１　プール

　夏真っ盛り。照り返す日差しの中、麗子は幼稚園から近い、市民プールにいた。

　幼稚園の行事だった。お父さん、お母さん達が集まり、子供達とプールで戯れた。その中で、麗子はひときわ周囲の目を引いていた。

　真ピンクのビキニは、股が異常なほど切れ上がった紐パンで、後ろはティーバッグである。
　マシュマロのように白く柔らかそうな尻。盛り上がり、形を浮き出している恥部、キュッとくびれたウエスト、そして、小さな水着から今にもはみ出しそうな乳房の隆起を、夏の日差しの中、惜しげもなく他の父兄達に視姦させていた。

　アップで纏めた、パーマの掛かった栗色の長い髪が、所々ほつれて垂れ下がり、濡れて顔や首にまとわりつくのが形容しがたい色気を放っている。

　麗子は真っ昼間の爽やかな太陽の下にもかかわらず遠慮無く突き刺さる、男達の卑猥で陰湿な視線を愉しんでいた。

　男達にとって、麗子は『母』でも『セレブ』でもなく、『大人』でも『ギャル』でもなかった。ただ、いかにも『女』だった。『女』以外の何者でもなかった。

（ああ・・・見てる・・・）

　娘の目の前で淫らな蜜が染み出てくる。その恥じらいに白い肌や頬がピンク色に染まり、伏目がちな仕草とあいまって、一層男達を惹きつけていることを麗子は知っていた。
　知っていてこんな格好をしていた。麗子の中で、最早彼女の理性は完全に欲望に支配されていた。

『せめて娘の前では母親として恥ずかしくないようにしていたい』という思いは常にあったが、いざとなると黒い欲望は容赦なくその理性を押さえ付けてくる。
　まるで独裁者のように麗子の幸せを足蹴にし、己の欲望を優先させ、その上で非力な理性を嘲るように笑っているのである。

　麗子にはどうすることもできなかった。沢山の男が自分の身体に夢中になるという現実が、山下や香織の存在を差し置いてしまうほどの例えようのない快感なのだった。

　香織が他の子供達と遊びだしたので、麗子は休憩することにした。
　トイレに行こうとプールサイドを歩き出す。麗子が歩くと男達がそれを、淫欲を孕んだ目で追う。

（あらあら・・・皆さん節操のないこと・・・）

　麗子は、我が子の目の前であるにもかかわらず、オスの本能を剥き出しにして自分にフェロモンを送りつけてくる父兄達に満足感を感じていた。

（疼いちゃう・・・）

　とにかく、自分で慰めでもしないといられなかった。

　麗子はトイレの入口で木のサンダルを突っかけると鼻歌混じりで中へ入った。

「え？」

　麗子はドキリとした。突然三人の若い男が現れ、麗子を囲んだのだ。麗子は一瞬男子用と間違えて入ってしまったのだと思って周りを見回したが、男子用に必ずあるはずの『小便器』は見当たらない。

　若者達は、二十歳前後くらいだろうか。三人ともニヤニヤと薄笑いを浮かべている。

（まさか・・・）

　麗子はある種の緊迫感を感じた。それは麗子には馴染みのある緊迫感だった。

「ああっ！・・・」

　麗子の両腕を、一人が後ろから羽交い絞めにした。

「んっ！・・・ああっ・・・」

　抵抗するが力強い若者の腕はびくともしない。

　麗子の心臓が高鳴りだした。それはいつも犯されるときに感じる緊張感だった。

「うひょうっ！」

　麗子の前に立っていた男は奇声を上げると、その真ピンクの水着のブラを乱暴に引き下ろした。

「あぁんっ！･･･」

　少しふやけて更に白さを増した乳房が、つんと立ったピンク色の乳首を惹きたてている。男はその美しさと、艶めかしさに目を爛々と輝かせると、両乳房をがっしと鷲掴みにして乳首に吸い付いた。

「ん！あ！・・」

　胸元の男の頭が激しく動き、その男の舌が乳首に絡みつくザラッとした快感が麗子を襲う。

「ウマッ！この乳首ウマッ！」

　男は一端顔を上げると、仲間に麗子の乳首の素晴らしさを伝えるように大声で叫んだ。

　右側にいたもう一人が無言で麗子の脚にしがみついた。

「あんっ･･･」

　恐ろしく長い、よだれだらけの舌を伸ばして、麗子の美しいももをベッタリと舐め上げる。
　
「あぁあ・・・」

　男は麗子の脹ら脛に股間を擦り付けた。水泳パンツの中で堅くなった男根の体温が麗子のしなやかな脚に伝わる。

「ヒッヒッヒ・・・。」

　乳房を掴んだままの男が、銀の二重のネックレスと、ピンク色の乳首に飾られ、興奮にほんのり桃色がかった麗子の胸元を眺めて笑う。

　脚にしがみついた男は、そのまま腰をヘコヘコと動かす。その間も舌は絶えず太ももの美肉を味わっている。

「はあ・・はあ・・・」

　ピチャリピチャリという音と共に、大量に溢れる男の唾液が麗子のエロティックな脚を卑猥に伝っていく。

「あっ！・・・」

　その快感に気を取られている間に、またさっきの快感が電撃のように走った。目の前の男が再び乳首に吸い付いていた。
　麗子の身体はあっという間に若者達のよだれにまみれた。

「ああ・・・」

　麗子は唸るような吐息を漏らして、両腕をがっちりと抱え込まれたまま身体をくねらせて悶えた。

　何か、ナメクジのような、気持ちの悪い生き物が身体を這いずり回っているような男達の舌の感覚は、不気味で、凶悪で、汚らしくて、それだけに極上のいやらしい快感を孕んでいた。

「うぅん・・・あん・・・」

　麗子は目を瞑り、眉をハの字に歪め、身体をゆっくりとくねらせて色気たっぷりに悶えてみせた。愉しんでいた。若者達の凶暴な性欲を自ら煽っている自分のいやらしい本能に感じた。

（しょうがないから・・・犯らせてあげる・・・）

　香織や、幼稚園の友達、そしてその父親達が朗らかに交流を深めている景色が目に浮かんだ。そして、その片隅で何処の誰とも分からない若者達の性欲便所にされようとしている、人妻であり、母親である自分の姿に陶酔していた。

「ウケッ！　ウケケケケー！」

　若者達は、そんな麗子の艶めかしい肢体に、欠食児童のようにむしゃぶりついていた。

　男達は自分たちより明らかに年上である麗子を水浸しのトイレの床に跪かせた。生ぬるくなった不潔そうな水の感触が、麗子の自尊心を奪う。

　麗子の目の前に三本の肉棒が差し出された。どれも凶暴にそそり立って、麗子の猥褻な身体を狙っている。

（凄い・・・）

　麗子は林立する肉棒の壮観に、胸の中を蜂蜜で掻き回されるような、ドロドロとした濃い感触を覚えた。

　その肉棒が、交互に口に挿入される。

「うおっ！スッゲエ・・・」

　男達が麗子の舌使いに反応して体をよじる度に、彼らの履いている木のサンダルがカラコロと鳴り、麗子に、『市民プールのトイレで犯されている』という現状を再認識させた。

「見れば見るほど子作りしたくなる女だな。」
「奥さん、俺の子供も生んでよ。」

　男達は、嘲るように笑った。