１　愛

　麗子は悩んでいた。漆黒の欲望は留まることを知らない。この先どうなって行くのか。それが、自分自身でも見当が付かなかった。
　ただ、この異常な欲望がある限り、『幸福』は遠い存在に思えてならなかった。

　恋愛をしてみようかと思っていた。恋愛が、この漆黒の欲望を取り除いてくれるかもしれない。そんな極一般的な例に頼ってみたくなった。
　もちろん恋愛の記憶は無い。恋愛という感情を想像することさえできない。しかし、とにかく形からでも入らなければ先へは進まない。麗子は焦っていた。

　夜、麗子は初めて若者が集まるクラブへ入ってみた。うるさい音楽と、着飾った男女で賑わう店内。制服姿の少女もいる。
　麗子はいかがわしい雰囲気の中を緊張気味に掻き分けると、奥のテーブルに掛けてカクテルを注文した。

　周りを見回すとさすがに一人きりの女性はいない。どうにも落ち着かなかったが、確かに男を物色するには最適な場所だった。色んなタイプの男性が集まっている。誰も彼もタレントのように容姿が整っていて、魅力的ではあった。
　しばらくすると、男ではなく、二人組みの女の子が声をかけてきた。
　
「一人？」

　麗子はいぶかしげに頷いた。年恰好は麗子と同じくらいに見えたが、いかにも男を遊び道具に使っていそうな、開き直った明るさが二人にはあった。

「私たちと一緒に飲もうよ。なんかあんたといると男釣れそうだし。」

　女の子はあっけらかんと言った。麗子は人見知りするほうではあったが、一人ぼっちでどうしていいかも分からなかったので、彼女たちと一緒にいることにした。

　すぐに男が声をかけてきた。三人組だった。

「暇そうだねえ。一緒に遊び行こうよ。」

　男たちは三人とも、女性に人気のありそうなきれいな顔立ちをしていて、遊び慣れているようだった。声をかけられて、悪い気はしなかった。

「えーーー。行っちゃう？」

　女の子たちは簡単だった。特に深く考える必要も無いのかもしれないと麗子は思った。
　『とにかく楽しもう』という彼女達のやり方を試してみるのも手だった。なんにしても、麗子は手探りだった。

　六人はクラブを出て、ほかの店に向かった。歩いている途中である程度カップルは出来上がっていた。麗子の相手は、少し気が弱そうな、でも、透明感のあるかわいらしい男だった。男は裕也といった。

　次の店では、もう別行動だった。こんなに早く進展していくものなのかとびっくりしたが、みんなでワイワイ騒ぎたいという気分でもなかったので、別によかった。

　男の子と色々話をして、その日はキスと携帯番号の交換だけで別れた。

　『付き合う』という実感はなかった。しかし、嫌な相手でもなかった。恋愛感情などというものは、徐々に高まっていくものなのかもしれないと思っていた。

　裕也とはその後何回か会った。しかし、ＳＥＸはしなかった。自分自身の性欲をさらけ出すことに恐怖感があったのも事実だが、裕也に対して、そういう気分にならなかったというのが大きかった。
　理由は分からなかった。裕也が男として多少ひ弱そうな部分を持っていたというのも、関係しているのかもしれないと麗子は思っていた。

２　開花

　ひと月くらいしたある日、裕也から電話があった。
　
「明日さあ、ちょっと俺の後輩達が来るんだけど、お前、紹介したいから来てくんない？」

　麗子はうれしかった。なんとなく、『恋人』という感じがある。今はまだまねごとでも、時間とともに状況は色々と進んでいく。『愛』というのはそういう過程の中できっと芽生えていくものなのだと思った。

　次の日、麗子は早めに裕也の家へ行くと、夕食の準備を始めた。

　裕也の家には何回か来たことがある。立派なマンションだった。親に金を出してもらっているということだった。裕也の家は金持ちで、父親は建設会社の社長だった。息子の裕也は、大学に行きながら、気ままな一人暮らしをしている。

　麗子が料理をしていると、裕也が麗子を眺めて言った。
　
「うーん、その服、ちょっとなあ・・。」

　麗子はきょとんとした。これでも気を使ったつもりだった。地味すぎず派手すぎず、当たり障りのない服を選んできたのだ。
　
「ちょっとまってて。」

　裕也は奥へ引っ込むとなにやらゴソゴソやりだした。麗子がかまわず料理を続けていると、裕也はすぐに戻ってきた。手に、服を持っている。

「これ、着てみて。」

　広げると、青いセーターに、白いスカートだった。
　
「どしたの？これ。」

　なぜ、裕也が女物の服など持っているのか。麗子は疑うというよりも、その服を広げてニコニコしている裕也に思わず吹き出した。

「買ったんだよ。お前のために。」

　麗子は笑うのをやめた。センスは別としても、うれしかった。

「まあ、ちょっと着てみろよ。」

　料理に忙しかったが、せっかく買ってくれたものである。

「分かった、火、見ててね。」

　麗子はバスルームに入った。着替えて鏡を見てみる。真っ青なセーターは大きめで、胸がかなり開いて、谷間が覗いてしまう。スカートは履くには履いたが、丈が短いのと、セーターが大きいので、着てしまうとほとんど見えない。まるでセーター一枚しか着てないみたいだった。

　真っ青なセーターに映える、銀のネックレスに飾られた雪のように白い肌、丸みのある滑らかな曲線を描く身体のライン。

　鏡に映る自分の姿の淫靡な肉感に、麗子はドキリとした。とりあえず、バスルームを出てみる。

「これ・・・・。」

　裕也は着替えた麗子を見ると、にっこりと満面の笑みを見せた。

「いいねえ！いい感じじゃん！！」

　裕也は感心したように言った。

「やっぱお前、いい女だよなあ。あと、化粧をちょっと濃くしたら完璧だな。」
「これでお化粧濃くしたら、ちょっと派手じゃない？」

　麗子は心の奥底に隠しておきたい己の本性が刺激されている危機感を感じていた。

「いいんだよ。やっぱさー、後輩来るからさー、『いい女連れてるぞ』ってとこ見せたいわけさあ。分かるだろ？お願いっ！」

　派手な化粧は慣れっこだった。しかし、それで知り合いの前に出たことはまだない。自分のエロスに対して、裕也やその後輩達がどんな反応を示すのか、それが怖かった。

（まあ・・・大丈夫よね・・・）

　麗子は抵抗があったが、仕方なく裕也の見栄に付き合ってあげることにした。
　
「分かったわ。でも、お化粧はお料理が終わってからね。」

　麗子はバスルームで化粧を直していた。料理に結構時間がかかった。もうそろそろ客が来る時間である。

　そう思っている間に、玄関のベルが鳴った。

（あ、来ちゃった・・・）

　麗子は急いだ。裕也が応対している。何人かの男の声がする。濃いピンクの口紅を塗った。

（私の中の淫らな欲望が顔を出さなければいいけど・・・）

　麗子はそれが心配だった。しかし、ただ、みんなで食事をするだけである。こちらから挑発するわけでもなし、考えすぎだと思った。

　麗子がバスルームを出ると、もうみんなリビングに通されていた。麗子はパタパタとリビングへ急いだ。

「あ、いらっしゃいませ。」

　麗子は挨拶をして、固まった。彼らは、『男達』というよりは『男の子達』だった。

　三人とも、ダボダボの学生ズボンを履き、一人は背が高く、ツンツン頭にバンダナ、丈の短い学生服を着ていた。一人は、汚く染めた金髪に、汚れたＴシャツ、一人はスキンヘッドに真っ赤なタンクトップ。
　そして、三人とも、暴力的な少年特有の荒んだ目をしている。

「あ、こんちは・・。」

　三人は鋭い目のまま口々に麗子に挨拶をした。裕也は、化粧を直して見違えるほどの魅力を発する麗子にぼーっと見とれていたが、すぐ気を取り直して、三人を麗子に紹介した。

　少年達は、カズヤ、ヒデキ、マサトといった。マサト以外は麗子よりも頭ひとつくらい背が小さい。三人とも十四歳だった。麗子より、八歳も年下である。

「あら、私てっきり・・・・・。ビールとか用意しちゃったけど・・。」

　二十二歳の裕也の後輩というから、十九か二十歳くらいと思っていた麗子は戸惑った。子供のような顔をした少年たちは、ピクリとも反応しない。

「いいよいいよ、こいつら、飲むし。」

　裕也が言った。

　麗子の中に、なんともいえない不安が広がっていた。思春期真っ只中の、どうみても『全う』でないこの中学生たちに、この自分の出で立ちはあまりにもエロスを発しすぎてはいまいか。

　麗子は、その不安を振り払った。

（裕也さんの後輩だもんね・・・。私、何考えてるのかしら・・。）

　常識で考えてありえないことだった。麗子はその妄想が自分の歪んだ性癖から浮かんできていることに嫌悪した。

「ま、とにかくみんな座って。私やるから。」

　麗子はそう促すと、料理の準備にかかった。

　料理を持ってきた麗子に裕也が言った。

「あ、悪い、後ろの灰皿とって。」

　麗子が振り向くと窓際に灰皿があった。麗子は行儀よく座ったまま向きを変えると、灰皿に手を伸ばした。
　生地の薄いミニスカートが、ぴったりと張り付き、麗子の熟れた尻の形を浮き立たせる。少年達はそれをじっと凝視していた。

　裕也は気まずそうに眉毛をこすった。

　少年達はよく食べ、よく飲んだ。話も弾んでいるようだった。

「麗子、そろそろこっち来いよ。」

　裕也が麗子を呼ぶ。

「そうね。大体片付いたし。」

　麗子はエプロンをはずし、裕也の隣に座った。和気あいあいとした雰囲気に、麗子の緊張もだいぶ抜けてきていた。

「いやーーでも、先輩いいすよねえ。こんないい彼女さんいて。」

　スキンヘッドのヒデキが言った。

「やあね。そんなお世辞言って。」

　麗子も笑った。ほのぼのとした空気だった。

「いやいやお世辞じゃないっすよ。料理うまいし、美人だし。」

　麗子は恥ずかしくなってきた。中学生にお世辞を言われるのはなんとなくかゆい感じがした。

「おっぱい大きいし。」
「え？」

　あまりに唐突だったので、麗子は一瞬ヒデキの言っている意味が分からなかった。

「ブハハハハハッ！！」

　金髪のカズヤが笑う。麗子はドキリとした。相当飲んでいるようだ。麗子は愛想笑いで返した。

「麗子。」

　裕也が指で合図した。『ついでやれ』ということだった。カズヤのグラスが空になっている。

「あ、ごめんね、気がつかないで。」

　麗子は慌ててビール瓶を持つと、カズヤの隣にきちんとひざまずいてビールを注いだ。
　カズヤが麗子の首筋でクンクンとやる。麗子は真っ赤になって、つぎ終わるとすぐに裕也の隣に戻った。

　心臓がドキドキし始めている。麗子は必死でそれを抑えた。

「いやあー。いい匂いっすねー麗子さん。」

　カズヤが酔っ払った声で言う。

「お前、嗅いでんじゃねえよ！！」

　ヒデキがカズヤの頭をパシリと叩く。裕也も笑っていた。麗子も笑うしかなかった。

（酔っ払ってるだけよね・・・）

　そんなことにいちいち反応してしまう自分のほうがよっぽどいやらしい。麗子はそう自分に言い聞かせた。

　場も大分落ち着いてきて、麗子は台所で食器を洗っていた。背の高いツンツン頭のマサトは、シャワーを浴びたいといってバスルームにいる。残りの三人はまだグダグダとしゃべって飲んでいる。

「あ！しまった！！今何時だ！？」

　突然、裕也が叫んだ

「十二時半だけど？」

　麗子は何事かと思い、洗い物の手を止めた。

「しまったなぁー・・・」

　裕也が頭を掻く。

「どうしたの？」
「いやーー・・ヒロシにＣＤ貸す約束だったんだ。」
「そんなの明日でいいじゃない。」

　麗子は手を拭くと裕也の横に座った。少年達はなんとも言えずに、ビールをちびちびやっている。

「いや、明日あいつデートなんだよ。それまでに必ず貸すって約束しといたのに・・・。」

　麗子もなんと言っていいのかわからなかった。

「ちょっと、行ってくるわ。すぐ戻る。」

　裕也は立ち上がった。麗子は不安を覚えた。この少年達はどうするのか。

「どれくらいかかるの？」

　裕也はもう、出かける仕度をしている。

「一時間くらいだよ。すまんな。」

　裕也は麗子ではなく、客である少年達に挨拶をすると、足早に部屋を出て行った。

　麗子は、取り残されたような不安を感じていた。
　少年達は中学生で、裕也の後輩なのだから、なにも怖がることはないはずである。しかし麗子はその、自分より八歳も年下の少年たちに陰湿な空気を感じずにはいられなかった。

「麗子さん、こっち来なよ。ヒマだよ。」

　台所で洗い物を続けている麗子をカズヤが呼んだ。麗子は客を放っておくわけにもいかず、テーブルに着いた。

「ついで」

　カズヤがグラスを振る。麗子はヒデキとカズヤの間に座ると、ビールを注いだ。

「！」

　その瞬間、尻にもぞもぞとした触感を感じて麗子は跳ねるように振り向いた。

「うそうそ、冗談冗談。」

　ヒデキが笑っている。心臓がドクンと脈打つ。

「もう、おイタしちゃ、ダメよ。」

　麗子は苦し紛れにそう言って後悔した。『子供達』が調子に乗る言い方だった。

「ビーチク！！」

　カズヤが後ろから麗子の乳首をセーター越しにつまんだ。胸元から覗いてしまうのでブラジャーは付けていなかった。

「きゃっ！」

　麗子が咄嗟に振り向いた瞬間、ヒデキが後ろから麗子を羽交い絞めにした。

「よし！捕まえた捕まえた！！」
「！」

　麗子は何が起きているのか理解できなかった。が、体中の感覚が、脳に危機を知らせている。麗子は、ヒデキの腕を振りほどこうともがいた。

「うひょひょひょひょーー！！」

　必死で抵抗する麗子のセーターの中にすかさずカズヤが頭を突っ込んだ。他人に肌を触れられるゾクゾクとした感覚が、危機感を一気に高める。

「ちょ・・・ちょっと！！」

　カズヤがセーターの中で、当たり前のように麗子のノーブラの乳首にむしゃぶりついた。

「ああ！･･」

　麗子の身体に電撃が走った。中学生とはとても思えない滑らかな舌使いに麗子は自分の意識が、意思と関係なくみるみるうちに淫欲の世界に引きずり込まれていくのを感じた。

（こんなこと･･･いけない！）

　麗子は快感に挫けそうな理性を奮い起こして抵抗した。しかし、中学生とはいえ男である。力の差は歴然だった。
　そのとき、浴室から素っ裸のまま、タオルで頭を擦りながらマサトが出てきた。
　麗子はマサトがそんな格好をしているにもかかわらず、彼に二人を止めてくれるよう目で訴えた。

　マサトは三人の中で、というよりも、中学生にしては、落ち着いていた。常に冷静で、大人びていて、物事の分別がつきそうに見えた。『きっと女の子にもてるだろう』と麗子は思っていた。

　マサトは、その状況に慌てもせずゆっくりと近づいてくると、麗子のそばに立った。胸の中では相変わらずカズヤがもぞもぞやり、麗子を羽交い絞めにしたヒデキは下品に笑っている。

　マサトは、しばらくそのまま不当な陵辱に目で助けを乞う麗子を見下ろしていたかと思うと、麗子の髪を鷲?みにし、そのピンクの唇の中に、こともあろうか洗ったばかりの自分の男根を挿し込んだ。

「！！」

　麗子は驚きに声が出なかった。マサトの肉棒は麗子の口の中に入ると、まるでその中の成分に化学反応でも起こすように、みるみる大きく硬くなっていった。

　麗子は初めて味わう肉棒の凶暴で圧倒的な存在感に頭が真っ白になった。しかし、驚くべきことに、麗子は無意識ながら、できるだけ優しく、相手を慈しむように舌を使いだしていた。

「おお･･･」

　マサトは低い声を上げた。何度も妄想の中で繰り返したせいか、それとも麗子の失った記憶が身体に焼き付けたものなのか、麗子の『技術』はマサトを十分に満足させていたようだった。

　頭の奥の、更に奥のほうに理性があった。それはまるで十メートル先にポツンと置かれたテレビを眺めているかのように遠く、しかし微力ながらもはっきりとした意識だった。
　理性は冷静に今麗子が置かれている状況の異常さを、自らの脳に伝えている。
　麗子はそれを感じながらも、また別の世界にいる自分に逆らうことはできなかった。快感に身を任せる別の世界の自分は、遠くのテレビのような距離にある理性とは裏腹に、抱き枕ほども近くにあった。

　それでも麗子は身体をよじって抵抗した。しかしそれは『私の立場ではそうするべきだ』という表面的な形でしかなかった。心の中では次の行為への期待で一杯になっている自分を、麗子は否定できなかった。

　相手は中学生である。自分よりも八歳も年下の中学生に犯されている自分。そして、それに『感じている』自分。それは、『理性』の側の自分にとっては、悪夢のように思えた。

「ああ！」

　振りほどいた勢いで麗子が四つんばいになったところを、腰のくびれにヘッドロックをするようにヒデキに抱えこまれた。

「どうどうどう」

　ヒデキはまるで暴れ馬をなだめるように麗子の尻を撫でる。全裸で仁王立ちのマサトに後頭部をゆっくりと踏みつけられて、麗子は頭を絨毯に押さえつけられて尻だけ突き出した体制にさせられた。

「イヒヒヒヒ。いいね、いいねぇ！」

　尻の方からカズヤの卑猥極まりない笑い声が聞こえる。

「さあて、じゃあ、剥いていこうか！」

　カズヤが青いセーターの中にもぞもぞと手を入れ、スカートのホックを外す。ジッパーが下げられ、薄い綿のスカートが脱がされていく。
　次にカズヤの両手がパンティーの両脇をがっしりと掴む。それをむしり取られれば、あとは絶望と快楽が待っているだけである。

「やめて！！あなたたち！何してるかわかってるの！？」

　麗子は叫ぶと同時に自己嫌悪に陥った。

　『形だけの抵抗』。それが自分でわかってしまうだけに、どうしようもない空虚感が言葉をすり抜けていく。しかし、一方でそんなことはどうでもいいと思えてしまうほどの快楽がある。
　共存できない二つの感情が、お互いにお互いを高め合う。

　パンティーがもったいぶるようにゆっくりと下ろされていく。すでに濡れている恥肉を部屋の空気が舐める。それによって、自分の恥部が、間違いなく中学生の前に晒されていることを感覚で感じる。
　身体の中にドロドロとした分泌液が広がり、透き通るような真っ白い尻の中心にある、凝視された美しいピンク色の蜜肉から漏れ溢れている。

「えっへっへ。」

　カズヤが嘲笑を交えてそれを眺める。

　じっと視姦される快感。恥部に全ての神経が集中し、針のように研ぎ澄まされた視線にピリピリと緊張する。胃液の逆流しそうな屈辱感が、なぜか心地いい。

「あれ？麗子さんどうしたの？なんか、へんな汁出てるよ？」

　カズヤがその、傷口のように敏感になった蜜壷をベロリと舐めた。

「んん！･･･」

　弾けるような快感に、麗子は声を必死でこらえた。カズヤはその仕草に欲情したのか、麗子の真っ白い尻にむしゃぶりついた。

「ああっ！･･･あああっ！」

　麗子は堪らず身体をくねらす。それをヒデキがしっかりと押さえ込む。ビッチャビッチャと乱暴に舐めあげるカズヤの舌技は、麗子の性感帯を正確に容赦なく攻撃していた。

　『犯りなれている』と麗子は思った。麗子にとっては比べる対象は以前の浮浪者くらいしかないが、それにしても、その舌の動き、的確な力加減はあまりにも麗子のツボを捕らえすぎていて、淫らな汁が信じられないほど次から次へと溢れてくる。とても中学生にできるレベルとは思えなかった。

　我慢できなくなったのか、マサトが麗子の前にしゃがみこみ、再びそそり立った肉棒を麗子の口に差し込んだ。圧倒的な『男』の肉感に再び脳が甘くとろけていく。

　カズヤは満を持したようにすでにギンギンになっている肉棒を麗子の蜜壷に宛がった。

「！」

　凄まじい官能と、血の気の引くような恐怖が麗子を襲い、咄嗟に薄れかけていた理性を引き起こした。

「待って！お願い！」

　麗子は口からマサトの肉棒を振り払って叫んだ。麗子にはまだ未知の領域なのである。『愛』が芽生えるまで大切にしていた最後の砦なのである。裕也を差し置いてこれを許してしまうわけにはいかなかった。

　マサトが何事もなかったように、また麗子の口に肉棒を収める。絶望が麗子を包み込んだ。

「ダイジョブ、ダイジョブ。」

　カズヤは『大したことじゃない』と言わんばかりに軽く答えた。

「お願い！お願いだから！」

　麗子は懇願した。彼らは、麗子に経験の記憶がないことを知らない。きっと裕也と毎晩愉しんでいるに違いないと思っているはずだ。

　初めてが中学生の輪姦とは、人道的に許されることではない。『常識人』から転落する恐怖が、麗子の脳に警笛を鳴らしていた。

「じゃ、ちょっとだけ、先っぽちょっとだけだから。ね。」

　カズヤはまるで小さな子にでも言い聞かせるように言い、構わず宛がった肉棒をゆっくりと挿し込み始めた。

「！！」

　麗子は恐怖と絶望に体が固まった。麗子しか知らないが、これは記念すべき瞬間なのだ。

「ん･･あ･･」

　押し込まれていく肉棒の感触に、麗子の全神経は集中していた。凄まじく甘い感触が脳に広がり、全ての不快感を奪い去っていく。
　カズヤの凶暴な肉棒が、愛液を介して麗子の肉壁に擦れるたび、言いようのない背徳感と邪悪極まりない幸福感が、体中を包んでゆく。

「あああああん！･･･」

　麗子は最後の理性が暴力的に剥ぎ取られていくのを感じていた。

　初めての経験。想像を絶した幸福。それはまるで、迷路のような洞窟で何とか抜け出ようともがく人が、暗い岩の陰に素晴らしい宝石を見つけたかのようだった。
　恐怖、絶望、不安、そして背徳に塗りつぶされたこの状況から潰れそうな精神を守るためには、他を見ずに、この幸福感という『宝石』に集中するという逃避行為にすがるしかなかった。凶暴な少年達の、邪悪な肉棒が運んでくるこの甘美な幸せに、全てを投げ打って身も心も捧げるしかなかった。

　麗子の頭の中で、最後の一本の線がプツリと切れて、淫欲の中を漂った。ずぶずぶと卑猥に、無法に進入してくる甘い幸せの、あまりの快感に、麗子は陶酔し、没頭した。

「くぁーーっ･･入ったあ･･･」

　『先っぽだけ』などと言いながら、何食わぬ顔で、抜けぬけと根元まで挿入したカズヤが、まるで温泉に浸かった中年のように力の抜けた声を出したが、両手はがっちりと力強く麗子の尻を我が物のように掴んでいる。
　麗子の身体の中に深々と挿し込まれた肉棒が、その快感を顕すようにピクピクと痙攣している。

　麗子はその暴力に感じた。陵辱感が幸せに変わった。その証拠に、形のいい、男の性欲を否応なく掻き立てるボリュームを持った尻が、ピンク色に紅潮して更に男を求めている。

「ようし･･･」

　カズヤがゆっくりとピストンを始める。

「んぁああっ！･･･」

　ピストンする度に、痺れた足に触れられたときのような電気的な感覚が、快感を伴って麗子の体中に襲い掛かる。
　自分の身体の中を、少年のペニスが我が物顔で出入りしている。その感触は、『恐怖』というにはあまりにも官能すぎた。

（凄い！・・なんて気持ちいいの！・・）

　頭の天辺から、足の指先まで、体中全てがカズヤの肉棒の虜になっているのを感じた。

　すでにヒデキは麗子の腰から腕を解き、今や麗子の、快感にとろけ、ピンクの厚い唇からよだれを滴らせる顔を、舐めるような距離で凝視している。

「こいつ･･･ホントにいい女だなあ・・」

　ヒデキは心の奥底から搾り出すように言った。

「こいつ、すげえぜ･･･。ガッコの女達と全然違う。名器ってやつじゃねえの？」

　カズヤは真っ赤になった顔を汗だくにし、よだれをすすりながら、ゆっくりとピストンを続ける。その度にクチャリ、クチャリと卑猥な音がして、大量の淫汁が我慢できずに溢れる。

「はあ・・・はあ・・・はあ・・・」

　麗子には二人の会話を理解している余裕はなかった。身体が燃えるように熱い。この世のものとは思えないこの快感から、一瞬たりとも気をそらすことはできなかった。

「気持ちいい？」

　ヒデキが真剣な顔でカズヤに問う。

「マジやべえ・・・。もうイっちゃいそう・・・。」
「マジで！？」

　ヒデキはカズヤの感じている感触に興味津々だった。これほどの完璧な美貌、完璧なプロポーションを持つ女の、中身までも美味などということがありえるだろうか。しかし、少年達は、そんなことに疑いをもつほど、まだ人生経験はない。

「はあっ・・・はあっ・・・」

　カズヤのピストンがやけくそ気味に速くなる。クッチャクッチャと節操のない音が激しくなる。

「ああ！・・・ああん！・・」

　麗子はすでに自我を失って、ただただ欲望を貪っている。

「あ･･･イク･･･」

　カズヤが小さく言った。ピストンはまだ凶暴な速さを維持している。

　麗子は血の気が引くのを感じた。『中学生に中出しされる』。それは、凄まじい背徳感だった。しかも、初めての相手である。
　しかし、具体的に後先など考える余裕はなかった。自分の身体の奥底から、まるで溶岩が流れてくるかのような、灼熱の快感が昇りつめてくる。

「うおおおおお！！」

　カズヤが叫んだその瞬間、ドクンドクンという衝撃と共に麗子の身体の中に熱い液体が勢いよく注入され、麗子自身の中の灼熱の火薬に火をつけた。

　麗子の視界が真っ白になった。

「あはあ！･･･あぁん！」

　麗子の中で大爆発が起こった。それは信じられないほど性欲を満たす、幻のような快感の嵐だった。体の中の悶々としたものが、全て溶かされ、浄化される爽快さ。

「あんんっ！・・・ぅんっ！・・んっ！・・」

　麗子は生きたまま丸焼きにされる獣のように汗だくの身体をよじって痙攣した。中で広がったカズヤの液体が、麗子の肉ひだに付着し、染み入る感触。

「ああっ！･･･ああっ！･･」

　麗子は、永遠に続くのではないかと思われる快感の頂点から降りられず、恐怖した。

「はあっ！はあっ！」

　カズヤは狂ったように二、三度痙攣すると、電池の切れたオモチャのように麗子の上に覆いかぶさった。
　麗子の尻は、カズヤの男根をくわえ込んだまま、小刻みに痙攣している。

「次俺！」

　ヒデキを押しのけ、まだ麗子の尻にしがみついているカズヤを乱暴に引き剥がすと、マサトが麗子の尻を掴んだ。休む間もなく次の淫欲の象徴が挿し込まれる。

「あぁん･･」

　やっと快感が頂点を降り始めたところに、新しい刺激が襲う。麗子の脳は、巨大な暴風域から抜け出られないかのように翻弄していた。カズヤの精子が蜜壷から溢れて太ももをトロトロと伝う感触にも快さを感じる。

　麗子の色気のある喘ぎに、マサトの肉棒は更に硬くなった。さっきとは微妙に違う、新しい形の男根が、新しい快感を麗子の肉体と脳に運ぶ。

「ああ！・・・ああ！・・」

　なすがままだった。抵抗する意志などまるで芽生えなかった。

　マサトが射精し、そのままヒデキが挿入して、やはり膣内で射精した。麗子の尻からおびただしく流れ出る精液に、少年達は満足げに笑った。

　やっと凄まじい快感の嵐から抜け出した麗子は、ただ、ぐったりとしてその感触を反芻していた。

（凄い・・・こんなに素晴らしいなんて・・・）

　セックスの快感。麗子は虜になってしまった自分を責める気にはなれなかった。

　血気盛んな中学生は、もちろん一度射精したくらいでは終わらなかった。

　少年達は、多少落ち着いたのか、この、フェロモンを振りまく美しい『オモチャ』で遊びだした。
　カズヤとヒデキは冷蔵庫から人参だのソーセージだの持ってきては、麗子の蜜壷に挿し込み、その反応を見て小学生のように無邪気に笑った。マサトは窓際のソファーに座ってタバコをふかしている。

「あ、俺、アナルしよっかな・・」

　ヒデキが思い出したように言った。

「！」

　麗子の脳に再び電撃が走った。今さっき初体験の緊張を存分に味わい、三人に膣内射精されたばかりなのに、その上アナルなどと、体力と精神が持ちそうにない。

「お前、いつもそう言ってしねえじゃん。」

　カズヤが呆れたように言った。とても中学生の会話とは思えない。

「ヒデキはいつも口ばっかじゃねえか。」

　マサトもカズヤに賛同する。

「んなことねえよ！分かったよ、やってやるって！」

　ヒデキは立ち上がると、台所へ行った。カズヤとマサトは顔を見合わせて笑っていた。

　ヒデキは、サラダオイルのボトルを持って帰ってくると、何の躊躇もなく麗子の突き出した尻にぶちまけた。

「ああっ･･･」

　毛穴をふさぎ、空気を遮断するヌメヌメ感が麗子をまた新しい淫欲の世界にいざなう。

「まず、慣らしね。」

　ヒデキはそう言うと、麗子の剥き出しのアナルにゆっくり指を滑り込ませた。

「・・あああんっ！」

　異様な感触が麗子の脳神経を刺激する。それは、例えるなら、とても信用できない人間に耳かきをされるような恐怖であり、全く新しい、不可解な快感であった。

　強姦以上に人間として踏み込んではいけないような、強烈な背徳感と屈辱感に、しばらく落ち着いていた麗子の神経は再びパニックを起こしていた。
『ここにペニスなど入ったら、どうなるのだろう』。その恐怖に麗子の全ての神経という神経が緊張していた。

「ようし･･･入れるぜ。」

　ヒデキは余裕を見せて、麗子のツルツルとてかりを放つ尻を掴むと、肉棒を油でギトギトのアナルに宛がった。

「あぁ・・・」

　ジェットコースターが昇りきったときのような、覚悟のある恐怖に麗子は集中した。
　ずぶずぶとヒデキの男根が麗子のアナルに埋もれていく。麗子は座布団のカバーを握り締めた

「あぁああ！・・あぁああぁん！」

　麗子の、男の性欲を掻き立てる色気たっぷりの叫びと共に、ヒデキの肉棒はアナルに埋没した。

　膣への挿入とは全く違う、しかし、同じくらいのレベルの凄まじい快感だった。自分の身体でありながら、自分で知らないこれほどの快感があったことに、麗子は驚愕した。

「おおー。」

　間近でみていたカズヤは感嘆の声を上げた。

「どう？いい？」

　ヒデキの顔を見上げると、薄ら笑いを浮かべている。

「すっげえ。こいつアナルも名器かも。」
「お前アナル初めてじゃねえか！」

　マサトが横槍を入れた。が、ヒデキの顔を見ている限り、快感なのは嘘ではなさそうだった。ヒデキがピストンを始める。

「あはあん！･･･ああんんっ！」

　背徳感、屈辱感に関しては、膣への挿入の比ではなかった。

　人間としての価値を根底から無視される陵辱感、それに官能する自分への罪悪感が、麗子を暗い穴の深く深くへ突き落とす。その中の邪悪極まりない、しかし圧倒的な快感。

　麗子の強烈な喘ぎ声にマサトも身を乗り出した。

「すげえ･･キュイキュイ締め付けやがる・・・」

　そのとき、電話が鳴った。

「誰の電話だ？」

　マサトが不機嫌そうに音の出所を探した。麗子の携帯電話だった。マサトは発信者の名前を確認するとニヤリと笑って、アナルの快感に溺れている麗子の前にしゃがみこんだ。

「裕也さんから。」

　マサトはそう言って、麗子に携帯電話を差し出した。

「！」

　麗子はドキリとした。尻を犯されたまま、一気に現実に引き戻された。理性を失ってしまわなければ、とても耐えられない快感の中で、強制的に理性が引き戻されていた。罪悪感と快感が別な個体のように完全に分断されて存在する恐怖に、麗子は気が狂いそうだった。

「ほら、出ないと怪しまれるよ。」

　マサトがそう言っても、ヒデキはピストンを中断する気配はない。
　麗子はこのまま電話に出るしかなかった。集中した神経が磨り減っていくのを感じる。少しでも気を抜くと、理性が快感に取り込まれてしまう。

「・・・もしもし・・・」
「あ、麗子？俺。あいつらまだいんの？」

　裕也は全く気づいていない様子である。もちろん、気づかれたら大変なことになる。

「うん・・・・」

　麗子は言葉少なく返事をした。長くしゃべると声がうわづってしまいそうだった。

「ちょっと遅くなりそうなんだよね。大丈夫？」

　そのときにヒデキがより激しくピストンし始めた。

「んっ！･･んっ！･･」

　ヌチャヌチャとアナルと男根の間でオイルが練られる音が、電話口から裕也に聞こえるのではないかと思った。

　麗子は血管が切れそうなほど奥歯を噛み締め、迫りくる快感に必死で耐えた。それを見て少年達がクスクスと笑っている。
　恨めしかった。八歳も年下の『子供』にここまで徹底的に陵辱される自分。こんなことが許されるのだろうかというやりきれない屈辱感。しかし、どうすることもできない。

「うん、大丈夫・・・」

　麗子はそれ以上言えなかった。今帰ってきてもらっても困る。とりあえずは、帰ってきてもらわないほうが安全だった。

「そう・・・それじゃもうちょっと頼むよ、適当なとこで返しちゃっていいから。」

　カズヤがいつの間にか潜り込んで麗子のつんと立った乳首を下から舐めた。

「んああっ！・・・」

　麗子はとっさに電話を切った。少年達は声を上げて笑った。

　マサトは黙って麗子の前にしゃがみこむと、最早ギンギンになった男根を、快感に弛んでよだれだらけの麗子の口に滑り込ませた。どうやらマサトは口が好きらしい。

「穴三つとも、やっちゃうか。」

　カズヤがそう言うと、ヒデキが一度肉棒を引き抜いた。

「ああ･･･」

　麗子は最早放心状態だった。ヒデキが麗子の下に入り、麗子の意に反して愛液が溢れまくっている膣に挿入し、後ろから、今度はカズヤがアナルに挿入した。

　肉棒が違えば快感は違った。また新しい快感の中で、麗子は中学生に穴という穴を犯されていた。失神寸前だった。しかし、少年達はかまわない。

　三人はほぼ同時に麗子の体内に精子を流し込み、一息着くと、放心状態で倒れている麗子に言葉一つかけずに帰っていった。