秀美は手首に食い込むレザーの感触に現実に引き戻された。
　両手首にレザー手錠が施され、上から鎖で吊るされていた。足にもレザーの足枷がつけられ、鎖で支柱に結わえられている。
　ブラウスとミニスカートは外され、ブラジャーとパンティだけの格好だ。
　赤いブラジャーに赤いパンティ、情熱的な秀美の性格を顕著にあらわしている。
「ち、ちょっとなによ…」
　秀美は自分のあまりの破廉恥な姿に戸惑ってしまった。
「気がついたかい。」
　それはいつもの夏彦ではなかった。サングラスをかけ、シルクのバスローブをまとった夏彦は、スーツのときとは違う悪意のある人相である。
「夏彦さん、これどういうこと！」
　秀美は夏彦をにらみつけた。
「ここは屋敷の地下室でね。ぼくの秘密の場所なんだ。…君はこれから僕の言うなりになるしかないんだよ。」
「どうして…どうしてこんな仕打ち…」
　秀美は恨めしそうに訊いた。
　夏彦はリクライニング・チェアに腰掛け、バージニア・スリムに火を点ける。
「…君には自分で思い当たることはないかい？…たとえば、僕が少し留守していた間に自分の股間を触るような…」
「いやっ！」
　秀美は、どうやら夕食後の部屋での自慰を思い出したようだ。
「どうして君はそんなにいやらしいんだい？」
「……」
「ぼくはね、君の潜在的マゾヒズムにすでに気付いていたんだよ。君は自分では気付いていないだろうと思うけど、通常の性行為に満足できるタイプじゃない。…君のどん欲な出世欲と一緒で、性に関しても逸脱したものに刺激を感じるタイプだ。」
秀美は的確に自分の性癖を指摘され、返す言葉もなかった。
　確かに通常のセックスで満足したことはない。今まで付き合ってきた男たちも性的には自分を満足させることはできなかった。
「私をどうしようというの？」
　秀美は観念して答えた。
「ぼく好みのマゾ奴隷にする。…ただし、ぼくは君が好きなんだよ。単なる上位下達の主従関係でなく、ぼくの求めるものを君は出すんだ。ぼくは君の求めるものをすべて与えよう。…未知の快楽への招待状だよ。」
「こわいわ…あたし…」
　夏彦はバージニア・スリムを消して、秀美に近づく。
　真っ赤なブラジャーを外し、秀美の前にちらつかせる。
「どんな匂いがする？」
「……」
「香水の匂いだね。…これは自分の匂いに自信を持てないからつけているんだね。人様の前ではよくてもぼくの前では自然の君の生の匂いのままでいてくれ。」
　夏彦はあらわになった秀美のおっぱいを手で軽く愛撫する。
「あふぅ〜ん…」
「どうしたんだ。…気持ちがいいのか？」
「…ああ…気持ちいいわ。夏彦さん。」
　夏彦はおっぱいから首筋、背中、腰、太腿と流れるような愛撫を繰り広げる。
　そのたびに秀美は身をくねらせ、目をトロンとさせ、唇を緩ませる。
「ああ〜…すごく気持ちいいわ。夏彦さん。」
　夏彦の手が真っ赤なパンティの秘部を捕らえた。
「ん？…少し湿っているけど…」
「だめ…そこ触っちゃ、だめ。」
　夏彦はしゃがみ、パンティの濡れ具合を観察する。
「秀美、股を開いて、腰を突き出してごらん。」
「やだ…そんな恥ずかしいこと…」
「ぼくの言うことがきけないのかい。…開きなさいと言っているんだ。」
　秀美はしばらく躊躇していたが、観念して少しづつ股を開いていった。
「次は腰を突き出すんだ。」
「いや…できないよ。そんなこと…」
「やりなさい。」
　夏彦に言われ、渋々、秀美は腰を突き出していった。
　秀美のパンティの秘部はさっきよりも大きな染みを作っていた。パンティから愛液が染み出し、赤いパンティに黒い跡を残す。
「秀美、どうしてこんなに濡れているんだ？…感じてしまったのか？」
「いや…しらない。そんなこと…」
　夏彦は秀美の染みの部分を指の腹でこねまわした。
「あああ〜っ…やめて、夏彦さん…」
「正直に答えるんだ。」
「だめ…いや…あああ〜っ…」
　既に夏彦の手は染み出した愛液でベトベトだった。
　秀美のパンティは愛液の染みがおしっこを漏らしたように大きく広がっていた。
「あああ…いやあ…ああ…」
「ぼくの質問にまだ答えていないよ。」
「…感じちゃいました。…秀美、感じてしまったの。」
「そうかい…正直でいいじゃないか。」
　秀美は横を向いて、真っ赤な顔をしている。
「で、どこが感じたのか言ってごらん。」
「夏彦さんのイジワル…」
「言えないのなら、ぼくが感じるところを探してあげよう。」
　夏彦は道具箱からパール・ローターを持ち出してきた。
「いや…変態…」
「秀美、変態という言葉は常識の範囲で生活している一般人が使う言葉だよ。ぼくたちのように常識の範囲に捕らわれないエリートには似合わないな。…変態というのはむしろエリートに与えられた特権なんだ。君は大いに変態になってくれ。…ぼくも君に負けないくらい変態だしね。」
　秀美は夏彦が怖くなった。夏彦には説得力がある。このままでは官能の世界に自分が引き込まれてしまうんじゃないかと不安が強くなる。
「腰を突き出すんだ。」
　夏彦の命令で秀美は腰を突き出す。
　夏彦は秀美のパンティに手を入れ、小陰唇を広げ、そこにローターを挟みこんだ。そしてまたパンティを戻す。ローターの部分を押して、クリトリス、尿道に直接ローターの刺激が行くようにした。
「いや…夏彦さん…あたし恥ずかしいわ。」
「どこが気持ちいいのか詳しく話してごらん。」
　夏彦はそういうとローターのスイッチを入れた。
「いや…あああああ〜…いやあああ〜っ…」
　ブーンという音とともに、物凄い快感が秀美のデリケートゾーンに直接来た。
　秀美は我慢ができず、思わず腰を引いて、股をＸ脚にしてしまった。
「秀美、何をしているんだ。ぼくがいつ、腰を引いていいと言った。」
　夏彦は怒って、秀美を見た。
「だって…あたし…それ気持ち良過ぎて…」
　秀美は言い訳した。すごい快感のため、とっさに身を引いてしまったのだ。
「気持ち良過ぎても我慢するんだ。そして、どこが気持ちいいのかはっきりと言うんだ。」
　夏彦はそういうと秀美のお尻を前に押し出し、腰を前に突き出させる。そして、もう一度さっきのようにローターをセットした。
「あ、あたし、こわい…」
　秀美は言った。