５　通学バス

　麗子は電車でもバスでも毎日のように痴漢に遭った。半裸状態のセーラー服に派手なアクセサリーをチャラつかせる麗子は、サラリーマンの間で『スキモノ女子高生』として格好の的になっていて、毎日毎日三、四人の手に体中をまさぐられた。
　始めの頃は密かな性欲処理だったこの行為も、性格がサディスティックになるに連れて、その快感の求め方は変化していった。

　ある日麗子がいつものように駅から学校までのバスに乗っていると、早速手が伸びてきた。

　麗子は、驚きもしなかった。しかし、それはいつもの手の肌触りとは違った。恐る恐る触り、手のひらが汗ばんでいる。
　
（この子、初めてね・・・）

　麗子はからかってやろうと思って、腰をゆっくりひねって手を拒絶した。
　痴漢などというものは、女が嫌がれば嫌がるほど燃えてくるものだということを麗子は知っていた。こちらが弱気になると向こうは強気になる。予想通り、手は麗子の尻をこねるように揉みだした。

「はあ･･････はあ･･」

　背中の少年の興奮の鼻息が荒い。最早他の乗客の目など考えてる余裕はないようだった。その、おそらく少年であろう『手』の持ち主の興奮ぶりに、麗子も感じ始めた。

　暫く、否応なくまさぐられる陵辱感を愉しんだ。

（はあ・・はあ・・そろそろとどめを刺して上げようかしら・・・）

　麗子は少年の理性がもう少しで砕け散るのを背中に感じていた。どうせなら、この少年を砕けさせてみたいと麗子は思った。
『自分の色気がこの少年の理性を何処まで壊せるか』を、試してみたくなった。
　
「あ・・ああん・・・」

　麗子は思いきり色っぽく吐息を漏らした。

「うう・・ふう、ふう・・・」

　少年がうなり声を上げだす。麗子は腰を卑猥にグラインドさせた。尻の肉が、背後の少年の股間の膨らみにシコシコと擦りつく。

「う、うおおお！」
　
　その瞬間少年が大きな叫び声をあげた。車内に、弾かれたような緊張が走った。

「！」

　少年は麗子を乗客でいっぱいのバスの床に押し倒した。

「キャア！」

　他の乗客が飛び退く。運転手はその異常に気づき、慌ててバスを止めた。

　皆何が起きたか分からないという顔で固まっている。目の前の光景があまりに現実離れしていた。

　少年は起きあがろうと四つん這いになった麗子の、制服のスカートから覗く白いレースのパンティーを思い切り掴み上げた。

「あぁん！」

　パンティーが硬くなって痴丘に食い込み、繊維から蜜汁がいやらしく染み出る。

「あぁあん！やめて！やめてぇ！」

　麗子はわざと大げさに拒絶した。その喘ぐ麗子の姿に少年は更に興奮する。

　パンティーを掴み上げられて悲鳴を上げる美しい女の姿は、車内にナンセンスなエロスを振りまいていた。『助けなければならない』。しかし、『もう少し見ていたい』。そんな感覚が、男のみならず女の乗客にも沸き上がっていた。

　うろたえる他の乗客の目の前で、四つん這いのまま逃げようとする麗子の尻に少年がしがみついた。それはまるで、野生児が素手で女豹を捕らえたかのように、本能的で、野生的な光景だった。
　
「ああ・・・誰か！誰か助けてー！」

　麗子が叫べば叫ぶほど、車内の現実感は薄れ、周りは動かない。
　少年は荒々しくパンティーを剥ぎ取った。
　
「はあ！はあ！」

　少年は一仕事終えたかのようにゆっくりと立ち上がり、ズボンを下ろすと、緊張に張りつめた空気の中、いきり立った肉棒を麗子の尻から挿し込んだ。

「ああ！・・・あぁあ！・・・」

　バスの中である。少年は周りなど見えていなかった。ただ、止められない性欲を暴発させるがまま、女を貪っていた。

　麗子は感じていた。犯されている自分の姿が美しいことを知っていた。少年の動向も、周りの反応も、全て麗子の予想通りだった。

「あぁっ！・・あはあ！・・あぁん！・・」

　少年は淡々と腰を動かす。そのクチャクチャと卑猥な音を発する結合部分に誰もが釘付けになっていた。

　これほどサディスティックで、エロティックなレイプシーンは誰しも滅多に見られるものではなかった。しかも犯されているのは恐ろしいほど美しく、大人びた肢体を持つ女子高生である。

「ああ！・・あぁっ！・・んん！・・・」

　無言の取り巻きの中、少年は一人淡々と肉棒を出し入れし、麗子の体内を侵していく。

　麗子は思いきり悶えた。自分のエロティックな美しさをみんなに見せてあげたかった。麗子が悶える度、少年の男根は太く、硬くなり、性犯罪の象徴として乗客の目に焼き付いた。

「おい！やめろ！」

　そこへ警察官がなだれ込んだ。少年はあっと言う間に三人の警官に押さえつけられた。
　みんながそれに目を奪われている間、狂ったように暴れる少年を背に、麗子はさっさとバスを降りた。

　麗子は満足だった。『人の人生を壊すほどの美しさ』を自分は持っている。それを体感する快感は格別だった。

　麗子は制服の埃を軽く払うと、ミニスカートにノーパンのまま、何事もなかったように悠々と学校へ向かって歩いていった。