18．角倉 奈々（16歳）

　奈々は、謂わば、幼な妻だった。
　夫の健一は18歳で、ふたりは両親の反対を押し切って駈け落ちしたのだ。
　逃避行先の地で親切にしてくれた人の承認で婚姻届を出し、夫婦となったのだ。
　同じ高校に通っていたふたりは、ただ一度のセックスで妊娠してしまい、結婚を決意したのだが、双方の親は猛反対だった。

　逃避行の無理が重なり、結婚生活が始まってすぐに、奈々は流産してしまった。
　婚姻届の承認をしてくれた及川夫婦の経営する工場で働いていた健一は、奈々の流産をキッカケに生活が乱れていった。
「夫婦と言っても、一度しかセックスしていないし、奈々、お前は主婦らしいことなど一切出来ないのだから、働いて稼いで来い！」
　健一は真面目に働かなくなり、奈々は身体が癒えたらすぐに働き始めた。
　印刷工場でコツコツと真面目に働き、家事も不慣れながらこなしていった。
　だが、健一は、そんな地味な暮らしがイヤで仕方がなかったのだ。
「もっと稼げるところで働けよ！水商売なら、今の３倍も５倍も稼げるぞ！」
「イヤよ！わたしは健一さんと静かに暮らしていきたいの！また、子供を作って、平凡でも幸せな毎日を送りたいの！だから、お願い！真面目に働いて！」
「うるさい！お前、いつからオレの母親になったんだ！説教など聞きたくもない！」
　奈々はそれでも、コツコツと働き続けた。

　奈々は身体が小さく、見た目には小学生とも思えた。
（身長、まだ伸びるかな？胸も小さいし、お尻も出てないし・・・ちっとも女らしくないから、健一さんもつまらないのかも・・・セックスも１回しただけで、血が出て痛くて泣いただけ・・・わたしが痛がるから、あれから健一さんも諦めてしないし・・・考えてみると、何の取り得もないわ！本当に捨てられても仕方がないかも・・・）
　奈々は狭いアパートの部屋の中で、自分を責める毎日だった。

　そんな奈々に転機が訪れた。
　奈々の勤める印刷工場に、著名な作家が訪れたのだ。
「こちらは芥川賞作家の福山 直樹先生です。今度の作品の参考にしたいということで、町工場の見学に来られました」
　社長から紹介のあった福山は、まだ25歳だった。
　大学に在学中の20歳の時に芥川賞を受賞し、の後も確実にヒット作品を出し、テレビドラマ化されたり映画化されたりして、今、一番の注目作家だった。
　奈々は颯爽とした福山に、大人の男の魅力を感じた。
（若くして才能を発揮して大成するなんて・・・しかも偉ぶったところも無いわ！）
　奈々は健一のことが頭に浮かんだ。
（健一さんも、もっと自分を生かすべきだわ！でも、今の状態じゃ・・・）
　奈々は目の前の現実を感じ、失望感で憂鬱になった。
「角倉君！角倉君！」
「えっ？は、はい！」
　突然、自分の名前を呼ばれた。
「じゃぁ、そういうことだから、宜しく頼むよ！」
「えっ！スミマセン、何でしょう？」
「仕事に真面目なのはいいけど・・・せっかく福山先生が要望されているのに・・・聞いていなかったのかい？」
「はい・・・」
「あぁ、いいですよ！お仕事中にお邪魔した僕が悪いのですから・・・」
　福山は奈々を叱る社長に言葉を挟んで続けた。
「実は、今度の小説に10代で結婚した女性を登場させたいので、申し訳ないのですが、あなたにお力添えいただきたいと社長にお願いして・・・」
「確かに16歳の人妻ですが・・・わたしでお役に立つのでしょうか？」
「日常の主婦業や何やら・・・参考に教えてほしいのですが・・・」
　奈々は社長の視線に促され、承諾するしかなかった。
「分かりました。わたしで宜しければ・・・」
「それでは早速！社長、お借りしますけど、いいですね？それと、特別手当をお願いしますね！」
「えぇ、どうぞ！承知しました」
　社長の許可を得た福山は、奈々を連れて会社を出て行った。

　車を走らせながら、福山は気軽に奈々に声を掛けた。
「大変だね！16歳で主婦と仕事は・・・」
「いえ・・・」
　奈々は好感を抱いた福山と一緒にいることが、信じられなかった。
（わたしなんかが・・・役に立つのかしら？）
　奈々は無意識のうちに、健一と福山を比較していた。
「わたしなんて何も出来ませんが、福山さんの方こそ凄いですよね！」
「そんな誉められるほどのことは・・・明日はどうなっているか分からないような世界ですから・・・」
「でも執筆の他に、絵をお描きになったり、評論をなさったり・・・」
「周囲が騒ぐほど、自分では納得してはいないのですが・・・僕は奈々さんのように、一生懸命に頑張っている女性のほうが凄いと思うし、そういう人って、好きですね！」
　奈々は、福山が『奈々さん』と呼んでくれたことを嬉しく感じた。

　しばらくすると、福山の事務所のあるマンションに着いた。
「ここが事務所なんですか？」
　奈々はマンションの部屋の中を見渡し福山に聞いた。
「そう、僕の仕事場兼仮住居・・・殺風景で驚いた？」
「いえ、先生は独身なんですか？」
「もてないから、特定の女性が見つからなくて・・・」
「そんなぁ〜先生のような方が何を仰って・・・」
「ハハハ〜〜ここが来客を応対したり休息する場所で、こっちが執筆する部屋、それと、ここが絵を描くところで、奥が寝室・・・じゃあ、そこに掛けて！」
「あ、はい・・・」
　奈々は住んでいる世界の違いに驚くばかりだった。
（若くても、こういう人っているんだわ・・・あぁ〜ぁ、なんか溜息が出ちゃう）
「コーヒーか紅茶か？何がいいですか？」
「えっ！あ、いえ、お構いなく・・・」
　しばらくして福山はコーヒーを運んできた。
「どうぞ！美味しくないかもしれませんが・・・」
「あっ、す、すみません・・・」
「そんなに緊張しないで、楽にしてください！」
　福山は奈々に日常の生活を通して、未成年の夫婦の現実を聞いた。

　ひととおりの質問が終わった後で、結婚に至った経緯を尋ねられた奈々は、少し、気鬱になった。
「高校を卒業するまで待てなかったの？」
「・・・・・・・・・」
「どうしたの？何か悪いことを聞いたのかな？」
「いえ・・・実は・・・」
　奈々はポツポツと今日までの経緯を話し始めた。
　普通なら絶対に話さない内容だが、福山の優しい人柄に甘えたくなった。
「そうだったんだ・・・大変だね・・・あっ、ゴメンね！」
　奈々はいつの間にか涙が溢れていた。
　福山はハンカチを取り出し、奈々の頬を伝う涙を拭き抱き寄せた。
「ゴメン！辛い話をさせちゃって・・・16歳で抱えるには重過ぎる現実だよね・・・」
（温かい・・・このままずっと抱きしめてて欲しい・・・）
　気丈に頑張ってきた奈々の緊張の糸がプツンと切れた。
　福山は奈々の小さな顎を指で持ち上げ、小さな可愛い口唇に口付けをした。
　奈々は夫の健一以外、初めての男とのキスだった。
（何て優しくて温かいキスなの・・・）
　福山の求めるがままに口唇を開き、舌を受け入れていた。
「あぁ、ゴメン・・・こんなことをするつもりは・・・」
「いえ、いいんです・・・先生って、温かいから・・・」
　福山は愛らしい奈々を、次第に愛しく思い始めていた。
「奈々さん・・・ひとつお願いしたいことが・・・」
「何ですか？わたしで出来ることなら・・・」
　奈々は可愛い瞳で福山を見つめて答えた。
「絵のモデルになってくれませんか？」
「えっ！わたしが・・・ですか？」
「えぇ、奈々さんを描きたいんです！」
「でも・・・わたしは・・・見ての通り、何の魅力も無い人間ですから・・・」
「そんなことは無いですよ！奈々さんが自分の魅力に気づいていないだけです」
「・・・いいんですか？でも、仕事がありますし・・・一応、主婦ですし・・・」
「それじゃ、毎日、仕事を終えた後の１〜２時間だけでも・・・」
（健一さんは、帰ってきたり来なかったりだけど・・・）
　奈々は福山との時間が持てるのなら・・・と思ったが、健一のことも気がかりだった。
「少し、考えさせていただけませんか？生意気なようですが・・・」
「いえいえ、構いませんよ！ご主人のこともあるでしょうし・・・」
「すみません・・・名ばかりの夫婦でも、夫婦である以上・・・」
　奈々は福山に電話をする約束をして帰宅した。

　福山と逢った日から、奈々の中で何かが起き始めていた。
　夫以外の男に抱かれ口づけを交わしたことも、今までの奈々では思いも寄らない出来事だった。
　年齢のわりに幼すぎる外観に、コンプレックスのようなものを感じていたが、福山には受け容れられるという事実が、奈々を変化させているようだった。
　仕事を放り出し、何日も帰ってこない健一との関係も、ハッキリさせたかった。
（あんなに好きだと言っていたのに・・・何のために駆け落ちまでして結婚したのか・・・？）
　健一が自分をどう想っているのか？
　奈々にとって健一は・・・？
　奈々は、次第に、健一の存在が薄くなっていくのを感じていた。

　数日後、久しぶりに戻ってきた健一を前に、奈々は福山の話しをした。
「ふぅ〜ん・・・モデル？いくらか金になるんなら、いいんじゃないか！」
「お金の話しなんかしてないわ！ねぇ、健一さん、どうかしちゃったの？」
「いや、普通に戻っただけさ！子供は流産しちゃったし・・・僕らがこうしている理由も無くなったかな」
「そうなの？子供が出来たから、仕方なく結婚したの？わたしのことは・・・？」
「まだ１６だぞ！お互いに考え直さないか？」
「分かったわ・・・」
　奈々は健一の本心を知り、涙が溢れて止まらなかった。

　翌日、奈々は福山に電話を入れた。
『先生、わたしでよろしければ・・・』
『そう、ありがとう！それじゃ、早速、今日からでも・・・』
　奈々は福山の絵のモデルになることで、新しく踏み出すキッカケにしたかった。

　いつもと変わらず仕事を終え、勤務先から福山の事務所に向かった。
「こんばんは・・・」
「やぁ、奈々さん！お待ちしてましたよ」
　奈々はぺコッとお辞儀をして、福山の後をついていった。
「ここが僕の仕事場・・・」
　壁には今までに描いた絵が飾られていた。
　奈々は、ひとつひとつ観ながら、自分など役に立たないと感じていた。
「人物画は・・・子供たちの笑顔と・・・」
「そう・・・ほとんど描いていないんだ！あまり描ける気がしなかったから・・・でも、奈々さんを観た時、描きたいって思ったんだ！」
「どうすれば・・・いいんですか？」
「先ずはスケッチさせてください・・・この部屋じゃなく普通にしてくれれば・・・」
「普通・・・？」
「そうだな・・・例えば、キッチンに立っているとか・・・音楽を聴いているとか・・・」
「それでいいんですか？」
　奈々は緊張していた気持ちが少し解れ、コーヒーを淹れようと思った。
　福山はそんな奈々を観ながら、スケッチブックにコンテで描き始めた。
　淹れたコーヒーを飲みながら音楽を聴き、奈々は次第にリラックスしてきた。
　若さが失せていた奈々が、急に輝き始めた気がしていた。
　あっと言う間に２時間が経過し、福山は約束どおり奈々を帰した。

　数日が過ぎ、奈々と健一は完全に破局を迎えていた。
　奈々は健一の変貌が理解できないまま、別れしか道は無かった。
　それでも奈々にとっての救いは、福山の存在だった。
　恋とか愛とかという次元では無かったが、毎日、短い時間でも、福山の温かさに癒される思いの奈々だった。

　そんな日、奈々は福山が席を立っている間に、スケッチブックを開いてみた。
　そこには、自分の知らない自分が居るようだった。
「わたし・・・なの？これ・・・すべてが・・・わたし？」
　憩う奈々のポーズや表情だけでも何点も描かれ、生き生きとした輝きがあった。
　何気なく遠くを見遣る奈々の姿には、奈々自身がハッとするようなオンナを感じた。
「こんなオンナらしさって・・・わたしにあったのかしら？」
　奈々が驚いて呆然としていると、福山が戻ってきて奈々に声を描けた。
「どうしたの？見られないほど酷く描かれていると思ったの？」
「あっ！すみません・・・いえ、驚いていただけで・・・」
「あぁ、そのスケッチね・・・僕はロリコンじゃないけど、一見幼く見える奈々さんにオンナを感じてね・・・」
「うふっ！そうか・・・福山さんてロリコンだったの？だから・・・わたしなんかに」
「違うよ！幼くてもオンナの色を感じさせる奈々さんに魅力を感じたんですよ！」
「幼くても・・・っていうのが、少し気になりますが・・・この身体つきじゃ・・・」
　奈々は立って自分のスタイルを福山に示した。
「奈々さんは、そんなにプロポーションが気になるのかい？」
「だって・・・一応、女ですし・・・ 福山さんだって、わたしのヌードを描きたいとは思わないでしょ？」
「そんなこと無いよ！僕だって男だから・・・可愛い奈々さんには興味があるし、ヌードだって描かせてくれるなら嬉しく思うけど・・・」
「そう・・・いいですよ・・・ヌードでも・・・」
「えっ！本当に？」
　福山は驚いた表情で奈々を見た。
「男の人が抱きたくなるような身体じゃないけど・・・いいんですか？」
「抱きたいか抱きたくないかはともかく、処女のような奈々さんでしょ？ご主人と１度しか関係していないなんて・・・いくら16歳でも不思議ですね！」
「魅力が無いから・・・仕方ないです！」
「魅力が無いかどうか？じゃあ、ヌードを描かせてもらいたいな」
「・・・・・・いいですよ！福山さんなら・・・」
　奈々は福山なら、自分の幼い身体でも、オンナらしく描いてくれるかもと思った。

　奈々は健一との日々を想い出し、何のために駆け落ちまでしたのか？
　健一の子供を宿し、流産という哀しい想いをしたのか？
　それら全てを自分の中から消し去りたいという気持ちが膨らんでいた。
（福山さんなら・・・わたしを生まれ変わらせてくれるかもしれない・・・）
　そんな想いを胸に、福山の前でゆっくりと衣服を脱ぎ始めた。
　150cmという小柄な奈々の肢体が露わになってきた。
　自信無げに背中を少し曲げ、恥かしそうに素肌を晒した。
　衣服を着けたボーイッシュなショートヘアーの奈々は、少年のようにも感じた。
（モデルなんだから・・・別に緊張すること無いわ・・・ふぅ〜）
　ジーンズを脱ぎ、小さなスキャンティを大きく深呼吸をして引き下ろした。
「ふぅ〜〜これでいいですか？」
　福山は感慨深げな顔で奈々の肢体を上から下までジックリと眺めた。
「どうして背中を丸めてるんだい？もっと普通に、胸を張って！」
　身体にコンプレックスを感じていた奈々には、キツイ注文だった。
　奈々は仕方なく福山の言う通りにした。
「キレイな身体じゃないか！どうして隠そうとするのかな？」
「えっ？」
「可愛い顔に、丁度、僕の手のひらに納まるほどの乳房は形が良く、身体とのバランスもいいじゃないか・・・それに、無駄肉の無い下腹部と腰、しっかりアクセントがついて、プルッとしたお尻まで滑らかな曲線がいいな！脚は長くて引き締まり、全体の調和も魅力的なプロポーションだよ！」
「ホント？本当にそう思ってるんですか？」
「どうしたんだい？ウソを言う理由が無いよ！」
　奈々は少しホッとした気分になり福山の指示を待った。

　しばらく福山は愛しそうな視線で奈々を見ていた。
　奈々にはそれが不思議な感じがし、身体が熱く火照ってきていた。
（どうしたのかしら？わたし・・・なんか身体の芯が熱いわ・・・）
「好きなポーズをしてて・・・」
　奈々は少し戸惑ったが、福山に身体を斜めに向けて胸を張り、顎を肩のラインに重ね大きな瞳で福山を見つめた。
「うん、いいね・・・胸からヒップラインまでキレイに流れて・・・表情もいいよ！」
　そう言いながら、福山はコンテを走らせた。
　１枚描いた福山は、自分から描く位置を変え、奈々の視線とは逆に廻った。
（どこを見て描いているのかしら？何も分からないと、変な感じだわ・・・）
　奈々は再び身体の火照りを感じていた。
（何だろう・・・？アソコが変な感じだわ・・・）
　性的な観念の無い奈々は、快感という言葉など頭には無かった。
　性的に感じて興奮していた身体は、奈々の意識とは関係なく反応していたのだ。
　乳首が堅くなり、淫らな雫が淫唇から滲み始めていた。
「キレイなお尻だね！奈々さん！艶々しててオンナっぽい色香を感じるよ！」
　福山の言葉に、スケッチブックの中にあったオンナらしい自分の絵が浮かんだ。
「撫で回したい衝動に駆られるお尻だね・・・舌で舐めたら美味しそうさね」
「えっ・・・福山さん、エッチなことを言わないで描いてくださいよ！」
「ちゃんと描いてるから安心して・・・乳首が尖がりいい形だね〜」
「えっ！？」
　奈々は思わず自分の乳房に視線を落とした。
（あっ、本当だ・・・これって、感じてるってこと？触られてもないのに・・・？）
　性的興奮がどういうものか分からない奈々は、急に恥かしくなって頬を染めた。
「あっ、いい顔してる！」
　福山はいつの間にか持っていたデジカメで奈々の顔を撮影し、全身も角度を変えて何枚か撮影した。

　福山は奈々の身体にバスローブを掛け、頬に軽くキスをした。
「ありがとう！後は、ゆっくり仕上げるから・・・モデルは今日で終わり。そこが浴室だから、ゆっくり身体を温めてください」
「あ、はい・・・」
（今日で終わり・・・ってことは、もう福山さんに逢えないってこと・・・？）
　奈々は急に涙が込み上げ、慌てて浴室に入っていった。
　バスタブに湯を溜める間に、ボディシャンプーで身体を洗い流し、自分の手で乳房や尻を擦ってみた。
（少し感じが変わったみたい・・・それより、もう逢えないなんて・・・イヤ！）
　奈々は再び込み上げてくる涙を堪えられず、声が漏れそうになった。
　湯の張ったバスタブに飛び込むようにして浸かり、湯の中に顔を沈めた。
　コンコン！
「どうした？馬鹿に静かだけど、大丈夫かい？」
　返事の無い奈々に福山はドアを開けてみた。
　湯の中に沈んだ奈々を見て、福山は再度声を掛けた。
「大丈夫かい？」
「ブハァ〜ッ！はぁ、はぁ・・・どうしたんですか？」
　奈々が湯から顔を上げた瞬間、覗き込んでいた福山に湯が掛かった。
「うワッ！」
「ゴメンなさい！あぁ、服がびしょ濡れ・・・」
　福山は顔に掛かった湯を手で拭いながら奈々に言った。
「声を掛けても返事が無いから・・・ん？泣いていたのかい？」
「いえ・・・別に・・・」
「ご主人のことかい？」
「違います！・・・もう、ここに来ることが無いと思ったら・・・」
「フフッ・・・素直でいいね！遠慮しないで寄ればいいよ！毎日でも・・・」
「ホント？良かった〜本当に良かったわ〜」
　奈々は嬉しくてバスタブの中で立ち上がり、思わず福山に抱きついた。

　奈々は抱きついてすぐにハッとし、福山から離れた。
「あっ！また・・・ゴメンなさい！つい、嬉しくて・・・」
「もういいよ！どうせ濡れていたから・・・濡れたついでに僕も入ろうかな？」
「えっ！先生・・・」
「ずっと奈々さんのヌードを見させてもらったから・・・」
「わたしは・・・男の人のヌードには興味無いけど・・・いいですけど・・・」
　奈々は健一以外の男の裸を見たことは無かったが、福山なら構わないと思った。
　福山は一旦外に出て服を脱ぎ、あらためて浴室に入った。
　身体を軽く洗い流し、奈々の入っているバスタブに身体を沈めた。
「あぁ〜〜っ・・・ふぅ〜いい気持ち・・・奈々・・・男の裸は怖いかな？」
「えぇ、ちょっと・・・」
「でも、そのままだと・・・先々、不安を感じるなぁ・・・」
「えぇ、まぁ・・・どうしてもセックスってしなきゃいけないの？」
「そうだね・・・当人同士の問題だから、絶対にってことは無いと思うけど・・・本当に愛し合っていれば、自然と心身ともに寄せ合うものだと・・・」
「そう・・・」
　奈々は湯の中で身を固め、小さくなっていた。
「奈々、そんなに固くならなくても・・・襲ったりしないから」
「・・・・・・・・・」
「ほら、おいで！僕が包んであげるから・・・」
　福山は奈々を引き寄せ、背中から包むようにして奈々を優しく抱いた。

　奈々は福山の腕の中で堅くなって震えていた。
「温かい湯の中で震えてるの・・・？」
「すみません・・・ふぅ〜はぁ〜〜ぁ、少し落ち着きました」
　福山は奈々の細い腕を擦り、両腕を奈々の前で交差させて抱き締めた。
「ほら、怖くなんかないだろ？僕の腕の中じゃ安心できない？」
「いえ！そんなことは・・・」
　福山はさらに奈々を抱き締め、首筋にキスをし、優しく舐めた。
「あっ・・・」
（福山さんは、やっぱり温かい・・・わたしの全てを包んでくれるな・・・」
　奈々は魔法にかかったような気分で、夢の中を彷徨い心地良い感覚に浸った。
　福山は奈々の前に回した手で乳房を優しく包んだ。
「あっ、ぁぁぁ・・・」
　指の間に乳首を挟み、奈々の乳房全体をゆっくりと揉み始めた。
「あぁぁ・・・はぁぁ・・・あぁ、あぁ、あっあぁぁぁ・・・」
　奈々には初めて味わう感覚だった。
　身体中が火照り、愛撫されている乳房の感覚が鋭敏になって心地良く、乳首から走る電流のようなショックは、全身の神経を尖らせていった。
（何なの・・・？はぁ、はぁ・・・胸がドキドキして・・・頭がボォ〜として・・・）
　福山は奈々の背筋を舐め上げながら、なおも乳房と乳首の愛撫を続けた。
　奈々は自然と身体を反らし、両脚を投げ出すように前に伸ばした。
「奈々はいいオンナになれるよ・・・そして幸せになるんだ・・・」
　福山は奈々の耳元にそっと呟いた。
「あぁぁ・・・わたし・・・はぁぁぁ・・・ぃぃぃ・・・」
　福山の片手が奈々の下腹部を這い、淡い恥毛の下の淫唇に伸びた。
　乳房を揉みながら福山の指は、奈々の淫唇を何度も往復した。
　淫らな液が溢れる奈々の淫唇は、福山の指を中に誘い、受け容れた。
「あふぅ〜っ・・・あぁ、あぁ、そこは・・・あっ、い、イヤ・・・あぁ、ダメ・・・」
「どうしたんだい？気持ちがいいだろ？素直に気持ちよくなるんだ・・・」
「はぁぁ・・・でも・・・そこは・・・アレが入って・・・あぁぁ、痛いから・・・はぁぁ・・・」
「大丈夫だよ・・・痛くなんかないよ・・・ほら、気持ちを楽にして・・・ネッ！」
　福山は生え揃っていないような奈々の恥毛の下で濡れていた淫唇を優しく愛撫した。
　奈々は福山の言うとおり身体を預けて楽にしていると、次第に心地良くなってきた。
　力を入れて突っ張っていた両脚も楽にし、福山の指の動きを受け容れた。

　淫唇の中を弄っていた福山の指先は小さな芽を探り当てた。
　慎重に芽の根元を優しく擦り、指の腹で軽く目の先を擦ると、奈々は腰をビクンと浮かせた。
「あっ・・・はぁ、あぁはぁっ・・・はぁ、はぁ・・・ふぅ、ぁぁぁ・・・」
　奈々は衝撃的な感覚を小さな芽から脳天に感じ、嘗て無い感覚に神経を集中させた。
「可愛い奈々・・・もっと気持ち良くなるよ・・・」
「えぇ・・・あっ、はぁ、はぁ・・・」
　福山の囁く耳までが、身体をゾクッとさせ気持ち良かった。
　福山は狭い淫壷の入り口に中指を当て、縁を擦るようにしながら少しずつ挿入した。
「はっ・・・あぁぁぁ・・・はぁ、ふぅ〜っ・・・あ、あ、あぁぁ・・・」
　奈々は無意識のうちに淫壷を締め、福山の細い指の侵入を拒むかのようだった。
「緊張しないで・・・息を吐いて、力を抜いて・・・」
　奈々は福山の言葉どおりにすると、淫壷の中の指が擦る肉壁から、心地良い快感が沸きあがってきた。
「あぁぁ・・・ぁぁぁ・・・いぃぃぃ・・・はぁぁ・・・ぅぅぅ・・・あふっ、あぁ、いぃぃ・・・」
　健一とのただ一回のセックスでは味わえなかった快感が、身体中に浸透し始めた。
（これが・・・これが本当のセックスなんだわ・・・はぁ・・・もう、どうにでもして・・・）
　福山は奈々を自分の理想的なオンナにしようと思っていた。
　福山は奈々の手を取り後ろに回し、自分の股間にそそり立つ肉棒を握らせた。
「これが分かるね？僕も奈々を気持ち良くさせてあげるから、奈々も僕を気持ち良くしてくれるかな？」
「はぁ、はぁ・・・どうすれば？」
「この続きは、ベッドで・・・」
「はぁ、はぃ・・・」
　奈々は心地良さに酔い、福山の言うとおりにした。

　福山は奈々の軽い身体を抱え、そのままベッドまで運んだ。
　奈々は仰向けになり、無意識に傍らに居る福山の股間に目を遣った。
（あんなに大きかったの？あれが・・・あそこに・・・あぁ、やっぱり痛そう・・・）
　福山は奈々の横に座り優しく口づけをして言った。
「僕も気持ち良くしてくれる？」
「えぇ・・・でも、どうしたらいいのか？」
「奈々の指と口や舌で感じるように愛撫すればいいんだよ・・・」
「指と口と舌・・・」
「擦ったり・・・舐めたり・・・？」
　奈々は恐る恐る福山の両脚の間に入り、そそり立った肉棒を握ってみた。
「熱い・・・ドクドクと脈打ってる・・・先から透明な液が出てるわ・・・」
　奈々は初めての経験にドキドキしながらも、次第に夢中になっていった。
　軽く擦ってみたり、上下に扱いてみたりして、福山の反応を確認した。
（面白いわ！小さかったのが大きく堅くなって・・・弄ると気持ちがいいなんて・・・）
　福山は感じることより、奈々に教えようと、わざとオーバーに反応した。
　奈々は亀頭の先から出ている透明な液を舐め、亀頭全体を舐め回した。
「あぁ、いぃよ・・・そう、その調子・・・すっぽり咥えて、中で舐めて・・・」
　フェラも同様に、快感に浸るより教えることに終始した。
（これで少しでも拒絶感が薄れて受け容れてくれれば・・・）
　奈々から聞いた健一とのことから、福山は純粋に気持ちで受け容れさせたかった。

　しばらくしてから、福山は奈々を肉棒から放し、仰向けにした。
　奈々はゆったりと目を閉じていた。
「可愛い奈々・・・これからは毎日愛してあげるからね！」
　奈々は福山の言葉を心地良く受け止めていた。
　奈々の小さな口唇を指でそっと撫で、頬から耳へと指を這わせた。
　福山は奈々の中に肉棒を挿入することを性急に進めず、ゆっくりと時間をかけた。
　瞼に軽く口付けし、小さな口唇に自分の口唇を重ね、舌先で丁寧に舐め始めた。
　奈々は少し身体を震わせ、口唇を少し開いて福山の舌の感触に酔っていた。
（こんなに優しいキスがあるんだわ・・・福山さん・・・）
　奈々の小さな顎から首を舐めながら、福山の手は奈々の乳房を揉んでいた。
　下から持ち上げるように揉み上げたり、指先を円を描くように這わせた。
「あっ、あぁぁぁ・・・あはぁぁ、あぁぁ・・・いぃぃ・・・はぁ、はぁ、はぁぁぁ・・・」
　幼い乳房は桜色に染まり、奈々の呼吸は自然と荒くなっていった。
（あぁ・・・太股の付け根にアソコから出てきた液が流れてるわ・・・あぁ、わたし・・・どうして・・・？わたし、感じてるの？福山さんに入れてもらいたいの？）
　奈々は淫らに感じる自分が不思議で信じられなかった。
（これが本当の・・・）
　福山の愛撫は乳房から下腹部に移り、淡い僅かな恥毛を軽く撫でた。
「あっ、あっあぁ〜ん・・・はぁ、はぁ・・・ぁぁぁぁ、いぃ、いっいぃぃ・・・」
「奈々のアソコは前の方にあるんだね！ふっくらと膨らんで美味しそうだよ」
「あぁぁぁ、恥ずかしい・・・あまり見ないで・・・前の方だと変なんですか？」
「いや、前の方がいいんだよ！それに、後でゆっくり舐めてあげるからね！僕の舐めてもらったから、良く見て隅々まで舐めてあげたい・・・」
　福山は奈々の淫部を後にして、太股から足の指先まで舐め指を這わせた。
「あ、あ、あぁぁぁ・・・はっあぁぁ、はぁ、はぁ・・・あぁぅぅぅ・・・ぃぃぃ・・・」
　さらに足の指の１本１本を口に含み、舌先で舐め回した。
「あっ！あっ・・・あっはぁぁ、はぁ、はぁ・・・いっ、いぃぃ・・・ぁぁぁ・・・」
　奈々は身体中が痺れるような快感を感じ、身体を捩って悶えた。

　奈々の身悶えする様子を嬉しそうに眺めていた福山は、奈々の両脚を大きく開いて間に入り、淫らな液で濡れた淫唇を擦り始めた。
「あぁぁぁぁ・・・ぁぁぁ・・・はぁぁ、はぁぁ・・・恥ずかしい・・・いぃ気持ち・・・」
「いいんだよ！感じたままを素直に出せば・・・大声を上げてもいいし・・・奈々の好きな風にすればいいんだよ」
　ふっくらとした奈々の淫唇を開くと、小さな肉芽がヌメヌメと光っていた。
　福山は舌先で優しくその肉芽を舐め回し、口唇に挟んで先の方を舐めた。
「うわっ・・・あ、あぁぁ、はぁ、はぁ・・・あぁ、いぃぃ・・・いぃぃ・・・あぁぁ〜〜」
「奈々のキレイなオマ×コ、美味しいね・・・感じやすくて素敵だよ！」
「あぁぁ、ホント？はぁ、嬉しい・・・あぁ、もっと・・・舐めて・・・あぁぁぁ・・・」
　福山は肉芽を舐めながら指を１本淫壷に挿入し、中の肉襞を擦り始めた。
（狭いなぁ・・・入れるのが楽しみだよ！おっ、締め付けも・・・いい感じだ）
　ザラザラとした淫壷の肉壁の１箇所に、奈々はお尻を浮かせて反応した。
（ここか・・・よし、ここを集中して責めて感じさせよう！）
　福山は圧す力を変えながら、淫壷の肉壁を指で責め続けた。
「あぁ、あぁ、あぁ・・・あ、あぁああああ〜〜〜っ・・・い、いぃ〜〜あぁ〜〜〜あぁ〜なんか・・・あぁ、はぁ、はぁ、あっ・・・・あぁあっ、あああああっ・・・」
　奈々は身体を硬直させ、太股を合わせ、両脚を突っ張って息を詰まらせた。
（おぉっ・・・凄い、キュッキュッと指を締め付けてる・・・イッたのか・・・）
「はぁ、はぁ、はぁ、ふぅ〜〜」
　奈々は大きく息を吐いて、初めて味わう快感に浸っていた。

　福山は奈々の呼吸が落ち着くのを待って、ゆっくりと肉棒を挿入し始めた。
「あうっ・・・ぅぅぅぅ・・・痛っ・・・ぁぁぁ・・・」
「指の時と同じだよ・・・力を抜いて受け容れれば・・・指よりもっと気持ちがいいよ」
　優しく囁く福山の声に、奈々は余分な力を抜いて肉棒を受け容れ始めた。
　ゆっくりゆっくり肉棒を淫壷に沈め、時間をかけて根元まで挿入した。
（凄い締め付けだ！力を入れられたら堪えきれるかな？いいオマ×コだ）
「ぴったりとひとつになったね・・・僕ら、元々、ひとつだったのかも・・・」
　奈々を喜ばせる言葉を囁き、肉棒は動かさず、乳房を揉み口唇にキスをした。
「あぁ・・・ホントに・・・いい感じ・・・あんなに大きなモノが入ってるのね？あぁぁ、奥のほうから・・・はぁ、はぁ、気持ちいぃ・・・痛くなんてないわ〜」
　健一との悪夢のようなセックスの痛みの記憶は消え去っていった。
　福山はゆっくりと腰を動かし始めた。
　股間を奈々のふっくらした淫唇に押し付けたまま回転させ、奈々の反応を見ながら少しずつ前後の動きを加えていった。
「あぁああああ〜〜〜あぁ、いぃ〜〜はぁ、はぁ・・・あ、あ、あぁあああっ・・・はぁ、ふぅ、ぁぁぁぁ・・・ぁっ、ぅゎっ・・・いっ・・・いぃぃ〜〜〜〜」
　福山の肉棒を強く締め付け、奈々は初めて大きく昇りつめていった。

　奈々は初めてセックスの悦びを知った日から、毎日、福山の元に通った。
　日を重ねる度に、奈々の快感は高まり、福山を夢中にさせた。
　奈々も自分の中のオンナを磨くことを覚え、益々、淫悦に酔っていった。
（早く健一さんと離婚しなきゃ！・・・福山さんと暮らす？）
　奈々のプロポーションは、快感の高まりと共に急成長し、男を虜にする価値ある身体になっていった。

　全裸にブラウスだけを身に着け、福山の前でチラチラと局部を見せて誘った。
「わたしのフェラチオはどう？気持ちい〜ぃ？」
「あぁ、堪らないよ！だから、早く！」
　男を焦らす術も自然と巧みになり、奈々は17歳を迎えようとしていた・・・。