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【 宅配便は二度ベルを鳴らす・③ 】*** 三話完結 ***
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～あらすじ～
３６歳の独身男・伏見一雄は通勤電車内の痴漢の冤罪で検挙・逮捕された。冤罪をでっちあげたのは２７歳の独身女性・三栗日登美(めぐりひとみ)であった。日登美は痴漢の冤罪をでっちあげた上で告訴を取り下げる示談金目当てで詐欺をするという、今の時代の新手(あらて)のビジネスを生業の一部としていた。昼間の正業に就けずに夜にバーのホステスをするような人種である。
伏見一雄は示談金の支払いを拒絶しただけでなく検察とまっこうから勝負して無罪を勝ち取ったが、その係争期間中に伏見を待っていたものは会社からの解雇通告であった。世の無情を痛感した伏見であったが、とにかくもメシは喰わねばなるまい…。場つなぎ的に「白猫ヤマトの宅急便」のアルバイト・ドライバーとして勤務することになった。
伏見は日登美に関しては恨みを持っていなかった。というより、復讐しようにも証拠もないし復讐が成功したところで元の会社には戻れないのである…。そして、根っからの実直・努力肌の伏見を評価した「白猫ヤマトの宅急便」は彼を正社員にして現場指導者として厚遇してやった。伏見はそういう会社の期待と誠意に答えるべく日々汗を流して勤務に精進していた…。
そんなある日…。
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１１．【 第三の宅配業者がベルを鳴らした… 】
日登美に一つだけ幸いしたのは、桂川の強姦の最中は、ブランデーである程度酔っていたことである。そのほうが、絶望感もシラフの時よりも軽いのではないだろうか…。
いや、そう考えるしか、今の瞬間の日登美には救いの道はない。日登美はこの日二度目のシャワーを使った。シャワーノズルで膣内が痛くなるくらい湯を直噴して狂ったように洗いまくった。
シャワールームを出ると、またもや、ブランデーに手をつけた。
だが、しかし、何がとうなっているのか、どうして自分がこういう目に合うのかは到底理解できないでいる日登美である。並みの人間の精神構造ならばその筈だ。それを無理に結論や理由を探そうとすれば精神分裂になったり被害妄想や誇大妄想のような事になってしまい、恐ろしい別世界に踏み込んでしまうかもしれないのだ…。
実は、日登美の夫・一明の会社は業態多角化の為に宅配業社の純大手である、フラメンコという鳥をキャラクターにした"月通"という会社と業務提携したばかりであった。「フラメンコ便の月通」という会社だ。その提携の一環として一明の会社の社員と月通の社員がお互いの職場経験を積んで相互理解を図るという現場教育のようなものを始めた。
そして、一明は二日間だけ「フラメンコ便の月通」の配達用制服を着用して通勤するという（社員にとっては）はなはだ迷惑な職場経験をやらされる日になった。"この日"一明は朝着用して出かけたスーツは会社のロッカーに置いて、「フラメンコ便の月通」の配達用制服を着て帰宅するはめになったのだ…。
で、「フラメンコ便の月通」配達用制服とは関係無い話で、一明は日登美の特別な夜を演出する為に駅前の花屋でバラの花束を予約していた。バラの花束を妻に手渡して、ムード満点の夜にしよう、という一明のアイデアである。時間通りに業務を終えた一明は「フラメンコ便の月通」のユニホームに着替えて通勤電車に乗って家路についた。駅前の花屋で予約しておいた花束を受け取って徒歩で日登美が待つ家に向かう。
一明は遊び心なのか、家の鍵を自分で開けて「ただいま！」とはやらなかった。
「フラメンコ便の月通」のユニホームを着ていて花束も持っているのだから、宅配業社を装って日登美に花束を渡すという遊びを思いついたのだ。一明は家に着いてドアホンを鳴らした…。ユニホームの帽子も日登美に表情がバレないように深くかぶった。"ピンポーン"…。
日登美はとうとうブランデーを丸一本近く飲んでいた。完全に酔っていたのだ。
「はい、どなた様でしょう？」
「こんばんは！フラメンコ便の月通です。白川日登美さんに花束のお届けものです！サインお願いします！」
日登美は酔っ払ってはいたが、身構えた。そして被害妄想気味になっていた。
玄関まで行き防犯レンズで確かめた。確かにフラメンコ便の月通のユニホームだし、花束も"男"は持っている…。が、男は帽子を深くかぶっていて表情が見えないのだ…。再び、ドアホンの位置まで戻り配達員に聞いた。
「荷送り主は誰ですか？」
ただの遊びのつもりの一明はそういう応酬話法は用意してなかった…。
「…」
日登美は益々怪しいと思って台所から刃渡り２０センチの文化包丁を手にして、後ろ手で持った。そして、玄関のドアを開けた。開けたとたん"男"は花束を持ったまま「日登美、愛してる！」と告げて、いきなり日登美に抱きついたのだ。深く抱きついて来て帽子もそのままだから"男"を夫とは日登美は思わなかった…。それに、荷送り主も言わないし、受け取りサインも要求しない。ブランデーを丸一本近く飲み被害妄想気味の日登美には強姦魔にしか思えなかったのだ…。
"男"は抱きしめたまま離れない。それどころか、日登美の尻を撫ではじめた。日登美は腹を刺すつもりだったが、こうなったら背中を刺すしかない…。後ろ手にして握った文化包丁を"男"の背にもっていき「強姦魔っ！死ねっ！」と背中から腹を目掛けてブツリと刺した…。
"男"は突然の激痛で花束も放り投げて、悲鳴を上げて包丁が刺さったまま背中に手を回した…。帽子は脱げ落ちて、当然、"男"は夫・一明であることが日登美に分った…。
「ひ、日登美…。お、お前…」
と一明は廊下に倒れ込んだ。
「キャーアアああ…。だ、誰か来てぇ～！」
玄関のドアは開けたままになっていたから、日登美の悲鳴はすぐに数軒の住人が聞きつけて数人の男が駆けつけた…。その内の一人が１１９番通報して一明は救急車で病院に運ばれて、日登美は救急車が去った後に直ぐ来たパトカーの警官に任意同行を求められ警察署へと去った。
自分が強姦して、自分の部屋に戻った後もずっと望遠鏡とウェブカメラで白川宅を観察していた桂川は日登美が警察に連行されたのを目の当たりに見て蒼ざめていた。一明が救急車で運ばれるような大事件に発展したからではなく、日登美が警察に事情を聞かれたら素性を日登美に知られている桂川は逮捕されるのである…。
いや、夫を包丁で刺すという異常行為に至る説明を求められたら、日登美は二度の強姦事件の話をするであろう…。
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１２．【 淡路善治の悪事発覚 】
任意同行を求められた日登美は、その夜は結局は大した事情も説明することなく、留置場に身柄を移された。日登美の話は大筋では刑事は納得したが、話が突飛過ぎるのとブランデーで酩酊状態であって、日登美は事情を話している途中で居眠りを始めてしまったのだ！まあ、警察としては夫に殺意を持っていないという事だけは理解したようである。翌朝、留置場で目覚めた日登美はコンビニのサンドイッチを紅茶を提供されてそれを平らげて再度事情を刑事に聞かれた。
日登美としては、夫が気がかりで仕方無かったから、刑事としては下手な芝居を打った…。
「ご主人は、医師の懸命の努力にも関わらず、失血多量で先ほど亡くなりました」と嘘をついた。（実際の傷は浅く、全治３週間くらいの刺し傷でしかなかった）
一明死去を知らせれた日登美はその場で号泣した。しかし、いつまでも泣いてるわけにもいかない。日登美は観念して強姦の事を全て話す決心をした。警察は任意同行から殺人未遂の疑いで日登美をその場で逮捕する。
日登美としては、夫・一明がこの世にいなくなった今は、もう自分に"守るもの"や"隠すもの"は全てなくなった…。守るものとは、強姦陵辱を受けた汚れた身体になったという秘密であり、隠すものとは、痴漢冤罪事件の実行グループの一員であるという事実である。全て正直に説明しないと、殺人犯になってしまうのだ。
警察が重大な関心を示したのは"痴漢冤罪事件"のほうだ。他人の女房がどれだけ汚いカラダにされようが刑事にとってはなんの関心もない。しかし、痴漢冤罪事件の一員というからには他にも実行グループがいるのだ。こちらを調べないといけないのだ！
そして、刑事は巧みに事情を聞き出した。「警察は、決してあなたが殺人を冒すような人間には見ていない。それなりの理由があって追い詰められて、突発的に起こった刺殺事故と思ってます。しかし、その為には"それなりの理由"を全てお話しして頂かなくては納得できないのは、あなたが一番ご存知ですよね？」とやった。
無論、日登美は理解して"痴漢冤罪事件"の構図を全て話した。
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昨年と今年で、合計１７回の鉄道車輌内の主として通勤時間帯に痴漢冤罪をでっちあげました。目的は告訴取り下げとの引換えの示談金(一律１件150万円)を搾取すること。そして、実際１４件の示談金送金がありました。搾取した金の取り分比率は、私が５割、目撃証言役の三嶋明美が１割、ターゲット選択と示談交渉役の弁護士・淡路善治が４割です。計画内容は淡路が示談交渉に応じそうなターゲットを見つけて私と明美に指示して、ターゲットと同じ車輌に乗り込み、私が痴漢者を告発して明美が目撃証言をするんです。ターゲットが刑事の強い取り調べを受けて弱気になったところを、淡路が示談を提案するという段取りでした。
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日登美の話を聞き終えて、刑事はビックリした！示談金の高額さや、搾取された男の件数の多さでにではない！このグループの役回りの中で一番危険な日登美が５割しか貰ってないことである。逆に言えば、ほとんど何もしない弁護士・淡路善治が４割も取っていたことである！
「白川さん…。あんた、(自分の)取り分が少ないと思わなかったの？…」
「はい。３回目くらいからは思うようになりました。でも、取り分よりも、こんなこと自体を止めたいと淡路に何度もいいました…」
「淡路はあなたにカラダの関係も要求して、抜け駆けできない状態を作ったわけですな…(苦笑)」
「は、はい…」
刑事は取り調べの会話中に、淡路だの三嶋明美だのの新人物が登場するたびに逐一他のスタッフに実存する人物かどうかを照会させた。そして、刑事の取調べの最中に逐一(日登美の)話の裏が取れていくのである！こんなこと(取り調べ)は滅多にない。大抵の容疑者はどこか嘘をつく。だが、日登美の証言は(今のところは)１００％真実なのだ。こうなると、刑事だって人の子でである。日登美への心象は良くなるのだ…。警察としては"痴漢冤罪事件"の件の対処は完全にできた。淡路と明美の現在位置も分ったから夕方には任意同行を求めるという。次は輪姦と強姦事件のほうだ。
「で、奥さん。聞きにくい話ですが…。あなたが輪姦と強姦をされたという話です…」
「は、はい…」
この話は明快であった。朝一番でやってきた「白猫ヤマト」三人組の輪姦のほうの男達は初対面だし、どこの誰かも分らないが、二度目の「コンドルーの東濃運輸」のほうは名前も陵辱内容も全て明確に日登美は供述した。
警察は、コンドルーの東濃運輸に桂川大介のことを問い合わせしたところ、只今配達中ということであった。昼食時に東濃運輸営業所に戻った桂川大介に白川日登美強姦の件で任意同行を求めたところ、桂川は逃亡しようとしたので公務執行妨害で現行犯逮捕した。さらに、署で事情を桂川に聞いたら大筋で日登美強姦を認めたから強姦の容疑に切り替えて再逮捕した。無論、逮捕直後に桂川の家宅捜索もして、証拠物件はすべて揃ったのだ…。
（但し、ベランダ撮影の"白猫ヤマト"の輪姦ＤＶＤは、この日の朝一番に白川日登美に郵便で送付済であった為、家宅捜索では発見できなかった。無論、日登美を脅す為に送ったのだ）⇒（そして、"白猫ヤマト"輪姦グループは告発を免れ、白川日登美自身にも奇想天外なドラマの幕切れを演出するキーポイントとなるのだ…）
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１２．【 事件解決 】
その日の夕方。淡路は自分の弁護士事務所で、三嶋明美は勤務先会社の帰り際にそれぞれ警察に任意同行を求められて素直に応じた。"痴漢冤罪事件"に関する淡路善治、三嶋明美の罪は三栗日登美が証拠物件として自分から提出した銀行の入金と送金明細が決定的な証拠となり最早言い逃れできないものとなった。しかし、淡路善治は罪の軽減を目的に「主犯は三栗日登美であり、私はもあくまで共犯者に過ぎません」と主張したが、こんな言い逃れは通用する筈が無い。加えて、日登美が結婚後も無理矢理に肉体関係を迫った事から(退院した)日登美の夫から不倫行為に対して民事で賠償請求を起こされることになる。
この一連の事件は「連続痴漢冤罪・示談金詐欺事件」としてマスコミでも報道され、白川と三嶋は共犯者Ａ、Ｂとして実名は報道され無かった。だが、淡路善治は弁護士としては本来はやってはならない犯罪だけに、実名は勿論のこと顔写真をテレビで多くの時間で報道されたり、逮捕瞬間の動画を含めた報道特番まで登場した…。そして、桂川大介は、宅配業社を装った家宅不法侵入よる婦女暴行魔として実名と顔写真がテレビと新聞で報道された。
（被害者のプライバシー保護の為、日登美の名前はここでも出ていない）
さあ。
このテレビ報道をみて、桂川、一乗寺、福井の三人は困惑した…。
練りに練った淡路善治への復讐計画を明日に発動させる予定でいたからである。
しかし、考えてみたら、こんな危ない橋は渡らないに越したことはない。かえって警察の手で淡路善治を征伐してくれて助かったのだ。ただ、淡路善治からは金を巻き上げる事は不可能になってしまった。つまり、伏見が約束した１５０万円は一乗寺、福井は手に出来ないし、伏見自身も探偵屋に払った１００万円も戻らないのだ…。
だが、そんな事は三人ともどうでも良かったのだ。そういう話を小料理屋の狭い座敷で日本酒を酌み交わしながら談笑していたところに、「連続痴漢冤罪示談金詐欺事件」担当の刑事が聞き込みにやってきたのだ…。三人は身構えた。刑事は示談金詐欺の話はそこそこにして、○月▽日の８：００～１１：００はどこで何をされてましたか？と聞くのだ。この日・時間帯は言うまでもなく日登美を三人で輪姦していた。
が、予め確かなアリバイを作っておいたから三人は助かった。
刑事は三人のアリバイを聞くと、それ以上はアリバイについては聞かなかった。
日登美自身が（不思議な事に）三人の輪姦については被害届を出していないのだ…。
「分りました。ご歓談中、大変お邪魔致しました」と頭を下げて刑事は去った。
結果的に、
●「連続痴漢冤罪・示談金詐欺事件」は、淡路善治のみが求刑・懲役２年の実刑。（弁護士資格剥奪）
白川日登美、三嶋明美は、淡路善治に強制的に加担させられたとして情状酌量となり、再犯の可能性もないと判断され書類送検のみで済んだ。
●「○月▽日AM8:30～・白猫ヤマトの白川日登美輪姦事件」は、白川日登美自身の記憶が曖昧なことと、白川日登美自身が被害届けを出さなかったので一切は不問(つまり事件はなかった)とされた。
●「○月▽日AM11:00～・コンドルー東濃の白川日登美強姦事件」は、桂川大介は計画的犯罪も加味されて求刑・懲役５年の実刑。
となった。（その後）淡路、桂川両名とも上告して争ったが、棄却されて刑は確定することになる。
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１３．【 伏見一郎、愛の奴隷となる… 】
それから…、三ヶ月後のある日。
白猫ヤマト宅急便・菊名営業所に一人の女が訪ねてきた。
伏見一郎は菊名営業所の所長に昇進していた…。訪ねてきた女はなんと、白川日登美である。
全て事件は解決・精算済との思いがあったから、伏見は日登美を(自分とは無関係の)一般の女を見るように品定めする目で見た。バストは大きいし、スタイルもいいし、顔の造作も自分好みだし上級美人の部類に入る。これで伏見の好きなショートヘアだったら言うことはない。独身の身分である伏見は、「こういう人妻なら付き合いたいな」とその場で思ったくらいである…。
しかし、自分を目当てに訪ねてこられたことには、勿論、伏見はひそかにビックリした。伏見はあわてて所長室に日登美を通した。「はじめまして…」と名刺を渡そうとしたが、名刺は受取らないで日登美は冷静な面持ちで口を開いた。
「伏見一郎さんですね。ご無沙汰しております」
（フルネームで呼ばれた。自分が輪姦犯であることを、日登美は知っているのだ…）
自分の名前を知ってる筈がないのに…、しかも、ご無沙汰とは…。伏見は狼狽した。その表情を日登美は楽しそうに観察したあと、
「伏見さん。あなたを脅す為に来たのではありません…。受取って欲しいものがあって、そのお願いに参りました…」
「は、はあ…」
「ここに、３００万円あります。これは私の主人から預かってきましたの…」
「…」
「どうしました？お金、受取れませんか？」
「な、なんの為のお金ですか？…」
「そうよね！笑。あっ。それより…、伏見さんと、あとお二人の男性はお元気ですか？」
「あと"お二人の男性"…、って？…」
「伏見さんと一緒になって、私をレイプした二人の男性のことですよ！笑」
「あ、あなたは…、一体…」
「実は、この次の春、都議会議員の選挙に私の主人が立候補することになりました。ついては、伏見さんもご存知の通り、私の痴漢でっちあげで、苦しめた方々にお詫びをしてこいと、主人が言うんです…」
伏見としては信じられない事だが、こんな事がありえるのだろうか…。しかも、金まで持って来ている…。一体どうことだ？なんかのワナか？…。しかし、目の前の発言に返答せねばなるまい…。
「で、できた方ですね…。ご主人は…、それにあなたも…。し、しかし、私達はあなたを輪姦したんですよ！しかも、薬物で無抵抗のあなたを犯した…」
「ええ。知ってますよ！しかも避妊してくれないで…(笑)。あっ、まあ、その話はいいです。
私、主人の入院中に一人で色々考えたんです…。そして、伏見さんの事を最初に思い出したんです。東横線の電車内であなたを痴漢として訴えたこと。しかも、公衆の面前で…。だから、白猫さんの方々が私を輪姦した理由も理解しました、復讐なのだと…」
「だけど…、だからといって、許せますか？我々を…」
「簡単には無理でしたよ！笑。でもね、私がしでかした事で、伏見さん達は会社を解雇になったんでしょう。私が伏見さんの立場なら、三栗日登美をレイプだけじゃなくて殺してたかも知れませんもの…(笑)」
「そ、それは、本当のあなたの心境ですか？…」
「ええ。それが証拠に、痴漢冤罪になんの関係もない桂川大介のレイプについては、私は徹底的に戦いました…」
「わ、分りました。私のような凡人には、日登美さんのような崇高な心境になることは不可能ですが…。ところで、一つ教えて下さい…。痴漢冤罪の被害者の男達には全てこうやって頭を下げて謝って、お金を賠償されるわけですか…」
「いいえ」
「ど、どうしてです？ご主人の命令というか意向なんでしょう、それが？…。それに、あとの二人は示談金を払ったそうですが、私は払ってませんよ！一乗寺氏と福井氏にも謝罪して、お金も持っていくんですよね？」
「いいえ」
「はあ？なんか意味が分らなくなって来ましたが…」
日登美は愉快そうに笑ったうえで、日登美としての核心部分をはなした。
「そうですよね！笑。ちゃんと、説明しませんとね…(笑)。あの…、実は、合計１６回の冤罪被害に合わせてしまった人達は、全て、淡路か明美の持って来たターゲットだったんです。
勿論、その方々にも私は迷惑かけたことは確かです。が、明美と淡路は深い関係にあったんです。ですから、淡路か明美が迷惑をかけた方々に謝りに行って、自分の良心のもとに損害賠償もすればいいんです！それが、私の考え方です…。それで…。伏見さんだけは違うんです…。私が勝手にあなたを選んだんです…。御免なさい…」
「はあ？益々、意味が分らんです！一体なんのことですか？」
「ええ。恥かしい事を喋りますが、信じて下さいね。そして、主人にも誰にも言わないで下さい、伏見さん…」
「はあ、言いませんよ！」
「わたし、伏見さんを車内で見かけた時、無意識にあなたに近づいてたんです…。冤罪の被害にあわせる目的ではなくて、わたしの好みの理想のタイプの男性だったからです…。ですから、その日は"いつもの仕事"はやるつもりはありませんでした。伏見さんと触れ合う位置に私は移動して、電車が揺れて、あなたの肘や膝や腰がわたしのカラダに触れるたびにわたしは甘い陶酔感に浸っていました…。渋谷方面であなたの降りる駅までわたしは傍にいようと思ってたくらいです…。そして、どこかの急カーブで電車が大きく揺れた際に、わたしはバランスを失ってあなたに抱きついてしまったんです…。直ぐ離れれば良かったんですが尚もカーブが続いたことと、わたし自身の陶酔感を失いたくなくて、あなたに抱きついたままでした…」
「そ、そういえば…。そういうことがありましたね…」
「その時、近くにいた三嶋明美が"キャ～、痴漢！"と不意に叫んだんです。明美の声で周囲の乗客はわたしと伏見さんに注目しました。あとは…」
「ああ、そうでしたね…。屈強そうな学生三人に俺は有無を言わさず取り押さえられて、駅長室に連れていかれたんだ…。しかし、だったら、なんで、鉄道警察の前で俺は痴漢なんかしてないと言ってくれなかったんですか？」
「いえ。明美が先に目撃証言を始めたことと、淡路には逆らうことができなかったんです…。伏見さん、本当にご免なさい…」
「日登美さん。あなたを信じます…。よくそこまでお話をして下さいました。そして、済んでしまった事は俺はとやかく言いませんし、それにあなたへの復讐は輪姦という形で、すでに済んでます。ですから…、この３００万円は受取るわけにはいきません」
「それでは、わたしが困るんです…」
「な、なにがですか！」
「３００万を受取ってもらわないと、わたし、離婚されてしまいます…」
「だったら、領収書書きますよ、架空のを！私の名前もちゃんと自筆でいれますし。たがら、お金は持ってかえってください」
「は、はい…。では、伏見さん…。お金は受け取って下さらなくて結構です。その代わり、最後に一つだけお願いしたいことがあります…」
伏見も段々と感情的になってきた…。というより、日登美の今聞いた真意の奥に、もう一つ真意があるのではないかと思ったからだ。が、もうどうでもいいのだ…。だから苛立っているのだ。
「断わったら、どうしますか？」
「いえ、伏見さん。あなたは断わることなんかできませんよ…(にっこり)」
「な、なんで俺が断われないのよ？」
日登美はハンドバックからＤＶＤのプラスチックケースを取り出して、伏見の目の前のテーブルにパチリと置いた。
「なんです？これ…」
「伏見さん達にわたしが輪姦されたビデオです。レイプ犯の桂川大介が私を脅す為に撮影したものです」
「…」
「伏見さんが、私のお願いを聞いてくれなければ、これを警察に持っていって、あなた方三人を集団強姦で訴えます…」
伏見の思考回路の限界は超えた。一体日登美は何をしたいのか意味不明である…。金の要求では無いことは明白だ。しかし、もうこれ以上は未知の事を思考する力は脳にはない…。伏見は力がない"か細い声"で答えた。
「で…。なんですか？お願い事って…」
「わたしを抱いて下さい！しかも、"白猫ヤマトの宅急便"のユニホームで私をレイプするよう激しいセックスで犯してください。わたしのカラダはそうしないと感じないカラダになったの！」
「じゃ、じゃあ、一乗寺と福井も含めて三人で輪姦しろと？…」
「いいえ。そんなの嫌です。わたしは伏見一郎さん一人に抱いて欲しいんです！」
伏見は観念した…。さらに力がない病気の犬のような"か細い声"で答えた。
「わ、分りました…。で…、いつにしますか？」
「"いつにしますか？"でなくって、抱いて欲しい日は、わたしから連絡します(笑)」
「だ、抱いて欲しい日、って…。一回だけじゃないの？…」
「勿論よ(笑)。だって伏見さん、ＤＶＤ見たけど、伏見さん達は無抵抗のわたしに１０回も出したでしょう！だから、最低１０回はわたしを抱いてもらいます！笑。そのあとなら、伏見さんがお嫌でしたら、わたしから離れても結構よ、離れられるものなら…(笑)」
「…」
数日後、日登美からの連絡(要求)どおり、月曜日の午前８時２５分、伏見は白川宅のドアベルを鳴らした。そして、木製のキッチンテーブルの上で日登美を抱いた。
午前１０時になるまで、ぶっ通しの、抜かずの(ナマ)膣内射精を日登美は要求したのだ。
伏見は"白猫ヤマト"制服の上着着用を日登美に命令された。日登美自身は伏見達に輪姦された時の服装で、しかも、下半身だけ脱いでセックスをするパターンである。要するに、日登美は伏見達に輪姦された時と同じ設定でないとエクスタシーを感じない性癖になってしまっていたのだ！！
当時特定の交際女がいなかった伏見としては内心日登美の事を「こういう人妻なら付き合いたいな」と思ったくらいなのだから、避妊せずに日登美のような美人の人妻に溜まった精液を出させてもらえるのは有り難い話でもある…。
平均して２回、伏見の体調の良い時は３回、抜かずに日登美のナマ膣に放出した。伏見としては(お互い)合意でのセックスなのだから、キッチンの木製テーブル以外の場所であるソファやベッド、それに、マンションの外のラブホテルなどで「セックスをさせてくれ」と日登美に頼んだが日登美は断わった。一度、強引に日登美をソファに移動させて挿入しようとしたら「あのＤＶＤを警察に渡すわよ！」と本気で伏見を脅すのである…(笑)。
この奇妙なセックスパターンは、伏見からすれば奉仕的な性奴隷活動は、日登美の夫が都議選に当選して、翌春に夫婦揃って都内の住いに転居するまで（の、ほぼ毎・月曜日朝）続いたのであった…。
【 宅配便は二度ベルを鳴らす 】 完
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