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４．自覚
（本当に脱ぐの？ここで・・・？ああ・・・本気だよね、真希さん・・・）
弥生はあきらめとも戸惑いともつかない表情で、バイブを押さえていた手をはなし、カーディガンの前のボタンをはずした。脱ぐのには勇気がいった。なんどもためらいながらも結局、カーディガンを脱いだ。遠めにはタンクトップを着ているように見えるはずだ。弥生は自分にそう言い聞かせた。泣きそうな顔で真希の方を見る弥生だったが、真希は無表情で許してくれそうもなかった。 その時、ウェートレスがオーダーしたものを運んできた。思わず方を丸め、両手で胸を隠し、足を閉じてしまった弥生を、真希が目で制する。
（あぁ、どうしても見せなきゃいけないの？･･････）
弥生は先ほどの公園と同じように鼓動が激しくなり、心臓が飛び出しそうだった。あまりの興奮で頭の中が真っ白だった。
「お待たせしました」
先程のウェートレスが、アイスティーをテーブルに置いた。
まともに顔を上げることもできない弥生だったが、そのウェートレスの視線は痛いほど感じた。
（あぁ、見られてるぅ･･･気づかれてるわ、きっと。･･･全部見えてる･･･はしたない格好･･･あぁぁあぁ）
子宮の奥のほうで何かが勝手にヒクヒクと収縮し、バイブを上下に動かしてしまって、さらにショーツを押し出した。ウェートレスも気付いているはずだ。
（い、いや･･･見られてる･･･見せてる？わたしが・・・見せてる。･･･）
固まってしまった弥生とウェートレスを、真希だけが楽しそうに眺めていた。どれほどの間そうしていただろう。ウェートレスは、いまだに足を広げたままの弥生の股間と腕の間から突き出たボディーペインティングされただけの乳房とつんと上に向いて固まった乳首を見て、驚いたことに話しかけてきた。
「あのぅ・・・これって、ボディペインティングですよね」
彼女は小さな声で、真希に話しかけた。
「そう。わかる？」
真希は答えながら、そのウエートレスをじっくり観察した。高校生くらいの年頃だ。アルバイトなんだろう。しかし、ホテルのラウンジの従業員としてはどうにも若すぎる感じだった。好奇心いっぱいに弥生を見ていた。
「ええ、ぱっと見にはタンクトップだと思ったんですけど・・・・あのぅ・・・乳首が立ってるから・・・」
それを聞いて弥生は、さらに背を丸めて、うつむいてしまった。
「それに・・・あのう・・・それ・・・見えてますけど・・・わざと見せてるんですか？」
彼女は、弥生の股間を見て、弥生の顔を覗き込むようにして、弥生に言った。
（見られてる、股間も・・・。ああ・・・真昼間に、裸でこんなものをあそこに入れて・・・それを、この子に見られてる。・・・・だめぇ・・・・恥ずかしい・・・真希さん・・・だめぇ、何とかして・・・お願い）
弥生は、上目遣いに真希のほうを見たが、真希は弥生を見ていなかった。
（おもしろい子だわ、この子・・・）
真希は、このウエートレスに少し興味を持った。よく見ると、他のウエートレスよりもいくぶん、スカートが短い。しかも生足だった。
「ねぇ、あなた、こういうの興味ある？」
「えっ・・・さぁ、・・・よくわかりません。初めてなんで・・・・あっすいません、余計なこと言いました。ごゆっくりどうぞ。」
そう言って、そのウエートレスは足早に去っていった。
「恥ずかしかった。・・・心臓が止まるかと思ったわ。」
やっとのことで、弥生はそれだけ言うと、はぁーっと大きな溜め息をついた。恥ずかしさのためか、それとも極度の興奮からなのか、涙目になってしまった弥生が、ようやく顔を上げた。その顔は赤く上気し、涙を浮かべた目は焦点を失ったようにうつろで、赤く充血していた。
「まさか、話しかけてくるとは思わなかった。で、どうだった？恥ずかしかっただけ？それとも興奮した？」
「･･･わ、わからない・・・でも、・・・濡れてる・・・」
弥生は、そう言って、股間のものを奥まで押し込んだ。
「あああぁ」
その瞬間、軽く達してしまった。目の前が暗くなり、一瞬、息ができなくなり、快感が、身体中を駆け抜けた。
「真希さん、･･･も、もうダメ･･･これ以上、もう、じっとしてられない･･････」
「したい？」
「・・・うん・・・」
弥生の返事と同時に股間のバイブが動きだした。
「ああっ！だ、だめぇっ！うぅぅっ」
弥生は、広げていた足を閉じ、押し寄せる快感に耐えた。真希は、少し振動を弱くし、弥生に囁いた。
「誰も見てないよ。好きなようにしていいよ」
弥生は、恐る恐る周りを見渡し、誰もこっちを見ていないのを確認すると、自分からバイブを出し入れし、むき出しの乳首をいじりだした。頭の中は真っ白だった。
（ああ・・・なんてことしてるの、わたし。信じられない・・・でも、したい。気持ちいい・・・見られてもいい・・・見て・・・見て･･･見られたいの・・・見られたいのよ）
「弥生、弥生、見てごらん」
しばらくして、真希が弥生に声をかけた。その視線の先を見てみると、先程のウェートレスがレジ横で同僚のウェートレスに、何事か囁いているのが見えた。そして二人の視線が弥生の方に向けられた。
（あぁ、こ、こんな姿を･･･あの人･･･きっと、軽蔑してるわ･･･私のこと･･･変態だって・・・きっと、そういってる･･･でも･･･その通りだわ･･･私･･･どうしようもない変態･･･見られてるのがわかってて･･･止められない･･･手が･･･あぁ！気持ちいい！）
さっきのウェートレスが、ふたたび近づいてきていた。
「どう？彼女にもオナニー見せてあげる？」
今の弥生にはまともな返事もできない。
他人の視線を意識しながら、ただ股間のバイブを動かす手を止められずにいた。
「あのう・・・お客様・・・やっぱり、ちょっと・・・」
彼女は、申し訳なさそうに真希にそう言った。
「こっちこそ、ごめんなさいね。もう出るから・・・弥生、行こう。支払いしてきてね。」
真希は、そう言って、伝票と財布を弥生に渡した。
（えっ・・・わたしが・・・えええ、そんなぁ・・・真希さん、バイブ・・・止めて）
バイブを止めるように真希に目で訴えたが、真希はさっさと立って、その彼女と何か話をしていた。弥生は、振動したままのバイブを、グッと奥まで押し込んでそのまま立ち上がり、渡された伝票と財布をもって、ウェートレス達が待つレジの方に向かった。応対したのはもう一人の方のウェートレスだった。きっとさっきの彼女から聞いて、好奇心を覚えたのだろう。彼女は、弥生の足元からゆっくりとその視線をあげていった。伝票を差し出し、財布を広げる弥生の姿は、まだスカートの裾が半分ほどずり上がったままで、下着が少し見えていた。先ほど自分で乳首をこね回したため、ペインティングしてあった乳首の色が落ち、もはや疑いようのない状態になっていた。
彼女は好奇な視線を弥生に送り続けた。うっすらと笑っているようにも見える。その嘲笑がまた、弥生の官能を刺激した。
「１２６０円になります」
ウェートレスは伝票を受け取り、抑揚にない声で言った。広げた財布からお金を取り出そうとした弥生の股間から、一際大きなモーター音が聞こえてきた。真希が振動を高めたのだ。真希の横にさっきの彼女がいて、その様子をじっと見ていた。
「うぅっあっ・・あぁぁ」
弥生は、レジのカウンターに右手を着き左手で下腹部を押さえ、腰を折って耐えた。
「ご、ごめんなさい･･････」
うつろな目で、財布からお金を出しながら、弥生はかろうじてそう言った。
「ありがとうございました」
ウェートレスは、お釣りを渡そうとしたが、故意か偶然か、おつりの小銭が弥生の手のひらからこぼれて床に落ちてしまった。弥生は床に落ちた小銭を拾おうとしゃがんだとたん、股間のバイブがショーツの脇から抜け落ちた。
ガタン
その音で、レジ横の席にいた中年の男性も、今レジにやってきた若い女性も、入ってきたばかりのカップルも何事かと、床にしゃがんだ弥生と、その下に落ちている透明の液体でぬめっているバイブを見た。しゃがんで太ももの付け根まであらわにして、しかもよく見ると、ボディペインティングしただけで乳房丸出しの弥生は、あわててバイブを拾ったが、それを隠すすべはなかった。
「きゃっ」
はいってきたばかりの女性が驚いて声を上げた。
（うわぁ・・・あああ・・・見られてる。みんなが、みんながこっちを見てる。）
見かねたレジの店員は、真希の横にいたさっきのウエートレスに
「知美、拾ってあげて」
「は、はい」
知美と呼ばれた先ほどの彼女は、動けない弥生に代わって小銭を広い、弥生と真希を見比べて、拾った小銭を直接真希に手渡した。
「ありがとうございました。」
「こっちこそ、ありがとうね。」
真希は、小声で知美にだけ聞こえるように言って、弥生を取り囲んだ見物人の中でレジ横の中年の男性にかるく会釈をした。弥生は、真希に抱きつくようにして、そこを出た。
エレベーターの中で、カーディガンを羽織ながら、弥生はまた泣いていた。真希はなきじゃくる弥生の肩を抱いて
「大騒ぎになっちゃったね」
とまるで、他人事のように話した。
「ひどい、・・・ひどいわ」
「あははは、もしかして怒ってる？」
「怒るよ・・・公園じゃほったらかしだし、今は晒しものだし・・・恥ずかしいかったんだから・・・。」
「ふーん・・・・で？どうしてほしい？」
「怒ってるって言ってるでしょ」
弥生が言い終わらないうちに、真希の口が弥生の口をふさいだ。
「こらっ、ごまかすな。それにエレベーターの中だぞ」
「部屋、とってあるんだけど・・・」
「でも、まだ入れないでしょ。こんな時間じゃ・・・」
「だいじょうぶよ、心配要らないわ。いい？」
「うん」
弥生は、とにかく真希に抱いてほしかった。
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