１．指令

　弥生は、真希と決めたことを実行していた。連休明けに出社してすぐ退職届を出し、研修を終えた新人が配属される時期でもあり、後任はすぐに決まった。社内の規定で５月いっぱいは勤務することになったが、たまっている有給休暇を当て、必要に応じて、呼ばれたときに出社すればいいとのことだった。稔とは、同じ会社だが勤務場所が違うため、顔をあわすことはなかったが、なるべくなら会社には顔を出したくないのが本音だった。

　真希から聞かされた話は、弥生が会社を辞めて、美菜子がやっているクラブで働くということだった。どんな仕事なのか、自分にできるのか、弥生は不安でいっぱいだったが、退職届を出したことを真希に電話で伝えたその夜、突然、美菜子からメールが入った。

　弥生、会社辞めたのね。
　真希ちゃんから聞いてるでしょ？
　一度、お店に来てね

　弥生は、即座に返信した。
　美菜子さん？
　嬉しい。メールもらえるなんて
　聞いていいですか？
　美菜子さんのところで本当に雇ってもらえるんですか？
　それと、仕事、わたしにできるでしょうか？

　美菜子の返信もすぐだった。
　だいじょうぶよ。
　でも、ちょっとだけ準備しようか？
　わたしの言う通りにしてくれる？
　　
　はい。言ってください。なんでもします。

　そう。じゃぁね、今日から、家にいるときは、Tシャツだけ。
　お尻を出したままでいるの、いい？
　外出するときは、スカート。もちろんノーパンでね。

　外出って、出勤もですか？
　ブラはしてていいんですか？

　会社に行くときは、普通の格好でいいわ。
　ブラは、弥生に任せる。つけてもつけなくてもいいわ。
　それから、寝るときは、何も着ないで全裸で寝るのよ。
　そのうちまた、遊びにいくから、それまで、いい子でいてね。

　全裸で寝て、ノーパンでいることが何の準備になるのか理解できなかったが、美菜子の指示なら、黙って従うまでだ。弥生は、ちょっと大きめのTシャツを取り出すと、着ているものを全て脱ぎ全裸になって、Tシャツだけの格好になった。
　真希とは、毎回ノーパンデートだったから、なにも緊張せずにTシャツだけの格好になってみたが、予想外の違和感だった。スカートがあるとないでは大違いだった。うつむくと、自分のヘアーが目に入る。思わず、目をそむけた。
（恥ずかしいわ）
　弥生は、恥ずかしくて視線を下げられなかった。意識をそらそうと、ソファでコーヒーを飲みながらテレビをつけ、とにかく視線を他に持っていこうとしたが、目に入らなくても、ソファの布地を直接、お尻で感じているため、下半身を晒していることはいやでも意識させられた。
（だめ・・・むずむずしてきた）
　真希と出かけていたときのことが思い出されて、その時の興奮が蘇ってきていた。徐々に子宮の奥のほうから、温かいものがじわっと溢れてきているのを感じた。自然と、手が股間に伸びた。二本の指でクリトリスを挟んで、こすってみた。
（ううーわぁぁ・・・・・感じる）
　その二本の指をそのまま奥深く挿入して、肉壺から愛液を掻きだして股間全体にかき広げた。
（いい・・・いいい・・・・気持ちいい・・・いい）
　その時、ルームフォンがなった。真希だった。弥生は、慌ててスカートをはいて、真希を迎えた。

「ごめんね、突然」
「いいです。」
「はいこれ」
「なんですか？」
「あなたお酒弱いでしょ。少しは、飲めたほうがいいかなって」
　真希が持ってきたのはフルーツ系の缶チューハイだった。
「グラス持ってきます」
「いいわよ。このままで」
「じゃぁ、なにかおつまみ」
　弥生は、なにかつまみになるものを探そうと冷蔵庫を開けた。
「美菜子さん来た？」
「いいえ。でも、メールが来ました」
「ふーん」
　そう言うと、真希はじっと弥生を観察した。弥生は飲まないので、お酒のつまみというものがどんなものかもわからなかったので、とりあえずトマトを切って持ってきて、真希の前に座った。
「ねぇ、弥生」
「何？」
「スカートはいていいって言ってた？」
「えっ」
　弥生は、どきっとして真希を見つめた。
「美菜子さんからメールきたんでしょ。そんな格好でいろって言われた？」
「知ってるんですか？」
「裸でいろって言われなかった？」
「言われました。でも、裸じゃないです。Tシャツでいなさいって」
「スカートはいてるわ」
「それは、真希さんが来たから」
「あら、わたしがいたら、できないの？」
「そういうわけじゃなくて。来たのが真希さんかどうかわからなかったから・・・」
「そう？人が来たんで慌ててスカートをはいたってこと？」
「そうです。」
「ふーん、じゃぁ、そのスカートの下は、なにもない？」
「ええ・・・・はいてません」
「脱いで」
「えっ？」
「美菜子さんの言うことを守ってるのかなぁ、弥生は・・・」
「守ってます。言われた通りにしました。」
「じゃぁ、立って、脱いでみて」
　弥生は、立ち上がってスカートを脱いだ。真っ白な大腿とちょっと薄いヘアが露わになった。
「本当だ。いい子ね弥生は・・・。そのまま座って」
　弥生は、真希の目の前で下半身を晒して、ソファに座った。先ほどまで感じていたものが、また蘇りつつあった。
（ああ、来ちゃう・・・来ちゃう）
「足広げて」
　真希の命令に、弥生は応じた。股間が真希によく見えるように、お尻を前にずらし、足を広げた。
「弥生・・・私が来る前にオナニーしてた？」
（えっ・・・わかるの？そんなことまで・・・・）
　真希にずばり言われて、弥生は、完全に落ち着きを失ってしまった。
「どうしたの？わかるわよ。本当のこと、いいなさい」
　弥生は、観念して頭を縦に振った。
「そうなの。やっぱり・・・濡れすぎだもの」
（ああ、見てわかるくらい濡れてるんだぁ・・・・恥ずかしい）
「続き、やっていいよ」
「・・・・・」
「やりなさい。私の見てる前で・・・」
（ああ、真希さん。恥ずかしいから・・・させないで、お願い）
　弥生は、真希の顔を見た。
（しなきゃだめ？・・・・意地悪）
　弥生は、おずおずと先ほどと同じように、二本の指で、肉壺につまったゼリー状のものを掻きだし、股間全体に塗り広げた。弥生の匂いが広がった。だんだんと指の動きは速くなり、もう一方の手は、乳首へと伸びた。
　はぁ・・・はぁ・・はぁ・はぁはぁ・・・
　弥生の息が荒くなり始めた。
「いい・・・いい・・・・い」
　達しそうになった弥生の唇に不意に真希の唇が重なった。いつのまにか、真希は立って、弥生の後ろに回っていた。
　う・・・うぐっ・・・
　真希の舌が、弥生の口腔の奥深く差し込まれた。真希は、弥生のTシャツの裾を持ち、一気に引き上げ、脱がした。弥生は全裸にされた。
「こっちにきて」
　真希は、弥生を立たせ、立っている自分の足元に跪かせた。
「わたしのを舐めて」
　弥生は、真希のショーツを下ろし、スカートの中に頭を入れ、股間のものをしゃぶった。
「気持ちいいわ・・・弥生」
　小さなショーツに押し込められていた真希のものを解放して、根元の袋からその後ろのお尻の穴まで弥生は舌を這わした。

「弥生、ベッド行こうか？」
「はい」
　真希も、着ているものを脱ぎ全裸になるのを、弥生は先にベッドで待っていた。真希は横たわった弥生の顔をまたぎ、肉棒を弥生の口に差し込むと、自分は舌を尖らせ、弥生のクリトリスをぐるぐると舌先で回すようにこねた。先ほど達する直前だった弥生は、真希の刺激にいっきにのぼりつめたが、真希はそれでも、執拗に愛撫を続け、口を犯し続けた。２度目、３度目の波が押し寄せてきたとき、真希も弥生の口の中に放出した。どくどくと溢れてくる真希のものを弥生は、すべて飲み込んだ。

２．どうにかなっちゃう

　次の日、美菜子の指示どおり、お尻を丸出しで朝食を取り、部屋の掃除をし、洗濯をした。昨日ほどどきどきはしなかったが、それでも言いようのない感覚だった。ありえない格好でする日常的な作業。洗濯が終わる頃には、歩き難いくらい股間が濡れていた。
（ああ、触りたい・・・あそこをいじりたい）
　今朝の美菜子のメールで、“オナニーは鏡に向かって足を広げて、自分で見ながらするのよ”と指示されていた。弥生は、大きな姿身の前に食卓の肘掛のついた椅子を持っていって座った。肘掛に両足を乗せた。薄いヘアーの中にある肉襞をゆっくり、左右にかきわけると、内側はどきっとする淡いピンク色。自分でそれを目にするのはははじめてだった。一度止まった指が、再びゆっくり動き出した。クリトリスを挟み上下に擦ると、今度はその指を深く奥まで差し込んだ。
（ああ・・・あああ・・・・ああああ）
　弥生は達してもすぐには動けなかった。オナニーの経験が多いわけではないが、今日は、特別だった。オナニーで、動けなくなるほど感じたことは今までなかった。
　ふぅーっ
　大きな息をして、弥生は立ち上がった。喉が渇いて、冷蔵庫を開けたが、昨日真希が持ってきた缶チューハイの他、何もなかった。
「買いものに行かなきゃ」

　ちょっと厚手のタンクトップにライトブルーのスカート、外出もノーパンと言われている。弥生は、思い切ってブラもはずした。確かに、家を出るときは、生地が厚いのでノーブラでも大丈夫だと思ったのだが、歩くたびに擦れ、すぐに乳首は固く尖り、タンクトップにしっかりと突き出てしまっていた。
（やだ。・・・・ああ、ブラしてくればよかった。絶対、ばれる）
　弥生は、心持ち猫背になりながら歩いた。本当は、少し先のスーパーまで行くつもりだったが、手近なコンビニで済ますことにした。スーパーまでの距離は長すぎた。こすれる乳首もさることながら、ノーパンの不安も大きかった。真希といっしょにいるときはたいていノーパンだった。でも、その時は真希がいてくれた。今は自分ひとりである。この不安は、真希と一緒の時とは比べ物にならなかった。足を運ぶたびに、スカートは揺れ、むき出しのお尻に触れる。弥生のその部分は、家を出る前のオナニーから微妙に濡れており、太ももにぬめりを感じていた。もし、溢れたらそれを留めるものはなかった。

　コンビニに入ると、弥生は、すぐに飲み物の冷蔵庫の扉を開けた。腰をかがめようとして慌ててしゃがんだ。
（いけない。見えちゃう）
　そう思った瞬間、しゃがんだ太ももになま温かい感触が伝わった。
（あっ、だめ・・・溢れちゃう・・・）
　弥生はゆっくり立ち上がり、なんとか飲み物とお昼の弁当を買ってレジに立った。代金を払い、おつりを受け取ろうと一歩踏み出したとき、とうとうそれは、弥生の太ももの内側を伝い、すーっと膝まで落ちた。弥生は、すぐにレジを離れ外に出た。慌てて歩くと、ぴちゃぴちゃといやらしい音を立てた。
　部屋に帰ったとき、弥生は疲れ果て、しばらく床に座り込んでしまった。
（どうにかなっちゃう・・・・）
　弥生は、シャワーを浴び、もとのTシャツ１枚にもどって、やっと昂ぶっていた気分が落ち着いた。
「ふふ・・・・ふふ・・・」
　弥生は、急に可笑しくなった。スカートをはいてどきどきし、脱いで落ち着いている自分が可笑しかった。
（もう、どうにかなっちゃてるわ、とっくに）