SCENE 42

「妙子おばさん」
「なに？」
「叔父さんって、いつ帰って来んの？」
「あと三日くらいは無理みたいよ」
「三日かぁ‥‥」
　卓也が何を考えているのか見え見えだった。あと何日、一緒のベッドで眠れるのか気になってしょうがないのだ。
　朝食の用意をしながら妙子は可笑しくなってしまった。卓也の気持ちは分かる。でも、あまりに分かり易いので笑ってしまったのだ。
「ちぇ‥‥」
「笑って、ごめんなさいね。卓也君の気持ちはうれしいのよ」
「うん‥‥」
　卓也の気持ちは煮え切らないようだ。禁欲を強いられているのだから無理もない。
「ごめんね」
「いいよ。自分でも分かってるんだ」
「そうじゃなくって‥‥」
「えっ？」
「卓也君、我慢してるでしょ」
「うん‥‥でも、自分でも不思議なんだけど、前みたいにモヤモヤしてる感じがなくなったから大丈夫だよ。妙子おばさんと‥‥こうなってから、気分が楽だし、一緒にいられるだけでもうれしいんだ」
「わたしね‥‥卓也君のためだったら何でもしてあげるって決めたの」
「えっ？」
「してみたいことがあったらしてもいいし、教えてあげられることがあったら、なんでも教えてあげる」
「それって‥‥」
「言ったでしょ。お母さんの代わりは出来ないけど、お母さんにはできないことをしてあげたいの」
「ほんとに‥‥？」
「ええ‥‥」
「なんか、そう言われただけで満足‥‥」
「してみたいこと、ないの？」
「う〜ん‥‥だったら一緒にお風呂に入りたい」
「いいわよ」
　子供みたいな望みが微笑ましかった。出血は気になるけど大分収まってきた。タンポンを使えば大丈夫だろうと思った。
「ねえ、いつ？」
「いつでもいいわよ」
「じゃあ、いまから」
「朝ご飯が終わってからにしましょうよ」
「うん。いいよ」
　どのみち、卓也にせがまれることが分かっていた。口か手で処理してあげることになるだろう。後始末のことを考えるとバスルームは都合がいいと考える妙子だった。
　本音を言えば卓也に抱かれたい。あの熱く逞しいものが欲しいのだ。しかし、生の女を晒してしまうようで嫌だったし、生理中にするのは妙子の美意識が許さなかった。
「先に入っているから、呼んだら来てちょうだい」
　食事を終え、湯船にお湯を張ると妙子が言った。
「どして？」
「そんなこと聞かないの」
「ふぅん‥‥」
　血の痕跡を流しておきたかった。
　妙子はシャワーのノズルをジェットに調整して蜜壺を洗う。これから卓也が来ることを想うと疼いてきた。つい、必要のないクリトリスにまで水流をあててしまう。
（ああ‥‥我慢できるかしら‥‥）
　身体が敏感になっているのが分かる。
「卓也君。いいわよ」
　気を取り直した妙子は、ラインが分かってしまう服を着るとき以外は使わないタンポンを装着して卓也を呼んだ。
「きゃっ！　そんなに慌てないでも‥‥」
　服を脱いで待っていたらしく、裸になった卓也がダイニングから飛び出してきて、妙子に抱きついた。
「もう‥‥卓也君ったら‥‥洗ってあげるから、湯船に入って」
　このままだと愛し合う場所を変えただけになってしまう。たしかに最終的にはそうなるのだろうが、そのまま行為に入ってしまうのでは身も蓋もない。どうなってしまうか分からないが、せめて最初だけはイニシアチブを握っておきたい妙子だった。
「えっ、どうして？」
「一緒にお風呂に入りながら洗ってあげるから」
　見ると湯船の中は泡立っている。
「あ、なんかおしゃれ」
　卓也は興味津々といった感じで湯船に入る。
「あれ‥‥」
「どうしたの？」
「これ‥‥妙子おばさんの匂いだ‥‥」
「いや？」
「ううん、なんか気持ちいいや」
　妙子が湯船に入ってきて卓也の後ろへ座り、スポンジにバスソープをふくませて卓也の背中を洗いはじめた。
　妙子の匂いに包まれながら身体を洗ってもらっていると、なんだかウットリとした気分になってしまう。
　妙子は首筋から腰の下まで丁寧に洗う。きれい好きな性格もあるが、卓也に何かをしてあげたいという気持ちが大きい。
「こんどはこっち」
　妙子が前の方に手を回す。胸から腹部へ、そして、もっと下へ手をやると大きくなったものに触れた。
「うふふ。元気ね」
　妙子は思わず手のひらで撫でてしまう。
「だ、だめだよ‥‥もう、我慢できない‥‥」
　屹立はどんどん硬度を増していく。
　妙子のバストを背中で感じる。バスソープのおかげで背中を滑る感触に卓也はたまらなくなってしまった。
「じゃ、先にしてあげる」
　妙子は手のひらで屹立を包み込むようにして洗いはじめた。いや、愛撫と言った方が正確かもしれない。
「ううっ‥‥」
　卓也が呻く。
「き‥‥気持ちいいけど‥‥」
「どうしたの？」
「ここで出しちゃってもいいの？　もう、出ちゃいそうだよ‥‥」
「じゃあ、表に出る？」
「うん‥‥できれば‥‥昨日みたいに口でして欲しいんだ‥‥」
　湯船から出た卓也が言う。
「いいわよ」
　妙子は、卓也の股間の泡をシャワーで流した。そして、ひざまずいて顔を寄せる。
「あのさ‥‥」
「なあに」
「僕の上に跨ってくれる？　妙子おばさんのあそこを触っていたいんだ」
　タンポンを入れた秘部を見られるのには抵抗があった。が、さっき「何でもしてあげる」といった手前、断るわけにはいかない。妙子は無言で望み通りの格好になった。
　半ば開いた秘貝から出ている白い紙紐が進入禁止の印に思える。しかし、このアングルから見る秘部は恐ろしく蠱惑的だ。卓也は目の前に開かれた眺めを楽しみながら、手を伸ばし妙子のバストに触れる。バスソープのヌメリを利用して手のひらを滑らせる。下を向き紡錘状になったバストが手の中で弾ける。
「最高‥‥」
　卓也はそう言ったとき、妙子は屹立を口にふくんだ。卓也の愛撫に身体が反応しはじめていた。
（このままじゃ、わたしの方が先におかしくなっちゃう‥‥）
　すでに秘肉がジンジン熱くなってきている。タンポンを引き抜いて犯して欲しいとさえ思う。これ以上、卓也の好きにさせていたら、自分から求めてしまいそうだった。
　さすがに卓也も感じたらしく手の動きが散漫になる。やがて、胸から離れ、ヒップをゆるゆると触っている。
（やっぱ、指とか入れちゃまずいよなぁ‥‥でも、ここだけだったら‥‥）
　卓也はクリトリスを指の腹で撫でる。
「んっ‥‥んんっ‥‥」
　妙子が反応する。悶えるたびに、目の前にあるアヌスがヒクリと収縮し、ゆっくりと元に戻る。すごく卑猥な眺めだ。卓也は、空いた手の中指でアヌスの皺を撫でてみる。
「んんんっ‥‥」
　妙子は腰を振って逃れようとした。
　卓也が、その動きに合わせて指をあてがっていると、ボディソープのおかげか、ひょんな拍子でスルリと指先が入り込んでしまった。
「ああっ‥‥だめぇ‥‥」
　妙子は舐めるのをやめ叫んだ。そして、前にも増して腰を振る。卓也は負けじと手に力を入れる。その勢いで第二関節あたりまで指が入った。
「そ‥‥そこは‥‥だめ‥‥」
「どうして？」
「だって‥‥汚いから‥‥」
「妙子おばさんに汚いとこなんてないよ」
　最初から興味があってやったわけではないが、なぜか指を抜きたくなかった。アヌスがキュッと締まる感触が心地良いし、妙子のことならすべてを知りたい。
　それに、言葉では嫌がっているが本気で拒否している感じがしないのだ。
　試しに指を少し動かしてみる。
「や‥‥あん‥‥」
　やはり妙子の声は甘い。
「なんでも教えてくれるって言ったよね。ここも感じるの？」
　卓也はボディソープのヌメリを利用して指を回転させる。
「ああっ！」
　例えようのない妖しい感覚に妙子は喘いだ。アヌスがピリピリとして、全身にむずがゆさみたいな感覚が拡がる。蜜壺の奥が熱かった。
「感じるんだね？」
　妙子はガクガクとうなずいた。後ろの穴がこんなに感じるなんて知らなかったし、思いも寄らなかった。いままでの男性経験の中で触られたこともあったが、嫌悪感から拒否してきた。でも、卓也が望むなら何をされてもいいと思う妙子だった。
「た‥‥卓也くん‥‥そっと‥‥そっとよ‥‥こわいの‥‥」
「えっ‥‥こわいって？」
「そんなふうに、されたことないの」
「ほんと‥‥じゃ、やめようか？」
「い‥‥いいのよ‥‥卓也君がしてみたいなら‥‥好きなことしても‥‥」
「痛くない？」
「‥‥なんか‥‥変な感じ‥‥」
「じゃあ、やめるよ」
　卓也が指を引き抜く。
「ああんっ！」
　今まで経験したことのない妖しい感覚に妙子は喘ぐ。
　妙子のアヌスは、引き抜かれた指の太さそのままの大きさで口を開けていた。驚いたように、その光景を見つめる卓也。数秒後に、ゆっくりと元に戻った。
　卓也は無意識に中指を鼻に近づける。
「だめっ！　そんなことしちゃ、だめっ！」
　それに気がついた妙子は慌てて起きあがり、卓也の手を押さえ指を洗う。
「だめよ‥‥涙が出るくらい恥ずかしいんだから‥‥」
「ご‥‥ごめん。わざとじゃないんだ」
「もう‥‥ひどいんだから‥‥こんなにしちゃって‥‥」
　実際、引き抜かれたとき、妙子は感じてしまっていた。
「卓也君は、あんなとこ好きなの？」
「いや‥‥偶然、指が入っちゃって‥‥すごくエッチな感じがして‥‥」
　アヌスの感触は独特だった。入り口の筋肉質な硬さ、内部の粘り着くような感触は卑猥で、インモラルさが欲情を誘った。できれば、もう少し触っていたいと思う卓也だった。
「お返しよ」
　妙子は卓也を押し倒して、ふたたび屹立を口にふくんだ。
　妙子は週刊誌などに書かれている前立腺プレイのことを思い出していた。直腸から蜜壺を刺激されたときの感触が忘れられない。自分が感じた恥ずかしさを埋め合わすためにも、卓也に試してやろうと思った。
　舌の動きに身を任せている卓也の膝を立たせ、妙子は指先を後ろに滑らせていく。
「わ‥‥妙子おばさん‥‥ごめん‥‥わかった‥‥こんなに恥ずかしいんだ‥‥うわっ！」
　妙子のしなやかな指が侵入した。
「わかったから‥‥もう勘弁して‥‥」
　卓也が女のように喘ぐ。妙子の指が奥深くまで入ってきたのだ。しかし、その言葉とは裏腹に屹立の硬度が増していく。
（この辺かしら）
　妙子が陰嚢の付け根あたりを内部から押さえる。
「わっ！　うわっ！」
　卓也の身体が硬直し、妙子の口の中へ熱いものが大量に放たれた。
「うううっ‥‥だめだよ‥‥これ以上は‥‥」
　出した後も続く射精感に卓也が悶えている。
（いい気味‥‥だけど、かわいい）
　妙子は口の中で粘り着くものを飲み込みながら、そう思った。

SCENE 43

　卓也はしばらく立ち上がれなかった。
　いつかの妙子と同じように痙攣と弛緩を繰り返していた。
　まるで、身体の中にある精液をすべて出し切った感じがした。
　やっぱり妙子には敵わないと思った。
「大丈夫？」
　妙子も自分がしたことの結果に驚いていた。まさか、卓也が悶絶してしまうとは思ってもみなかった。15才の少年にする行為としては刺激が強すぎたかもしれない。
「ああ、びっくりした」
　卓也が身体を起こす。
「なんだか、全部出ちゃったみたいだ」
　下腹部に爽快感がある。
「ねえ、妙子おばさん。一緒にお風呂入ってくれる？」
「いいけど‥‥」
　妙子はわけが分からないまま卓也に従う。湯船に入ると卓也に後ろからそっと抱きしめられた。
「妙子おばさんの肌、気持ちいい。ずっと、こうしていたい気分‥‥」
　卓也の言葉に心までお湯に浸かっているような気分になる。
　ちょっとやり過ぎたかもしれないと思っていたが心配ないようだ。
　まったりとした時間が流れ、二人とも幸せな気分に身を委ねていた。

SCENE 44

　風呂から出た妙子はバスローブを羽織ったままベッドに倒れ込んだ。
　湯あたりしたみたいに身体が火照っている。卓也のものが欲しい、卓也の逞しいものに貫かれたいのだ。それに、アヌスに入った指の感覚が忘れられない。
（卓也君‥‥）
　気がつくと中指が秘肉を彷徨っていた。
　初めての日のことを思い出しながら自分を慰めはじめた。あの日のように卓也に奪って欲しかった。もし卓也がここに来れば、躊躇なく抱かれてしまうだろう。
　妙子の身体が震える。
　独り慰める絶頂は空しかった。妙子は我慢ができなくなっていた。今晩、卓也を誘ってみようと思った。
　卓也が生理を嫌がらないだろうか、それだけが心配だった。
　しばらくまどろんでいると携帯電話が鳴った。静雄からだった。二日ほど連絡がなかっただけなのに、ひどく久しぶりのような感じがした。気分も冷めている。
「‥‥ええ元気よ‥‥そう‥‥分かったわ‥‥お疲れさま。気をつけてね」
　静雄は明日の夜帰って来るという。
　今日の夜は卓也に思い切り抱かれたいと強く思う妙子だった。