３　園長

「くああ・・・」

　松本は味わったことの無いような優越感を感じていた。学生の頃から夢にまで見た光景だった。あのエロ女達とは比べものにならない程極上の女が、今、足下に奴隷のようにひれ伏して自分の肉棒を幸せそうにしゃぶっている。自分は『とうとう勝ったのだ』と思った。
　その時だった。

「松本君！なーにしてんのー！」

　突然大きな声がして松本は弾かれたように体を起こした。教室の入り口に園長先生が立っていた。

「あっ！・・・ああっ！・・・」

　松本は、ここが幼稚園の教室であり、自分の職場であることを今やっと思い出した。何よりも清らかさを重視する場所で、それを子供達に教えなければいけない自分が今していることは、幼児にものを教える身として、あまりにも不潔で、恥知らずなことだった。

　一瞬にして血の気が引くような気がした。慌てて身なりを直そうとしたが、足下に跪いた園児の母親は、悦に入ったまま再び勃起した自分のナニをクチュクチュとしゃぶり続けている。

「ああ！いいのいいの。ゆっくりやっててよ。」

　その園長の言葉に、松本は弾かれたように顔を上げた。

「は・・・・？」

　松本は耳を疑った。『いいのいいの』とはどういう意味であろうか。良い訳など無いのは明らかである。

　園長は、普段絶対に見せないような恐ろしく歪んだ顔でニヤリと笑うと、スタスタと歩いていってしまった。

　松本は呆気にとられた。判断が付かなかった。園長の言ったことをどう受け止めたらいいのだろう。しかし、冷静になろうとしても、男根をしゃぶる女の舌使いに、頭の中はすぐに真っ白になった。

「うおおお・・・おお・・・」

　再び松本が淫欲の世界に引きずり込まれた頃、園長は戻ってきた。松本はまた『ハッ』と体を起こした。

　園長は手に鎖を持って、松本には目もくれずに麗子を目指してズカズカと教室内に入ってきた。

（・・・このじじい？・・・）

　松本は胃に来るようなどす黒い重圧を感じた。その園長の形相はただごとではなかった。まるで悪魔だった。

　園長は松本の股の間に顔を埋めている麗子の後ろに回ると、持っていた鎖についている黒い革のベルトを麗子の首に巻き付けた。

「はあ・・・はあ・・・」

　息が荒くなっている。麗子はそんな園長にお構いなしに松本の肉棒をしゃぶり続けている。鎖を握って、園長がゆっくりと立ち上がった。

「ほうら！捕まえたーっ！」

　園長はそう叫ぶと、鎖を思い切り引っ張り上げた。

「ああ！・・」

　ガチャガチャという鎖の耳障りな金属音と共に、麗子は一瞬にして引き上げられた。服を着たまま、首輪を押さえて顔を歪める麗子の姿は、鳥肌が立つほどエロティックだった。

「こーのアマがあ！」

　園長はキチガイのように笑うと、首のベルトを掴んで悶える麗子を力一杯振り回した。

　園児の母親を首輪で括って振り回す園長。その『じじい』に、捕らえられた獣のように翻弄される、色情狂のエロ妻。
　松本はそのあまりにもバイオレンスで、エロティックで、ナンセンスな光景に、現実感を失っていた。

「オラあ！」

　園長は更に力を込めて、園児達の机に向かって麗子を投げ飛ばした。ガチャガチャという凄まじい音と共に麗子の体が机をなぎ倒した。

　誰もいない幼稚園の、閑静な空気の中に、非日常の重い緊張が張りつめている。

「ああ・・・ああ・・」

　園長は倒れてうずくまる人妻に歩み寄ると、木のサンダルのまま乳房を、シルクのブラウス越しに踏みつけた。

「ああ・・・」

　麗子が反応する。園長は醜く歪んだ笑みを浮かべて言った。

「ヒッヒッヒ、山下さーん、何してるんですかー。こういうことは私に許可取って貰わないと困るでしょう。」

　園長はサンダルでグリグリと乳房を踏みにじった。踏まれて肉の集まった胸元が、ローションによってテラテラといやらしく光を反射している。

「ううん・・・ん・・・」

　麗子はその圧倒的に理不尽な暴力に、官能を感じていた。
　後先など頭になかった。娘の通う幼稚園で、娘を任せている優しい先生と園長さんに奴隷のように虐待される自分。その背徳感、陵辱感を心の底から愉しんでいた。

　踏みつけられて悦びに悶える麗子を見て、園長に火がついた。再び鎖をグイと引っ張ると、松本の方に歩きだす。引っ張られて麗子は四つん這いに這った。

「はい、これ持ってて。」

　松本は渡された鎖を呆然と受け取った。

　園長は嬉しそうに麗子の後ろに回ると、ニットのスカートを捲り上げ、桃色に火照った美しい尻を露出する。女が自ら塗りつけたローションを吸って、グチョグチョになった白いレースのパンティーが、女の欲情の度合いを示すかのように淫欲を発し、見るものの性欲を掻き立てる。

　園長はパンティーを乱暴に引き下ろした。

「うひょう、でっかい尻だ。」

　園長は園児の母親のヌメヌメの尻に、醜怪な形相で頬ずりをすると、早速柔肉を舐め始めた。

「ああ・・あはあ・・」

　松本は自分の足下で蜜肉をペチャペチャと舐められて悶える麗子の頭を、園長の邪魔にならないようにゆっくりと手繰り寄せると、己の肉棒をそのピンクの口に挿し込んだ。

「・・・ああ・・」

　松本は園長の豹変に恐怖していた。しかし、それでも尚衰えない麗子への性欲があった。
　それは、麗子という女の美しさと、エロティックなフェロモンが、男という生物の生殖本能をどれだけ刺激するかという効果の証明でもある。

「・・・ん・・んん！・・ん・・・」

　麗子はされるがままに、口の中に挿し込まれた肉棒を舌と粘る唾液で歓迎した。
　松本は、もちろん複数での行為など初めてだった。園長の陵辱によって麗子が悶える声の振動が、そのまま男根に伝わる。

「ひゃーっ・・・くぁーっ・・・」

　麗子を媒体として園長に犯されているようなその感触は、新鮮で、癖になりそうな危険な快感だった。

　園長はひとしきり『エロママ』の蜜肉を堪能すると、首輪と一緒に持ってきた袋の中からごそごそと電動バイブを取りだした。
　そのパールホワイトの太く逞しいオモチャを、まず自分で舐め回すと、スイッチを入れた。無機質な機械音と共に、オモチャが卑猥にうねりだす。
　園長はそれを、まるで職人のように邪念のない顔で麗子の蜜壺に差し込んだ。

「ああ・・・あぁん・・・」

　麗子が期待通りに悶え始める。園長は慣れた手つきでバイブを出し入れする。

　松本の足下で、四つん這いで尻から『じじい』に極太バイブで責められ、色っぽい喘ぎを出しているエロ妻が、自分のペニスをしゃぶっている。松本はその栗色の髪を両手で撫でた。

「うん、うん、」

　園長は十分ほど淡々と尻を犯すと、麗子の髪を鷲掴みにして、半目を開けて麗子の舌技を堪能している松本から引き離した。

「あっ・・・・」

　松本はムッとした。いい気持ちだったのを邪魔されたのだ。そんな松本には目もくれず、園長は麗子を広いところへ引っ張ると、麗子の首から伸びている鎖を用意していた釘と金槌で床に打ち付け始めた。ガンガンと殺気を孕んだ乱暴な音が響く。

（用意のいいじじいだな・・・いつかはこの女を犯すつもりでチャンスを狙ってやがったな・・・）

　松本の目に、園長がひどく醜悪に見えた。いつでも股を広げそうにエロスを振りまく麗子への性欲と、世間体や法律の倫理とに挟まれて、フラストレーションを溜め込んでいたに違いない。
　普段はニコニコと人の良い園長を演じながら、頭の中で、何度も、何度も、この女を陵辱していたのだ。

　もちろん自分も人のことは言えない。しかし、ここまで徹底的で、冷徹ではなかった。松本は園長に、年を重ねた者の狡猾さを感じた。

　園長は麗子を動けなくすると、スカートを剥ぎ取り、自分は全裸になった。黒いシルクのブラウス一枚になった四つん這いの麗子に馬乗りになり、背中から抱きついた。背中に頬ずりをし、乳房を揉み、男根は濡れた蜜肉に擦り付けている。

「はあ・・はあ・・気持ちええ・・・」

　松本は放っとかれっぱなしなことに腹が立っていた。確かに立場上は園長の方が上だ。やり方の圧倒的な迫力に気圧されしたのも認める。しかし、自分だって夢に見ていた女だ。少しは気を使ってくれても良さそうなものだ。

　園長は横倒しになって、弓なりにのけぞった麗子のブラウスの裾から手を突っ込んで、豊満な両乳房を直に揉みしだいている。シルクのテラテラと光を反射する胸元に、園長の節くれ立った指の形が浮き出て蠢いているのが見える。

「ああ・・・あはあ・・」

　女は気持ちよさそうにのけ反って悶えている。
　ブラウスの中で彼女が自ら塗りたくったローションが、ニチャニチャとなんとも言えない猥褻な音を立てている。その中で園長の手が、しつこく乳房にローションを擦り込もうとしているかのように揉みしだいていた。

「あぁんっ・・・あんっ・・」

　ゆっくりと力強く両乳房を揉みながらローションを伸ばしてゆく園長の手は、時折乳首をツルツルとこね回している。
　
「奥さん、西崎さんのお父さんとデキてんでしょ？他に何人くらいやってんの？ん？」

　満面の笑みで麗子をいたぶる園長に、松本は戦慄を憶えた。
　
「香織ちゃんは本当にいい子なのにねぇ。ママがエロママじゃ大変だねえ。」

　なおも続く園長の言葉責めに、麗子は瞼を閉じ、眉をハの字に歪ませる。

（この女・・・感じてやがる・・・いたぶられて、悦んでやがる・・・）

　松本は、麗子の表情に浮かぶ、悦楽の陰をはっきりと見た。親子以上に年の離れたよぼよぼのジジイに娘の話まで出されて、尚、卑屈に官能する人妻。
　松本は、プールでのことを思い出していた。おそらく西崎ともそうなのであろう。

　いじめられることによって得る快感。それがエスカレートすればするほど、この女はどんどん淫らになる。
　そして、淫らになればなるほど、エロティック極まりない、そして果てしなく美しいフェロモンを、体中の毛穴から発散し、男のサディズムをさらに煽っていく。
　現に今目の前で、麗子はどんどん魅力を増していっている。

　松本は、西崎と麗子のセックスを想像した。その他の父兄達と麗子のセックスを想像した。きっと皆、この美しい身体を、奴隷のように陵辱し、この世のものとは思えない優越感に、歓喜の奇声を上げたに違いなかった。

　気の狂いそうな嫉妬感が体を襲う。初めて会ったときから、ずっと狙っていた女だった。自分の社会的立場に葛藤しながら、毎日毎日思い描き、憧れてきた幸福の瞬間を、ポッと出てきた男達が、『やったもん勝ち』とでも言わんばかりに、次から次へとさらっていき、自分のモノのようにやりたい放題ヤリまくっている。

　松本は、己の肉棒にたぎる血が、さらに熱く、凶暴になるのを感じた。『犯したい』。『この年上のエロママを、思うがまま気の済むまでいじめ抜いてやりたい』。
　松本が行為に加わろうと立ち上がると、園長が制した。

「松本君、君はダメだよ。ダーメ。」

　園長は全身で女を責めながら、『お前にはもったいない』とでも言わんばかりの侮辱的な笑いを浮かべた。

　松本はカッとなった。無言でツカツカと麗子に歩み寄り、園長を突き飛ばして勝手に麗子の尻を舐め始めた。

「しょうがないねえ。ちょっとだけだよ。」

　諦めたような園長の声が耳に入ったが、松本はすでに麗子の身体に夢中だった。
　体力的には、自分のほうが園長よりはるかに上だ。譲ってやる理由などなかった。自分のモノだった。汁の滴る柔肉に舌を宛てる。

「はあ！・・・ああ・・」

　麗子の肉は柔らかい。それに加えてこの声。何と性欲をそそる喘ぎ声だろうか。
　松本はいったん口を離して、美しい肢体を眺めた。

(ここに男根を挿し込んだら、どれほど気持ちいいんだろう・・・)

　松本は夢中で舐めた。麗子の声が大きくなる。ふと、園長のことを思いだした。

（そういえば、あのじじい・・・何してる？・・・）

　園長の姿を確認しようと頭を上げた瞬間、頭に鈍痛が走った。

「がっ！・・・」

　松本は何かで殴られたと思った。その隙に手足が拘束された。
　
（クソ！・・・手錠だ！・・）

　殴られたのは大したことはなかった。考えてみれば、さすがに殺すわけはない。しかし隙を見せたのは失敗だった。松本は意識を失った。

４　光景

　視界がやっと戻ると、教室の中は薄暗かった。どうやら暗幕を轢いたらしい。

　暗幕の間から差し込んだ秋の日差しの中に、まだ服を着たままの四つん這いになった麗子が見えた。ヴィーンというモーターの音が聞こえる。

「はあ・・・はあ・・・はあ・・・」

　静かに喘ぐ麗子の尻に、園長が黒光りするオモチャを二本、交互に出し入れしていた。

「ククッ・・・クククッ・・・」

　園長は醜悪な薄ら笑いを浮かべ、心ゆくまで若妻の尻穴と蜜壺を陵辱している。

　松本はそのあまりの光景に絶句した。そこには園長と母親が居るにも拘わらず、子供に教えるべき夢も希望も存在していなかった。
　二人は、子供達が書いた絵の下で、ただ、ひたすらに暴力とエロスを愉しんでいた。

　松本は怒りを憶えた。あの頃と同じだった。自分は、ただ指をくわえてみているだけだった。
　ただ、なまじ心を許しただけに、理不尽で、下劣なくせに、自分だけを受け入れないその淫欲の世界に納得がいかなかった。

　松本は怒りに体を激しく振った。

「あー。松本君起きちゃった。ほら山下さん、松本先生が見てますよ。」

　麗子はゆっくり松本を見た。園長は麗子の尻にバイブを突っ込んだまま立ち上がると、脱ぎ捨てた自分の服のポケットを探り出した。
　スイッチを入れたまま手を離された二本のバイブが、麗子の尻でいやらしく蠢いている。園長は注射器を取り出すと、松本に歩み寄ってきた。

（こいつ・・・そんなものまで・・・）

　園長は何も言わず松本に注射をすると、また麗子のところに戻っていった。

　ゆっくりと意識が薄れてゆく。麗子が助けを求めるような目で松本を見ている。その後ろで園長が、麗子の尻のバイブを抜き、肉棒を宛っている。おそらくアナルに挿入しようというのだろう。

「あぁああ！・・・」

　園長の涎が垂れ、麗子のひときわ大きい喘ぎ声が聞こえた。

　園長がゆっくりと腰を動かして園児の母親の尻穴を犯している。クチャリクチャリという卑猥な音と、ヴインヴインというバイブの音、そして園長の快感の息づかいの中、松本は再び意識を失った。