相思相愛　ＹＯＫＯ 作
６． 　西村は息を引き取った。 　同僚たちとともに駆けつけるがそこにいるのは目を閉じた西村だ。 　真理子は涙か止まらない。 　初めて心から愛した男性だった。 　西村との思い出かよみがえる。 　短い期間だったが愛し合った。 　気が安らぐ存在だった。 　しかしその西村はもうこの世にはいない。 　西村真理子になることを夢見たがもう叶わない。 　真理子は立ち直れなかった。 　同僚に言われる。 「真理子、あなたやっぱり西村くんのこと・・・」 　自然と頷いてしまう。 　嘘なんてつけない。 　愛したのは本当のこと。 　浮気だったけど心から好きだった。 　西村の葬儀の日を迎えた。 　真理子はまだ涙が止まらない。 　たった一度のセックスが今となっては恥ずかしい。 　葬儀を終えると西村の両親が真理子の元へやってきた。 「ごめんなさい。この手紙読んでしまったの。あなた良二のフィアンセでも彼女でもなかったのね。人妻だなんて知らずに勘違いしてごめんなさい。でもあなたが息子に恋を教えてくれたみたいね。ありがとう」 　そう言うと西村の両親は去っていった。 　１人なった真理子は手紙を読むことにした。 　真理子さんへ 　 　真理子さん、僕はあなたが大好きです。 　僕が人生で初めて美しいと思ったのはあなたです。 　恋を知らない僕に恋を教えてくれたのはあなたです。 　人前では素でいられない僕があなたの前では素でいられる。 　これは奇跡です。あなたは不思議な存在です。 　だから人妻であるあなたのことも好きになってしまいました。 　あなたと買い物をした時夫婦と思われてるのではとドキドキしました。 　本当の夫婦になりたい。 　そんな思いもあります。 　でもあなたは人妻。 　家族がいます。 　旦那さんよりあなたを大切にする自信があると言いたいところですが 　あなたは母でもある。 　そのことを大切にしてほしいです。 　僕たちは出会うタイミングが悪かった。 　あなたが結婚せずに仕事を続けていれば良いカップルになれたかもしれない。 　そう思うと悔しい。 　あなたと純粋な恋がしたかった。 　浮気はいけない。あなたのような美しい女性が僕を愛してくれるのは嬉しい。 　でもこの関係はもう終わりにしましょう。 　良い同僚として接していきましょう。 　あなた以上に愛せる人が現れるかわかりませんが 　僕にもきっと現れると信じたいと思います。 　あなたは家族を大切にしてください。 　ありがとう 　 　西村良二 　手紙を読み終えた真理子は泣き崩れた。 　それから時が経った。 　真理子は家族を大切にするようになった。 　仕事の忙しい旦那のことも信頼して愛した。 　そのことによって旦那も真理子をますます愛した。 　マザコンの息子は母が父と仲良くしていることで安堵していた。 　美しい母が父以外の男と親しくするそれが不安だった。 　息子にとって担任が母を見て一目惚れしたこと、見ず知らずの男性と親しげに歩いていた出来事は心の傷として残っていたが徐々にマザコンの傾向は減ってきていた。 　だか母を美しいと思う気持ちは相変わらずだった。 　美しい人妻真理子は性欲からも解放され、落ち着いた。 　旦那に一途になったことでガードも硬くなり、ナンパされることもなくなった。 　もう以前のような隙だらけの美女ではない。 「ふぁくふー！へくふー！はくふー！」 　真理子は今日もくしゃみが止まらない。 　母らしいくしゃみを見て息子は我が家に平和が戻ったと確信していた。
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2015年7月25日掲載
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