磯貝は、最後までしないという詩織との約束を守った。
　守ったというよりは、その場の雰囲気に堪えられなくなった詩織が、逃げるように帰宅してしまったのでどうしようもできなかったのだ。

（もし今度デートに誘われたら、また今日みたいなことを要求してくるのかな・・・・）
　その日の夜、大人の世界を体験した詩織はひどく悩んだ。いままで想像もしたことのなかった異性との生々しい絡み。卑猥で、なんとも厭らしい行為。思い返す詩織の脳裏には、磯貝のグロテスクなペニスが鮮明に浮かんでいた。
（男性のおチンチンがあんなに大きいなんて・・・・それに、とても固かった・・・）
　頭の中に浮かんでくる数々の痴態に吐息の乱れを感じながら、詩織はわけのわからぬムズムズ感に落ち着かない様子でぬいぐるみをギュウッと強く抱きしめた。

　翌日、めずらしく寝坊した詩織は朝食もとらずにバタバタとあわてて学校へ向かっていた。
「ああ、急がないとチャイムが鳴っちゃう」
　サドルから腰を浮かせて上半身を持ち上げながら、すらりと伸びた長い足で力強くペダルを踏み込みこんでいく。バスケで鍛えている脚力がグングンと自転車を加速させる。渾身の力で漕ぎつづけた甲斐もあってなんとか時間内に辿り着くことができた詩織は、小走りに向かう下駄箱前に磯貝の姿を見つけ、おもわず小さな声を発した。
「あっ、い、磯貝先輩・・・・」
「おはよう詩織ちゃん。今日はずいぶん遅い登校だね」
「いや、あの、寝坊しちゃって・・・・」
　詩織の胸はドキドキと破裂しそうなほど高鳴っていた。磯貝を前にして、昨夜の卑猥な妄想が再び頭のなかに浮かびあがってくる。
　キーンコーン、カーンコーン・・・・
「あっ、やっべぇ。詩織ちゃん、学校終わったら前園神社で待ってるから。じゃあ」
「えっ？　あっ、はい・・・・」
　あわてて走り去る磯貝に、詩織もまた教室へと急いだ。

「おーい、詩織！」
　授業がおわりトイレに向かおうと教室をでた詩織は、後方から聞こえてくる馴染み深い声にクルリと振り返った。
「んっ、弘くん？」
　幼馴染で同級生の弘明だ。
　弘明は、たっぷりついた脂肪をユサユサ弾ませながら小走りにやってきた。
「ハア、ハア、今日さ、お前んちの母ちゃん何時ぐらいに帰ってくんだ？」
「えっ、お母さん？　んー、・・・七時ぐらいじゃないかな、たぶん。どうして？」
　弘明は、吸った息をおおきく吐きだし呼吸を整えると、丸いニキビ顔を赤くしながら声を荒げて話しだした。
「父ちゃんがよ、お前んちに魚を持っていけってうるさいんだよ。ほら、二日前にも持っていったばかりだろ？　だから、そんなに魚ばっかり持っていっても迷惑になるって言ったんだよ！　そしたらよ、」
　弘明が口を開くと必ずまわりの何人かが振り向く。父親ゆずりの野太い声が癇にさわるのだろう。事実、聞き慣れている詩織でさえうるさいと感じるときがたまにあった。
「あっ、弘くんごめん、私ちょっと用事があるからもう行くね。七時ぐらいなら私もお母さんも家に居るから。じゃあね」
「あっ、おい、とりあえず七時に魚持っていくから、ちゃんと母ちゃんに言っとけよー！」
「はーい！」
　笑顔で去っていく詩織に手を振ろうと右手をあげかけた弘明は、その手をあげることなく下へおろした。そして、小さな笑みを浮かべてうつむいた。

　学校近辺にある前園神社へ着いた詩織は、シャドーピッチングしている磯貝の姿を見つけると急いで傍にかけより声をかけた。さきほどから胸は高鳴りっぱなしで顔はすでに紅潮している。
「おっ、早かったね。俺さ、この上でいい場所を発見したんだよ。よかったらそこへ行ってみない？　ここじゃ学校の奴らが気になるし・・・・どう？」
「うーん、そうですね・・・・そうしましょうか」
　磯貝は、詩織の手を握ると神社脇の小さな獣道へと誘導し、舗装などされていないデコボコの地面を上にむかって登りはじめた。
（きゃ、恥ずかしい・・・・手を握られただけでこんなにドキドキするなんて・・・・わたしってやっぱりウブなのかな）
　窮屈な道幅に体は密着し、不安定な足場が握った手に力を入れる。それだけで、詩織は動悸の激しさを感じていた。
「詩織ちゃん、もうちょっとだから頑張れよ」
「は、はい・・・・」
　磯貝に促され、木の枝や伸び放題の草に戸惑いながらも先を目指して歩いていく。荒れた獣道に戸惑っているのは後ろの男も同じであった。
（チッ、磯貝の奴、森川をいったいどこへ連れていく気なんだ・・・・イテッ、）
　二人の後をつけていたのは詩織と同じクラスの田中だった。
　この田中という男、身長は１５２センチで骨格もまだ幼児体型なのだが性に対する興味は人一倍持っており、入学当初からずっと想い焦がれている詩織との初体験を夢見て日夜オナニーにふけっている。そんな田中が偶然目にした詩織と磯貝の怪しい密会。湧き上がる嫉妬心が田中を尾行へと走らせたのだった。
（ま、まさかあの二人・・・・もう正式に付き合ってるのか・・・・だ、だよな、そうじゃなきゃこんなところになんか来るわけないもんな・・・・ち、ちくしょう）
　徐々に道幅が広がりだしたところで磯貝は詩織の手をギュッと握り締め、急かすように走り出した。
「きゃ、せ、先輩」
「へへ、びっくりすんなよ詩織ちゃん」
　ゆるやかな丘を十メートルほど走り、磯貝はふと足を止めた。
「わあ、・・・・この町にこんな場所があったなんて・・・・」
　森の中にポッカリと開いた小高い丘の空間からは、海に浮かぶ幾つもの島々が幻想的に一望できた。美しい風景が心を清々しく開放していく。
「どう、来てよかったろ？」
「うん、来てよかったです。ああ・・・・とっても綺麗・・・・」
　瞳をひそめ遠く見つめる詩織の横顔が、なんとも可愛く、なんとも艶かしかった。
　磯貝は、汚れない少女の顔に吸い込まれるようにして顔を寄せた。
「あっ、・・・・」
　スマートなキスが、昨日から残っている肉体の疼きを再び熱く湧きあがらせていく。差し込まれてくる舌にも今度は戸惑うことなく、詩織自ら震える舌を差し出した。
「ん、・・・んん、んふ」
「んん、・・・あぁ、詩織・・・んん」
　ふたりは、熱い抱擁のなか何度も顔の向きを変えてお互いの口唇を貪った。

（ち、ちくしょう磯貝のやつ！・・・・ああぁ、森川・・・・んっ？　そ、そうだ！　携帯で証拠写真を撮っておこう。も、もしかしたらネタに使えるかも知れねぇ。ふん、磯貝のやつだけにいい思いさせてたまるか！　うっしし、初体験の相手は絶対に森川と決めてるんだ。森川とやれるんだったら例え警察に捕まろうが全然平気だぜ・・・・）
　木々と雑草にまぎれ二人の数メートルにまで近づいていた田中は、激烈な興奮と嫉妬に身を震わせながら気付かれぬようにして盗撮を開始した。

「んん・・・あっ、先輩・・・だめ・・・んん」
　感情高まる磯貝は、おおきく盛り上がった胸の膨らみをグッと掴みあげ、押し潰すように揉みしだきはじめた。
「んん、あぁ・・・いや・・・・」
「ハアハア、す、好きだよ、詩織・・・・んん」
　拒もうとする詩織の意思はすぐに官能的なキスによって除外され、弛緩していく身体が淫靡な手の動きをだらしなく許していく。
（ああ・・・だめ、だめよ拒絶しなきゃ・・・こんなところでエッチするなんて、いくらなんでもふしだらすぎるよ・・・・）
　頭の中で思い抵抗してみるが、それはとても弱々しいものであった。
　欲情を抑えきれない磯貝の手が、さらに荒々しさを増していく。
「せ、先輩、こんなところじゃ・・・・あ、」
　弱々しい詩織の抵抗などものともせず、磯貝の指が器用にブラウスのボタンをはずしていく。瞬く間に純白のブラは晴天のもとに曝け出されていた。
「ああ、やっぱり詩織ちゃんのおっぱいって最高だ」
　額に無数の汗をつくり、血走った目はギョロギョロと落ち着きをなくしている。理性が壊れはじめていることなど承知の上だ。磯貝は、躊躇なくブラカップの上からそろりと手を差し込んだ。
「あっ、・・・・」
　差し込んだ手をネチネチと厭らしく蠢かせ、先端で淡いピンクに色づいた乳首をコリコリといたぶってやる。たわわに実った乳房はなんとも心地よい弾力で、脳まで溶かすような甘い感触を掌に伝えてきた。
「ハアハア、し、詩織ちゃん、も、もう我慢できないよ、俺。ハアハア、ご、ごめん！」
「きゃ、あっ、いや、先輩！　や、やめて、誰か来ちゃうよ！」
　理性の壊れた磯貝に、自制心が働くことはなかった。
　激しく抵抗する詩織を力任せにその場へ押し倒すと、ブラを強引に首元までズリ上げてブルンと飛び出してきた乳房にむしゃぶりついていく。
「ハアハア、詩織・・・・可愛いよ、詩織の乳首・・・・」
「せ、先輩、お願い・・・・あうっ、痛い！」
　チュバチュバと、卑猥にしゃぶりたててはときおりギュッと甘噛みしてくる。詩織にはそれが堪らなく痛かった。官能的なキスとは打って変わってレイプまがいの荒々しい行為に、詩織は涙を浮かべながら必死に訴えてみるのだが、いまの磯貝に詩織を気遣うだけの余裕はない。暴れる身体も力でねじ伏せ、なおもしつこく唾液に濡れた乳首を蹂躙する。
「い、・・・痛い・・・も、もうやめて・・・あん、あっ、あぁ・・・」
　執拗にいたぶられていくうち痛みはいつしか痺れに変わり、麻痺した感覚の中から定期的に甘美な電流が乳首を基点に全身へと広がっていく。おもわず詩織の口からは甘い吐息が漏れていた。
「あぁ・・・・いや・・・・んあっ、あ、」
「ハアハア、し、詩織、感じてきたのか？」
「あん、・・・あっ、・・・恥ずかしい」
　磯貝の手がついにスカートの中へ入り込んできた。
「あっ、いや！」
「ハアハア、い、いいじゃないか！　いいかげんあきらめろよ。どうせいつかは体験するんだ。それとも俺が相手じゃ嫌なの？」
　強く言いながら、磯貝は掴んだパンティを強引に引っ張りさげた。
「ちょ、ちょっと待って・・・・い、嫌なわけじゃ・・・・あっ、やめて！」
　ビリ、ビリビリィィィ―――――！
　歯痒いほどの焦れったさに、磯貝はなかなか脱げないパンティを無残に引き千切ってしまった。
　もう後にはひけない・・・・パンティを破いたことが興奮する磯貝の被虐心をメラメラと燃え上がらせていく。正気を失った磯貝にとてつもない恐怖を感じた詩織は、咄嗟に両足を固く閉じた。が、すぐに磯貝が下半身を割り込ませてきた。
　ガチャガチャ、カチャ、・・・・・
　急いでズボンとトランクスを脱ぎ捨てた磯貝が、猛々しくいきり起ったカウパーまみれのペニスを処女の聖域へグッと押し付けてくる。
「せ、先輩、お願いですからやめてください！」
「ハアハア、い、いいかげんに観念しろよ。いいだろ？　俺はお前のことが真剣に好きなんだ。お前だって俺のことを好きだって言ってくれたじゃないか」
「す、好きです・・・・でも、・・・・こ、怖いんです」
「痛いのはみんな同じだよ。回数をこなしていけばそのうち気持ちよくなってくるから」
「せ、せめて後一ヶ月待ってもらえ・・・・んあっ！　い、痛い！」
　磯貝は、詩織の言葉を最後まで待たずに腰を突き動かした。
「いや、痛い！　先輩、あう・・・・い、痛いんです・・・・や、やめて」
「ハアハア、我慢するんだ！　も、もうちょっとだから・・・・ふん！」
「んあああぁ！」
　グググッ、・・・・１４年間少女の貞操を固く守り続けてきた薄いピンクの膜が、性欲に冒された磯貝の肉棒によっていま無残に破られていった。
「ああ・・・・んぐっ、痛い・・・・んん」
「し、締まる・・・・ものすごい締めつけだ・・・・し、詩織、もっと奥まで入れるぞ」
　処女膜を突き破った筋肉質のペニスがさらに奥を目指して突き進んでいく。詩織は、下腹部を襲う強い圧迫感と、脳にまで響いてくる鋭い痛みに奥歯をギュウッと噛み締めながら耐えた。
「んぐぅ・・・・ただ入れてるだけでイキそうになる・・・・こんなに締めつけのきついマ○コは初めてだぜ・・・・おお、」
　磯貝は、あまりにも強烈な膣の締めつけにゆっくりとしたスピードでしか腰を動かせないでいた。根元まで突き入っていたペニスをそろりと半分引き抜き、それをまたゆっくりと押し入れる。純血を浴びたペニスがなんとも遅い動作で出し入れを繰り返していく。
「あ、あ、・・・い、痛い・・・んぐっ、」
　悲痛の声をあげる詩織に、磯貝は軽い口づけを交わしながら腰を前後にゆったりと揺さぶった。
「あ、あ、あああ・・・・くう、も、もう我慢なんねえ！」
　肉棒に感じていたムズ痒いような甘美な痺れは、いまや下半身すべてに伝染している。磯貝はとうとう我慢しきれずに、尻の筋肉をピクピクと引き攣らせながらストロークのスピードを速めていった。
「あ、んあっ！　痛、痛い、ぬ、抜いて！　お願い！」
　腰をつよく叩き込むたびに形の良い乳房はブルンブルンと淫らに揺れ、磯貝の限界を視界からも煽っていく。磯貝は無意識に艶かしい乳房の丸みをギュッと掴んでいた。
「ハア、ハア、あ、ああ、いくぞ、そろそろ・・・あ、出そう・・・ぐっ、んああ！」
　浅い突きを繰り返していた腰が子宮にまでぶち当たるほどの深い一突き放った瞬間、唸り声とともに磯貝の放出がはじまっていった。
「ぬおおおお・・・・・」
　ドクドクと吐き出されていく白濁液は、ペニスにギチッときつく絡みつづける膣によって最後の一滴までを搾られた。

（ハアハア・・・す、すっげぇ・・・生で見るセックスってものすごいな・・・）
　ふたりの痴態を最後まで覗き終えた田中は、幾つものオナニー痕をその場に残し、こっそりと姿を消した。

第一章、完