２、岩陰での痴態

　青い空、白い砂浜、そしてどこまでも広がる青い海…中尾保は沖縄のビーチには似合わない醜い体を白い砂浜に置かれたビーチチェアに横たえていた。
　目の前をビキニを着た女性社員が黄色い歓声を上げて走り抜けていく。
　小さな布一枚に覆われた乳房や尻を保の視線が追いかけていく。

「いい尻だ…」

　青いビキニから割れ目の浮き出た女性社員の尻を見ながら保はつぶやいた。
　その保の目の前の海上を由香里達を乗せたバナナボートが勢いよく通り過ぎていく。
　中尾の視線は純白のビキニを着た由香里の姿を追っていた。

「由香里君は白か・・・たまらんな・・・」

　出発前日の夜、保は一人で旅行の支度をしていた。
　結婚はしているが妻はとっくに保への愛情などなくなり、一人さっさと床についている。自らの着替えや下着などをかばんにつめながらも頭の中に浮かんでくるのは由香里のビキニ姿だった。
　保は支度をしながら何度も由香里のビキニを頭の中で剥ぎ取った。
　そして気がつくと妻には隠して所持しているバイブや保の嗜好であるガラス浣腸器などを手にしていた。
　保はこれらの器具を決して妻に使うために購入していたのではなかった。
　いずれ部下のOLを自分の言いなりにすることを夢見て購入したものだった。
「これを…由香里君に…」
　そうつぶやきながら保はカバンの底にそれらの器具をしまいこんだのだった。

　そんなことを思い出している保の視線の先で由香里を乗せたバナナボートは大きく旋回し後ろに座っていた由香里の体は海に投げ出されてしまった。
　一人海原に取り残された由香里は笑顔の余韻を残したまま去っていくボートを見送った後、ゆっくりと岸に向かって泳ぎ始めた。

（どうしよ…ずっと海に入ってたからおしっこしたくなっちゃった…）

　由香里は泳ぎながら尿意に襲われていた。
　トイレは松林の向こうの海の家まで行かなければならない。
　ようやく足の立つところまで泳いできた由香里はきょろきょろと周りを見渡した。
　周りには人はいない…このまま海中で用を足してしまっても誰にも気づかれない…
　そういう思いが由香里の頭をよぎった。
　そしてゆっくりと下半身の緊張を解こうとしたとき、もうひとつの不安が襲ってきた。

（もしかして…ビキニ…白だし…黄色いシミが残っちゃうかも…）

　寸前で再び下半身に緊張を走らせる由香里。
　しかし排尿寸前まで下ってきた尿意はそれまでとは比べ物にならないほどのものだった。

（ああ…どうしよ…あんなとこまで我慢できないよ…）

　視線の先に見える海の家はいっそう遠く感じられる。
　きょろきょろと周りを見渡した由香里の視線が止まった場所は砂浜から地続きで海へと伸びている小さな岬のような場所だった。
　砂浜の終わりを告げるように突き出た岩場で、その裏は茂みのようになっているように見える。周りには人もいない。

（あそこなら…誰にも見つからないかも…）

　由香里は体の向きを変え、岩場のほうに向かって泳ぎだした。
　由香里の不自然な様子に目を光らせていた保がかばんを持って由香里の向かう岩場のほうへ足を進めているとも知らずに…。

続く