12. 市民相談センターの美沙

　毎週、土曜日になると、美沙は地区センターの相談窓口に座っていた。
（まったく・・・自分の時間が取れないわ〜このままじゃ、こっちが家庭崩壊よ！）
　この日もブツブツ文句を呟きながら、この市の出先機関に出勤していた。

　高樹 美沙は30歳、３歳年上の夫と５歳になる子供がいた。
　今年の人事異動で配属された市民相談センターは、市長が市民とのコミュニケーションを図るセクションとして力を入れていた。
　昨年まで企画にいた美沙にとって、慣れないことが多く、夫からも不満が出ていた。
　時間外の仕事も多く、夜の相手も出来ず、夫は欲求不満で苛立つ日々が続いていた。
「今日も出掛けるのか？もう、仕事を辞めたらどうだ？でないと・・・」
　離婚と言う言葉を夫が飲み込んでいるのを感じていたが、自分ではこの状況を打開できないでいた。
（わたしだってストレスが溜まってるわ！こんな仕事をしてれば毎日だって乱れたいわ！もう本当にダメかも知れないわ・・・あの人も浮気を始めてるみたいだし・・・かと言って・・・あの人を咎めるわけにもいかないし・・・もう終わりだわ・・・）
　どうしようもない自分の悩みを抱えながら、この日も市民の相談を受け付けていた。

　お昼を過ぎた頃、美沙は気分が悪くなってしまい、他の職員に頼んで奥の部屋で休んだ。
（自分のことは何も相談できず、人のことばかり・・・市役所の職員なんて・・・）
　もう30歳を過ぎた自分・・・子供も産んで骨盤も張って・・・夫とは離婚？　
　ひとり休憩室で自分を振り返り、これからの人生を考えあぐねていた。
　コンコン・・・
　ドアをノックする音がした。
「はい・・・どうぞ、開いてます」
　ドアを開いて立っていたのは、以前、窓口に相談に来た市民の男性だった。
「確か・・・川口さん？」
「はい、川口です。おかげさんで問題も解決し、今では順調に仕事も進んで・・・」
「そうですか、それはなによりです。それで今日は・・・？」
　美沙は不思議そうな顔をしたが、川口は美沙の近くまで歩み寄ってきた。
「前を通りかかって覗いたら、高樹さんの姿が見えないので・・・職員の方に聞いたら気分が悪くて奥で休んでいるというので・・・大丈夫ですか？」
「あ、ありがとうございます・・・あまり健康的だとは言えないのですが・・・」
「どこか身体を悪くしてるんですか？」
「いえ、身体的な問題ではなく、精神的な問題で・・・あっ、ダメですよ！ わたしが市民の方に相談しては・・・反対になっちゃうわ〜フフフッ・・・」
「あっ、その笑顔、いいなぁ〜〜いつも高樹さんの笑顔を思い出していたんですよ〜」
　美沙は川口の飾り気の無い誉め言葉に心が和んでいた。

　仕事の様子などを聞いているうちに、美沙はすっかり元気を取り戻していた。
「それじゃ、僕はこの辺で・・・その笑顔、忘れないでくださいよ！僕の女神様！」
「まぁ、女神だなんて・・・川口さんは、お口も上手になったのね〜」
「上手だなんて・・・高樹さんは本当に僕の女神様ですよ〜人妻じゃなきゃ・・・」
「えっ？人妻じゃいけないこともあるの？」
「あるでしょ！・・・人妻じゃあ、不倫はマズイでしょ？」
「えぇ〜っ？それって、ひょっとしたら・・・？」
「聞かなかったことにしてください！いいんです！高樹さんへの想いは叶わなくても・・・」
　美沙は川口の意外な言葉に胸が震えていた。
　この歳になって独身男性から慕われることなんて有り得ないと思っていた美沙は、頬を赤く染め恥ずかしげな表情で川口を見た。
「そ、それじゃあ・・・」
「あっ、待って！良かったら・・・今日の夕方、寄ってくれませんか？」
「えっ？いいですけど・・・何か？」
「川口さんになら、市の職員としてじゃなく、聞いてもらいたいことがあって・・・」
「僕がお役に立つのなら、何でも仰ってください！必ず寄りますから〜」
　川口が部屋を出た後、美沙は久しぶりに気持ちが明るくなっていた。

　夕方まで積極的に窓口で受付を行ない、一部、相談にのったりもした。
「美沙さん！」
　声の方を見遣ると、昨年まで企画で一緒だった吉田が立っていた。
「吉田さん、久しぶり〜どうしたんですか？こんなとこに・・・」
「こんなとこって・・・高樹さんの職場でしょ〜」
　吉田は企画の時に席を並べていた同僚で、年齢はひとつ上の31歳だった。
「美沙さんに会いにきたんですよ〜」
「そうなの？ふぅ〜ん・・・怪しいなぁ〜何か魂胆がありそう・・・？」
「実は・・・母親の誕生日がもうすぐなので、美沙さんに一緒に考えてもらいたくて・・・」
「やっぱりね〜〜単純にわたしに会いに来る訳がないわよね〜」
「ゴメン・・・でも会いたかったのは本当ですよ！
美沙さんのような素敵な女性は、そういるものじゃないから・・・」
「またぁ〜〜何も出ませんよ〜」
「本当ですって！美沙さんが独身だったら、とっくに結婚を申し込んでますよ〜」
「ハイハイ、それで・・・」
「あぁ、明日の午後、１時に○○デパートの入り口で・・・ダメですか？」
「いいわよ〜明日の１時ね！ハイハイ、じゃぁ、またね〜」
「本当に来てくださいよ！お願いします〜」
　吉田は照れくさそうな表情でセンターを後にした。

　吉田が去ってまもなくして川口が顔を出した。
　もう片付けも終わり、美沙ひとりになっていた。
「スミマセン、川口さん・・・中に入って・・・」
　センターの表を閉じ、奥の部屋に入ってコーヒーを出し、川口を迎えた。
「どうしたんですか？」
「いえ・・・わたしのことで・・・川口さん、わたしってオンナとして魅力無いかしら？」
「そんな、とんでもない！昼間も言ったように、高樹さんは僕の女神様ですよ！」
「そうじゃなくて・・・ほら・・・その〜抱きたくなるようなタイプかしら？」
「えっ？どうしたんです？今日の高樹さんは、らしくないような・・・」
　川口は美沙の言動が理解できず、不可思議な表情をしていた。
　美沙は今の自分の状況を、川口に聞いてもらえれば少しは気が楽になると思ったが、いざとなると話せない自分に気がついていた。
「あぁ、ゴメンなさい！もう、いいの〜川口さんの顔を見たら・・・ウッ・・・」
　そこまで言うと、なぜか涙が溢れて止まらなくなってしまった。
　川口は何も言わず、何も聞かず、美沙の傍に寄り添い小さく震える肩を抱いた。

　しばらく川口の胸を借り涙していた美沙は、次第に落ち着きを取り戻してきた。
「ゴメンなさい・・・川口さんに甘えちゃって・・・」
「僕でよければ・・・いつでも・・・・・・美沙さん！僕、あなたが・・・」
「あっ、ダメ・・・」
「美沙さん・・・」
　俯き加減で身体を捩る美沙の肩を引き寄せ、川口は力強く抱きしめた。
「あぁ・・・川口さん・・・」
　美沙の身体から自然と力が抜け、川口に引き寄せられるがままに口唇を重ねた。
　休憩室の畳の上に何かから解放されるように、美沙の30歳の肢体が大きく開いた。
「キレイだ・・・美沙さん・・・やっぱり素敵ですよ」
　型崩れしていない乳房から豊かな尻の盛り上がりまで、優しく撫でながら囁いた。
「もう、オバサンだから・・・恥ずかしいわ」
「そんなことないですよ！美沙さんの肌、しっとりして張りがあって・・・素敵だ」
「ホント？川口さん、愛してくれる？」
「喜んで・・・」
　丁寧に前戯に時間をかけ、美沙の細部まで愛し尽くすといった感じで、川口は舌と指で優しく愛撫をした。
「あぁ、あぁ・・・いぃ〜わぁ〜〜こんなに感じたの、初めてよ〜はぁ、はぁ・・・」
　美沙は自分が次第に大胆になっていくのを感じながら、素直になることにした。
　自分を愛でてくれる川口の股間に手を伸ばし、大きくなった肉棒を扱き始めた。
「あっ・・・美沙さん、あぁ・・・いぃ〜〜」
　亀頭の先から溢れ出た透明な液を優しく舐め、スッポリと口の中に咥えて舐め始めた。
「あぁああああっ・・・あっ、ふぅ〜〜あぁ〜あぁ・・・美沙さん・・・好きです・・・」
　川口の朴訥とした純粋な心に、美沙の気持ちは次第に惹かれていった。
（純粋にわたしを愛してくれる人がいたんだ・・・身体も誉めて愛してくれるし・・・）
　美沙は川口を悦ばせようと大胆に絡み、大きな声をあげて悶えていった。
「美沙さん・・・離したくない！」
「あぁ、ありがとう・・・あぁ、あぁああああ〜〜〜〜」
　何度かの絶頂感を味わった後、ふたりは名残惜しそうに再会を約した。

　その夜、美沙は夫の離婚申し立てに同意し、離婚届に印を押した。
　子供も夫が跡取りとして引き取り、美沙は30歳で再び独身となったのだった。

　翌日、午前中のうちに今後のことを夫と話し合い、悶々としていた日々から解かれた。
（これで良かったんだわ！あぁ〜ぁ、後は仕事のストレスをどう解消するか・・・これからはオンナである自分を最大限に活用して、気持ち良く生きていきたいわ〜）

　午後になると、約束していた吉田に会うために○○デパートに出掛けた。
「おまたせ〜〜吉田さん！」
「あぁ、美沙さん〜スミマセン、お休みなのに・・・」
「いいのよ！吉田さんの頼みじゃ、断れないわ〜」
「嬉しいなぁ〜今日の美沙さん、いつもより眩しいぐらい輝いてるよ〜」
「何？それ〜いつもは輝いてないの？」
「いえいえ、いつも素敵ですよ！」
「そう、じゃぁ、お母様のプレゼント買いに行きましょう〜」
　このデパートのプレゼントコーナーで購入を済ませ、ふたりは喫茶コーナーで休憩した。
「ありがとう〜美沙さんのおかげで簡単に決まっちゃいました」
「でも意外だわ〜吉田さんて、お母さん想いなのね・・・ふぅ〜ん・・・優しいんだ〜」
「えぇ〜っ、元々、僕は優しいでしょ？美沙さんにだって・・・いつも気にかけていたのに」
「えっ？そぉ〜ぉ？気がつかなかったわ〜ウフフッ・・・」
　美沙は妖しい微笑を浮かべてテーブルの下の吉田の足を突いた。
　吉田は驚きながらも、いつもと違う美沙の妖しげな雰囲気に引き込まれていった。
　靴を脱いで足を伸ばし、美沙の太股を擦った。
「あふぅ〜〜吉田さん・・・」
　美沙は腰の位置をずらして前に移動し、吉田の足を太股の付け根で受け止めた。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
　小さく荒くなる息を押し殺し、吉田は美沙の淫唇を覆った下着を足の指で擦った。

　しばらくして美沙は席を立ち、吉田に付いてくるように誘った。
　吉田は異常な状況での行為に興奮ぎみで、息を切らして美沙の後を追った。
「美沙さん・・・僕・・・」
「何も言わないで・・・チョッと待って！」
　美沙は女性の化粧室の前で吉田を待たせ、すぐに中に呼んだ。
「声を出すと大変よ〜ここは女性用の化粧室だから・・・」
　一番奥のトイレに入って鍵を掛けると、美沙は便器の蓋の上に座って吉田の手を引いた。
　吉田は美沙のスカートを捲り上げ、お尻の下に手を入れ下着を脱がせた。
　美沙の両脚を大きく開くと、目の前に濡れた淫唇が吉田の劣情を誘った。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・美沙さん、キレイだ・・・」
　床に膝を付いて美沙の淫唇にむしゃぶりつくように舐め始めた。
「はぁ、はぁ、ぁあああ・・・あぁ、あぁ、あぁ・・・いぃわ〜上手よ〜あぁあっ・・・・・・」
　美沙は淫唇を舐めさせている間に自分で乳房を露わにし、吉田の手を導いた。
「あっ、すごい・・・美沙さんの胸・・・気持ちいい・・・柔らかくてボリュームがあって・・・」
「はぁ、はぁ・・・吉田さん、立って！」
　美沙は吉田を目の前に立たせると、ズボンを引き下ろし肉棒を掴んで引き出した。
「わぁ〜大きいわぁ〜〜ムグッ・・・チュバチュバ・・・」
「み、さ、さん・・・はぁ〜〜ぁ・・・あぁ、あぁ・・・っ、もう・・・感じすぎ・・・あぁ〜〜」
「ダメよ！まだ・・・我慢して！ほら〜」
　美沙は体制を入れ替えて後ろ向きになり、両手で壁に手を付いてバックから求めた。
　白く引き締まった美沙の尻を剥き出しにして、吉田の興奮は最高潮に高まった。
「後のことは僕が責任を持ちますから〜美沙さん！入れますよ〜〜」
　暴発寸前の肉棒を美沙の濡れた淫唇に挿入すると、激しく腰を前後に送り出した。
「あぁ・・・すごい、美沙さんの・・・いぃ〜〜いぃ・・・イッちゃう〜〜」
「あっ、ダメダメ、まだよ〜」
　美沙は吉田の肉棒を締め付け暴発を許さないようにして快感を高めた。
「はっ、はっ、はぁ、ぁああ〜〜っ・・・あっ・・・イッ・・・イィクぅぅううう〜〜〜」
「僕も・・・あっ・・・っ・・・イッ、くぅううう〜〜〜」
　ふたりの荒々しい呼吸音が化粧室の中に響いていた。

　翌日、市役所の本庁に美沙の姿があった。
　市民課に離婚届を出しに来たのだった。
　その話を聞いた企画の吉田は、美沙を捉まえて言った。
「離婚・・・したんだ。僕のせい？」
「うぅん〜そうじゃないわ〜」
「でも・・・美沙さんのこと・・・引き受けたいな・・・今晩、会えない？」
「ありがとう〜今晩は・・・チョッと・・・でも、昨日は良かったわよ！ウフッ・・・」
　美沙の妖しい微笑に股間を熱くして吉田は美沙を見送った。
（今晩は・・・誰だったかしら？吉田さんもいいけど・・・少し、我慢が足りないかな・・・）

　今まで抑圧されていた欲求を吐き出すように、美沙は男たちをゆっくり味わおうと思いながら歩き始めた・・・。