11. 環境対策課の希美香

　この街の環境対策課はクリーンセンターも管理していた。
　ゴミの分別に伴う資源ゴミのリサイクルも軌道に乗ってきていた。
　街の郊外にあるクリーンセンターは、その処理の過程で出る熱を利用し、温水プールを市民に使用させていた。
　ただ問題は、市民が未だにクリーンセンターの重要性やリサイクルを、正確に理解していないことだった。

　青木 希美香は入庁５年目の27歳、３年前に車の購入の時に知り合った紘司と結婚し、マイホームを建てるために子供も作らないでいた。
「青木君、クリーンセンターを市民に認知してもらう具体策を早急に作成し、予算要求できるようにしてくれるかな？」
「えっ？わたしがひとりで・・・ですか？」
「取引先の業者に頼めばいいじゃないか！脇田君は分別のＤＢ化をやっているし、小林君は家庭配布の資料作成をやってるんだ。そうすると、君しかいないだろ〜」
「はぁ、はい・・・分かりました」
　日頃、全く問題意識を持っていなかった希美香は、急な上司からの命令に困惑していた。
（あぁ〜ぁ、もっと真面目にやらないと・・・今回は、大失敗だわ〜）
　取引先の業者に依頼するにしても、概要ぐらいはまとめないとどうにもならない。
　困った希美香は、クリーンセンターの管理室に勤務している小西 孝之に電話をした。
『小西さん〜わたし、青木 希美香です。ご無沙汰してます。実は・・・』
　小西 孝之は30歳、今の配属になる前に希美香と児童福祉課で一緒だったのだ。
　当時、希美香は小西に頼りっぱなしで、企画書の作成などは全てお任せだった。
『また、知恵を貸してほしいんだけど・・・』
　企画の趣旨を伝え、まとめ方の知恵を拝借したい旨を申し出た。
『そう言うことなら・・・じゃあ、今週末の終業後にどこかで会おうか？』
『それまでに考えておいてくれる？』
『あぁ、分かった・・・他ならぬ可愛い希美香の頼みじゃ、聞かないわけにも行かないだろ』
『ありがとう〜じゃあ、その時に・・・』
　電話を切った希美香はホッとしていた。
　それでも、一応、基本的な知識だけは頭に入れておこうと、資料を整理し始めていた。

　金曜日の定時が来ると、希美香は急いで駅前の貸し会議室に向かった。
　役所の人目もあるので、小西が予約しておいてくれたのだ。
（本当に小西さんって気がつく人よね〜ひょっとしたら、わたしに気があったりして・・・）
　希美香が着いてから５分もすると、明るい笑顔で小西が入ってきた。
「おまたせ〜希美香ちゃんダメだよ〜ボチボチ自分で考えるようにしないと〜」
「ゴメン・・・そうなんだけど〜どうも興味が沸かないとヤル気が起きなくて・・・」
「まったくぅ〜〜希美香は役所向きじゃないのかもね・・・それで、どうするの？」
　少人数用の貸し部屋で、係りがコーヒーを運んでくると、後は時間まで邪魔は無かった。
「せっかくだから、集中して頑張ろうよ〜」
　ふたりは問題点の洗い出しと対応策の検討、さらに費用対効果などを具体化していった。
「現地は確認した？」
「うぅん・・・まだ・・・」
「ダメだよ！しっかりしなきゃ！いいかい、これがクリーンセンターの管理棟で、エントランスが広くて何も無いんだ」
　小西はデジカメでエントランスの写真を見せ、図面を広げて構造や広さを説明した。
　希美香は少し興味が沸いてきた様子で、熱心に具体的な利用方法を考え始めた。

　小１時間もすると、希美香はレポート用紙に絵を描いた構想を小西に示した。
「ほぉ〜やれば出来るじゃないか！希美香〜エライ、エライ！」
　小西は希美香の頭を撫でながら感心して見ていた。
「本気で誉めてるの？それとも・・・からかってるだけ？」
「本気だよ〜市内の老若男女だけじゃなく、市外からの見学にも対応できるよね・・・」
「機器の構成の詳細やコンテンツの作成は業者の方に見積もり提案してもらえば・・・」
「そうだね！それでいいと思うよ〜そうしたら、ランニングコストとメンテもね！」
「リサイクルの知識は、知っているようで結構曖昧で・・・これを切欠にして、家庭や学校などで再認識してもらうと同時に、さらに分別を徹底できれば、一石二鳥になるんじゃないかと・・・」
「それを企画の要旨としてまとめ、業者に概要を説明してppt.で提出してもらえばＯＫ！」
「ふぅ〜〜やっと終わった・・・」
　希美香は久しぶりに仕事に充足感を感じていた。
「何を言ってるんだか・・・真面目にやれば、このくらいすぐにまとまるだろ？」
「そうね〜ゴメン・・・わたし、すぐに小西さんを頼るから・・・」
「仕方ないさ！希美香は僕のことが好きなんだから〜」
「えぇ〜っ！？反対でしょ〜小西さんがわたしを好きなんでしょ？」
「人妻がそういうことを言っていいのかなぁ〜」
「人妻を好きになる人だっているんじゃない？」
「まぁ〜ね！さぁ、ここの予約は後１時間ぐらいだけど・・・帰ろうか？」
　小西は荷物をバッグにしまい始めていた。
「あのね〜小西さん・・・」
「なんだい？今度はどんな問題？」
「もぅ〜〜子ども扱いにして〜わたしって、そんなに子どもっぽい？」
「あぁ、そうだね〜ガキだし手がかかるし・・・」
「ヒドイ・・・」
　希美香は顔を伏せてシクシクとしていた。
「何だ？どうしたんだ？僕が泣かせたのかい？」
「うぅ・・・だって・・・小西さん、わたし・・・オンナとして魅力無いの？」
　小西は手に持ったバッグを机の上に置き、ベソをかいている希美香の傍に寄った。

　椅子を並べて座り、希美香の肩を抱き、小さな顎を指で持ち上げキスをした。
「えっ！何よ〜今のは・・・」
「今度は怒るのかい？」
「だって・・・」
「希美香が結婚した時・・・淋しかったなぁ・・・・・どうして僕じゃないのかなって・・・」
　希美香は驚いた表情で小西を見つめた。
「僕が一番に希美香を理解してあげられると思ってたし・・・希美香もそうだと・・・でも僕の勘違いだったんだね・・・あれから３年か・・・僕もそろそろ希美香以外の女性を探さないといけないよね〜だってもう、希美香は人妻なんだよな・・・」
　ポツポツと呟くように話す小西の横顔を見つめながら、希美香の瞳から涙が溢れた。
「何だ！また泣くのか〜勘弁しろよ、人妻〜〜」
「小西さん、何も言ってくれなかったから・・・だから、わたしのことなんて・・・」
　小西は希美香の身体を引き寄せ強く抱きしめた。
　服の上から乳房を揉みながら希美香の口唇を激しく吸った。
「はぁ、はぁ・・・ダメよ・・・」
「１回だけ・・・思いを遂げさせて欲しい・・・」
「イヤッ！そういう言い方・・・１回だけ、なんて・・・それに、ここじゃ・・・」
「あっ、もう予約時間が終わる・・・あぁ〜ぁ、僕はいつもこうなんだ〜だから希美香も取られちゃって・・・・・・さぁ、帰ろう！」
　小西は希美香の涙を拭ってあげ、会議室を後にした。
「あのね・・・明日の土曜日、クリーンセンターに現地調査に行ってもいい？」
「いいけど・・・熱心に仕事をする気になったのかい？」
「うん・・・小西さんも・・・立ち会ってくれる？」
「あぁ、いいよ！自分の配属先だしね」
「じゃあ、午後１時に・・・」
　何か、大きな遣り残しをした気分で、小西は希美香の後姿を見送った。

　翌日、クリーンセンターは処理場の方には人はいたが、管理棟の方の職員は休日だったので、小西はひとり鍵を開けて希美香を待った。
（あぁ〜ぁ、僕も人がいいと言うか何と言うか・・・バカだなぁ〜）
　４階の事務室にエレベータで昇り、処理の流れ図を用意して下に降りた。
「あっ、小西さん！ゴメンね〜お休みなのに付きあわせて・・・」
「おっ、時間通りに来たね！一応、リサイクルの基本知識の流れ図を用意したから・・・」
「ありがとう〜やっぱり小西さんって優しいんだ！フフッ・・・」
「今日は日頃と違ってラフな格好だね！結構、似合ってるよ！」
「あらっ、ホント？気づいてくれたんだ〜」
　サマーパンツに薄いＴシャツ、その上にブラウスを羽織っていた。
　身体のラインがクッキリと見える服装で、小西にしても始めて見る希美香だった。
「小西さんも今日はラフな格好じゃない〜ジーンズ姿なんて始めて見るわ〜結構、足が長いんだ・・・気づかなかった、ウフフフッ・・・」
（今日の希美香はバカに艶っぽいなぁ・・・服装だけのせいじゃないな・・・？）
　希美香は管理棟に入ってエントランスの状況を図面と比較し始めてた。
「それじゃ、この左側の壁面にプラズマを掛けて、その下に情報端末的なタッチパネル、データはハードディスクに格納して、タイマーでON・OFFする・・・ディスプレイも考えないと・・・今貰ったリサイクルの流れ図を３次元化してパネルに・・・ねぇ〜どう思う？小西さん！」
　小西はスラスラとプランを具現化する希美香に圧倒されていた。
「どうしたんだい？今日の希美香は別人みたい・・・」
「あぁ〜失礼しちゃうわね〜これでも、真面目にやれば出来ることも多いのよ！」
「ホント・・・感心したよ！いいよ〜それで・・・今言ったプランでＯＫだよ〜これじゃあ、わざわざ休みに出てきてもらわなくても良かったね！ゴメン・・・」
「別に、小西さんが謝ること無いわ〜小西さんが言ってくれたから考えられたんだもの」
「じゃあ、上の事務室でコーヒーでも飲みながらまとめようか？」
「うん！」
　ふたりは４階までエレベータで昇っていった。

　休日の事務室は簡素で無味乾燥な雰囲気だった。
「殺風景ね・・・」
「まぁね〜でも仕事場だからね」
「そうね、仕事場がゲームセンターみたいだったら、仕事にならないわよね」
　希美香の今日の対応に小西は日頃の希美香とは違う何かを感じていた。
　広く机を使って資料を広げ、最終的な概要をまとめた。
「あぁ〜〜終わったわ！ありがとう〜小西さん！」
「いや、今日の希美香は良くやったよ！お疲れ〜」
「どこに座ってるの、小西さん？」
「あぁ、今、希美香が座っている席が、僕の机だよ」
「ふぅ〜ん・・・」
　希美香は机の上を撫でながら何かを考えているようだった。
　そんな希美香を小西は疑問に感じ、机の傍らまで近寄った。
「どうしたんだい？何かあったのか？今日の希美香、おかしいぞ！」
　希美香は座ったまま首を項垂れていた。
　小西は何も答えない希美香の項垂れた首筋に口唇を寄せ優しく舐めた。
「希美香・・・僕が力になれるのなら何でも言ってくれ、甘えても構わないよ・・・」
「小西さん・・・」
　薄いＴシャツから透けて見える希美香の乳房は、柔らかそうな膨らみを感じさせていた。
　耳たぶを口唇で挟んで舐めながら、Ｔシャツの上からそぉ〜と手のひらで乳房を掴んだ。
「あぁ・・・小西さん・・・わたし・・・」
　手のひらに感じる希美香の乳房は、ブラをつけていない素肌の感触だった。
「希美香・・・今は黙って・・・ネッ！」
　小西は希美香の顔を上に向け、その口唇にキスをしながら両手で乳房を弄った。
　ブラウスを脱がせＴシャツを捲り上げると、プルッと弾むような乳房が揺れた。
「あぁ・・・恥ずかしい・・・小西さん・・・」
　小西は希美香の横に立ち、自分でズボンを下げ肉棒を希美香の目の高さに突き出した。
　身体を横に向け座ったまま希美香は、小西の膨張した肉棒を手に取り先を舐め始めた。
「おっ、おぉ・・・はぁ〜希美香・・・あぁ、あぁ・・・いぃ〜〜」
　肉棒をしゃぶられながら小西は、希美香のプルッとした乳房を弄った。
「希美香の胸って、感触いいなぁ・・・もっと早くこうしたかった・・・」
「ふぁ〜ぁ・・・はぁ、はぁ・・・わたしも・・・もっと素直に甘えればよかった・・・」
「希美香・・・さぁ、立って〜」
　立ち上がらせた希美香のサマーパンツを脱がせると、下には何も穿いてなかった。
「希美香・・・どうして？」
「今日は・・・あなたとこうしたいと思ってたから・・・」
「キレイだよ〜希美香・・・」
　小西は希美香の身体を抱え上げ、机の上に仰向けにし、濡れた淫唇を舐め始めた。
「あぁ、ぁああああ・・・あぁ〜っ・・・はぁ、はぁ、はぁ〜〜ぁ・・・」
　荒い淫らな喘ぎ声が誰も居ない事務室に響き渡った。

　荒々しい事務室での行為を終えたふたりは、静かに肩を抱き合っていた。
「希美香・・・いいのか？こんなことになって・・・もう、後戻りはきかないよ」
「うん・・・分かってる・・・小西さん、わたしを可愛がってくれる？」
「あぁ、希美香さえその気になれば・・・」
「実は・・・今日、旦那に離婚届を渡してきたの・・・」
「何だって？！」
「あなたとこうする以上、自分の中でケジメをつけたかったから・・・」
「旦那さんは？」
「うん、驚いてたよ・・・詳しい話はしてないから・・・帰ったら大変！」
「どうするんだい？」
「大丈夫・・・小西さんのことを理由にする気は無いから・・・時間はかかるかも知れないけど・・・わたし・・・素直になることにしたの！」
「僕に出来ることがあれば、いつでも言ってくれる？」
「うん・・・」
　応接用のソファで抱き合っていたふたりは、再びどうしようもない衝動に駆られ、お互いの身体を激しく求め合った・・・。

　月曜日、希美香は上司に企画書を提出し承認を受け、具体化を業者に依頼した。
「青木君、いい企画にまとまったね！」
　生き生きと生まれ変わったような希美香に、周囲の職員は不思議そうな顔をしたが、本人はより活発に業務を消化していった。
（わたし・・・生まれ変わるんだ！小西さんに愛してもらうんだ・・・）
『小西さん、わたし・・・今日の帰り・・・どこかで・・・いぃ？』
『いいよ！毎日だって希美香を抱いて感じさせてあげたい』
『ホント？嬉しい〜じゃあ、思い切り乱れるけど・・・驚かないでね！』
『いや、期待しちゃうな〜希美香は淫らになればなるほど、アソコも良くなるから〜』
『もぅ〜〜エッチ！あぁ〜〜早くしたいわ〜』
　希美香は電話を切ると、テキパキと業務を遂行していった・・・。