シャワーで綺麗に洗われ、真綿のようなバスタオルで拭われ、温室のベッドルームに寝かされた。何回、エクスタシーを迎えたのだろう。数えることもできないほど、朦朧とした頭で、ぐったりと横になっていた。
「十分に気をやって、さぞ満足だろう」
「……」
　とろんと恍惚に満ちた目を向け、かすかに頷く。化粧は取れているが、もとが美人なので、化けることはない。むしろ、化粧を落とした方が、少女らしさが出て、美しい。
「汚い言葉を遣い、人を欺き続けたリカとは別人のようだ。君は今が一番綺麗だよ。その方が人からも愛され、結局は金を奪いに奔走しなくても、自然と金が舞い込むものさ」
　夏彦はこめかみに軽くキスをすると、髪を手ですいて、優しく撫でる。リカの心には異変が起きていた。心がジーンと熱くなってくる。今まで感じたことのない感情……損得勘定を超越した感情。うわべだけの恋に明け暮れていた自分が悲しくなってくる。涙がツーッと頬を伝った。
「なんだ、泣いているのか？」
「秀美さんて人が羨ましいわ……」
　夏彦はリカの傍に顔を近づけ、涙を手ですくいとると唇に含む。
「甘い味がする……秀美の涙もチョコレートのように甘かった。彼女がそんなに気になるのか？」
「愛されてたのね。すごく……」
「ああ、この世で一番愛してるな。彼女はぼくの愛を受け止めるだけでなく、自分から愛を放ち、ぼくに受け止めさせようとする。初めてだよ……受け止めきれなかった。ぼくがどんなに彼女を愛しても、彼女がぼくを思う気持ちにはかなわないと思うな」
「いいわね。あたしにはいないもの……」
　夏彦の唇が触れてきた。所詮、秀美にはかなわないが、自分なりに夏彦を愛してみよう。そうすれば、幸せな気持ちになれる。少なくとも今までよりも幸せな気持ちになれる。
　かなりの時間、キスをしていた。お互いの身体を探り合い、身体の感触を求め合った。　リカにとってこれだけ、キスに時間を費やしたのは初めてだ。たいがい、１分ほどで終わり、性器を乱暴に愛撫され、挿入という段取りだった。男は結局、突っ込みたいだけなんだというのが、今までの考えであったが、夏彦を見ていると突っ込むこと以上に気持ちを大切にしている感じが、ひしひしと感じられてくる。なんだか自分が醜く思えてきた。
　夏彦の手が乳房を柔らかく包み込み、乳首を指先でクルクルと回した。
「ああ……あっ、気持ちいい……」
「リカのおっぱいは綺麗な形だね」
「うん……なんだか、恥ずかしい」
　気持ちいいか、え、などと自分の愛撫を自慢してきた男は腐るほどいたが、形を誉めてくれたのは夏彦が初めてだ。何かが違う、彼といると優しい自分になれる気がする。
「気持ちいいわ……すごく……」
　夏彦の手が下へ下がってゆき、秘部の茂みの中に入り、クリトリスを捕らえた。
「あっ、そこ……ああ……」
　優しく皮を剥き、痛くならないように、周りを軽くなぞる。
「ああ、いっっあぅ、はぁぁ……」
「気持ちいい？」
「うっ、うん、いい……いい、あっ……」
　夏彦の唇が耳たぶを捕らえ、耳の裏に熱い吐息を送る。
「柔らかいよ、リカの耳……」
「それ気持ちいいよ。夏彦さんて変わってる……」
「ぼくはリカの身体を全身で感じたいだけだよ」
「じゃ、あたしも全身で応えるよ」
　クリトリスに触れていた指がニュルンと腟穴に侵入した。
「あっ、ああ……いっ……」
「これ、こういうの」
　夏彦の指が鉤型に曲がり、Ｇ−スポットを捕らえる。指でこすりつけるようにして、恥骨の裏側を触る感じになる。
「あっ、いい、ああ……はぁぁ……」
　親指で飛び出たクリトリスをコロコロ転がす。
「あっ、うぅん……いい、あっ、いい……」
「キスして、キス」
　夏彦の求めに応じ、リカは夢中でキスした。快感が頭を突き抜け、痺れるような感覚が襲うとともに、キスの甘い感覚が襲ってきて、なんとも不思議な気持ちだ。
　クリトリスを刺激する指が素早さを増し、中をグゥーッと恥骨の裏を押すようにする。「あっ、だめ、ああっ、いっちゃう……」
「いっ、いい、いくっ、いくぅぅっ……」
　ポンと腰が跳ねたような感覚があり、突き抜ける快感が一気に襲い、あそこの奥がパァーッと弾ける感覚とともに、絶頂へと駆け昇った。

　目を開けると、夏彦がそばで優しい顔をしながら、髪を撫であげていた。うっとりと夏彦を見つめていたが、たまらなくなり抱き付く。
「欲しい、欲しいの」
「……分かったよ」
　思ってもいない行動だった。リカはなぜ抱きついたのか説明がつかない。ただ、夏彦を全身で感じたかった。今までのされるがままのセックスから、求めるセックスへと変わってきている。
　したい、という感覚は、単なる夏彦の優しさへの甘えから来ているものではない。奥にある深い心、自分がどんなに落ちぶれても、オブラートのように包んでくれる心の広さ。夏彦にはそれが感じられる。心に溜まった思いを吐き出したら、抱きついてしまった。
　手でゆっくりとリカの股を膝を開いてゆく。茂みがヌラヌラと光りながら顔を出し、まだヒクヒクとおま○こは息づいている。
　男根を握り、おま○こにあてがう。亀頭が触れると、潤ったそこは貪欲に中に吸引していこうとする。
「いいかい」
「うん、入れて」
　腰が前に突き出されると、何の抵抗もなく呑まれ、根元までしっかり繋がった。
「あっ、あああ、いい……」
「入ったよ、リカ」
「キスして、夏彦さん……」
　夏彦はキスをしながら、腰を前後させる。リカもそれに応えるように、舌を吸い、腰を夏彦の動きに合わせて動かす。
「気持ちいいよ、リカ」
「ああ、すごい、ああ……うっっくぅ……」
　腰は滑らかに、それでいて、押し出すときは力強く、中をまんべんなく行き来するような使いかたで、リカの反応もそれに合わせて、声が弾んでゆく。
「うっ、ああ、気持ちいい……もっと、ああ……」
　手でおっぱいを揉みしだきながら、目を見つめる。
「リカ、ぼくの目を見て」
「ああ、ああっ……」
　お互いの目を見つめあいながら、繋がり合って、腰を動かしている。
「うんと嫌らしくなっていいよ」
「ああ、オチンチン、入ってる……リカのあそこに入ってる……」
　そういうと夏彦にキスをまたせがむ。それに応えて、涎がシーツに染みるほど、延々とキスを交わす。
　リカの手を取ると、繋がっている部分へ導き、確認させる。リカは愛液でヌラヌラしながら出入りする男根を最初触っていたが、気持ちが高ぶったのか、クリトリスを指で揉みだした。
「はぁぁ……ああっ、いい、ああぁぁ……」
「ぼく、気持ちいいよ」
「ああっ、あたしも、はじめて……こんなにいいの……」
　嘘ではなかった。今までは犯されている感覚はあったものの、セックスしている実感はなかった。ただ太いものがおま○この中で、動いてるだけ。それが今はセックスという行為が、しっかりと感じられる。恥ずかしいし、気持ちいいし、嬉しい、複雑だが、気持ちが一体になったような感じ。
「いい……ああ……んあぁうぁぁ……」
「そろそろいきそうだよ」
「きて、きてぇ……」
　夏彦の腰の動きが一段と速くなり、パンパンと肌が接触する音とともに、リカの喘ぎも速くなる。
「ああっ、ああ、気持ちいい、あっ……ああ……」
「いくよ、いくよリカ」
「うん、ああ……いきそう、あたしもいきそう……」
「だめだ、リカ」
「ああ……いっしょにいって……ああ……」
「あっ、ああぁぁぁ」
　夏彦は男根を抜くと、リカの顔に向けて、我慢の限りを尽くした後、射精した。
　ピュッと勢いのいい初精を皮切りに残精が顔に降りかかり、リカの顔にかかる。
「夏彦さん、あたし中でして欲しかった」
「……リカ、秀美と同じくらいまでになったら、そうするよ」
　顔の精子を拭うと、リカは夏彦をベッドに押し倒し、まだ半勃起状態の男根を口に咥えて、ペロペロ舐める。
「リカ……」
「きれいにしてあげるよ」
　温室の植物がサワサワ揺れ、どこからともなく水の音が聞こえてくる。まるで永遠に続くかと思われる音色を奏でていた。