまの怒りをとくためだからこの際我慢しなくてはならないだろう。
「１００発でお願いします。」
「１００発？」
　お姉さまは聞き返した。
「はい、そうです。」
　しまった。少なすぎたのだろうか。
「そう、十分反省したみたいね。その気持ちは考慮してあげなくちゃね。１００発っていうのは実際かなりきついと思うのね、だから５０発にしてあげる。５０発でも相当効くと思うから覚悟してね。」
　お姉さまはそう言うと、早速一発僕のお尻に振り下ろした。かなりの痛みを伴ったが、１００発と多めに言っておいたおかげで半分に減って良かったと思った。
　お尻叩きのおしおきは、一定の間を置きながら続けられた。
「可愛いお尻ね。叩くたびにピクッと動くところがいいね。」
　実際は、痛みを少しでもやわらげることができないかと思い、叩かれるたびにお尻を動かしてみていたのだが、何故かそれが気に入られたようだった。
「だんだん赤くなってきたよ。もっとお尻を可愛く振って見せてね。」
　３０発を超えた頃から、もうお尻の感覚はかなりなくなって、ただ熱く感じるばかりになっていた。お姉さまはいろいろと僕に恥ずかしい言葉を浴びせながら続けた。
「おち★ぽももうはちきれそうじゃない。やっぱり五月君はマゾね。私の可愛いペットになれるようにたっぷり調教してあげるからね。」
　４０発を超えると、苦しみは地獄のようになった。今までは表面ではじけるような痛みだったのが、身体の奥へしみ込むような痛みに変ったのだ。鏡の中の僕も苦痛に顔を歪めている。自分のそんな姿を見ることも苦痛を倍化させた。
「もう真っ赤になっちゃったよ、五月君のお尻。あ、もう最後の一発ね。よく頑張ったね。この一発がすんだら楽にしてあげるからね。」
　と言うと、お姉さまは少し考えるような恰好をした。
「ね、最後はどこがいい？」
　お姉さまの質問はいじわるなこともあるが、今回のは簡単だと思った。お尻なんてどこを叩かれても大差は無い。なのに、わざわざ聞くということは、他のところを叩きたいに違いない。そこがどこか簡単に分かるが、そこにあの痛みを受けるのは恐怖すら感じる。でも、お姉さまがそうしたいに違いないのだから、従うほか無い。
「おち★ぽに下さい。」
　お姉さまは案の定うれしそうな顔をした。
「おち★ぽに欲しいの？この痛みはかなりのものだって十分わかってるのにそれでも欲しいの？仕方ない子ね。やっぱりマゾね。」
　僕に問い掛けるような、ひとり言のような感じでお姉さまはそう言うと、
「覚悟はいい？」
　と定規を目の前に差し出した。
「お願いします。」
　ピシーッ。次の瞬間僕は股間を抑えてうずくまっていた。その痛みは想像を絶するものだった。これ以上の痛みがこの世にあるかとさえ思った。

　そして、１０分以上はそうしていただろうか。しばらくは身動きができずにいた。
　ようやく痛みがおさまり、僕はお姉さまを見ようとした。が、いない。
「お姉さま。」
　そう呼ぶと、お姉さまはすぐにとんできた。小脇になにか包みを抱えている。
「あ、ごめんごめん。しばらく治るまでかかりそうだったから。」
　お姉さまは僕を座らせ、包みを傍らの机に置いた。
「約束どおり、ご褒美をあげましょうね。」
　まず、お姉さまは僕を仰向けに寝かせた。そして、僕の下半身の方に向くようにして顔の上に腰を下ろした。お姉さまはミニのタイトスカートをはいていて、パンストが直接顔を圧迫した。パンストとショーツ越しにあそこの匂いがした。それは、とてもいい匂いだった。
「勝手に舐めちゃだめだからね。」
　言われるままに、口をつぐんでいるようにした。スカートの中は真っ暗で何も見えない。お姉さまのショーツの色だけでも確認したかったが、お尻に視界を阻まれて何も見えない。これから何をしようというのだろう。でも、ご褒美なんだから心配する必要はないだろう。
　そんなことを考えていたら、お姉さまの上体が僕の下半身の方へ動かされた。すると、必然的に今までお尻に顔を埋めていたのが、おま★こに顔を埋めるような形になった。あまりのうれしさに酔いしれていると、おち★ぽにお姉さまの手のぬくもりを感じた。
「ふふっ。お尻に敷かれるのがそんなにうれしいの？もうこんなに大きくしちゃって。」
　自分でも知らないうちに大きくなっていたようだ。お姉さまは、包むように優しくなで始めた。
「ああっ。」
「いい声ね。もっと優しくいじめてあげるからね。」
　お姉さまの手のスピードが徐々に上がり始めた。
「ああ‥‥ふう。」
「なんだか女の子みたいな声だすのね。いいよ、もっと感じて。でも、いいって言うまでイっちゃだめだよ。」
「ううっ。はい。」
　お姉さまは一度手を離した。そして、今度はおち★ぽを握りしめ、上下に動かすようにした。スピードを早くしたり遅くしたり、握る力も強く弱くと絶妙のテクニックで責めた。僕は、すぐにイきそうになったが、なんとか我慢した。しかし、責めは執拗に続いた。さらに、時々顔の上に乗っている腰を動かすので、その感触でますますおち★ぽは敏感になった。
「あはぁっ。お姉さま、僕もう、いきそうです。」
　お姉さまはさっと手を離した。
「もうイきそうなの？早いのね。もうちょっと我慢できればもっと気持ちいいことできるのに。」
　もっと責めて欲しいのはやまやまだが、限界は本当にすぐそこにきていた。
「仕方ないね。でも、もう少しだけ辛抱してね。」
　次の瞬間、体中に衝撃が走った。おち★ぽに何かあたたかくねっとりしたものが絡み付いてきたのだ。それは、考えるまでも無くお姉さまの唇だった。お姉さまはゆっくりとなめまわすと、一気に口の中に飲み込んだ。
「うぅ、あはぁっ、ふぅん。」
　もう言葉は出なかった。ただ、恥ずかしいほど大きな声で喘ぐしかなかった。が、急にお姉さまは口を離した。
「どう？気持ちよかったでしょ。口の中で出したかったかもしれないけど、今日はお預けね。従順なペットになったら許してあげるかもしれないけどね。」
　お姉さまは、僕の両足をつかんでもちあげると、いわゆるちんぐりがえしの体勢にした。そして、おち★ぽをしごきはじめた。
「心配しなくてもちゃんと出させてあげるよ。でも、お店が汚れると困るからしっかり全部飲み干してね。」
「あぁ、分かりました。ふぅん、お姉さま、あ、あ、くぅ。」
「ふふっ。やっぱり女の子みたいね。あっ、そうか五月君は女の子なんだ。ブラとショーツも着けてるしね。今度から五月ちゃんって呼んであげるから、五月ちゃんも僕じゃなくて私って言ってね。」
「え、あ、分かりました。ふぅ、お姉さま。くぅうん。あふぅ。」
　その瞬間、おち★ぽから大量の精液が飛び出した。それは、せき止められていたものが解放されたように勢い良く、そして、リズミカルに脈打った。僕は口を大きく開け、全てを飲み干そうとしたが、実際口に入ったのは半分程度で、あとは顔から胸にかけて広く飛び散った。床にも少しだが落ちたようだ。新品のブラジャーも早速汚してしまった。僕は、口の中の苦い液体を飲み込んだ。
「申し訳ございません、お姉さま。全部飲み干すことはできませんでした。」
　お姉さまはティッシュを持ってきて床を拭きながら言った。
「仕方ない子ね。立って鏡で自分の姿を見てみなさい。」
　言われたとおりに鏡の前に立つと、まさにそれは、ＡＶにでてくるような、顔射された女性の姿だった。しかし、不思議なことに、そんな姿を惨めだとは思わなかった。それどころか、いとおしくさえ感じてしまったのだ。やっぱり僕はマゾなんだ。そう確信した。
「自分の身体についた精液は自分で舐めなさいね。指ですくってね。ティッシュなんか使わせないからね。ペットにはもったいないもんね。」
　僕は、言われたとおりに指ですくって舐めた。そして、全て舐めつくした。顔くらいは拭きたいと思ったが、それは許されなかった。

　店を出るとき、お姉さまはさっき机の上に置いていた包みを僕に手渡した。
「この中に私からのプレゼントが入ってるから、アパートに帰って見てみてね。」
「え、僕、いえ私、もらっていいんですか？」
「もちろん。五月ちゃんのために用意したんだから。大事にしてね。」
　お姉さまは相変わらずの可愛い笑顔で微笑んで言った。
「はい。お姉さま。」
「それと、宿題も入ってるから。」
「宿題ですか。」
　お姉さまの目はちょっと悪戯っぽい感じだったが、それがまた私を魅了した。
「次、来るときには出来るようにしてね。」
「はい。」
　そういって、ドアに手を掛けたとき、いつのまにかクローズドのカードが掛かっているのに気づいた。