６．

　夜８時。
「帰るか・・。もういくらなんでも終わってるだろう・・。いや、でもまだ。。」
　夫は車の中で煙草を吸っていた。もう一箱吸い切ってしまった。何時の間にか雨は止んでいた。
「よし」
　車を走らせる。５分で着いてしまうだろう。
「なんて顔すればいいんだ」家の前で車を止める。門を開けようとした時、庭の向こうから歩いてくる人影が。
「おじさんッ」・・・・勇太だ。
「あれ、勇太君いたのか。」
「今日はおばさんに水泳教えてたんですよ〜ホントは夜予定入ってたんですけど、この雨で無くなって。で、おばさんに夕飯ご馳走になっちゃっいましたっっ」
「そうか。美津子のヤツ、どうだった？」
「あっ、もう完璧覚えたみたいっすよ〜」
　・・・・そうだろう・・・な・・
「亮一はいないんですか？」
「あいつまだ帰って来てないんだ。こんな雨だから途中で切り上げたんだ。友達の家に行くって言ってたなあ。」
「今度は俺も釣り一緒に行きたいです」
「ああ、勿論いいよ。」
「それじゃあ、おじさん、また！」
　・・・あんな爽やかな好青年なのに、、裏の顔を知っている夫は勇太の軽やかに歩く後姿を見続けた。

「さあ、行くかっ」
　ガレージに車を入れ、玄関のドアを開ける。
「ただいま。。」
「おかえりなさい、、っ」
　リビングにいた私は心臓がドキドキした。玄関に向かう。しかし夫の顔を見る事が出来ない、、
「今日は全然ダメだ。あの雨だったからな。飯にしてくれ。」
「あ、わかったわ。亮一は？」
「友達の家に行くって。」・・何度同じセリフ言ってるんだろう。
「すぐ仕度するわ」夫と私はリビングへ行く。

　何も変わらないはずの広いリビング・・。夫はソファーへ座る。
「そう言えば今日、勇太くんが来てたんだろう？」
　包丁の動きが止まる。
「そうよ、水泳教えてくれたの。クロールの泳ぎ方よくわかったわ。」
「よかったな。真理子にも教えられるんじゃないか？」
「真理子はもっと上手いわよ。あの子が教えてくれればいいのにね」
「勇太くん、結構遅くまでいたんだな」
「！　そ、そうね。亮一の事で話し込んじゃって・・」
「さっき彼と会ったんだ。門の前で。彼はほんといい青年だ。亮一が明るくなったのも彼のお陰だな。」
「あ、食事の後、お風呂でしょ？　付けてくるわ。」
　勇太の話はしたくない。それに今日は疲れ切っている。。早く忘れたい。。忘れよう。この平凡でも温和で幸せな家庭を崩したくもない。元に戻らなければ。。キッチンに戻りテーブルに料理を置き始めた。

「お前、今日は凄く疲れてる顔してるな。泳ぎすぎか？」
「あ、ごめんなさい、そうかも。。ちょっと熱っぽい」
「休んだ方がいいぞ。片付けはやっとくから」
「有難う」私は二階に上がった。寝室に入る。。

　夫のベッドはあの行為の後、すべて変えた。ベッドパットも枕もシーツも。ベッドカバーも念の為私のやつと交換しておいた。それでも気になってしょうがなかった。ベッドでの行為の後は勇太は浴室でも求めてきた。脱衣室は汗と愛液でびしょびしょに。。拭き掃除だけでも大変であった。
　私は自分のベッドに入るとすぐ・・眠りに・・入った。。

「（カシャッ！）」「はッ！」
　私は飛び起きるように目が覚めた
「ごめん、起こしちゃったな」
「あなた。。・・今何時？」
「１時だ。」夫はパジャマに着替えベッドに入る。
「少しは楽になったか」
「ええ。亮一は？」
「まだ帰らん。今日は友達の家に泊まるんだろ」　
「連絡ないの？　心配だわ」
「大丈夫だよ、もう２０歳だ。亮一も」
「そうだけど」
「勇太くんも２０歳だな。亮一と同じ歳には見えんな」
「彼はスポーツしてるから。亮一とはまたタイプが違うわ」
「おまえ、あの勇太くんのがっちりした体・・どう思う？」
「！！」夫は何聞いてるんだろう。しかし驚いた顔を見せずこう言った。
「素晴らしいと思うわ。それにスポーツしてる子って礼儀正しいのよね。亮一もなにかやればいいのに」
「おまえ、今日水着、何着たんだ」
「・・・あのピンクの水着よ。昔着た事あるでしょ。」
「勇太くんは？」
　・・・おかしい・・どうしたんだろう？勇太の事ばかり・・もしかして。。。いや、それはない。。
「勇太クン？　ブルーの水着だったかな。　どうしたの？　変よ、あなた」
「・・・俺も今日は疲れたんだな。寝るよ」
「そうよ。もうねましょ」
　
　夫は車の中で考えていた事を言うか言うまいか迷っていた。生活の事、家庭の事、全てにおいて満足させているつもりだった。しかしセックスの事だけに関しては前からあまり自信がなかったのである。物足りないんでは？と私が感じてるんじゃないかと。そんな思いをかすかに抱きながら２０年間過ごしてきたのであろう。そう、そして今日、アノおぞましい勇太との行為を見てしまうまで。。

「いいんだよ、やってくれて・・」夫が口を開いた
「・・？」
「今日、ここで勇太としてただろ。いいんだ、これからもお前がそれで満足するならそれで」
「！！！！？」
「見ちゃったんだよ、、あ、でもそんなはっきりとじゃないぞ。今日ほんとは夕方帰ってきたんだ。そしたら誰もいないからさ、ここに来たらお前と勇太が、、その〜」
「ア、あなた、見てたの・・・・・・・」
「ちょっと覗いただけだ、、でもあれじゃ、お前も感じちゃうよな？　分るよ。」
「あ、、、あ、あ、ウソ・・。ごめんなさいッッッあなたぁ」
　私は泣き出してしまった。まさかあの時夫が帰ってきてたなんて。。それにも気付かず行為に夢中でいた自分を恥じた。そしてもう・・終わりだと思った。。

「謝るなよ。いいんだ。俺はセックスに関してお前を満足にさせてあげられなかった。。だからこれからはやってほしいんだよ。勇太と。亮一の友達と思わなければいい。これからはお前に楽しんでほしんだよ。今日思った、相手が勇太ならお前とセックスしてほしいと。」
　私は夫が気が違ったのではないかと思った。しかし淡々と語っている夫の瞳はまっすぐ私を見て真剣であった。
「それに、、やめられないだろう？あんな凄いペニスでやられたら。。俺に隠れてされるより知ってた方が全然いい。スポーツすると思えばいいじゃないか」
「ァァ、そんな・・」夫は二人のセックスを公認しようとしている。。
「アナタは・・それでいいの？　私はあなたの妻なのよ。・・いいの？」
「いいんだ。でもいくつか守ってほしい事がある。もうこの家ではやらない事、勿論子供達には知られないように。そして、ちゃんと避妊する事。。」
「・・・・」
「勇太にはその事ちゃんと言えるか？　そうだ、俺が言ってやるよ、それは」
「エッ・・」
「それを守れないようなら無理だ。俺も家族を大切にしたい。亮一も真理子もそしてお前も。勇太がどう考えてるかも聞きたいし、その事も言わなければならない。俺が近く勇太に会って言ってみる・」
　私が何故夫がここまでするのか、、漠然とした不安と恐怖でいっぱいになった。。　

「ひとつ聞いていいか、、勇太とは・・どうしてああなったんだ？　無理矢理されたのか？」
「いや・・そうじゃないの、、・・・でもそれは言えない、、あなたには。」夫に言えるはずがない・・。私が初めに淫らな気持ちになっていた事なんて・・・
「どうして？　俺も迷ったけどここまで言ったんだ。お前もオープンに何でも話してほしい。俺らはここまで一緒に生活してきたんだじゃないか。すべてオープンに。大丈夫だから。」
「・・・そう。・・じゃあ言うわ・・・ああ、でも。。　・・・わかったわ。　・・・最初は・・」
　私は脱衣室で勇太のモノを見た事、そしてキッチンでも。プールでの出来事を話した。その後のことは・・やっぱり話せない。

「わかった。そこで仕掛けてきたんだ、勇太が。」
「でも、勇太君は最初から知っていたの。私が脱衣室で見ていた事もキッチンでも。そして、、」
「そしてなんだ？」
「私、あの日の夜、勇太くんのパンツを手に取り、、その・・」
「オナニーしてしまった。。」
「そうなの」
「でもそれも勇太くんには見られてた。。だから私が淫らな気持ちにならなかったらあんな事にはならなかったはずなのよ」

　勇太は・・そんな魅力的なのか・・こんな平凡な女を虜にしてしまうほどの。。嫉妬感が押し寄せる。。異常なほど嫉妬している。。それと同時に夫のアソコはまたムクムクと顔を上げ出してしまった。。

「で、その後、、勇太とそうなるんだよな、、」
「・・・・そう」
「どうだった？」
「どうって・・すごかったわ・・見てたでしょ、、あなたも・・」
「具体的に話てみてよ」
「・・・とにかく彼は女が感じる場所をすべて知り尽くしている。。　そこを的確に責めてくるの。彼の手や舌、あのやらしい腰の動き、、そして彼が発する言葉。。」
「アソコの大きさは？そんなにスゴイ？」夫はわざとそう聞いてみた。。
「そう、、、あの大きさは異常よ。。もうあれは女を喜ばす為に宿った凶器だわ。。」
　夫は破裂するほどに勃起していた。
「・・・相当なモノだったんだ・・」
「・・・そうね・・」
「あとこれだけちゃんと確認したい。勇太とはまたやりたいだろ？」
「・・・あなたがそれを許してくれるなら・・やりたい。何度でも。」
「わかった。明日にでも早速勇太に連絡とろう」
「・・・・」
　
　その後、二人は何も話さないでいた。。　これから私は、そして夫はどうなってしまうんだろう。。そう思いながらも二人共、股間を湿らせていたのである。。。