６．婚約者の目の前で…

　保の手が前に進まなくなり、浣腸器の中の薬液が由香里の直腸内にすべて注入されるのにそう時間はかからなかった。薬局などで市販されている浣腸は通常３０または５０ｍｌ、今回由香里に注入された１００ｍｌというのは実に通常サイズの３本以上ということになる。浣腸されること自体が初めての由香里にとってはたまらない。注入が終盤に差し掛かるころには顔面蒼白になり、腹部からゴロゴロと腹痛時特有の音が聞こえてくる。

「ぁぁぁ！…もうっ！…お腹痛い…っ！…」

　保は由香里の震える美尻からゆっくりと役割を終えた浣腸器を引き抜いた。排泄を我慢しようとするため、由香里の肛門は浣腸器のガラスの管を強く締め付け、なかなか離そうとしなかったが、保の引き抜く力には到底かなわず、浣腸器を離すと同時に再び強く閉じ合わさる。

「ぁぁ…もうだめです！…出そう…か、課長…お、お願いです！こ、ここでは…ここではいやです…できません！…どこか…どこか人のいないトイレに…」

　放尿ならまだしも、野外で全裸で脱糞行為をさらすのは追い込まれた状態であっても抵抗があった。由香里の切羽詰った状況をいやらしい笑みを浮かべながら見つめる保は由香里が自ら脱いだ白のビキニ水着を拾い上げ、由香里に差し出す。

「仕方ないね。海岸の裏の松林の中に公衆トイレがあった。今はほかの社員も海を満喫しているし、あそこなら海岸からは少し離れているから誰も来ないだろう」

「は、はい…すみません…ありがとうございます…」

　由香里は苦痛にあえぎながらも、素直に自分の要求を受け入れた保に素直に感謝の言葉を口にした。腹部を押さえ、震える手で差し出された水着を受け取り、身に着けていく。ようやく保の視線から隠すべき部分を隠すことができ、わずかな落ち着きが由香里の心を満たしていく。しかし次の瞬間には強烈な腹痛がそれを打ち消した。

「ぅぅ…早く…課長…」

「うむ…そうだな」

　保は手早く浣腸器とカメラをかばんにしまうと、岩場を海岸線にそって砂浜のほうへ由香里の手を引いていく。少し離れたところで見慣れた顔の同僚社員たちが楽しそうにはしゃいでいるのが見える。由香里と保の姿に唯一気づいたのは由香里が最も気づかれたくない人物…婚約者の秀雄だった。走り寄ってくる秀雄の姿を見つけ由香里はたじろぐ。

「由香里？どうした？顔色がよくないな。」

　秀雄は上司に挨拶するのも忘れて愛する婚約者の様子を気遣った。

「え、ええ…大丈夫。ちょっとお腹が痛くなっちゃって…。課長が助けてくれたの…」

　笑顔など作る余裕もないはずだったがこの場を逃れるため、最後の気力を振り絞ってわずかな笑顔を作り出す由香里。

「須藤君がそこの岩場で苦しそうにしているのを見つけてね…それでわしが連れてきたというわけだ」

　婚約者の登場に内心心の中でほくそえみながら、心から心配そうな表情を作り、偽りの状況を秀雄に説明する保。

「そうでしたか。由香里、大丈夫か。俺も一緒に連れて行ってやるから。さぁ…」

　秀雄は由香里を少しでも安心させようと保の反対側に周り、由香里の肩を抱く。

「ええ！？・・・大丈夫！大丈夫だから！課長が一緒に行ってくれるから！みんなと遊んでいて！ね！？お願い！？」

「どうしたんだよ？そんなにあわてて。大丈夫だよ。心配しないで。さあ急ごう」

　由香里の言葉も気にせずに秀雄はゆっくりと松林の中のトイレに向かって保と足並みをあわせる。

「ぁぁ・・・そんな・・・」

　抵抗する力をすべて肛門に集中している由香里はおとなしく歩調を合わせるしかなかった。いったいどうなってしまうのか…不安な気持ちがふつふつと湧き上がってきた由香里が保の思惑を悟るのにそう時間はかからなかった。

「大丈夫かね…お腹の具合は…？」

　心配そうにたづねながら秀雄には死角になる位置で由香里の腹部を手で押し出すように押し始めた。

「！！！…ぁぁぁ！！…だ、大丈夫です…」

　思わぬ圧迫に寸前のところで肛門の決壊を押しとどめた由香里。間違いなく保は婚約者の秀雄の前で…
　由香里は確信し、あせり始めた。

「・・・・（せめて…せめてトイレまでたどり着ければ…さすがに課長も秀雄さんの前でトイレのドアを開けて私の排泄行為を見ないはず・・・）」

　由香里は震える足を速め、ようやく見えてきたトイレに向かっていく。

「須藤君、もう少しだ。がんばれ」

　言葉とは裏腹に保の手がそれを阻止するようにいっそう強く由香里の腹部を圧迫していく。

「ああ！いやあっ！もうっ！」

　限界だった。由香里は膝から崩れるようにその場にしゃがみこんでしまった。
　わずかな沈黙があった。秀雄は何が起こったかわからない。しかし保にはこれから目の前で起こる惨状に興奮し、胸が高まった。婚約者と直属の上司の目の前で由香里はしゃがみこんだまま嗚咽を漏らしながら泣き出した。それと同時に激しい排泄音が潮風の吹く松林に轟いた。

続く