８．情報システム課の遥香

　どこの役所でも電算室というのは、１年中冷房をきかせて土足厳禁の環境だった。
　遥香は大型のマシンが並ぶこの部屋で、オペレーターを担当していた。
　丸一日中ではないが、女性にとっては男性以上に辛い仕事環境だと思っていた。
（と１年かしら・・・早く別の課に配転してほしいわ・・・）
「遥香さん、データを流してください〜」
「はい」
（今日も午前中はこの部屋から出られないわ・・・午後はデスクワークだけど・・・）

　井上 遥香、32歳、既婚、入庁して10年になる。
　夫はゴルフメーカーのエンジニアで、時々、アメリカへ出張してした。
　結婚は見合いで、夫が初めての男だった。
「子供は作らないことにしよう〜いいだろ？」
　夫のひと言で、子供を産むことは無い人生が決定された。
　しかも、夫はセックスに執着心が無く、半年もするとセックスレス夫婦になっていた。
　オルガスムスも経験することも無く、共同生活のような日々が続いていた。

　結婚して７年・・・仕事オンリーの夫との共同生活に疲れていた。
（このまま終わるのかしら・・・わたしの人生・・・女の悦びも知らないで・・・）
　マシン室は大型の汎用機が並び、カードと暗証番号を押さないと中には入れなかった。
　ある意味では密室のようなもので気楽ではあったが、寒さだけはどうにもならなかった。
「もう、嫌になっちゃうわ、ねぇ〜そう思わな〜ぃ？」
「いえ、僕は男ですから・・・この温度は、さほど気になりませんから・・・」
　男は派遣会社から来ていた泉川 渉、31歳、遥香よりひとつ年下の独身だった。
（ちょっとカッコいいんだけど・・・生真面目で堅いから面白くないわ〜）
「だいたい終わりかしら？今日の分は・・・まだ、お昼までには時間があるけど・・・」
「そうですね・・・でも、マシンのメンテナンスもしておかないと・・・」
「あぁ〜〜ぁ、寒いわぁ〜」
「あぁ、遥香さん、外に出ててもいいですよ〜後は僕がやっておきますから」
（本当に遊びっ気の無い男ねぇ〜ちょっと、からかちゃおうかしら・・・）
「あっ！・・・いっ、痛い・・・あぁうぅぅぅ・・・・・」
「どうしたんですか？だいじょうぶですか？遥香さん！」
「あっ・・・む、胸が・・・締め付けられて・・・あぁぁあああっ！」
　遥香は胸を押さえたまま、マシンの陰に蹲った。
　渉は慌てて遥香の背中を擦りながら心配顔で声をかけた。
「遥香さん・・・」
「お願い・・・胸を、擦って・・・あぁ〜っ、早く・・・擦って・・・・・」
　渉は戸惑いながらも遥香の胸に手をあて、言われたとおりに押しながら擦った。
（遥香さんの胸・・・結構、大きいんだ・・・あぁ、バカだな〜オレは・・・こんな時に）
「あぁ、そこじゃない・・・もっと奥・・・よ・・・」
　遥香は胸を開け、渉の手を取って直接乳房に触らせた。
　渉は身体中が熱くなるのを感じたが、それより遥香が心配で懸命に乳房を擦った。
「あぁ・・・あぁ・・・いぃ・・・渉、もっと・・・はぁ〜〜ぁ・・・はぁふぅうっ・・・」
「遥香さん・・・大丈夫ですか？まだ痛ければ、救急車、呼びましょうか？」
（まったくぅ〜〜ここまでやっても、ダメな男・・・それとも、わたしに魅力が無いの？）
　遥香は自分の乳房を擦っている渉の手を上から押さえて、強く乳房に押し付けた。
「もう少し・・・だけ、こうしてて・・・すぐに落ち着くから・・・ネッ、渉・・・」
　艶かしい視線で見つめられ渉は心臓が破裂しそうに感じていた。
（ドキドキしてるのを遥香さんに知られたら・・・セクハラって怒鳴られるぞ〜でも、このまま、もっと触っていたいなぁ・・・憧れの女性の胸に触るなんて・・・滅多にあり得ないからな〜あぁ、また、余計なことを考えて・・・）
「渉君の手・・・とても温かいのね・・・やっぱり寒いせいかしら？ でも、渉の手のおかげで、痛みが引くわ・・・あぁ〜気持ちが良くなってきたわ〜」
「良かった・・・どうしようかと思っちゃいましたよ〜遥香さんに何かあったら・・・」
「また、痛くなったら・・・今日みたいに優しく温めてくれる？ それとも、ひとつ年上の人妻は、キライかなぁ〜？」
「とんでもない〜！遥香さんは、素敵な女性ですよ〜人妻なんて、関係ないです」
　お昼の時間が来て、この日のことは秘密にするということで、マシン室を出た。

　午後はデスクワークで退屈な時間を定時まで過ごし、さらに退屈な家に帰った。
　相変わらずの決まったリズムで夜の時間が過ぎていく・・・。
「ねぇ〜わたし、今日ねぇ・・・」
「何だ？話しなら明日にしてくれよ〜疲れてるんだ・・・」
（この夫にとって、わたしは、何なのだろう・・・？共同生活者・・・よね・・・はぁ〜ぁ・・・）
　家政婦のような家庭・・・夫婦関係・・・セックスレス・・・
　遥香の中で、どうにも収まらない何かが、沸々と湧き上がってきていた。

　翌日の午前中もマシン室で渉とふたりだけの時間だった。
「渉君、昨日はありがとう〜今日もお願いね〜」
「えっ？今日も・・・？」
　データの処理を行ない、一応の作業が終わった頃、遥香は意識的に大袈裟に装った。
「あっ！痛い・・・渉君〜痛いわ・・・」
「あぁ〜、遥香さん、からかってるでしょ？わざとらしんだから・・・もう〜」
「えっ？わざとじゃ、温めてくれないの？」
「そんな・・・遥香さん、僕を困らせないでくださいよ！ ひょっとして僕を試してるんですか？僕が遥香さんを好きなの知ってて〜」
「えぇ〜〜っ、そうなの？渉君、人妻を好きなの？フフフッ・・・ダメよ〜嘘ばっかり〜」
「ホントですよ〜もう〜知ってるくせに・・・意地悪しないでください！」
「じゃぁ、わたしのお願いなら・・・聞いてくれる？」
「そりゃあ、僕に出来ることなら・・・何でも・・・」
「本当ね！嘘言っちゃあ、ダメよ〜」
　渉は困った表情で遥香を見ていた。
「渉・・・今からお昼まで、わたしを温めてくれる？」
「えっ？」
　渉の心臓の鼓動が急に早くなってきた。
「渉の思うとおりの温め方でいいから・・・優しくしてね・・・お願い・・・」
　また遥香の艶っぽい視線で渉の興奮度は急激に上昇した。
「は、はい・・・じゃぁ、こっちで・・・」
　奥のマシンの陰にある椅子に遥香を座らせ、渉は生唾を飲みながら隣に座った。
（こんなところに誰かが入ってきたら・・・ヤバイなぁ〜だけど、チャンスだし・・・）
　遥香は静かに目を閉じていた。
（あのひとが悪いのよ・・・わたしは、便利な家政婦じゃないわ！わたしはオンナなの！）
　遥香は自分が大きな過ちを犯そうとしていることへの後ろめたさを振り払おうとしていた。
「どこを温めればいいですか？」
　渉の場違いな問い掛けに遥香は答える気もしなかった。
（・・・ったくぅ〜〜あぁ〜ぁ・・・やっぱり年下はダメかな？）
　渉は遥香の様子を見ながら、左腕で遥香の肩を抱き、右手で乳房を掴むようにした。
　遥香の身体が一瞬、ピクッと反応したような気がしたが、渉は乳房を揉み始めていた。
「遥香さん・・・僕の想いをぶつけます。黙って受け止めてくださいね」
（フフッ・・・ひとつ違いなのに、渉って可愛いわ〜）
　不慣れな手つきで遥香の乳房を弄り、憧れの口唇を舌先で舐め口唇を重ねた。
　渉は息を呑みながら手をスカートの中に忍ばせ、膝頭から太股の内側を這わせていった。
「あっ、ふぅ〜ぅ・・・あぁ〜〜ぁ・・・っ、ぁああぁぁ〜〜はぁ〜っ、はぅっ・・・・・・」
　渉の手がなかなか遥香の湿った布に行き着かない。
　太股を行ったり来たり、逡巡しているのが良く分かったが、遥香にはもどかしかった。
　椅子に座った腰を少し浮かせ、渉を促した。
　意を汲んだ渉は手のひらを上に向け、股間から濡れた秘所を過ぎお尻の上まで辿りついた。
　秘所を隠す小さな布の上端を掴み、浮いたお尻の下を潜らせ太股を抜けて足元に落とした。
　渉は遥香のお尻を椅子の前端まで移動させ、太股を大きく開いて両腕で抱え、スカートの中に頭を入れ、蒸れた匂いが充満する濡れた秘所に口唇を押し付けた。
「あぁ〜〜ん・・・はぅ・・・っ・・・っぁああ〜〜っ・・・はぁ、はぁ、はぁ〜〜っ・・・ぁぅ・・・」
　渉は無我夢中で割れた肉の中に舌を入れて舐め続け、指で淫壷の中を掻き回した。
「ふぅ〜〜ぅ・・・遥香さん、立って後ろを向いてくれますか？両手を椅子の背に・・・」
　上気した顔つきで遥香を促し、自分はベルトを外してトランクスを足元まで下げた。
　渉に背を向けながらチラッと振り向き、渉の膨張しきった肉棒を見遣った。
（すごぉ〜ぃ・・・久しぶりに男のモノを見るけど・・・あんなに大きかったかしら・・・）
　熱い蜜液が太股の内側を伝って滴るのが分かった。
　渉はスカートを思い切り捲り上げ、白くて豊満な遥香のお尻を露わにして両手で掴み、鈴口から透明な液が滲んだ肉棒でワレメの奥に挿入した。
「あぁ〜ああああああっ・・・ぁっ・・・っ・・・・・・あふぅ〜〜ぅ・・・」
　久しぶりに受け容れた熱い塊に、遥香は感動に似たものを感じた。
　渉は自分の想いを遥香の尻にぶつけるように腰を続けざまに打ちつけた。
（もう、引き返せないわ・・・わたしは、オンナ・・・）
「あぅ、あぅ、あうっ・・・ぁあぁ〜〜ぁはぁうっ・・・いぃ〜いぃ〜ひぃ〜イッくうううぅ」
　激しく尻を振ったかと思うと、キュゥ〜と渉の肉棒をきつく締め付け昇りつめた。
　その刺激に一気に肉棒が膨張し、すぐに遥香の痙攣する淫壷の中に放出した。

「良かったわ〜渉・・・寒い部屋で冷たくなっていたわたしを温めてくれて、ありがとう〜」
　マシン室の冷えた空気の中で、熱い吐息を漏らしながら、遥香は渉を労った。

　それからは、機会があるごとに遥香は渉を誘い、オンナを満足させるようになった。
　冷たいマシンを抱きながら悶える姿は、遥香のこころの中を象徴していた。
「渉・・・今日は安全日だから、思い切り出してもいいわよ〜大きな声が出せるところで、淫らになって悶えたいわ〜〜」
　このままでは終わりそうもない自分に、不安と期待を抱いていた・・・。