１．あいさつ

　弥生は、退社の挨拶のために午後に出社した。自分の部署で挨拶をすませ、人事部に顔を出し、その後で夫、稔の上司で、仲人をしてくれた竹内部長に電話で退社の挨拶をすると、稔のことで話がしたいので駅前のコーヒーショップで待っててくれないかと言われた。
　先についた弥生は、奥の席で入り口が見えるように座った。会社へはノーパンでなくてもいいと言われていたのだが、今日が最後だし、別にノーパンでもいいと思って、弥生は白のミニのタイトスカートの下にはなにもつけていなかった。上は、黒のノースリーブのカットソー、ブラはしていない。挨拶回りの時に、同僚ら何人かに気づかれたが、弥生は、ノーブラよと平然と答えた。
　店に入ったときから弥生は何人かの注目を浴びた。
（ちょっと、まずかったかな）
　人と会う為、弥生は注目を避けるようにひざをぴったり閉じて座った。竹内は直ぐにやって来た。
「ごめんなさい。わざわざこんなところにまで来てもらって。」
　竹内は、弥生の前に座ると、ちょうど弥生のコーヒーを運んできたウエイトレスに同じものを注文した。
「辞めるんだってね、会社。」
「ええ、挨拶が遅くなってすいません。」
「辞めて、どうするの？」
「ちょっと、知り合いのところで仕事をします。」
「そういうこと」
「えっ、まぁ」
「あのぉ、ちょっと聞きたいことがあって」
竹内はやっと、本題にはいった。
「御主人のことなんだけど・・・・あのぉ、実は、ある取引先からなんだけどね、御主人・・・AVに出てないかって・・・・」
「AV？」
「アダルトビデオ・・・・まさか、そんなことはないと思うんだけど・・・・ネットで公開されてるみたいで」
「部長もそれ、ご覧になったんですか？」
「ああ、見たよ。本人だろうと思う。AVっていうより、なんかレイプシーンの隠し撮りって言う感じで・・・・まさか、そんなことはないと思うけど、それを見る限りは演技って言う感じじゃなかったけど」
（本当にネットに流したんだ、一樹さん）
　弥生が、考え込んだように見えたのか、竹内は
「いや、本人に確認したわけじゃないし、たまたま似た人物だっていうこともあるし・・・」
　取り繕うとした竹内に
「いいえ、多分、夫です。AVなのか、本当のレイプなのかは知りませんが、そのくらいのことはすると思います。そういう人です。」
「えっ？」
「彼は、サディストなんですよ。ずーっと、私のほかに女がいて、その人とそういうことをしていたみたいです。私もされたことがあります。」
「弥生さんも？」
「ええ、それが理由で離婚しようと思ってるんです。」
「もしかして、会社辞めるのも、そのせい？」
「そうです。同じ会社にいたくないですから」
「結婚してから、それとも、その前から？」
「結婚する前からみたいです。」
「そうか、気づかなかった。ごめん」
「いいえ、竹内さんに謝ってもらうようなことではないですから」
「彼にあなたを紹介し、仲人したのは私だから・・・」
「いいんですよ。もう。」
「で、離婚はいつ頃」
「彼が、同意しないので、いつ頃になるかわかりません。」
「私にできる事があったら、何でも言ってくれ」
「そうですか。何かあったら・・・あっそうそう、これ、彼の持ち物なんですけど・・・」
　そう言って、弥生は数枚のDVDを取り出した。
「たぶん、プレイの映像だと思うんです。竹内さん、これ預かっててもらえませんか？」
「私が？」
「ええ、無くなってるのが知れると、彼はわたしを疑いますから、私が持ってると・・・ちょっと」
「そうか・・・裁判になるかもしれないっていうこと？その時の証拠？」
「ええ、まぁそういうことです。その中にたぶん私を撮影したものもあると思います。」
「そういうことなら、預からせてもらうよ。」
　弥生は、自分の恥ずかしい姿の映ったDVDも含めて稔のプレイを撮影したDVDを竹内に渡した。

　竹内と別れた弥生は、街を歩きながら、下半身の疼きを感じていた。先ほどの喫茶店で注目を浴び、会話中の胸元に注がれた竹内の視線、自分の恥ずかしい姿を竹内に見られるという想像で下半身にちょっとした疼きを感じていた。見られたい気持ちが少し湧き上がってきていた。
　弥生の足は、先日のホテルへと向かっていた。最上階のスカイラウンジへ今日はひとりでやって来た。弥生が、先日の羞恥の記憶が蘇り、入るのためらっていると、中の若いウエイトレスと目が合った。
（この前の彼女だわ）
　弥生は覚えていた。どうやら、彼女のほうも覚えていたようだ。弥生を見るとにっこり微笑んだ。その笑顔に吸い寄せられるように弥生は中にはいった。お客は、客は若いカップルと男性が４〜５人。弥生は、１人の男性の正面に座った。
　弥生は、椅子にななめに浅く腰掛け、少し膝を開いた。上から見ても、太ももの付け根が見える。弥生は、バッグから文庫本を取り出し、背もたれにもたれて、それを読むふりをして、少しお尻を前に突き出した。正面にいる男性には、丸見えに違いなかった。
「ご注文はお決まりですか？」
　彼女だった。
「ミルクティーを」
「かしこまりました。・・・きれいな足ですね」
　去り際に、知美は小さな声で弥生に言った。

「ありがとう」
　弥生も小さな声で答えた。知美がいなくなると、前の男性は、弥生のほうにチラチラ視線を送り始めた。弥生は、一度深く座って、もう一度、背もたれにもたれるようにお尻を前に突き出した。座りなおしたことによってタイトスカートはずりあがって、弥生の生のお尻がほぼ下半分晒された。前の男性はじっと弥生を見ていた。
（ああ・・・見られてる。・・・足を･･･広げたい・・・見せたい・・・）
　弥生は、さらに浅く座り、足をほんの少し広げた。もうタイトスカートは腰までもちあがっていた。
（触りたい・・・あそこを触りたい・・・でも、ここじゃぁ・・・）
　弥生は、自分の股間に指を入れたくてしょうがなかった。

「おまちどうさま」
　知美がミルクティーを運んできた。
「ありがとう」
「・・・・見せてもいいですよ」
「えっ」
「見せたいんでしょ。いいですよ」
　知美の言葉に弥生は耳を疑ったが、彼女がにっこり微笑むのを見ると
「いいの？」
「はい」
「ありがとう」
　弥生は、知美が見てる前で、深く座りなおした。一度ずりあがったタイトスカートはもとにはもどらず、弥生の下半身は完全に露出した。
　知美は、弥生の股間に指を這わし、微笑んで言った。
「ごゆっくりどうぞ」
　知美が去ると、弥生は完全にお尻を丸出しにして一人で座ってる変態女でしかなかった。
（見られてる。あの人も気がついた。こっちに来る・・・あの人も・・・）
　何人かが弥生に気づき、席を移動してきた。弥生は、指を股間に入れ、ゆっくり出し入れした。周りの人たちによく見えるように足を広げて。
（見て・・・見て・・・私のおま○こ・・・・見て）
　弥生は、すぐに達した。達すると、急に恥ずかしさが込み上げてきた。弥生はミルクティーをゆっくり飲み干すと、すっと立ち上がった。裸の下半身を晒した女性に集まってきた男性達だけでなくカップルもほぼ全員が気がついた。弥生は、ゆっくりとスカートを下ろし、レジに行った。

「ありがとうございました」
　知美がニッコリ笑いながら、そう言った。
「ありがとう」
　弥生も礼を言った。