第７章 果てしない愛戯

　秀美はにっこり微笑むと冬彦を立たせ、股を大きく開いて受け入れる準備をした。Ｖカットに剃毛された秘部には愛液が滲みヌラヌラと照り輝いている。冬彦はたまらず足首を掴むと男根を秘部にあてがった。
「初めて知ったよ。セックスに愛が必要だなんてよ」
「そうよ、凄く必要よ」
「賢くて美しい。夏彦の女でなけりゃおれが欲しいくらいだ」
　力強く男根は挿入されてゆく。ああっ、と秀美は呻きながら身体の奥に熱いたぎりを感じる。精力的に仕事をこなす男特有の無骨な挿入の仕方、荒々しいがストレートに刺激してくる。
「いいっ、ああっ」
　力強い挿入のたび秀美は大きく喘ぐ。夏彦の申し入れで兄を慰めて欲しいと依頼があったとき、最初は抵抗があった。会って女を物扱いする態度を見てさらに嫌悪感が湧いたが、秀美の説得で考えを少しは変えてくれ、今こうして突かれていると思いのようなものを子宮に感じる。

　秀美が冬彦の突かれているそばで夏彦とめぐみは戯れていた。
「ああっ、夏彦、あたしも欲しくなったわ」
「そうかい、じゃ、入れてあげよう……」
　夏彦の目が意地悪く笑う。どこからともなく普通のバイブレーターにしては先端が細いものを取り出してきた。スイッチをいれるとブーンとうなり、ローションを塗り、いきなりアナルの中に入れてきた。
「いやっ、なに、それ？」
「これを入れてやるともっと気持ちよくなれるよ」
　奥まで収まり、直腸の中を未知の快感が襲い、おならか便が出てしまうのではないかという恐れとは裏腹に微妙にファジーな快感が全身を包み込んだ。
「ああっ、い、いいっ……」
「どうだい？」
「は、恥ずかしい……こ、こんなの……」
「まだ他に欲しいものがあるの？」
「……イジワル」
　めぐみは夏彦の男根を手で撫でまわし、ゆっくりと夏彦を倒すと秘部に男根をあてがった。
「バイブを抜いちゃだめだ。自分で押さえておくんだ」
「ああっ、ああん」
　男根が秘部に収まり、バイブの音が鈍くなって粘膜を挟んで快感を倍増しているのを感じる。
　めぐみはゆっくりと腰を動かしながら、アヌスとヴァギナの刺激に酔った。

　冬彦の腰の動きが激しくなり、秀美はリズミカルに荒々しい動きに合わせて腰を動かした。
「おおっ、気持ちいい、気持ちいい」
「いいわ、あたしも、冬彦さん、あたしを見て」
　冬彦は秀美の目を見た。トロンと官能的で思わず唇を吸いたくなり本能的に唇を吸い、乳房を揉む。秀美もそれに答え唇を吸って挿入されている怒張が萎えないように腰を回した。
　それからまた鋭く挿入を再開し、冬彦の身体は汗が玉のようになって筋肉質な身体に浮いている。
「う、ううっ、いきそうだ」
「いいわ、いい……」
「あっ、あう、おおっ！」
　射精が迫り、通常の倍速で強く子宮を叩いたあと男根を抜き、秀美の顔に向けて欲望の飛沫を放つ。ロケット花火のような勢いで顔に当たり、我慢の２撃、３撃がさらに顔を直撃した。
　そのあと横に倒れ、息を喘がせている冬彦の男根に秀美は優しく舌を這わせた。

　ベッドの上では夏彦とめぐみとの情事が続く。冬彦と秀美の官能的なセックスを目の当たりにし、めぐみの神経は高ぶっていた。
「ああっ、いいっ、気持ちいい、いきそう……」
「いっていいよ」
「いい、いい、い、いくっ、くううっ」
　それほど強い刺激を受けたわけではないが、アヌスとヴァギナへの快感に目の前でのセックスが手伝い、頭に稲妻のような快感が走ったかと思うとエクスタシーが全身に広がった。
　夏彦の身体に覆いかぶさり、アナルバイブだけがまだ唸りをあげているのを尻目に冬彦が身体を起こした。
「兄貴、おれは今日とても充実した時間を送れた。不思議だ、セックスのあとにまで快感が残るのは。今のおれには何かいいアイデアが出てきそうだ」
「冬彦よ、いい仕事を頼む、おれの分まで。そしてまた疲れたらここへ来るといい……」
「ありがとよ、兄貴、そして秀美さん、あんたは美しい、最高の恋人だ」
　冬彦は秀美にキスするとシャワールームへ消えてゆく。秀美と夏彦の目が合い、夏彦は秀美を引き寄せると彼女の労をねぎらうように髪を優しく撫でた。

　めぐみが気付いたときは横で夏彦と秀美が戯れている。手をつなぎ、お互いの身体が重なり合う様子は見ているだけで濡れてくる。
「気付いたかい、めぐみ」
「ひどい、あたしを置いてやっぱりその女と……」
「嫉妬してるのかい」
「当たり前でしょ」
「だったらぼくを奪うんだ。官能的な姿を見せてごらん」
　夏彦と秀美はめぐみの見ている前で、とことんまで愛し合う姿を見せつけ、元々スタイルのいい２人だけに露骨なほど嫌らしく官能的だった。
「どうしたんだい、もう秀美に挿入しちゃうよ」
　あっけに取られて何もできないめぐみは遂にシクシクと泣き始めた。心が締め付けられるほど悲しく、涙がどうしても止まらない。
「めぐみ……」
　夏彦は一旦、秀美との行為を中断し、めぐみの肩をやさしく包んだ。
「ばか、ばか……あたしには勝てないよ……」
　夏彦の胸を叩き、怒りをぶちまけながら幼児のように胸の中で泣いた。
「そうか、でも今のめぐみが変わらなきゃいつまでも旦那さんの下で堪えつづけないといけないんだよ。子どもたちのためにも変わるんだ」
「変われない……」
「変われるはずだ、自分を信じるんだ」
　夏彦はめぐみを起こすと顔を正面から真剣な顔で見た。めぐみは思い詰めて耐え切れず、夏彦に挑みかかって倒れ込むと夏彦の顔に自分の秘部が来るような格好にし、上から見下ろすように尋ねた。
「どうすればいいの？」
「オナニーをしてみるんだ」
　めぐみはゆっくりと秘部に手をあてがい人差し指と中指を第２関節まで挿入するとクチュクチュとかき回すようにまわしてゆく。すでに潤っている部分から溢れだした愛液が飛沫となって夏彦の顔に降り注ぐ。
「あっ、いい、ああ……」
「もっと、もっと嫌らしいめぐみを見せてみるんだ」
　さらに高速に指をまわし、もう一方の手で勃起してきた陰核をなだめるようにこねくりまわす。音が大きくなり、秘部はパクパクとおぼれかけの魚のように収縮する。
「いっ、あっ、い、いくっ」
「そうだ、いってみろ」
「い、いいっ、ああっ、いいっ、ああっ、いくっ、いくうう」
　エクスタシーが近づき、ふいに尿意のようなものを覚えたが構わず本能のままに秘部をかき回した。液体がシュッシュッと噴出し夏彦の顔にかかる。
　次の瞬間、力が抜けて夏彦の顔に倒れかかった。秘部からはまだ液体が温かく吹き出て夏彦の顔を濡らしてゆく。そんなめぐみを横にどかせると、怒張をめぐみの秘部にあてがった。
　難なく挿入され、夏彦は強く腰を動かす。
「ああっ、夏彦……」
「いいぞ、めぐみ、とても嫌らしかったよ」
「やったわ、やった」
「今ぼくは思いきり君を感じている」
「いいっ、ああっ……」
　腰が強く鋭く秘部に当たり、ペシャンという水気を帯びた音を腰が当たるたびに響かせている。腰の当たるスピードが増し、お互いの手が存在を確認し合う。
「いいっ、いくよ、いくよ、めぐみ」
「きて、お願い、欲しいっ」
「ううっ、我慢できないっ」
「だめ、中に欲しいの！」
　めぐみは夏彦が腰を浮かせて秘部から抜こうとするタイミングに合わせるように腰に足をまわして強制的に中に出させるようにした。
　夏彦は一瞬とまどったが、すぐに冷静を取り戻し、中に向けて思い切り出した。熱いたぎりが断続的に子宮を満たしてゆくのを感じ、めぐみは夏彦に抱きついた。

「ごめんなさい……分かってるの。こういうことはしちゃだめなんだって。でも、どうしても……もしできたらあたしが育てる。絶対に夏彦の邪魔にならないようにするから」
「……それがめぐみの選択肢ならしょうがない。ぼくは子どもに対して責任を持てない。それは分かってくれるね」
「うん、絶対に夏彦には迷惑かけない。ごめんなさい、どうしても欲しかったの……」
　めぐみにとって夏彦の精を受け入れたことは夫への決別でもあった。新たな生活を始めるために、最後の出産としての自分を確認するために、夏彦との間にどうしても必要だった。
　めぐみは情けないほど泣いていた。シャワーを浴びているときも、別荘をあとにするときもずっと泣いていた。夏彦はそんなめぐみをただ優しく笑って見守ってくれる。