４．映画館

　駅の改札を出ると、地下の通路は、直接映画館のある建物までつながっているが、その手前で、弥生はトイレに入った。破れたパンストはともかく、グショグショに濡れたショーツは歩くだけでも気持ちが悪かった。トイレでパンストを脱ぎ、ショーツを下ろした。濡れた秘部をティッシュでていねいにぬぐった。ぬぐいながらも、指はまたクリトリスの上を這った。電車の中で抵抗もせず、それどころか股間をビショビショに濡らすほど感じてしまったことを考えると、また身体の芯がジーンとしびれたようになってくる。
（いけない、これじゃ拭いてる意味がない）
　自分自身がおかしくて、弥生は少し笑った。そして、ショーツをあげようとして考えた。濡れた部分がすでに冷たくなっているショーツをまた身に着けるのはいやだった。といって代わりのショーツもパンストも持ってはいない。
（脱いじゃおう）
　思い切って、パンストとショーツを脱ぎ、弥生はそれをバックにしまってトイレから出た。弥生の向かっていた映画館はショッピングモールの中にあったので、新しい下着を買うつもりだった。スカートの丈はそれほど短いわけではないが、さすがにこの時期に生足をさらしてる人はいない。恥ずかしさがこみ上げてきた。後ろを歩く人、すれ違う人、みんなに見られているような気がして、弥生の中に、電車で痴漢されたときのような背徳的な思いが再び湧き上がってきた。
　エスカレーターに乗った。弥生は途中で恥ずかしさに耐えられなくなって思わず、お尻を押さえた。手にやわらかいお尻の感触が伝わった。
（やだ、自分のお尻なのに・・・感じる）
　また、股間に熱いものが湧き出す感触があった。しかし、今度は何も身に着けてはいない。長いエスカレーターを降りて、足を踏み出すとかすかにピチャっと音がした。慌てて弥生は周りを見たが、幸い、近くに人はいなかった。しかし、ほっとすることはできなかった。内腿に熱いものが流れ落ちる感触があった。その感覚に慌てて内腿を締め付ける弥生だったが、その行為はかえって尻肉を引き締め、締め付けた内腿が敏感な肉芽を刺激してしまい、逆効果だった。溢れ出た滴はもう止めようがなく、内腿をゆっくりと伝い落ちるのがわかる。このままではスカートの裾よりも下に出てくるのは時間の問題だった。
（どうしよう・・・ランジェリーショップは５階だし・・・）
　弥生の携帯にメールが入った。マサキからだった。
「ごめん、急なトラブルで今日は行けないかもしれない。もし、待っててくれるなら１０分以内にもう一回、メールする。ごめんね。」
「いいのよ。無理しないで。だめならまた今度」
　弥生はそう返信はしたが、さすがにがっかりだ。
（しょうがない・・・けど、もし、だめだったら、どうしよう、これから？）
　映画館は目の前だ。映画好きの弥生ではあったが、今日はもともと映画が見たかったわけではない。しかし、このまま外を歩き続けるわけにもいかない。迷った末、弥生は映画館に入ることにした。マサキが来られないなら、それはそれでもいい。とにかく昂ぶった気持ちをそのままにして帰ることはできなかった。
（いい機会かも。映画館でやっちゃおうかな）
　そう考え、とりあえず、トイレで濡れた秘部と内腿部を拭き、ロビーでマサキのメールを待った。
　メールはきっちり１０分後に届いた。やっぱり、来られないとのことだった。
（まっ、いいか）
　弥生は気持ちを切り替えて、中に入り、席に着いた。そのときにはもう、デパートのトイレでの興奮が蘇えり、映画館でオナニーしてみたいという気持ちでいっぱいになっていた。しかし、いざ、座席に座ってみると、さすがに恥ずかしさが込み上げてきて、弥生はためらった。
（別にどうってことない、座ってれば誰にもわからない）
　弥生は、そう自分に言い聞かせたが、自分がノーパンであるという背徳的な感覚は再びどんどん弥生の中で膨らみ弥生の心を支配し始めていた。場内の照明が落ち、映画が始まった。
　痴漢に差し入れられた指の感触はまだ股間に残っており、それは全くおさまりそうになかった。無意識に股間に指が伸びていた。人気の映画だったが、公開から少したっていたせいか観客は少なく、弥生の隣もけっこう空いていた。弥生は少し大胆になっていた。座りなおして、直接裸のお尻をいすにつけた。いすに深く座って、今度は少しずつ前へお尻を動かした。スカートはずれあがり、真っ白な大腿部があらわになった。足を広げてみた、ゆっくり
（恥ずかしい・・・）
　もう少し、広げてみた。すいてる。隣には人はいない。
（でも、後ろから覗き込まれたら・・・）
（前の人が振り返ったら・・・）
（そんなこと、普通はない）
　ゆっくり、手を当ててみた
（ああ、だめ、もう、息がつまりそう）
　少しだけ、指であそこを触ってみた
（うそ！熱い）
　指を深く入れてみた。
（どうしよう、やだ、濡れてる）
　ゆっくり、動かしてみた。
（だめ、感じる）
　手を止めた。
（止めよう、見られたら困るもの）
（でも・・・感じたい）
　少しだけバッグで大腿部を隠した。
（大丈夫、気づかれない）
　自分でもびっくりするくらい感じて、思わず、声が出そうになった。弥生は必死に声を殺そうと努力したが、出ていたかもしれない。本人にもわからなかった。その時、すぐ後ろで席を立つ音がした。
（見られた？）
　弥生はあわててスカートを下ろし、いすに深く座りなおした。その人は弥生のすぐ後ろの列で通路をはさんだ反対側に席を移動したようだった。
（ただの移動？見られたんだ、きっと・・・）
　確かにすぐ後ろの席よりは、通路を挟んで斜め後ろの席のほうが見やすい。そう思うと、弥生は恥ずかしさでいたたまれなくなった。慌てて席を離れて館外に出ようとしたが、そのとき、弥生はちらっと後ろの移動した人を見た。暗くてよくわからなかったが、足が白かった。
（女性？）
　はっきりと確認はできなかったが、弥生はとりあえず外に出て、トイレに駆け込んだ。トイレで弥生は外の様子に気を配った。誰かが後を追ってきたかどうかわからない。女性だったような気もするが、それもはっきりしない。もし、男性で、後を追って来てたとしたら・・・・、そう考えるとトイレから出られなかった。困ったが、じっとしてるのも変だと思った弥生はとりあえず鏡に向かった。頬が赤い、耳まで真っ赤だった。弥生が軽くメークを直し始めたところに、人が入ってきた。別にどうってことない。女性がトイレにきただけのことなのかもしれない。だが、弥生はそれだけで胸がどきどきしてしまい、急いでトイレを出ようとした。

５．シーメール
　　
「ちょっと、待って」
　女性が弥生の前に立ち、声をかけてきた。声をかけられて初めて顔を見たが、やはり初対面だ。弥生は警戒した。
「そのかっこで外に出るの？お尻でてるわよ」
「えっ」
　思わず、手を後ろに回し、振り返った先に鏡があった。そこに映った自分の姿を見たとき、弥生は息が止まりそうになった。スカートの後ろがまくれあがったままだった。お尻が半分以上露出していた。
（いや！ずっとこんな格好だったの？）
　スカートがまくれることはまれにある。恥ずかしいことだが、だれだって何度か経験のあることだろう。でも、その下が裸のお尻だという経験をしたことがある人は、おそらくいない。しかも、見られた。しっかりと目の前にいるこの女性に。弥生は、スカートを直し、お尻に手を当て、彼女の横をぬけてその場を逃げ出そうとしたが、不意にその手をつかまれた。何が起こったのか、とっさに弥生には理解できず、しかも恥ずかしさで相手の顔を見ることもできず、うつむいたまま、ぐっとつかまれた手を引かれ、後ろから抱きかかえられるような形になって、耳元でささやかれた。
「見てたわよ、外でするのが好きなの？」
（見られてたんだ、やっぱり）
「ノーパンだし、見られるのが好きなの？」
「・・・・・」
　弥生は恥ずかしさでもはや何も考えられる状態ではなかった。
（えっ、なに）
　おもむろに弥生のスカートが持ち上げられた。肉付きのいい弥生の双丘がふたたびあらわになった。弥生は、あわててバランスをくずし、壁に両手をついた。彼女の手が弥生の豊かな双丘をなで始めた。彼女の手は双丘を押し広げ、谷間に這い進み、股間の中にまで侵入してきた。弥生は、すでに正常な思考ができる状態ではなく、されるがままにじっとしていた。
　彼女の右手の中指と薬指は、弥生のクリトリスをとらえており、さらに親指をゆっくりと差込み左右にこね始めた。弥生の秘部はすでにグッショリ濡れてしまっていて、ぴちゃぴちゃといやらしい音を立てた。弥生は感じていた。できることなら、今すぐにでも太くたくましいものを突っ込んでほしかった。
（あぁ、私ってなんて恥ずかしい格好してるんだろう）
　誰が入ってくるかも分からないトイレの中で壁に手をついて、下半身をさらし、どこのだれだかわからない女に自由にされている。しかも、それがしやすいように足を広げ、お尻を高く突き出している。まともではなかった。それがよけいに弥生を興奮させた。
（えっ、）
　ありえないことだった。弥生の中に太く熱いものが挿入されたのだ。弥生は振り返った。確かに女性だ。その女性が、弥生に挿入し、腰を動かしている。
（何、どうゆうこと？）
　弥生は混乱して何がなんだかまったくわからなくなった。それでも、体は正直に反応する。次から次へと深い快感が押し寄せてくる。
「あぁ、・・・あ・・・あ・・・い・いぃー・・」
　初めて感じる深い快感だった。彼女の動きはどんどん激しさを増し、弥生は快感にひざががくがくして自分をささえられなくなった。がくっと弥生はその場にくずれ、そのお尻に彼女は大量に放出した。
　彼女は普通に女性だった。すらっとして胸もある。女性が見てうらやましくなるほどの美人だ。声だって決して男のものではなかった。しかし、少なくとも下半身は男だった。
　彼女は、弥生のお尻に放出されたザーメンをきれいにふき取り、弥生の股間もきれいに拭いてやり、弥生を立たせ、弥生の腰に手をまわし、弥生を支えてトイレを出た。弥生はまだ、なにがなんだかわかっていなかったが、ばくぜんと、だんだん自分が壊れていきそうな・・・そんな思いがしていた。

「ねぇ、驚いた？」
　彼女は、親しげに話しかけてきた。弥生はとまどっていた。あんな格好だったから、強いことはいえないとしても、レイプされた相手に腰に手を回され、歩いているのだ。相手が男なら、絶対にありえないことだが、彼女はどう見ても女、しかも、若くて美人だ。
ただ、こうして密着して歩いている状況は周りの目を引いた。
「手を離して・・・」
　やっとの思いで、弥生はそう言った。すると、彼女は、腰から手を離したが、その手で弥生のスカートをまくった。その下は、ノーパンのままだ。広い通路の真ん中で弥生はお尻を晒した。
「いやっ」
　弥生はあわててスカートを抑えた。女同士が腰に手を回して密着して歩いているだけで、すでに注目されていたのだ。この場の全員に見られたに違いない。一瞬にして、弥生の頭の中は真っ白になった。
「余計なことは言わないの」
　彼女は、そういうと、再び手を腰に回し、地下街から外に弥生を連れ出し、タクシーに乗った。弥生は逆らえなかった。
「私ね、真希っていうの、あなたは？」
「弥生・・・」
「いつも、あんなことしてるの？」
「・・・・」
「電車の中から、見てたのよ。痴漢されてたでしょ」
（電車び中から？痴漢にあったところから、見られてたの？）
　弥生は、恥ずかしさがこみあげてきた。悪いことをとがめられている子供のように黙ったままだった。
「けっこう、感じてたみたいよね。好きなの？そしたら、今度は映画館でオナニー始めるし・・・、こっちがびっくりしちゃった。そういう人って本当にいるんだぁ・・・。ＡＶの中だけの話だと思ってた。好きなんだねぇ。」
　弥生は、顔を上げて、運転手のほうをチラッと見た。聞かれてるっていうか、聞こえないはずがない。もうぜったいに顔を上げられない。弥生はさらにうつむいて固まってしまった。
「あっ、その先でとめて」
　真希は、タクシーを止めた。真希に続いて弥生も降りようと、体を折り曲げ車から出ようとした時、開いたドアの内側に立っていた真希は右足のひざを弥生のおなかにもってきて弥生の腰を抱えた。
「サービス」
　と言うと、真希はまたスカートをまくった。真っ白で豊かな双丘が運転手の目の前にあらわになった
　なぜか、もう弥生は抗えなくなっていた。もし、ここでその豊かな双丘を押し広げて覗き込むことができたら、十分に潤った弥生の秘部を見ることができただろう。