(5)Lesson

　切羽詰っていた諒太郎の顔が安堵に変わり私の隣に座りなおす。
「由香里・・・」
　諒太郎の声が緊張している。
「これは練習よ。あくまでも」
　私も少し緊張して早口になる。
「わかってる。本当にごめん」
　諒太郎は私に顔を近づけた
　私の腕に触れた途端、諒太郎が震えだした。
「どうしたの？私の腕なんて何度も掴んできたじゃない」
「違うよ。違うんだよ。俺の目の前にいるのは由香里だけど、由香里じゃない。やっぱり由香里も女の子だ」
　諒太郎が絶望的な声をあげる。
「だから、練習になるのよ。震えもしない、女も感じないコ抱いたって何にもならないでしょう？さぁ深呼吸して。落ち着いて」
　諒太郎は大きく深呼吸をして、ゆっくりと私の左の二の腕を右手で掴んだ。
「大丈夫よ」
「ああ。大丈夫みたいだ」
「じゃあ次は左手で顎に触れて」
　諒太郎はゆっくりと私の顎に触れ軽く持ち上げた。
「そう。そのまま唇を寄せて」
　二人とも顔を傾け目を閉じ唇を重ねた。少し緊張している諒太郎の唇。その唇を柔らかく私は包む。
「上手くしようなんて思わなくていいから」
「ああ」
　諒太郎が私の口に舌を入れ絡ませてくる。初めての焦りからかぎこちなく動く。
　"カチン"歯と歯がぶつかった。
「あっご、ごめん」
　諒太郎がぱっと離れた。
「諒太郎。最初は唇を重ねるだけでもいいのよ。重ねているうちに距離感もつかめてくるから」
「ああ。わかった」
「じゃあもう一度」
　再度深呼吸をして、諒太郎の唇が私の唇に重なる。さっきよりそれは柔らかく優しくなっている。
　私は頃合を見計らい、諒太郎の口に舌を挿入した。
　それに応えるように諒太郎も舌を絡めてくる。
　"チュプッ、チュプ"
　音が段々と卑猥に変わる。
　諒太郎の右腕が私の胸に触れる。大きな手・・・。かすかに震えながらまさぐり始めた。
「私の乳首がどこにあるか分かる？」
「ここか？」
「そう・・・。そこを親指で集中的にくるくる回して・・・そう・・・。もう少しゆっくり・・・あん」
　ぎこちなくも刺激的な諒太郎の指のまさぐりに私は感じ始めてきた。
「ブラウスのボタン、はずして・・・」
「いいのか・・・」
　諒太郎は上から一つずつボタンに手をかけはずし始める。
　最後のボタンをはずし、ブラジャーに包まれている私の胸があらわになった。
「さ、触ってもいいか」
「いいわ」
　私のデコルテを撫でるが中々胸まで触ろうとしない。
「胸、触っていいのよ」
　諒太郎がゴクリを唾を飲み、手をブラジャーの中に入れてきた。
　コリッとなった乳首に触れた途端、諒太郎の震えがまた始まった。

「やっぱり俺・・・」
　いちいちしょげる諒太郎に私の方もイラついてきた。
「諒太郎!アンタなんなの!したいの？したくないの？恵理ちゃんと離れたくないんでしょ!それに、私だって意を決してアンタとしているのよ!その私の気持ち分かってるの？アンタ自分がダメだ、ダメだってなんなのよ。人の気持ち考えてるの？最初っから上手くしようなんて誰だってできるものじゃないわ。完璧にしようってカッコつけてるからダメなのよ。アンタ今更私にカッコつけたってしょうがないでしょ!!どうなのよ!」
　私は一気にまくし立てた。
「ごめん。俺・・・そうだな。いっつもカッコつけてたんだよな。完璧にしようとしてたんだよな。そうなんだ。そうなんだよ。由香里。ありがとう。今更由香里にカッコつけたってな・・・」
「ちょっと待って、"今更私に"って何よ!さっきは私のこと女の子だって言ったじゃない」
　私は、少しむっとしたけれど、思わず吹き出した。
　諒太郎も吹き出した。そして、大きな笑いへとなり、緊張が吹き飛んだ。
「さっ仕切りなおしね」
「ああ。もう一度最初からいいか？・・・じゃなくて、先生!お願いいたします」
「おほん。では、始めましょう」

　諒太郎の目が変わった。いつも私を見る少年のような目ではなくなっている。もう。それは男の目。
　突然ぎゅっと私を抱きしめた。
「ありがとう由香里。感謝する」
　そう言って私の唇にキスをしながら、右手を私のブラジャーの中に入れ、ゆっくりとまさぐる。
「由香里のオッパイ大きいな。柔らかくて。すごく感触いい」
「んふ。恵理ちゃんの胸の方がもっと大きいわよ」
　諒太郎は少し目をそらした。
「乳首・・・摘んでみて」
　諒太郎の親指と人差し指が私の乳首を摘む。
「あっはぅ」
　感じている私に、諒太郎はさらに興奮している。
「ブラ・・・はずして・・・」
　諒太郎の手が背中にまわる。
「あれ？これどうやってはずすんだ？」
「これね、フロントホックなの。前ではずすのよ。恵理ちゃんも同じ下着をつけてくるから、練習してみて」
　私はフロントホックをカチッさせ、軽くはずす。
「ホラ、簡単でしょ。やってみて」
　ホックをもう一度セットし、諒太郎にやらせてみる。
「こうやって・・・」
　"カチッ"という音と共に私の胸がブラジャーからこぼれた。

　諒太郎の視線が私の胸に釘付けになっている。
「由香里・・・」
　諒太郎が私の胸にいきなり貪りついてきた。
「はぁ。はぁ・・・」
　荒い息をたて、右手で左胸を揉みしだきながら、右胸の乳首に吸い付く。AVからの知識なのか、乳首の先をレロレロと舐め、また吸い付く。
「諒太郎、いい。すごく」
「ああ、俺、もう我慢できない・・・」
　諒太郎の右手がスカートをまくり、ショーツを下ろそうとする。
「待って、待って、いきなりは駄目よ」
「でも、俺もうパンパンで・・・」
「自分の処理のためじゃないのよ。こういう行為は。少しは相手のことも気遣ってよ」
「ご、ごめん」
　諒太郎はショーツから手を離した。
「座ったままだとすこしやりづらいわ。ベッドに・・・」
「ああ」
　ヒョイと私をお姫様抱っこで持ち上げた。そして、ベッドにそっと降ろした。

　少し気分が落ち着いたのか、諒太郎は仰向けになる私の横で片腕を付いて横になり、ゆったりと私のカラダを撫でる。
「どうしたの？」
「女の子のカラダって綺麗だな。ずっと触っていたいよ」
「うふ。今までの諒太郎は何だのかしらね」
「ああ。もったいないこと俺してたな」
「はぁ？何言ってんのかなー」
「スミマセン。由香里先生のお陰でございます」
　私達は、いつもの調子に戻った。がそれも束の間。
　ふと、目が合った。
「由香里・・・続けてもいいかな」
「いいわ」
　諒太郎はスカートのすそをゆっくりまくり上げ、私のショーツに触れてきた。ぎこちない動きの手ががショーツのクロッチ部分を往復する。少しずつその手の圧力が強くなり割れ目の淵に押し当てられた。
　"ヌチュッ"濡れた音が出た。
「由香里・・・感じてるのか？」
「ウン。少し・・・」
　諒太郎と恵理ちゃんの為と思いつつも、女の部分はもうすでに理性を失いかけている。
　"ヌチュッ、ヌチュッ"何度も音を立たせて淵に指を押し当てる。
「諒太郎、指をもう少し上に持ってきて・・・。そう、そこ・・・あぁん。一番感じるの。分かるでしょ、形が」
「クリトリスか」
「そう、そこ・・・あぁぁぁん・・・」
　私は諒太郎の愛撫に完全に感じ始めている。
「直接さわってみて・・・」
　諒太郎はショーツの中に手を入れ、クリトリスをコリコリといじり始めた。
　クルクルとまわしたり、指でこすったり、小刻みな動きでクリトリスを責め続けた。
「あぅ・・・あぁぁ・・・あはぅ・・・あ・・・あ・・・あ・・・・・・」
　私は諒太郎の指で絶頂を迎えた。
「由香里、イッタのか、俺の指でイッタのか」
　諒太郎は歓喜の声をあげた。
「イッタわ。すごくいい・・・」
　私は荒い息で答えた。

「由香里・・・もう我慢できない・・・入れたい」
「待って、その前に私の服、脱がせて・・・」
「わ、わかった」
　諒太郎は胸の高鳴りを抑えるように深呼吸してから、私の服と下着を脱がした。そして、自分の服も全て脱ぎ捨てた。
　諒太郎、何て男らしいカラダなの。筋肉ががっしりしていて、引き締っている。美しい。
「由香里・・・お前のカラダ本当に綺麗だな」
　諒太郎はそう言って、私の胸に口をあてしゃぶりつき、同時に大事な部分の淵に指を入れ込んだ。指でまさぐり入り口を探している。もう少し下なのに・・・あっそこ・・・やっと見つけ指が入ってきた。
「ああぁぁん・・・」
　諒太郎の指が私の大事な中をこね回している。指を出し入れするたびに濡れた音がでる。
　"クチュ、クチュ、クチュ・・・"
　私の中は洪水のように溢れかえっている。
　諒太郎は自分自身を溢れる入り口にあてがった。
「入れるよ」
「うん・・・」
「キツイ・・・・・・はぁ・・・」
　諒太郎は全て入れきると大きくため息をついた。
　そして、腰を激しく前後させて中を突いてくる。
「ちょっ、ちょっと待って。止まって」
　無我夢中だった諒太郎の顔に正気が戻った。
「私は平気なんだけど・・・バージンはそうはいかないわ。ゆっくりと優しく入って。それからほぐす感じで動いて。初めてのときはとっても痛いの」
「ごめん、俺、由香里の中が気持ちよすぎて・・・」
「いいのよ。一端抜いてくれる？」
　私は、自分のバッグからコンドームを出した。
「コレ、絶対つけて。着けた事ある？」
「あるわけないだろ・・・」
「でもこれ、ワンタッチだから簡単に付けられるから・・・」
　私は袋からコンドームを取り出し、諒太郎のソコにあてがった。
　ピクンと諒太郎のソコが動く。
「あっ」
　私は気が付いた。恵理ちゃんはこんな事しない。
「ごめん。自分で付けてみて、こっちが裏で入れる方だから」
　そう言って諒太郎にコンドームを渡した。
　諒太郎はぎこちなくテープを引っ張りコンドームをソコに被せた。
　準備を終えた諒太郎はもう一度私の目を見つめた。
　「由香里・・・」
　私はコクンと頷いた。
　私の入り口にあてがわれた諒太郎のソコが今度はゆっくりゆっくりと入ってくる。私も渾身の力をこめて進入を拒むように締め付けた。バージンの入り口のように。
「ゆっくりね。ゆっくりね。まずは入るだけで・・・」
「あぁ・・・」
「痛いって言われたら抜くのよ」
「由香里は痛くないのか」
「大丈夫よ。気持ちがいいくらいよ」
「・・・お前、スケベだな」
「何それ、ムカつくわ。終わるわよ」
「ごめん、ごめん。俺も気持ちいいよ。由香里の中。頭の中がおかしくなりそうだよ・・・。由香里、動いていいか」
「いいけど、ゆっくりね」
　諒太郎はゆっくりと前後に動き始めた、本当は激しい方が私は好き。でも、今私がしている行為は、恵理ちゃんのため。私の欲求を満たすためではなく、諒太郎と恵理ちゃんのため。
　諒太郎の荒い息が私の首筋にかかる。諒太郎の汗の匂い、切なそうな表情。私は諒太郎に愛しさを感じ始めてきてしまっている。
　私はその感情を断ち切るように諒太郎に声をかける。
「ねぇ。諒太郎、恵理ちゃんの時は名前を呼んであげるとかしてね。黙っているだけじゃなくてね」
「わかってるっ」
　諒太郎は少し荒い口調で答えると、私の唇に貪るようにキスをしてきた。
「由香里・・・俺、イッていいか。ダメだ・・・」
「いいわよ」
　諒太郎は、前後運動のスピードを上げて更に息を荒くさせ、私のなかで果てた。

「ごめん。由香里。俺だけ・・・」
　諒太郎が申し訳なさそうに下を向いた。
「いいのよ。練習なんだから」
「でも、イカせられないなんて、俺下手なのか？」
「フフッ。ＡＶの見すぎよ。イクとかイカないとかじゃなくて、愛されているって感じられればいいのよ。セックスは」
「お前・・・、イッたことあるのか？」
「ええ。こういうのって相性とかイロイロあるし・・・」
「そうか・・・。ありがとう。由香里」
「いいのよ。いいんだってば」
　あんまり謝られると罪悪感を感じてくる。