４．診察

「早瀬さーん、どーぞ」
　唯一、採血のときにいた女性の看護師に呼ばれ、弥生は診察室と表示された部屋に入った。中に入ると、そこにいたのは、４０代半ばと思われる女性、元木由美子だった。
「はーい、そこに座って」
　型どおりないくつかの質問が終わると、由美子は、弥生に言った。
「ちょっと、胸を出してくれる」
「はい」
　弥生は、前をはだけ、乳房を晒した。
「あら、ノーブラ」
「・・・えっ・・・はい」
　弥生は、頬が紅潮するのを感じた。由美子は、弥生の乳房を丹念にもんだ。
「しこりとかは、ないみたいね・・・・・きれいなおっぱいね。うらやましいわ」
　医者の言葉とは思えない一言に、弥生は驚いて由美子の顔を見ると、彼女は妖しく微笑んで、弥生の乳首を指で挟んだ。
「あっ・・・・」
　予想外の行為に、弥生は声を上げた。由美子は、椅子を前に寄せ、弥生に近寄り、弥生の足の間に由美子の膝が入ってきた。由美子は、親指と人差し指で、弥生の両方の乳首をつまみ、残った３本の指と手のひらで乳房をもんだ。
「先生・・・」
　弥生は、困惑した表情で、一応拒否の意思表示をしたが、由美子は、全く意に介さなかった。弥生は、目の前に近づいた由美子の視線が、自分の股間に落ちていることに気がついた。診察用の背もたれのない丸い回転椅子で、足の間に由美子の膝が入ったため、バランスをとるために弥生は大きく足を開いていた。服の裾はあがり、股間の茂みが出ていて、弥生は、慌てて股間のその部分に手を当てたが、遅かった。
「ふーん、ノーパンなんだ。今日、お店の子、結構来たけど、ノーパンはあなただけよ。好きなの？」
「ろ･･･そういうわけじゃぁ・・・・・・・」
　消え入りそうな声で弥生は答えた。
「いいのよ・・・・じゃぁ、後は、中を診るから・・・・２階に行って、待っててくれる？」
「２階？」
「そうよ。２階の美容整形で診察室を準備してるの。ここじゃ、診られないでしょ」
　健康診断が目的のクリニックなので、診察室というものがない。今も、診察台も何もない普通の部屋にいるのだ。
「あぁ・・・はい」
　弥生は、立つと、ドアを開けて廊下に出た。待合室には美菜子がいた。
「終わった？」
「２階に行ってって・・・」
「そう、じゃぁ、行こう」
　弥生は、美菜子が自分の服を持っているのに気がついた。
「あの、それ、私の服・・・・・・」
「そうよ、あなたが最後で、ここもう閉めちゃうんですって。だから、服も持っていかないと・・・」
「えっ、まさか、この格好で２階に・・・？」
「そうよ。急がないと、ほら、もう、みんな帰るところよ。急いで」
（そんなぁ・・・お尻、出てるんだよ）
　美菜子は、弥生の背中を押して、急いで外に出て、エレベーターを待った。

（うそっ・・・エレベーターに乗るの？）
「美菜子さん。・・・お願い、階段にしてもらえませんか？」
「階段？・・・・いいわよ」
　弥生は、急いで美菜子の前に回って歩いた。幸い、誰も階段にはいなかったが、後ろから美菜子が裾をまくった。
「美菜子さん！」
「弥生のお尻、柔らかくて気持ちいい」
　そう、言って、弥生の横に並び、後ろから弥生の股間に指を入れた。
「だめ・・・歩けなくなるから・・・お願い、美菜子さん」
　弥生の懇願はあっさり無視され、弥生は、股間に指を差し入れられたまま歩かなければならなかった。幸い、２階の通路にも誰もいなかったが、後ろから由美子の声がした。
「あら、この子、美菜子のなの？」
（うわっ、お尻、見られた・・・）
　弥生は、慌てたが、美菜子は弥生のお尻を隠そうとはしなかった。
「そう、わたしのお気に入り」
「へぇー、美菜子も変わったね」
（知り合いなんだ。美菜子さんと・・・）
　親しそうな二人の会話に、弥生が少し寂しさを感じていると、美菜子に並んだ由美子の手が弥生のお尻に伸びた。
「きゃっ」
　思わず、声を上げる弥生に
「あらぁ、美菜子だけなの。わたしもいいでしょ、柔らかくて気持ちいいんだから・・・」
　美菜子に裾をまくられ、お尻を触らせておいて、由美子の手を拒むことは出来なかった。美菜子の指は、弥生の中に入り、由美子の手はお尻を大きくまくりあげ、弥生のお尻をなでまわした。
（痴漢よ・・・これじゃ・・・だめ、歩けないって・・・・）
　やっとの思いで、弥生が、エレベーターホールの前を通ったときに、エレベーターの扉が開いた。
（いやっ）
　弥生は、慌ててそこを通り過ぎて、美容整形の扉を開けた。由美子も後からやって来たが、美菜子は来ない。後ろで美菜子の声がした。

「あら、仁美さん」
（えっ・・・ヒトミって？）
　弥生が振り返ると、エレベーターの前で美菜子は誰かと話していた。壁に隠れて相手が誰だかわからない。
（妹と同じ名前・・・だけど・・・そんなはずはないか）
「こっちに来て」
　由美子が、弥生を促した。一応診察室なんだろうが、けっこう広い部屋に案内された。
「えーっと、あなたは・・・そのままでいいか。そこに寝て」
　そこには、両足を広げて固定する診察台が置かれていた。弥生が、台に寝ると、両足は高く持ち上げられ、なぜか固定された。
（ああ・・・恥ずかしい。濡れてるのに・・・見られちゃう）

「カーテンひく？」
「えっ・・・・はい・・・・お願いします」
　診察台の真ん中にカーテンがあり、由美子がそれをひいた。お互いが見えなくなった。
「始めるわよ。怖くないから緊張しないでね」
　カーテンの向こうから由美子の声がした。弥生は、別のことを心配していた。
「ちょっと、冷たいけど、がまんしてね」
　金属の冷たい感触が、伝わってきた。
（見られてる・・・違う、診てもらってるんだ・・・変なこと考えちゃダメ）
　足を広げて、股間を晒していると思うだけで、奥のほうで、うずくものがあった。弥生は、それを意識しないように何か別の事を考えようと思った。

５．公開

「弥生、そっち行っていい」
　美菜子の声がした。
「は、・・・はい」
　脇から美菜子が入ってきた。
「美菜子さん、見てたんですか？」
「ううん、診てるのは由美子さん。私は見てないわよ、少ししか・・・・」
「やっぱり、見てたんじゃないですか」
　美菜子は、仰向けの弥生の頭のほうに移動すると、ほとんど胸元からこぼれ出ている、弥生の乳房を手でもみ始めた。
「由美子さんに揉まれたでしょ」
「はい」
「こらこら、人聞きの悪い。あれは診察でしょ」
　カーテンの向こうで由美子の声がした。
「診察だった？」
「乳首を弄られました」
「由美子さん、乳首も診るの？」
　美菜子は、今度は由美子に話しかけた。
「うーん、それは、まぁ、その場のいきおいっていうことかな」
「エロい医者でしょ。由美子さんはね、女の人が好きなの」
　美菜子は小声で弥生に話したが、由美子にも聞こえている。
「美菜子さん、だめ、くすぐったい、じっとしてられない」
　話しながらも、美菜子は弥生の乳首を指で挟んでこねていた。
「弥生、何してる？動くと見えない」
「はい・・・でも、・・・美菜子さん」
　美菜子の唇が弥生の唇に重ねられ、美菜子の舌と唾液が、弥生の口の中に入ってきた。
（だめよ、美菜子さん・・・・息苦しくなる・・・・じっとしてられなくなる・・・）
　美菜子は、唇を重ねたまま、弥生に万歳の格好をさせ、両腕を抱きかかえた。
（えっ・・・何・・・・誰？）
　弥生は、乳首を舐められた。由美子は、診察を終えて、こっちに回ってきたのだ。美菜子は、由美子の邪魔にならないように、弥生の腕を抱えたのだった。
（ああ・・・・ああ・・・・・）
　美菜子に唇を吸われ、由美子に乳首を噛まれた。執拗にふたりのいたずらは続いたが、急に弥生が、美菜子の唇をはずした。
「誰？・・・誰かいる」
　カーテンの向こうで人の気配がする。
「きゃっ」
　弥生は、声を上げたが、美菜子も由美子も全く反応してくれなかった。左右の太腿に何かが触れたような気がしたのだ。
「誰かいますよ」
　弥生は、美菜子と由美子を交互に見ながら、訴えた。
「・・・・・・・」
　二人は、にっこり微笑むだけで何も答えず、それどころか、弥生の腕を診察台の脚に紐で縛り、さらにアイマスクをした。
「いいわよ」
　美菜子がそう言うと、カーテンが開けられ、何人かの足音がした。
（何？何？・・・・レイプされるの？・・・美菜子さん・・・何？）
　診察台のキャスターのストッパーがはずされ、足を大きく広げ、股間を晒した弥生を乗せたまま診察台は動き出した。
（何処へ行くの？・・・・・えっ、外？）
　冷房の効いた診察室の中とは、少し温度差があった。しばらくして止まった。
　口は塞がれていないので、話すことはできるのだが、弥生は怖くて何も言えなかった。回りに人の気配がした。
「美菜子さん」
　弥生は、恐る恐る小声で美菜子を呼んだが、返事はなかった。
（・・・・見られてる・・・・・）
　かすかな吐息、履物の音、せき・・・・まわりに絶対人がいる。それは、あきらかだった。しかし、誰も声を立てない。弥生を触るものもいなかった。ただ、見られているだけだった。弥生は、股間に吐息を感じた。

　何分たったのだろう。犯されないんだとわかると、弥生は妙な気分になった。
（いじりたい・・・・乳首を・・・誰か触って、・・・・クリトリスを・・・・あああ、いじりたい）
　知らず、知らず、弥生の息が乱れ始めた。
「いじって欲しい？」
　美菜子の声だった。美菜子の声を聞いて弥生は、いっきに昂ぶった。
「うん」
　涙声だった。
　左の乳首がつままれた。やがて右も・・・・。誰かの手がクリトリスを刺激し始めると、左右の太ももも揉まれた。何本もの手に蹂躙されて、快感は一気にやってきた。
「ああ・・・あああ・・・・いいいい・・・・・・く」
　ガクンと背中を反って、弥生は何度も達した。
　ふぅー、ふぅー
　弥生は何度も大きな息をした。やがて、弥生の身体から何本もの手が離れていき、同時に音が消えていった。まだ、息が整わない弥生から、腕と足の拘束が解かれ、アイマスクが外された。美菜子が上から弥生を覗き込んでいた。
「どう？・・・・だいじょうぶ？」
　美菜子が声をかけた。弥生は、美菜子に抱きついた。涙があふれ出ていた。