第四章　溺れゆく二人�@

「ああぁ、森川……エロいよ、こりゃあ、本当にエロすぎるよ」
「もう、もう許して……」
　太ももを閉じることさえ許されず、股を開いたまま中腰の姿勢をとる詩織。無理な体勢を強いられ、膝がガクガクと震えていく。
「辛いのか？　両手と膝を地面につけろよ。あっ、尻はこのままだぞ」
「うっ、うぅ」
　両脚の限界を感じ、詩織は素直に田中の言葉に従った。っと、そのとき、膝をついた弾みで剥き出しの臀部がグッと沈み、ちょうど陰唇の開いた部分がスルッと田中の鼻先をなぞりあげた。
「いやっ、」
「おおおお！」
　田中が歓声をあげた。
　鼻先を擦りながら顔の上をスレスレに通過していく淫らな割れ目。ほんの僅かだったが、そこからはほんのりとした汗の匂いとオシッコ臭、それに、何か甘い体臭みたいなものが感じられた。
「ハアハア、も、森川、もっと尻を下げろよ」
　秘部に感じた鼻先の感触が、詩織を躊躇させる。脊髄をかけ抜けた悪寒が、四つん這いの姿勢をかたくなに崩そうとはしない。

　もう我慢の限界だ―――

　どんなに想像してもけっして知り得ることのなかった陰部の香りと味。一瞬だったが、鼻腔を突き抜けてきた生々しい香りは酷く脳を刺激した。
「きゃっ」
　田中が、頭上にある詩織のヒップをムンズと両手で掴んだ。そして、力任せに豊臀を引き寄せると、口を閉じている陰唇の割れ目にグイッと鼻を押し付けた。
「や、やめて、田中くん、お願い！」
「うるさい！　いいかげんにあきらめろよ！」
　強く怒鳴りながら、田中がグリグリと鼻を擦り付けてくる。
「ううぅ、いやぁぁ……」
　抵抗らしい抵抗もできぬまま、少年の好きなように弄ばれていく下半身。視線を少し前へ向けると、そこではハーフパンツの隆起しているものが、なにか小動物でも入り込んでいるかのようにピクピクと蠢いていた。
「ハアハア、な、なんだかしょっぱいぞ」
　生々しい淫靡な匂いをたんまりと吸い込みながら、そろりと差し出した舌で陰唇の膨らみをペロリと舐めてみる。なにやらしょっぱい味が口腔に広がってきた。
　不快ではない。
　酸味のあるしょっぱさに、詩織の甘い体臭がミックスされたその味は、田中の心を激しく揺さぶった。
「お、俺もう我慢できねえ！　おい、俺のズボンとパンツを脱がせてくれよ！　はやくっ！」
　そう言い放ち、チュルチュルと音を立てながら陰唇をしゃぶりたくる。
「あっ、ああぁ……」
　イガグリ頭をせわしく動かし、物凄い力で顔を押し付ける田中……異常な愛撫におぞましさを感じながらも、淫らな情欲の昂ぶりが沸々と湧いてくる。そんなふしだらな感情など認めたくはなかった。しかし、次第に熱を持ちはじめた秘芯がにわかに潤みはじめている。
　詩織は、咄嗟に卑しい自身を戒めた。
「なにしてんだよ！　はやく脱がせろって！」
「うっ、」
　理性を保ちながら、詩織の手がおそるおそるハーフパンツを掴む。そして、ゆっくりと下へずらしていく。
「うううぅ、なんだか気が狂いそうだよ……」
　自身の下半身を剥き出しにしようとする詩織に、変質的な快楽を覚えていく田中。
　激情の焔がメラメラと燃え上がっていく。
　田中は、さらに力を込めて濃密な割れ目の奥をまさぐった。
「うっ、あぁ……くっ、ダメ、……」
　突き出した舌先をヌルッと膣の中へ侵入させ、狂ったように内側の粘膜を舐め取る。荒々しく吐き出す鼻息は本人も知らぬ間にアナルをくすぐっており、それが詩織の肉体に快美感を与えていく。必死に自衛本能を働かせるも、ときおり詩織の口からは甘い吐息が漏れていた。
「な、なんか湿ってきたぞ？」
「あっ、そんな……」
　温かな内部の粘膜が、あきらかにその量を増してきている。詩織は、田中のブリーフに手をかけながら小さくかぶりを振った。
　自分でもわかっていた。膣壁からじわじわと滲み出てくる卑猥な液体は、もう自分では止められない。田中本人は気づいてないだろうが、先ほどから尖った顎先がグリグリと敏感な秘豆を擦っているのだ。詩織にはそれが堪らなかった。

「ハアハア、すごい、すごいよ、どんどん溢れてくるよ……お前って、本当にスケベなんだな」
　卑猥な実況に耐えきれず、詩織は半ばヤケになってブリーフをめくり上げた。
「はうっ！」
　ブリーフの生地にひっかかっていたペニスが、その反動でバチーンッと勢いよく下腹を打つ。その際、緑の美しい色彩をバックに、亀頭の先端から噴出した透明な粘液がツツーッと宙に見事な放物線を描いてきた。
「きゃっ、」
　咄嗟に顔を上げる詩織。宙を舞う蜘蛛の糸は、ゆったりとしたスピードでヒタッと細い顎の先端に触れた。
　まだ大人になりきれていない、すべてを皮の中に包み隠した小さなペニス。
　完全に勃起状態なのだろうが、磯貝のものと比べると長さはその半分くらいしかない。幹の太さも小枝程度だ。状況も忘れ、詩織はつい田中の小棒に可愛らしさを感じてしまった。
「なあ、ちょ、ちょっと触ってくれよ。頼むよ。磯貝先輩から色々と教わってんだろ？　俺にも同じことをやってくれよ」
　まだ成長の初期過程にあるペニスが、目の前でヒクヒクしながら必死に背伸びしようとしている。なんと健気なんだろうか……詩織の手は無意識に伸びていた。

「ハアハア、ああ、疲れた。疲れたよぉ。もうずいぶんと登ったよなぁ。まるで人の気配がねえ。も、もしかして俺の早とちり？　ううぅ、いったいどこへ行っちまったんだよ、詩織ぃ〜」
　滝のように流れ出る汗を太い腕でゴシゴシと拭いながら、容赦ない灼熱の太陽をジッと睨む。そして、もうちょっと登ってみようと足を踏み出した時、弘明の脳裏に嫌な予感が走った。
「ま、まてよ？　二人は山へ登ったんじゃなく、た、単にその辺りを散歩していただけだったとしたら……あっ、やばい！？　こうしてる間にもし詩織たちが戻ってきて、お、俺の自転車に気づいたら、ああああっ、馬鹿馬鹿、俺の馬鹿ァァ」
　取り返しのつかぬ事態を恐れ、来た道を一目散に駆け下りていく。途中何度も転んでは膝を擦りむき、それでも必死の形相で山をくだる弘明。彼にしてみれば命がけであった。もうこれ以上は嫌われたくなかった。

　木々の隙間から、ときおり弘明の悲鳴が微かに聞こえているのだが、痴態に喘ぐ二人にはまったく聞こえていない。
「ああ、うあああああっ」
　田中が顎をいっぱいに突き上げて呻いた。
　恋慕相手の掌は、母親を連想させる優しい温もりに満ち溢れていた。
　しなやかな指先のタッチは、そのすべてが快楽をもたらしてくる。
「あっ、ああっ、森川、ムズムズするぅ〜」
　詩織は、人差し指と中指、それに、親指の三本で肉幹を扱いていた。
　掌に包むというより、指で摘んでいるといったほうが適切である。
　手を差し伸べたとき、詩織はまだ産毛の目立つ幼い睾丸も掌のなかへ包み込んでやった。田中に促され、いざ摩擦を加えようとしたのだが、あまりの短さに掌ではうまく扱けない。それで指を使い、扱いているのだ。
　見た目はなんとも可愛らしいのだが、芯の強さはビンビンと指の腹に伝わってくる。だが、あまりにも幼稚な少年のペニス。詩織の心では、不思議と田中に対する憎悪の気持ちが薄らいでいた。
「ああ、ああああ、やばい！　もう、もうやばいよ！」
　叫んでから、田中が凄い力で股間に顔を埋めてきた。

　ピュピュ、ピュルピュル―――

　指の中で踊り狂うペニスが、独特の匂いを放ちながらドクドクと白濁液を吐き出してくる。尿道を皮にふさがれているせいか、汚濁は塊となって肉柱に垂れ流れ、可憐な詩織の指を淫らに汚していった。
「ううっ……な、なぁ、口で綺麗にしてくれよ」
「で、できないよ、そんなこと！」
「磯貝先輩の、いつも飲んでるだろ？　俺、なんでも知ってるんだぜ」
「えっ、ど、どうしてそれを……」
　田中は、ちょっと突付けばすぐに本音をだす詩織に、腰の痺れを感じながら卑しく微笑した。
「ほら、はやく俺のも頼むよ。どうしても見たいんだよ、お前がザーメン飲むところを」
「た、田中くん、変よ。こんなこと、普通じゃないわ」
「変なのはお前と磯貝だろ？　いろんなところでチ○ポ咥えて、ザーメン飲んで、挙句には下半身丸出しでセックスまでして」
「うっ―――」
「俺は確かに自分でも変態だって認めてるけどさぁ、いやあ、しかし、お前らには到底かなわないよ」
　田中の言葉に、詩織は何も言い返せなかった。
　逆に自身への嫌悪を強めていく。言われても仕方がないと思った。
　事実、とても中学生のやる行為とは思えぬことを何度も繰り返している。断固とした態度をとれない自分が、悔しくて情けなくてならない。詩織は、昨日海辺で激しく突かれながら、密かに磯貝と別れる決意を抱いていた。
「わ、わたし……磯貝先輩とは別れようと思ってるの」
「へっ？」
「だから、だから、もう許して」
　田中の表情がにわかに引き攣った。
　自分でも分からないが、怒りに似た感情が胸奥でざわついている。田中は、下腹部に垂れた汚濁汁の感触が妙に気色悪いと思った。
「おい、俺が持ってる写真、あれだけだと思うか？」
「えっ？　ど、どういうこと？」
「他にもあるんだよ。磯貝のチ○ポを美味そうにしゃぶってるやつとか、股ぐらに磯貝の顔を突っ込ませて気持ちよさそうに喘いでいるやつとかさぁ」
　もちろん嘘だった。
　女をもて遊ぶような軟派男などにコロリと騙された詩織が、突然に許せなくなったのだ。
「ほら、はやく舐めろよ！　お前が磯貝と別れようがこっちは知ったっこっちゃないんだ！　それともさぁ、俺と付き合ってくれるとでも言うのかよ？」
「そ、それは……」
「だったら俺の状況は何も変わらないじゃんか！　くっそぉ、何かしんないけど腹がたってきた〜。こうなったら学校中に写真をバラまいてやる」
　詩織は血の気を失った。
　そんなことをされたら生きていけないと思った。
　言葉を返すより、あわてて田中の下腹に唇を寄せていく。むせたくなるような臭いに顔をしかめながら、おずおずと突き出した淡い桃色の舌でペロペロと掬いとっては口の中へ運んだ。そして、込み上げる嘔吐感を堪えながら、どうにかそれを飲み下す。
「ああ、夢のようだ……これが永遠に続いてくれないかなぁ」
　下腹部に感じる生温かな舌の感触に、うっとりと昇天していく田中。欲望を果たし、小さく縮こまっていたはずのペニスは、いつのまにか復活していた。それが定期的にビクン、ビクン、と痙攣し、まるで舐めてくれと言わんばかりに蠢いている。案の定、田中がペニスを咥えるよう言ってきた。
　すべすべとした小枝……指でそっと摘みあげ、それをわずかに開いた唇へ包み込んでいく。
　詩織は、この細い肉茎をどうしゃぶっていいのか分からず、とりあえず肉厚の唇で擦ってやった。
「あっ、うああっ！」
　口に咥えてからほんの十秒たらず。悲鳴とともに小枝の先端から精子が噴き出してきた。
　腰をヒクつかせながら、田中がなおも口唇奉仕を強要する。どれだけ射精しようとも、性欲の衰えはまるで感じない。むしろ、さらに肥大化してるのではないかと田中は思った。
　今日に備え、日夜何度もシミュレーションを繰り返してきた田中。
　一生に一度しかないチャンスですべての欲望を果たす。準備は万端だった。
　詩織をとことん辱め、魅惑の陰部をしっかりと脳裏に焼き付けながらじっくりと嬲る。ネット上で流されている卑猥な動画のように、愛撫、フェラチオ、挿入、そしてアナルまでも視野に入れながら今日という日に望んできたのであった。

　チュパッ、チュパッ、チュル、チュパッ、

「ううぅ、フェラって……こ、こんなにも気持ちがいいものだったのか……うっ」
「んんっ、」
　三度目だというのに、田中はまたもや数十秒の早さで放出してきた。
　ドロリとした粘液のイカ臭さと苦味に、詩織がムッと顔をしかめる。
「うっ、うう、……も、森川、今度はさ、お前がここへ仰向けになってくれよ」
　スラリと伸びた太ももから上体を抜き、起き上がりながら田中が言う。詩織はコクンと小さく喉を上下させてから、膝をたててその場に座り込んだ。
「ね、ねえ田中くん、約束は絶対に守ってね。お願い」
「分かってるよ。これが終わったら全部お前の見ている前で消去するから。プリントした画像も燃やすよ。誓って約束する。だからさ、ほら、はやく横になって」
「う、うん……きゃっ」
　待ちきれず、田中が小さな身体をぶつけるようにして詩織を押し倒した。
「ちょ、ちょっと待って、田中くん！」
「おっぱい、おっぱいを見せてくれよ」

　詩織とのセックス……夢のような現実を前に、もう自制はきかない。

「あっ、いや、乱暴にしないで」
　田中の手がグイグイとTシャツを捲り上げていく。清楚なブラが見えてくると、その手つきはいっそう荒さを増していった。
「うっ、い、痛い」
　ブラを強引にずらし、円やかな乳房をギュウッと握り締めながら、まるで乳飲み子のようにきつく乳首へ吸い付く田中。楽しみにしていた乳椀の感触も、いまの田中にはそれをじっくりと味わう余裕などなかった。
「くうっ、……」
　しこりはじめた乳首をチューチューと吸われながら、繁みのある股間辺りへ強く擦り付けられてくる硬いペニス。たったいま三度目の射精をおこなったばかりだというのに、田中の一物はもう勃起していた。
「ああぁ、いやぁ……だめ、やっぱり」
　両脚のあいだに体を割り込ませていた田中が、乳首を遮二無二しゃぶりながらクイ、クイ、と腰を突きこんでくる。挿入場所が分からないのだろう。ペニスの先端がいたる箇所を突いてくる。
「ううぅ、ああぁ、ぐうぅ」
　痴呆のように呻きながら、太もも、大陰唇、陰毛、アナル、股間のあらゆる箇所に滲んだ汚汁を塗りつけていく。その動きは、まさに子孫繁栄を義務付けられた雄の本能というべきものであった。
「い、いや、……だめ、やっぱりダメ！」
「うわっ！」
　不意に詩織が身体を反転させた。
　その反動で、小柄な田中はフワッと横に引っくり返されていった。
「な、な、なにすんだよ！　写真をバラまくぞ！」
「ご、ごめんなさい……でも、でもやっぱり私」
「ああ、くそぉ、もう頭にきた！　明日学校中にバラまいてやる！」
「あっ、いや、ごめんなさい。他のことなら何でもするから、セ、セックスだけはどうしても……お願い、田中くん」
　詩織は頭を下げて哀願した。
「ちぇっ、なんだってんだよ。イヤだよ、やらせてくれなきゃ写真はバラまく」
「お願い、田中くん！　お願いします」
　丸出しの下半身で正座し、泣きながら懸命に許しを乞う詩織の姿に、童顔の眼が嗜虐の色を浮かべていく。
（なんでもする……か。えへへ、こりゃいいや。しょうがねえ、今日のところはあきらめよう）
「分かったよ」
「えっ？」
「今日はもういいよ」
「ほ、本当に？　あ、ありがとう、田中くん」
　泣き崩れていた詩織の表情に安堵が広がった。
「そのかわり、今度の日曜も付き合ってもらうぞ」
「こ、今度の日曜？」
「ああ。セックス以外だったら何でもするんだろ？」
「う、うん……」
　詩織の表情がわずかに強張った。
「だったら次の日曜も俺に付き合うんだ。写真や画像もその時に処分するよ」
　そう言うと、田中は詩織のパンツと下着を放ってやり、自分もあきらめきれぬ表情を残したままブリーフとハーフパンツを穿いた。