SCENE 26

　残された妙子は、これでよかったのかと自問していた。しかし、不思議と後悔の念はない。むしろ、卓也を満足させてあげたというよろこびの方が大きいのだ。男の子の欲望については分かっているつもりだった。自分の下着でオナニーされるよりはいい。あのままオナニーを続けさせたら身体に毒だからとも思った。しかし、それは言い訳に過ぎない。妙子は心のどこかで卓也のものが欲しいと望んでいたし、それを自覚していた。
　そして、あの脈動の衝撃が忘れられなかった。ペニスから手のひらに射精の脈動が伝わってきたとき、妙子自身も激しく感じてしまったのだ。
　それに、一昨日の夜は卓也のペニスを後ろに感じて欲情してしまった自分がいる。トイレでしたことを考えると、とても卓也の行為を責めることなどできない。
　妙子はフレアスカートの裾に手を入れショーツを脱いで見てみる。案の定、クロッチの部分が濡れていた。
　まだ蜜壺の中が熱い。
　妙子はベッドに横たわり、卓也のペニスを思い出しながら、自らを慰めはじめた。
　ピチャッ、ピチャッと淫猥な音が響く。
　妙子は目を閉じて喘いだ。
（もうすぐ‥‥もうすぐよ‥‥）
　そう思ったときだった。
　突然、何者かが妙子に覆い被さった。
「妙子おばさんっ！」
　卓也だった。
「おばさん‥‥妙子おばさん‥‥」
　そう言いながら卓也は猛烈な勢いで妙子を抱きしめる。
　卓也は部屋に戻ったわけではなかった。寝室を出た後、ドアの前で呆然としていたのだ。妙子との別れは免れたらしい、それどころか、これからは妙子がやり場のない欲望の処理をしてくれるらしいのだ。しばらくの間、信じることができなかった。静雄が帰ってきたら言いつけられるのではないか、そんなことまで考えながらドアの前にいたのだ。
　そのうち、かすかだが妙子の声が聞こえてきた。泣いているのではないかと心配になって、そっとドアを開けた。
　卓也にとって女神に等しい妙子がベッドの上で自分を慰めていた。
　目の前が真っ白になった。
　そして、気がついたら妙子を抱きしめていたのだ。
「だめっ‥‥離して‥‥卓也君‥‥だめよ‥‥」
　妙子は、なぜ卓也がここにいるのか分からなかった。恥ずかしいところを見られたと思うと身体に火が点いた。
「‥‥妙子おばさん‥‥」
　強く抱きしめられながら耳元で呼ばれると全身が痺れてしまう。妙子にとって耳はとても感じる場所なのだ。それだけで蜜壺の疼きが激しくなる。
　乱暴にTシャツの裾が捲られた。
「卓也君‥‥ゆるして‥‥」
　そう言いながら身体に力が入らず抵抗ができない。
　いや、すでに妙子は抵抗する気力を失っていた。いけないことだと分かっていても、めくるめく官能に翻弄され、熟しきった身体が理性を押さえ込んでしまっていた。
　卓也が裾を持ち上げると、あごが引っかかり上半身を晒したままバンザイする格好になった。Tシャツが顔にかかり前が見えない。
　卓也が馬乗りになる。ブラジャーの上からバストが握られた。
「ああんっ‥‥」
　乱暴にされるのもいい。被虐の趣味はなかったが、思わず悦びの声を上げてしまっていた。
　かなり強い力で揉まれるので痛みもあるが、それ以上に感じてしまうのだ。
　手を下へ戻せば視界も開けるはずなのに妙子はそのままの姿勢でいた。このままなら抵抗しなくても済むような気がしていたし、卓也が思い通り行動できる。そうして欲しかった。
　フロントホックが弾け露わになったバストに卓也がむしゃぶりつく。
　乳首を強く吸われた。
「い‥‥痛いわ‥‥もっと優しくして‥‥」
　思わず本音が漏れてしまう。
　卓也の動きが止まった。唇が離れた。
（優しくしてって‥‥してもいいんだ‥‥）
　意外さに戸惑いながら妙子を見下ろす。
　荒い息で上下するバストはこの上なくエロティックに見える。
「妙子おばさん‥‥こんなにきれいだったんだね‥‥」
　卓也はそう言うと、こんどは優しく乳首を口にふくんだ。
（こうなったら最後までやるしかない）
　そう思った卓也だった。
「だめ‥‥だめよ‥‥あっ‥‥」
　舌先で乳首が転がされているのが分かる。
　全身にザワザワした感覚が駆けめぐった。やがて、それは波となって下腹部を襲った。
「あっ‥‥ああんっ‥‥」
　どうしても甘い声が漏れてしまう。
（妙子おばさんが感じている）
　それだけで卓也は幸せだった。もっと感じさせたい。妙子が官能に悶える姿が見たい。卓也はどうすればいいのかを本能的に悟っていた。
　片方のバストに手のひらを這わせる。感触を確かめるようにゆっくりとだ。
　まるで焦らされているような愛撫に妙子が喘ぐ。
　卓也は反応を見ながら、その手をだんだん下の方へ移動させていった。
　妙子の身体が震えはじめたとき、卓也の唇が離れる。
　次の瞬間、膝に手が添えられ脚を大きく開かされた。
「いやぁ‥‥こんなの‥‥ゆるして‥‥」
　目隠しされ、拘束されたのも同然の姿で秘部を晒す恥ずかしさに妙子は哀願した。しかし、本心から嫌だとは言っているのではない自分にも気付いていた。そうされているのが気持ちよいのだ。
「すごいや‥‥こんなだったんだ‥‥」
　見られていると思うとジーンと身体が痺れる。秘肉が熱い。
　妙子の秘肉が蜜で濡れ光っている。牝の匂いが強く漂う。
　卓也が手を伸ばした。
「あうっ！」
　秘肉に指がかかった。小陰唇がかき分けられる。
「ああ〜んっ！」
　そして、ついに指が蜜壺へ挿入されたとき、妙子は痙攣しながら叫んだ。
　卓也は秘肉の柔らかさと熱さに感動していた。
（すごい‥‥すごいや‥‥こんなに柔らかいなんて思ってなかった‥‥）
　夢中になって内部の感触を楽しむ。そのたびに、妙子の身体は跳ねるように悶えた。
　卓也は秘肉の感触と味を舌でも確かめたくなり開かれた脚の間に顔を埋める。
　妙子のヘアーが鼻先をくすぐる。それは柔らかで心地良いものだった。
　事実、妙子のヘアーは薄目で細い。大陰唇の周りにはほとんど生えていない。
　そんな場所を卓也は夢中で舐めた。ほんの少し酸味を伴った味が口の中へ拡がる。溢れる蜜で口の周りがベトベトになる。
　一カ所だけ芽のような感じのところがあり、ここがクリトリスだと判断した卓也は熱心に舌を這わす。
　反応は劇的だった。
　妙子の身体は震え、硬直し、痙攣した。
　卓也は妙子の腰をしっかりと引き寄せ舐め続ける。
「だめ‥‥もうゆるして‥‥ああっ‥‥」
　妙子は何度もオルガスムスを迎えていた。
　その言葉を聞いたとき、今まで夢中だった卓也は、最後はちゃんと結ばれたいと思った。それは妙子に対する気持ちの表れだったのかもしれない。お互いに一糸まとわぬ姿で結ばれたかった。
　そう考え、いったん身体を離す。そして、スカートのホックを外し、ファスナーを開いて下半身を覆う邪魔者を取り去る。
　次に、立ち上がって自分のパジャマとトランクスを脱ぎ捨てた。
　最後に、妙子の顔の周りにまとわりついているTシャツとブラジャーを引っ張るようにして脱がせた。
　全裸になって視界が開けた妙子が見たのは屹立を隠そうともしない卓也だった。
「だめ‥‥こ‥‥これ以上はだめ‥‥」
　そう言いながら逞しい屹立から目が離せない。本能がそれを熱望していた。
　卓也のものが自分の中へ入ってくることを想像しただけで呼吸が荒くなった。
「だめ‥‥ゆるして‥‥」
　ゆっくりと卓也が覆い被さってきたとき、妙子は次の行為に備えて眼を閉じた。最後の言葉は静雄に対してのものだったのかもしれない。
　卓也が屹立に手を添え位置を探っている。それだけでジンジンと熱いものが込み上げてくる。
「あっ」
　膣口にあてがわれた熱すぎるものに妙子は息を飲む。それだけで軽いエクスタシィがあった。つい腰を動かして角度を合わせてしまう。
「いやぁ〜っ！」
　次の瞬間、一気に挿入された妙子は叫んでいた。
　同時に激しい抽送がはじまる。
「だ‥‥だめ‥‥こんなのって‥‥ああっ‥‥こわれちゃう‥‥」
　熱く逞しいもので満たされた妙子は喘ぐ。
　半年ぶりの充満感。それは熱望していた感覚なのだ。妙子は無意識に腰を持ち上げて結合を深める。
「た‥‥妙子おばさん‥‥行かないで‥‥どこにも行かないで‥‥」
　卓也の言葉を聞いて胸が締め付けられるようだ。
「ああっ‥‥大丈夫‥‥どこにも行かないから‥‥ああんっ！」
　妙子は卓也の背中を抱きしめながら答える。
　ピッタリと合わさった肌がお互いの官能を高める。
「妙子おばさん‥‥好きだ‥‥大好きなんだ‥‥」
　卓也の言葉が心に突き刺さり、妙子は我を忘れて悶える。蜜壺の中のものがさらに熱く膨れあがっていくのを感じていた。
「ああっ‥‥すごい‥‥も、もう‥‥」
　ヌメヌメとした肉がペニスに絡みつく感覚。これがセックスなんだ。本物だけが持つ快感。おまけに相手は憧れてやまなかった妙子なのだ。そこまで思い至ったとき卓也は弾けた。
「うおぉっ！」
　長く続く射精の快感に卓也が叫ぶ。下半身のモヤモヤのすべてを一気に吐き出した感じだ。
「ああ〜んっ！」
　荒れ狂う溶岩が下半身を溶かしてしまったようだ。妙子は目の前が真っ白になり、痙攣を繰り返した。