２．

　初めての呼び出しを受けたのはあれから３日後のことだった。ちょうど日曜日で学校もなく、ひまを持て余しているところだったので喜んでとんでいくことにした。電話の話では、ショッピングについてきて欲しいということらしい。僕は車を持っていないので、お姉さまの車でいくことになり、自転車で『リコ』へと向かった。

　店のドアを開けると、お姉さまは何か商品の整理をしていたようだったが、すぐに手を止め、僕を招き入れた。そして、入口のカーテンを閉め、クローズドのカードを掛けると、立っている僕の前へ来てポロシャツの一番上のボタンを外し、手前へ引っ張って中を覗き込んだ。
「宿題はしてきたかな？」
　お姉さまはそういって微笑むと、僕に服を脱ぐように命じた。
「はい。」
　言われるままに服を脱いで下着姿になった。先日買ったあのランジェリーだ。帰り際にもらった宿題の１つがこれだった。下着は女性物を着けること。
「ちゃんと着けてきたのね。毎日してるの？」
「はい。この前いただいたものと交互にまわして着けてます。あ、ありがとうございました。二組もいただいて。」
　前回ここに来たときに帰りにもらった包みの中には、ブラとショーツがペアで二組入っていたのだ。
「いいのよ。あれ、売れ残りで倉庫に埋もれてたのだから。デザインがもうかなり前のだしね。」
　お姉さまはそう言うと、窓のところへ歩いていきブラインドを閉めた。
「もう一つの宿題も見せてもらおうかな。」
「はい。」
　ブラとショーツを取り、全裸になった。お姉さまは僕の全身を眺めながら、ぐるっと一周した。もう一つの宿題、それは首から下のムダ毛を全て処理すること。もちろん、僕の大事な部分にも一本も毛は生えていない。
「へえ、こうしてみると結構綺麗じゃない。ケガしなかった？」
　お姉さまはしゃがみこんで、僕のそこを持ち上げたりしながら聞いた。そこは敏感に反応をはじめた。
「大丈夫です。結構毛は薄いほうなので。」
「ふうん。確かにそうみたいね。」
　時間にして数十秒だったと思うが、その部分は細く白い指で弄ばれるうちにカチカチに硬直していた。
「合格。」
　お姉さまは立ち上がると、急に僕のものをギュッと握り締めた。
「うっ。」
　と、僕は身体をのけぞらした。が、その手は一瞬で離された。
「早速気持ち良くしてあげたいところだけど、今日は別のご褒美を考えてるの。一緒に買いに行こ。」
　お姉さまはそう言うと、下着を着けるのを手伝ってくれ、車に乗るように言った。

　そこは小さなブティックだった。ウィンドウには清楚で可愛らしい感じの洋服が飾られている。きっと若い女性に人気があるのだろう。が、僕にプレゼントとは、まさか‥‥。
　お姉さまが先に立って店に入ると、チリンチリンとドアに取り付けられたベルの音がして、すぐに店員さんが現れた。
「いらっしゃいませ。あ、佐倉さん、待ってたんですよ。」
　お姉さまの知り合いのようだ。待っていたということは事前に連絡していたのだろう。
「この子は水野はるきちゃんって言って私の高校の後輩なの。五月ちゃんより1つ年上ね。」
　と、お姉さまが彼女を紹介した。
「初めまして。どうぞよろしく。」
　はるきさんはそう言って僕のほうを向くと、ペコリとおじぎをしてニコッと笑った。"ロリータフェイス"と言っていいくらい、まだあどけなさの残る顔立ちに、その仕草もどこか幼さの抜けきれていないような感じで、まさに可愛いという表現がぴったりの女性だ。僕も
「こちらこそ。よろしくお願いします。」
　と、頭を下げた。
　彼女は、お姉さまと僕とを見比べるように交互に見ながら、
「今日は妹さんと来るんじゃなかったんですか？」
　と、僕たちの間に割り込んだ。
　お姉さまは微笑みながら僕のほうを見て、
「その子のことなの。私の妹の日比野五月ちゃん。今日は、この子に服を選んであげて欲しいんだけどお願いできる？」
　と言った。やっぱり、そういうことだったのだ。
　はるきさんは戸惑った様子で、
「え、だって男の人‥‥ですよね。」
　と、僕の顔を覗き込んだ。不思議そうな顔もまた可愛らしい。
「女の子よ。」
　お姉さまはそう言って僕の肩に手を乗せると、
「ね？」
　と、同意を求めた。
「はい。わ、私、女の子です。」
　お姉さま以外の人にこんなことを言うのは恥ずかしくてたまらなかったが、逆らうことは出来ない。が、彼女はさらに当惑したようだ。
「この子いつもこんな恰好してるから男の子に間違われることが多いの。だから、女の子らしい可愛い服をいろいろ試着しながら選んであげて欲しいんだけど‥‥。」
　お姉さまはそう話を続けたが、はるきさんが、
「ちょっと、待ってください。」
　と、さえぎった。
「佐倉さんがそう言うのなら手伝ってあげたいのはやまやまなんですが、えーっと‥‥その‥‥男性には試着していただけないんですよ。ほら、ここ女性向けのお店ですし、男性が着たものとなると快く思わないお客さんもいらっしゃると思うので。」
　彼女はなるべく僕たちをがっかりさせないようにと気遣う様子で続けた。
「あ、でも、試着しなければ大丈夫ですよ。大体合うサイズは分かりますから。」
　お姉さまは少し下を向いてなにか考えているようだったが、
「本当に女の子なんだけどねえ‥‥、どうすれば分かってもらえるかな‥‥。」
　と、相談ともひとり言ともつかないようなことをつぶやいた。
「なにか証拠があれば別ですけどね。」
　はるきさんは、"あるわけないでしょうけど"とでも言いたげな感じでちょっと悪戯っぽく微笑んだ。
　それを聞くと、お姉さまは"パンッ"と手を叩き、
「そうだ、いいこと考えちゃった。」
　と急に顔をほころばせて僕の両肩に手を乗せ、
「五月ちゃん、脱いで。ね、はるきちゃん見れば分かるから、きっと。」
　僕とはるきさんの顔を交互に見ながらニコニコと嬉しそうに笑った。
「そうですね。それでも良いのなら私は構いませんよ。」
　と、はるきさんもそれに同意した。
　まさかこんなに簡単に彼女が納得するとは思っていなかったので、なにやら釈然としない気持ちもあったが、すぐに緊張と不安でいっぱいになった。しかし、お姉さまは、そんな僕の気持ちはお構いなしに、
「はるきちゃん試着室貸してね。」
　と、早速僕の手を引っ張って歩き出した。が、今度ははるきさんがお姉さまのもう片方の手を引っ張って、
「駄目ですよ。」
　と、引き止めた。どうして、と言うお姉さまに、
「お客さんは皆さんそこで裸になるわけですし、同じところに裸の男性が入ってたとなると問題になりますから。」
　彼女は言うと、商品の掛かっているキャスター付きの洋服掛けを少しずつ移動させ、２ｍ四方くらいのスペースを作った。そして、その場所の真ん中に立つと僕に微笑んで見せた。
「ここで脱いでください。」
　そんな‥‥。聞き間違いだと思いたかった。
「え、そんな所だと外から見えてしまうんじゃ‥‥。」
　その場所は店の真ん中よりはやや奥に位置していたが、店のウィンドウの向こうからでも角度によっては見えそうな場所だし、入口からならまともに見られてしまう。しかし‥‥、２人の答えは非情なものだった。
「女の人しか来ないから大丈夫よ。」
「女の子なんだから恥ずかしくないですよね。」

　脱いだものが汚れるから、という理由で床には小さなカーペットが敷かれ、僕はその中央に立たされた。お姉さまとはるきさんは、折りたたみの椅子を用意し、目の前に座った。その場は、まるでこれからショーが始まるかのような雰囲気に包まれていた。二人の視線をまともに受けている僕は、服を脱ぐより他にこの状況から逃れるすべがないことは分かっていても、なかなか思い切ることが出来ずにいた。もじもじと恥ずかしがる様子は小さな女の子のようだったかもしれない。そんな僕を見てはるきさんが、
「いいんですよ。無理しなくて。意地悪する気はないんですから。」
　と、ニコッと笑いかけた。が、それは言葉とは裏腹に僕をせかしているように聞こえた。お姉さまの考えはよく分からないが、ぐずぐずしていても始まらない。意を決し、脱ぎ始めた。ちらっと目を上げると二人の瞳が期待と好奇心に輝いているのが分かった。心臓の鼓動が徐々に速くなる。体中が熱くなっているようにも思えた。シャツを胸の上までまくったとき、はるきさんが、
「あっ‥‥。」
　と、小さく声をあげた。僕は一気に首から抜き、下に落とした。そして、間髪をいれずにジーンズに手を掛けた。途中で手を止めてしまうと、恥ずかしさのあまり先に進めなくなってしまう気がしたから。そして、そのままジーンズを下ろし、足から抜いた。僕の股間はすでにショーツからはみだしそうになるくらい膨張していた。
　お姉さまは満足そうな笑みを浮かべて、
「ね、はるきちゃん、女の子だったでしょ。こんなに可愛いブラとショーツを着けてるんだから。」
　と言った。が、彼女は納得しない。当然だが。
「えーっ、どう見たって男の子じゃないですか。胸が無いし、ショーツの前だって‥‥すごく膨らんでますよ。」
　彼女は少し慌てたような感じで早口になっていた。
「これが証拠だなんて言っても駄目ですよ。どうしてもと言うなら全部脱いでもらわないと。」
　え、そんな‥‥。のどまで出かかって押し込めた。多分、抵抗しても意味はないと分かっていたから。
　しかし、どうして、商品の試着や試着室の使用には難色を示す彼女が、店の真ん中で全裸になることにはなんとも思わないのか。いや、それどころか楽しんでいる？
「五月ちゃん、分かってるでしょ。脱いで、全部。」
　お姉さまの声で僕は我に帰った。
　僕はまずブラジャーに手を掛け、ホックを外した。両腕からスルッと抜くと、さらに恥ずかしさが込み上げてきた。胸を見られたからというわけではない。ブラをはずすという男性には絶対にありえない行為に対しての羞恥だと分かっていた。綺麗にたたんでシャツの上に重ねて置く。次にショーツに指を掛ける。今でも十分恥ずかしい姿だが、さすがに自分のモノを見られるのは訳が違った。が、ここで止まってしまうと、本当に次に進めなくなる。一気に足元まで引き下げ、抜いた。
「やっぱり男の子じゃないですか。もう言い訳は聞きませんよ。」
　最初に口を開いたのははるきさんだった。彼女の目は確実に僕の股間のものをとらえていた。下着を脱いでしまえばばれることは分かっていたことなのだ。お姉さまはどうする気なのだろうか。
　お姉さまは隣に来ると、僕の胸に手を当てた。
「いい、はるきちゃん、よく見て。胸が小さいだけでちゃんとあるの。ほとんど膨らんでないから無いように見えるけど、胸なんて大きさは人それぞれだから。それとこの下の硬い部分はクリトリスなの。この子、オナニーのし過ぎで、男の子のモノに見えてしまうくらい大きくなっちゃったの。もし、疑うなら好きなようにコレをいたずらしていいよ。男の子なら先から白いものがあふれてくる筈だもんね。」
　その間、はるきさんは黙って聞いていたが、すっと立ち上がると
「じゃあそうさせていただきます。」
　と言った。お姉さまは僕の目を見て少しだけ微笑んで見せた。それは、言葉には出さなくても
「分かってるでしょ。」
　と、言いたげだった。このとき密かに試練が与えられた。はるきさんのいかなる攻撃にも、決してイってはいけないという試練が。

「よろしくね。」
　と、彼女はカーペットに上がった。それ自体がそんなに大きくないので、僕たちは互いの身体がぶつからないように気を遣った。あらためて近くで見ると、彼女を形作るパーツの一つ一つが僕の心を高ぶらせた。肩よりも２０ｃｍ位下まである長い髪は、黒くつややかでわずかにシャンプーの香りがし、彼女の清楚な感じをよりいっそう高めている。服の上からなのではっきりとは分からないけれども、全体的に小柄ではあるが決してやせすぎではないようだ。
　彼女は僕の目の前に来るとひざを立てて座り、目の前にあるモノを指先でなぞるようにそっと撫でた。
「ふふっ、もうこんなに大きくして。私がすぐに気持ち良くしてあげる。我慢しなくていいから思いきり出してね。」
　彼女は先を優しくつまむと、上下にゆっくりと滑らせはじめた。ああ、お姉さまに触られたときと同じだ。快感が少しずつこみあげてきた。
「それにしても五月ちゃんのココはどうしてこんなにつるつるなの？こんな歳になって何も生えてない子はいないと思うけど。」
　そのとおり。わざわざ剃ったのだから。が、あらためてそう言われると恥ずかしさは何倍にも膨れ上がった。
「聞かれたことには答えなくちゃ駄目だよ。どうしてツルツルなの？」
　お姉さまが促した。ちらっとそちらの方を見ると、きっと今から起こることに胸を躍らせているのだろう、目をキラキラさせてこちらを見ている。
「お姉さまの言い付けで、全部剃ってきました。」
　そう言うと、はるきさんは、
「へえ、そうなの。でも、こうしてツルツルのを見ると結構可愛いものね。あ、五月ちゃんのモノが小さいって言ってるんじゃないのよ。なんだか、小学生くらいの男の子のものを見てるみたいだなと思って。」
　続けながら、
「あ、いけない、女の子だったね。」
　と、相変わらず滑らかな手で股間を弄びながら、ちょっと舌を出した。普通、こんな仕草はテレビか漫画でしかお目にかかることは出来ないと思っていたが、実際目の前でやられると、胸に電流が走ったといえるくらいドキッとした。そして当然、あの部分は敏感に反応し、むくむくと硬さを増した。
「すごい。まだ大きくなってる。」
　彼女はそう言うと、今度はさらに下のほう、いわゆる"袋"の方に指を移動した。そして、左右に分かれているものを優しくつまむようにしながら撫でたり転がしたりした。それは、僕にとって初めての快感だった。
「ふうっ。」
　少しだけ、気付かれないように息をついた。しかし、至近距離の彼女の耳はそれを聞き逃さなかった。
「ふふっ。我慢しないでって言ったのに。もっと大きな声で喘いでいいんだよ。」
　指の速度が徐々に早まるのがわかった。しかも強弱をつけながら。僕の中ではもう白い波が湧き立ちはじめていた。しかし、これくらいなら何とかなるかも‥‥
「これくらいなら我慢できるかな。」
　言ったのははるきさんだった。彼女に心の中を見透かされているような気がした。
「安心して。今までのはほんの小手調べよ。これから楽しくなるからね。」
　彼女は今度は僕にぶつかるのを気にせず後ろに回った。そして、僕の肩をぐっと引き寄せ、脇の下へ腕を通し、抱きついた。
「五月ちゃんは女の子との経験あるのかな？」
　首を横に振った。お姉さまとの出来事もあったが、最後まで‥‥つまりＳＥＸまではいってない。はるきさんがお姉さまの方を向いた。お姉さまは何も言わずコクンと頷いた。
「じゃ、こんなのはどう。」
　言うが早いか、彼女の指が僕の右の乳首をくすぐり始めた。
「あっ、はあぁつ。」
　思わず声がもれた。いや、もれたというよりは叫んだ、に近かっただろうか。
「気持ちいいんでしょ。アソコだけが気持ちいいわけじゃないんだよ。」
　左右の指先が乳首を捉えていた。
「ううっ、ああっ‥‥。」
　声にならないような叫びが僕の周りに広がっていった。
「いいのよ‥‥もっと喘いで。大きな声で。」
　完全に彼女のテクニックに翻弄されていた。心地いいようでくすぐったい、快感のようで苦痛にも似たその責めは、僕の平常心を吹き飛ばした。
「ああ、もっと‥‥して。そこ‥‥ひっ‥‥ああ。」
　しばらくその攻撃が続き、彼女が手を離した頃には僕は半ば放心状態になっていた。
　突然、彼女の手が肩をポンと叩いた。
「ちょっとしゃがんでくれる？」
　言うとおりにした。彼女は僕の耳に唇をつけ、
「これからが本番ね。」
　ちろっと舌を入れた。思わずのけぞった僕にニコッと笑う彼女は、こんな淫らな触れ合いをしながらも、まるで天使のようにさえ見えた。
（お姉さまが女神ならはるきさんは天使だ。）
　ふと、そんなことを考えた。

　"しゃがんで"と言われたものの、正確には正座する恰好になった。はるきさんはあいかわらず背後に陣取っている。これからが本番らしい。だが、僕のソコは既に十分に刺激され限界が見えはじめていた。
「イキたくなったらいってね。」
　"言ってね"なのか"イってね"なのか分からなかったが、彼女は左手で僕の乳首を触りながら右手で下半身のモノを握った。ゆっくりと細い指が動き始める。どちらかだけでもかなりの快感を得ていたのに、両方をいっぺんに責められるとその刺激は想像を絶した。身体の内側から熱いものが湧きあがってくるようで、ちょっと眠気にも似た誘惑が僕を包む。このまま果ててしまいたい。が、そのとき目の端にお姉さまの姿をとらえた。お姉さまは椅子に座って、僕たちの淫らな交わりを文字通り"覗き込んで"いた。
（ああ‥‥見て下さい。私の‥‥いやらしく濡れて喘ぐ姿を。責められて‥‥もだえるいやらしい姿を。）
　声には出さなかったが、目で訴えた。きっとお姉さまは私の心中を察していてくれる。そう思った。
「ほら、女の子らしくもっと悶えていいんだよ。私が見ててあげるから。どこがどんな風に気持ちいいのか言ってみなさい。」
　お姉さまの言葉は暖かいようで非情でもあった。初めて会った女性の前で本性をさらけ出すのは非常にためらわれる。内に秘めた感情を心置きなく吐き出すことが出来たらどんなにいいか。
「ねえ、"お姉さま"がああ言ってらっしゃるんだからどんな気分か言ってみてよ。」
　はるきさんのその言葉は僕の心の門をこじあけた。それに、僕自身かなり限界に近づいていることも分かっていた。
「あぁっ‥‥わ、私の胸とクリトリスが‥‥はるきさんに優しくして頂いて‥‥もう、気持ちよくて‥‥どうにかなってしまいそうで。」
　ようやく出た言葉も途切れ途切れだった。
　彼女は時々左右の手をいれかえながら、左右の胸を責め立てた。その度に僕の身体は敏感に反応し、淫らに喘ぎ続けた。
「そんなに気持ち良くなってもらえてうれしいな。じゃ、五月ちゃんの一番気持ちいいところに、いいことしてあげようかな。」
　と、僕の背中から離れた。

「すぐイかせてあげるからね。」
　と言いながら、彼女は僕の両肩に手を乗せ後ろへと引っ張った。虚をつかれた僕はコロンと仰向けに転がった。彼女は間髪をいれずに僕の顔にまたがり、腰掛けた。お姉さまのときと同じだ。６９（シックスナイン）という体制とは少し違うのだろうが大体はこんなかんじだろう。しかし、
「勝手に舐めちゃ駄目だよ。」
　だった。
「いい子にしてないと気持ち良くしてあげないからね。」
「は、はい。」
　やわらかくふくよかなヒップにうずもれた僕はこの上ない喜びを感じていた。なぜか分からないが昔から女の子の胸よりもお尻に興奮した。小中学生のころ、女の子たちのシャツから透けて見えるブラジャーよりもブルマー姿に興味を持っていた。が、しかし、だからこそ今はやばい。何があっても耐え切らなくてはならないこの状況では。
　そうこう考えているうちに、ある意味懐かしい感触が下半身のその部分を襲った。彼女が目の前のものをいきなり口にくわえ込みゆっくりと上下運動をはじめたのだ。ねっとりとまとわりついた唇は、ただ一心にそのものを愛撫した。
「あーっ‥‥ううっ。」
　くちゅくちゅ、ぴちゃぴちゃと響く淫らな音に混じって、いつのまにか声を出していた。そんな僕の姿を見て、はるきさんは口で責めると同時に指での愛撫も開始した。しなやかな指は敏感な袋の部分を撫でさするようにやわらかく躍動した。僕は必死に耐えた。限界はもうすぐそこまで来ている。努めてほかのことを考えて気をそらせようとした。が、僕の顔面を圧迫するお尻が動くたびに、その努力もむなしくかき消され僕の中に熱情が蓄積されていった。
　と、急に彼女はくわえていたものを離した。そしてこちらに向き直ると再び僕の耳に唇をつけた。
「五月ちゃんの童貞もらってあげるね。」
　瞬間、頭の中は真っ白になった。え、それって‥‥まさか。
　僕が返す言葉をまだ探しているうちに、はるきさんは自分のスカートの中に手を入れ、ゆっくりとショーツを下ろした。彼女のキャラクターに相応しく、白でレースの所々にピンクの刺繍の混じった可愛らしいものだった。彼女はそれを持って僕の身体に覆い被さった。
「あの、それは‥‥その‥‥。」
　今から起こることが何なのか漠然と理解しかけていたものの、受け入れていいのか拒否していいのか分からなかった僕は、とりあえず彼女を制止しようと身を起こしかけた。
「だめ。お姉さまに怒られるよ。」
　はるきさんが制した。視界の端でお姉さまはコクッと頷いた。
「ちょっと、そのまま。」
　と彼女は言うと、起き上がりかけていた僕の顔にすぽっと持っていたものを被せた。つまり、今まではいていたショーツを。お尻の部分を前にして被せられたので視界が無くなった。お姉さまのクスクスと笑う声が聞こえる。はるきさんも笑っているようだった。まだぬくもりの残っているショーツがさらなる羞恥心を呼び起こした。僕は、支えてもらいながら再び横たわると、腰のあたりに彼女が腰を下ろしたのが分かった。
「私の喘ぐとこ見たいかもしれないけど初体験じゃ刺激が強すぎるからみせてあげない。」
「そんな‥‥。」
　思わず声に出していた。
「ふふっ。正直な子ね。」
　彼女は体制を整えた。
「いい？入れるよ。ほら、私ももうベトベト‥‥あ、入っていく。うん‥‥ぬるぬるしてるでしょ‥‥気持ちいい？」
　彼女の花びらの中に僕のものが徐々に飲み込まれていく。
「あ‥‥はあっ。気持ちいいです‥‥暖かい‥‥とても、なんだかとろけそうです。」
「そう‥‥じゃ、ちょっと動くからね。いきそうになったら言ってね。中に出したら‥‥あんっ‥‥承知しないから。」
「あうっ‥‥はい。いえ‥‥でも‥‥私、女の子です。うんっ‥‥あ、あまり動いては‥‥でも‥‥はるきさんの中、気持ちいいです、とても‥‥ああっ、胸は、だめ‥‥あまり激しくしないで‥‥くださ‥‥い、イヤ‥‥。」
「あーっ、はぁ‥‥いいでしょ。そんなに感じる？初めてだもんね。でも、その喘ぎ方、やっぱり女の子ね。」
「あ、でも‥‥もう‥‥いきそうです。そんなに‥‥動いちゃ‥‥いや、だめ、もう‥‥。」
「そんなこと言っても、おっぱい気持ちいいんでしょ‥‥あ‥‥じゃ、こんなのは‥‥ぴちゃ‥‥こうやって‥‥舐めてあげようか？」
「え、そんな‥‥だめぇ。きゃ‥‥もう、いや‥‥だめ、いい‥‥でも‥‥あ、あ、あ、いく‥‥いっちゃう‥‥そんな、あんっ‥‥いやぁ。」
　そのとき欲望は頂点に達した。一瞬ぬくもりが途絶えたような気もしたが、限界を超えた白い欲望は彼女の中へと跳ね回るように放出された。度重なる刺激を長時間抑圧されていたためか、いつ収まるともしれないくらい何度もしかも強烈に脈打った。その快感は今までに感じたことのないくらい激しく熱かった。そして、彼女の花びらはそれを全て舐め取るようにまとわりついた。

　ぱっと目の前が明るくなって、はるきさんがにっこりと微笑んでいた。ショーツが取られたのだ。僕は彼女の攻撃に屈した。ちらっとお姉さまを見た。が、怒っている様子はない。はるきさんの前だからだろうか。少し意外な感じを受けながらも、僕は体を起こした。もう寝ている必要もないだろう。はるきさんは僕の手をひっぱって起こすと、急に抱きついて、そして柔らかな唇を僕の唇へと押し当ててきた。
「ちょっと、やめ‥‥。」
　やめて下さいと言おうとしたが、彼女は強引に唇を奪った。そして、むりやり舌を侵入させ、同時に口の中に暖かい不思議な液体を大量に送り込んできた。それが何なのか、理解するまでにそう時間はかからなかった。さっき、彼女の中に放出したと思ったものは、実際は彼女の口の中へと放出されていたのだ。じゃあ、さっきの淫戯は全て‥‥？いやそんなはずはない。彼女も明らかに感じていたはずだ。
「おいしい？」
　彼女が言い、僕はそれを飲み下した。
「はい。」
　そう言って良かったのか分からなかったが、二人とも満足したようだった。
「やっぱり五月ちゃんって‥‥。」
　男の子だったのね‥‥、か。
「女の子だったのね。」
　あそこまでされて果てない男はいないだろう。しかも、初めてなんだし。当然だ、仕方がない。‥‥え、女の子？
「女の子だったんだからもう言うことはないよ。服、選びましょ。」
　どうして‥‥彼女がお姉さまにばれないようにごまかしてくれたのか‥‥いや、そんなことができるだろうか。しかし、お姉さまも、
「ね、早く選ぼうよ。」
と僕を急かしている。
「さ、これ。」
　はるきさんがいつのまにか手にしていた僕の下着を差し出した。手伝ってもらってブラを着ける。僕はそこでようやく理解した。これは、二人の企みだったのだろう。初めから僕に恥ずかしい思いをさせるための。
「ショーツは自分で着けてね‥‥あ、‥‥。」
　と、はるきさんは僕が気付いたことを知ってか知らずか、急にしゃがみこんだ。
「あ。」
　僕の先端から白いものがまだ糸を引いていた。
　はるきさんは何も言わず、その先端に舌を這わせ綺麗に舐めとった。そして、もう一度深々とくわえ込むと、舌を絡め、締め付けるように口をすぼめて、その残った熱情を吸い取った。
　そしてもう一度深々とくわえ込んだとき、"チリン"という音とともに入口のドアが開いた。僕たちの視線は一瞬にしてそこに集まった。はるきさんは、とっさの事におどろいたのか、口は離したもののぽかんと開いたままだ。
「な、何‥‥してるの。」
　その女性客はおどろきを隠せない様子で、持っていた大きなカバンをあやうく落としそうになった。
「何してるのよ。」
　今度の言葉は多少怒気が含まれているようにも聞こえた。僕はただその場に崩れ落ちるしかなかった。